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ユーグリー・パティスリー事変
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菓子職人見習いの青年マイルは、背中から冷や汗を流しまくっていた。
「死ねェエエエエエエエエエ腐れ聖女がぁああああああああ!」
ダンダンダンダンダンッ!
(店長めっちゃこぇええええええええええ……!?)
王都での人気ナンバーワンスイーツショップ、“ユーグリー・パティスリー”。その厨房内。マイルの視線の先では、一人の男性が荒れに荒れていた。
「フゥー……フゥー……」
生地を作業台に叩きつけ続ける行為をやめ、肩で息をするのは、熊のような体格をした四十代くらいの男性だった。彼の名はユーグリー。“ユーグリー・パティスリー”のオーナーシェフである。
マイルはおそるおそる声をかける。
「あ、あの、ユーグリー店長。随分機嫌が悪そうですが、一体何があったんですか……?」
「あぁ!?」
「ヒェッ……し、仕事仕事~……」
見かねて声をかけたマイルだったか、ものすごい形相で睨まれて即座に撤退する。
(店長がああなったのは、前に聖女様に呼ばれて王城に行った日から……一体何があったんだ?)
自分の仕事を再開しながらマイルは考える。
ユーグリーはもともと豪快な性格であり、職人としてのプライドも高い。本人曰く“ナメた態度”を取ってきた客には、たとえ貴族であろうと怒鳴って追い返すこともある。
ゆえにユーグリーの態度が荒れることはそこまで珍しくないが……今回は普段より鎮静化が遅い。よほど腹に据えかねたことがあったようだ。
何にしても、同じ職場で働く身としては迷惑このうえない。
(とりあえず、これ以上店長の機嫌が悪くなったら困る。今日はもうトラブルがありませんように……!!)
「マイルゥゥ! てめえ皿洗うのにどれだけかけてんだゴルルァアアアアア!」
「は、はい! すぐ終わらせますッッ!」
おそろしい店長の怒鳴り声に合わせて手の動きを加速させるマイルだった。
そんな彼の平穏を願う切なる気持ちは、残念ながら裏切られることになる。
「――で、どこのどいつだてめぇは。クソガキ」
ちょん。
そんな感じの効果音がしそうなつつましい姿勢でユーグリーの前に立っているのは、どう見ても五歳くらいの銀髪の女の子だった。宝石のような大きな瞳は青色で、ややぶかぶかの修道服を身に着けている。
(トラブルはやめろっつっただろ神様ァ――――!!)
その様子をうかがいながら内心で絶叫するマイル。
少女の後ろでは、やたらガタイのいい修道士が困り顔で立っている。おそらく銀髪少女の付き添いだろう彼は、マイルと近い心境であるに違いない。
銀髪少女とは対照的に、ゴゴゴゴゴ……という音がしそうな表情でユーグリーが尋ねる。
「はじめまして、てんしゅさん。わたしは、あいりすといいます」
「おぉそうかい。俺はユーグリーだ。で、俺に何の用だって? もう一回聞かせてくれや」
「はい。わたしに、おかしのつくりかたを、おしえてください!」
……そう。
この銀髪少女――アイリスは、店の営業が終わると同時に店員に声をかけ、ユーグリーと合わせてほしいと頼み込んできた。付き添いもいるし、客の要望とあらばユーグリーも出て行かざるを得ない。そしてアイリスはユーグリーに向かって開口一番、弟子入り志願をしたのだ。
「菓子の作り方だァ? そんなもんどうして知りたい?」
「このおみせの、おかしは、どれもきれいで、おいしくて、たべたひとをしあわせにします。わたしも、そんなおかしを、つくれるようになりたいんです!」
(……ん? この女の子……)
マイルはふと思い出す。
昨日の夕方に店に来た変わった二人組の客。明らかに貴族令嬢とわかる十七、八くらいの女性と、小さな女の子という組み合わせで印象的だった二人だ。そのうち小さいほうは、目の前の女の子と同じ見た目ではなかったか?
