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副団長襲来
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精霊の力を借りた“治癒”の訓練を行ってから一週間が経った。
あれ以降アイリスはコツを掴んだようで、“治癒”の光が精霊への呼びかけなしでもかなり大きくできるようになっている。
そろそろ次のステップに進んでもいいだろう。
そんなことを考えながらいつもの部屋に向かっていく。
『――――――、――――』
『――、――――――――、――――――』
教会の訓練用の部屋に着くと、扉の奥から話し声が聞こえてくる。片方はアイリスだと思うけど、もう片方は誰だろう?
男性の声っぽいけど……まあ、気にしなくていいか。
「おはようアイリス! 今日も楽しく特訓しましょう!」
「あ、せんせい。おはようございます!」
たたっと小走りで駆け寄ってくるアイリス。表情はあんまり変わらない子だけど、大きな青い瞳が嬉しそうに輝いているのがとても可愛い。
さて、部屋の中にはアイリスの他にももう一人いる。
鎧をまとった二十代半ばから後半くらいの男性だ。艶のある黒髪に、鋭い青色の瞳。
顔立ちは……うわ、ものすごい美形ね。細身の体はすらりとして見えるけど、胸板や二の腕など、鎧越しにも各所が鍛えられていることがわかる。
とりあえず、挨拶しましょうか。
「お客様でしょうか? 初めまして、私はアイリスの教育係を務めるミリーリア・ノクトールと申します」
「知っている。俺はお前に――失礼、貴女に会いに来たようなものだからな」
「はあ。ええと、どちらさまでしょうか」
「俺の名はフォード・レオニス。王立騎士団の副団長を務める者だ」
フォード・レオニス? その名前、どこかで聞いたような――って、
「げっ!」
「……どういう反応だ、それは」
「い、いえ、なんでもありませんわよ。うふふ」
慌てて取り繕う私だけど、内心は焦りで満ちていた。
騎士団のフォード・レオニスって……原作小説でミリーリアとアイリスを捕らえて処刑した人物じゃない!
今から十年後、つまり原作小説の世界でもフォードは騎士団長を務めている。今は副団長のようだけど、おそらくこれからの十年で出世するんだろう。
異名は“黒獅子”。公爵家に生まれである彼は剣術と魔術に秀で、作中でただ一人、魔物を生身で倒すことができるとされている。
そんな彼は原作でアイリスが魔物を狂暴化させたあと、国外に逃げようとするアイリスとミリーリアを追跡・捕縛する。騎士たちに捕らえられたアイリスたちは王都の牢獄に閉じ込められ、数日後に処刑されてしまうのだ。
私たちの死亡フラグに大きくかかわるネームドキャラ。
それこそがこのフォードなのである。
「ふぉーどさまは、たまにわたしにあいにきてくれるんです」
アイリスがそんなことを言う。
「アイリス、フォード様と知り合いなの?」
「はい。このきょうかいに、つれてきてくださいました」
「?」
「北部の村に魔物が現れた際、その討伐任務中にアイリスと出会った。そこでアイリスは聖女の力を発現させ、聖女になりたいという彼女の願いを叶えるため、俺が教会へと連れてきた」
「あ、そうなんですか」
原作だと、アイリスが聖女になった経緯は詳しく語られない。まさかフォードがそのきっかけにかかわっていたとは思わなかった。
フォードは私に視線を向ける。
「アイリスは教会での暮らしに不自由をしていないと聞いていた。だが、最近になって事情が大きく変わったとも聞いた。新たな教育係をつけられ、きわめて実践的な訓練が行われるようになったと。……そう、五歳の子どもに課すには実践的すぎるほどの」
あれ? フォードの視線、厳しくない?
まさか転生前の私がやっていた厳しい訓練を聞きつけて、アイリスが虐められてないか確認しに来たとか……!? 私、疑われてる!?
これはまずい。何がまずいって、ミリーリアがアイリスに厳しすぎる訓練をさせていたのは事実なのだ。私が転生してからはむしろものすごく甘やかしているけれど!
「え、ええっと、それは」
冷や汗がだらだら流れる私。ここからの受け答えは慎重にしないといけない。なぜなら目の前にいるのは原作最強格にして、十年後に私とアイリスに引導を渡す死神なのだから。
「――だが、俺の杞憂だったようだ」
「へ? 杞憂?」
「焼き菓子を持参してくるような関係だ。とても厳しい訓練が行われていたとは思えん」
私が提げているバスケットを見てそう言うフォード。
あれ? セーフ? もしかして助かった?