(ははー……昨日うちのお菓子を食べて感動しちゃったんだな。わかるなーその気持ち)
マイルはうんうんと頷く。彼もまったく同じ理由でこの“ユーグリー・パティスリー”で働きは始めたのだ。店主のキャラクターは予想と大きく違っていたが。
アイリスの発言に慌てたのはお付きの修道士だ。
「あ、アイリス様。さすがに菓子職人に弟子入りというのは……」
「だめですか?」
「当然でしょう! アイリス様は将来有望な聖女候補なのですよ!? そのような脇道に逸れている時間はありません!」
小声で話しているつもりらしい修道士だが、残念ながら丸聞こえである。どうやらこの修道士はアイリスの行動に反対のようだ。
「……話を聞いてると、嬢ちゃんよォ。お前さんは教会でのお勤めをやめて俺の弟子になりたいってことか?」
アイリスはユーグリーの言葉を聞き、首を横に振った。
「いえ、やめません。ゆうがたまで、せいじょになるためのくんれんをして、ゆうがたから、おかしのつくりかたを、おしえてほしいです」
(…………あ~~~~……店長が一番怒る答えだァ……)
天を仰ぎそうになるマイル。アイリスの答えは、要するに片手間でお菓子の作り方を教わろうとするもの。根っからの職人気質であるユーグリーからすれば、いくら子どもの言うことでもカチンとくるだろう。
「悪いが断る。とっとと帰りな嬢ちゃん」
案の定そう告げるユーグリー。そしてアイリスの反応は……
「わかりました。きゅうにきてしまって、すみませんでした。しつれいします」
「お、おう?」
そう言ってアイリスは、あっさり帰っていくのだった。
「……何だったんだ?」
ものわかりのいい相手に、呆気に取られたような顔をするユーグリー。
一方マイルは、「話がこじれなくてよかったー!」と胸を撫でおろした。普通人のマイルにとってはトラブルなんてなければないほどいいのである。
……が、マイルの考えは甘かった。
ユーグリーもマイルも、アイリスが驚異的な粘り強さを持つ少女だということを知らなかったのである。
▽
「きょうも、もってきました。あじみを、おねがいします」
「……また来たのかよ、嬢ちゃん」
数日後、店で再び向かい合うユーグリーとアイリス。
アイリスの差し出した木のかごには、アイリスが作ってきたらしいケーキ(に見えるもの)が入っている。
(……あの子、根性あり過ぎじゃない!? メンタル強いとかいうレベルじゃないんだけど!)
様子をうかがいながら内心で叫ぶ下っ端従業員マイル。付き添いの修道士は、疲れた顔で諦めているような雰囲気だ。
アイリスは最初にユーグリーに弟子入りを断られた日から毎日、こうして自作ケーキを持ってきてはユーグリーに味見をしてくれるよう頼んでいる。当然ずっと無視されているわけだが、まったく心が折れる気配がない。
「こりゃ何だ?」
「けーきです。このおみせのものを、さんこうに、つくってきました」
「材料はどうした? 砂糖は安くねえだろ。……周りに命令して買わせたのか? 聖女候補サマならワガママを言いたい放題だもんなあ」
つまらなさそうに言うユーグリーに、アイリスはふるふると首を横に振った。
「おきゅうりょうを、もらってますから。それでかいました」
「……ほぉ」
ちらりとユーグリーが付き添い修道士に視線を向けると、修道士は頷いた。
一般的には知られていないが、聖女候補や聖女には少なくない給金が支払われる。アイリスは聖女候補として半年以上も訓練に励んでおり、その期間の給金はそれなりにまとまった額となっているのだ。
ユーグリーはアイリスを見て言った。
「嬢ちゃんよぉ……何でこんなことをするんだ? お前さんは聖女候補だろ? 金なんていくらでも入ってくるんだろうが。菓子くらい作らなくても買えばいい。何で俺の弟子になろうとする?」
「せんせいに、たべてほしいからです」
「あん? 先生?」
アイリスは頷いた。
「わたし、せんせいに、おせわになっています。なにかおれいがしたくて……それで、せんせいはこのおみせのけーきをたべているとき、うれしそうでした」
「……だったらなおさら、この店で買ってプレゼントでもすりゃいいだろうが。その“先生”とやらに」
「じぶんでつくりたいです」
「何でだよ」
「それは……せんせいは、わたしにしゅみをつくりたくて、でも、わたしはせんせいにおれいがしたくて……」
自分でもよくわからないように、視線をうろうろさせるアイリスだったが、やがてこう答えた。
「せんせいに、よろこんでほしいからです」
「……」
「てんしゅ、さん?」
「…………はぁ~~~~」
溜め息を吐き、ユーグリーはアイリスの作ってきたケーキをわしづかみにして食べた。
「……マズい!」
「うっ……」
「ちっとだけ教えてやる。厨房に来い、嬢ちゃん。そんでそれを覚えて明日また作ってこい。いいな?」
「……! はい! ありがとうございますっ!」
(ぇえええええええええええええええええ!?)
ケーキの作り方をアドバイスする。それはつまり弟子入りを認めたようなものだ。なんという珍事。ユーグリーは滅多に弟子は取らないというのに。
まさか。
まさか、ユーグリーという人物は……
「ロリコン、なのか……?」
「おう、マイル。てめえは床掃除だ。塵一つでも残したら今月の給金はゼロにすっからな」
「扱いの差ひどくないですか!?」
叫び声を上げるマイルを放置し、ユーグリーとアイリスは厨房へと消えていくのだった。
「死ねェエエエエエエエエエ腐れ聖女がぁああああああああ!」
ダンダンダンダンダンッ!
(店長めっちゃこぇええええええええええ……!?)
王都での人気ナンバーワンスイーツショップ、“ユーグリー・パティスリー”。その厨房内。マイルの視線の先では、一人の男性が荒れに荒れていた。
「フゥー……フゥー……」
生地を作業台に叩きつけ続ける行為をやめ、肩で息をするのは、熊のような体格をした四十代くらいの男性だった。彼の名はユーグリー。“ユーグリー・パティスリー”のオーナーシェフである。
マイルはおそるおそる声をかける。
「あ、あの、ユーグリー店長。随分機嫌が悪そうですが、一体何があったんですか……?」
「あぁ!?」
「ヒェッ……し、仕事仕事~……」
見かねて声をかけたマイルだったか、ものすごい形相で睨まれて即座に撤退する。
(店長がああなったのは、前に聖女様に呼ばれて王城に行った日から……一体何があったんだ?)
自分の仕事を再開しながらマイルは考える。
ユーグリーはもともと豪快な性格であり、職人としてのプライドも高い。本人曰く“ナメた態度”を取ってきた客には、たとえ貴族であろうと怒鳴って追い返すこともある。
ゆえにユーグリーの態度が荒れることはそこまで珍しくないが……今回は普段より鎮静化が遅い。よほど腹に据えかねたことがあったようだ。
何にしても、同じ職場で働く身としては迷惑このうえない。
(とりあえず、これ以上店長の機嫌が悪くなったら困る。今日はもうトラブルがありませんように……!!)
「マイルゥゥ! てめえ皿洗うのにどれだけかけてんだゴルルァアアアアア!」
「は、はい! すぐ終わらせますッッ!」
おそろしい店長の怒鳴り声に合わせて手の動きを加速させるマイルだった。
そんな彼の平穏を願う切なる気持ちは、残念ながら裏切られることになる。
「――で、どこのどいつだてめぇは。クソガキ」
ちょん。
そんな感じの効果音がしそうなつつましい姿勢でユーグリーの前に立っているのは、どう見ても五歳くらいの銀髪の女の子だった。宝石のような大きな瞳は青色で、ややぶかぶかの修道服を身に着けている。
(トラブルはやめろっつっただろ神様ァ――――!!)
その様子をうかがいながら内心で絶叫するマイル。
少女の後ろでは、やたらガタイのいい修道士が困り顔で立っている。おそらく銀髪少女の付き添いだろう彼は、マイルと近い心境であるに違いない。
銀髪少女とは対照的に、ゴゴゴゴゴ……という音がしそうな表情でユーグリーが尋ねる。
「はじめまして、てんしゅさん。わたしは、あいりすといいます」
「おぉそうかい。俺はユーグリーだ。で、俺に何の用だって? もう一回聞かせてくれや」
「はい。わたしに、おかしのつくりかたを、おしえてください!」
……そう。
この銀髪少女――アイリスは、店の営業が終わると同時に店員に声をかけ、ユーグリーと合わせてほしいと頼み込んできた。付き添いもいるし、客の要望とあらばユーグリーも出て行かざるを得ない。そしてアイリスはユーグリーに向かって開口一番、弟子入り志願をしたのだ。
「菓子の作り方だァ? そんなもんどうして知りたい?」
「このおみせの、おかしは、どれもきれいで、おいしくて、たべたひとをしあわせにします。わたしも、そんなおかしを、つくれるようになりたいんです!」
(……ん? この女の子……)
マイルはふと思い出す。
昨日の夕方に店に来た変わった二人組の客。明らかに貴族令嬢とわかる十七、八くらいの女性と、小さな女の子という組み合わせで印象的だった二人だ。そのうち小さいほうは、目の前の女の子と同じ見た目ではなかったか?
(ははー……昨日うちのお菓子を食べて感動しちゃったんだな。わかるなーその気持ち)
マイルはうんうんと頷く。彼もまったく同じ理由でこの“ユーグリー・パティスリー”で働きは始めたのだ。店主のキャラクターは予想と大きく違っていたが。
アイリスの発言に慌てたのはお付きの修道士だ。
「あ、アイリス様。さすがに菓子職人に弟子入りというのは……」
「だめですか?」
「当然でしょう! アイリス様は将来有望な聖女候補なのですよ!? そのような脇道に逸れている時間はありません!」
小声で話しているつもりらしい修道士だが、残念ながら丸聞こえである。どうやらこの修道士はアイリスの行動に反対のようだ。
「……話を聞いてると、嬢ちゃんよォ。お前さんは教会でのお勤めをやめて俺の弟子になりたいってことか?」
アイリスはユーグリーの言葉を聞き、首を横に振った。
「いえ、やめません。ゆうがたまで、せいじょになるためのくんれんをして、ゆうがたから、おかしのつくりかたを、おしえてほしいです」
(…………あ~~~~……店長が一番怒る答えだァ……)
天を仰ぎそうになるマイル。アイリスの答えは、要するに片手間でお菓子の作り方を教わろうとするもの。根っからの職人気質であるユーグリーからすれば、いくら子どもの言うことでもカチンとくるだろう。
「悪いが断る。とっとと帰りな嬢ちゃん」
案の定そう告げるユーグリー。そしてアイリスの反応は……
「わかりました。きゅうにきてしまって、すみませんでした。しつれいします」
「お、おう?」
そう言ってアイリスは、あっさり帰っていくのだった。
「……何だったんだ?」
ものわかりのいい相手に、呆気に取られたような顔をするユーグリー。
一方マイルは、「話がこじれなくてよかったー!」と胸を撫でおろした。普通人のマイルにとってはトラブルなんてなければないほどいいのである。
……が、マイルの考えは甘かった。
ユーグリーもマイルも、アイリスが驚異的な粘り強さを持つ少女だということを知らなかったのである。
▽
「きょうも、もってきました。あじみを、おねがいします」
「……また来たのかよ、嬢ちゃん」
数日後、店で再び向かい合うユーグリーとアイリス。
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(……あの子、根性あり過ぎじゃない!? メンタル強いとかいうレベルじゃないんだけど!)
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アイリスは最初にユーグリーに弟子入りを断られた日から毎日、こうして自作ケーキを持ってきてはユーグリーに味見をしてくれるよう頼んでいる。当然ずっと無視されているわけだが、まったく心が折れる気配がない。
「こりゃ何だ?」
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つまらなさそうに言うユーグリーに、アイリスはふるふると首を横に振った。
「おきゅうりょうを、もらってますから。それでかいました」
「……ほぉ」
ちらりとユーグリーが付き添い修道士に視線を向けると、修道士は頷いた。
一般的には知られていないが、聖女候補や聖女には少なくない給金が支払われる。アイリスは聖女候補として半年以上も訓練に励んでおり、その期間の給金はそれなりにまとまった額となっているのだ。
ユーグリーはアイリスを見て言った。
「嬢ちゃんよぉ……何でこんなことをするんだ? お前さんは聖女候補だろ? 金なんていくらでも入ってくるんだろうが。菓子くらい作らなくても買えばいい。何で俺の弟子になろうとする?」
「せんせいに、たべてほしいからです」
「あん? 先生?」
アイリスは頷いた。
「わたし、せんせいに、おせわになっています。なにかおれいがしたくて……それで、せんせいはこのおみせのけーきをたべているとき、うれしそうでした」
「……だったらなおさら、この店で買ってプレゼントでもすりゃいいだろうが。その“先生”とやらに」
「じぶんでつくりたいです」
「何でだよ」
「それは……せんせいは、わたしにしゅみをつくりたくて、でも、わたしはせんせいにおれいがしたくて……」
自分でもよくわからないように、視線をうろうろさせるアイリスだったが、やがてこう答えた。
「せんせいに、よろこんでほしいからです」
「……」
「てんしゅ、さん?」
「…………はぁ~~~~」
溜め息を吐き、ユーグリーはアイリスの作ってきたケーキをわしづかみにして食べた。
「……マズい!」
「うっ……」
「ちっとだけ教えてやる。厨房に来い、嬢ちゃん。そんでそれを覚えて明日また作ってこい。いいな?」
「……! はい! ありがとうございますっ!」
(ぇえええええええええええええええええ!?)
ケーキの作り方をアドバイスする。それはつまり弟子入りを認めたようなものだ。なんという珍事。ユーグリーは滅多に弟子は取らないというのに。
まさか。
まさか、ユーグリーという人物は……
「ロリコン、なのか……?」
「おう、マイル。てめえは床掃除だ。塵一つでも残したら今月の給金はゼロにすっからな」
「扱いの差ひどくないですか!?」
叫び声を上げるマイルを放置し、ユーグリーとアイリスは厨房へと消えていくのだった。
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