「そ、そうなんですよ。アイリスとは仲良しでして!」
「はい。せんせいには、とてもよくしてもらっています」
アイリスの援護射撃もあり、フォードの態度がわずかに穏やかさを帯びる。
「そうか。ならいい。無用な疑いをかけたことは申し訳ないと――」
「きびしいくんれんも、“いまは”、もうありません」
「今は?」
まずい。アイリスの一言で風向きが変わった気がする。
「……」
「……」
「え? あの、ふたりとも……?」
何かを見定めようとするフォードと、内心で冷や汗を流す私。不穏な場の雰囲気を察したのか、慌てたようにアイリスが口を開いた。
「ふ、ふぉーどさま」
「何だ、アイリス?」
「せんせいは、わたしのためにやってくれたんです。そうこになんじかんもとじこめたり、じゅうじかんいじょうも、くんれんをつづけたのも、ぜんぶわたしのためで」
「ほう。五歳の子どもを監禁したうえ、休ませず十時間以上の訓練させたと」
「『こんなこともできないなんてむのうね』とか、『おちこぼれはいなかにかえりなさい』とかいわれたのも、わたしがふがいないからで!」
「おまけに暴言か。これは驚きだ」
アイリスが釈明すればするほど私の立場が悪くなっていく。何とかしないと!
「やはり様子を見に来て正解だった。“万能の聖女”ミリーリア・ノクトール……聖女の座を失ったと聞いていたが、まさか弟子を使ってかつての栄光を取り戻そうとでもするつもりか?」
じろりと私を見るフォード。転生前の私の行動原理はそれだったので、違うとも言いにくい。
「アイリス、何かあれば俺に伝えろ。証拠を掴み次第すぐに教会の上層部に報告を」
どうしよう。このままだとフォードに悪女認定されてしまう。それは今後のために避けたい!
「フォード様!」
「……何だ、ミリーリア・ノクトール」
「えっと、そのですね」
「言いたいことがあるならはっきりと言うがいい」
勢いだけで呼び止めてしまった。どうしよう。何か、フォードが私とアイリスの仲を誤解しないための、目に見える方法はないかしら。
はっ、そうだ!
「騎士団の皆様は日々過酷な訓練をなさっているそうですね」
「……当然だ。王立騎士団は王都を守護する絶対の盾。いくら修練をしても十分ということはない」
私の言葉に怪訝そうな顔をしつつ、頷くフォード。
「しかし騎士の方々の強さを維持するための訓練において、不慮の事故も絶えないと考えます」
「剣技を磨くための訓練だ。多少の傷は受け入れるべきだろう」
「そこでアイリスに訓練のお手伝いをさせていただけないかと」
「何?」
「わたしですか?」
聞き返すフォードと首を傾げるアイリスに頷きを返す。
「アイリスは人を相手にした“治癒”の練習中なんです。騎士たちの訓練でできた傷をアイリスが治すことで、アイリスは“治癒”の実践的な使い方を学べ、騎士たちは万全の状態で訓練を終えられる。お互いにとってメリットのあることです。どうかご協力いただけませんか?」
私が言うと、フォードが意外そうに目を瞬かせた。
「……聖女の“治癒”は多額の寄付と引き換えだったはずだが」
「騎士たちはこの国を守る重要な存在。ゆえに特例として扱ってもらえるよう、私のほうで教皇様と話をつけます」
「それが可能なら、こちらとしては助かるが……」
「ではそうしましょう! ご快諾いただけて感謝いたします、フォード様!」
「あ、ああ」
目を白黒させるフォードの手をがっちり掴んで言質を取る。
フォードの疑いを晴らすためには、私とアイリスの訓練風景を実際に見せるのが手っ取り早い。けれど多忙な騎士団副団長であるフォードにそんな機会はそうそうないだろう。
けれどこっちから騎士団の詰所に行くなら話は別だ。
フォードの仕事場でアイリスの聖女教育を行えば、嫌でも目に入るはず。
それにアイリスの“治癒”の力を向上させるには、場数が必要だった。騎士たちの傷を治すことでそっちも磨くことができる。まさに一石二鳥だ。
この機会に死亡フラグはきっちりへし折っておくとしよう。
あれ以降アイリスはコツを掴んだようで、“治癒”の光が精霊への呼びかけなしでもかなり大きくできるようになっている。
そろそろ次のステップに進んでもいいだろう。
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『――――――、――――』
『――、――――――――、――――――』
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さて、部屋の中にはアイリスの他にももう一人いる。
鎧をまとった二十代半ばから後半くらいの男性だ。艶のある黒髪に、鋭い青色の瞳。
顔立ちは……うわ、ものすごい美形ね。細身の体はすらりとして見えるけど、胸板や二の腕など、鎧越しにも各所が鍛えられていることがわかる。
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「はあ。ええと、どちらさまでしょうか」
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「げっ!」
「……どういう反応だ、それは」
「い、いえ、なんでもありませんわよ。うふふ」
慌てて取り繕う私だけど、内心は焦りで満ちていた。
騎士団のフォード・レオニスって……原作小説でミリーリアとアイリスを捕らえて処刑した人物じゃない!
今から十年後、つまり原作小説の世界でもフォードは騎士団長を務めている。今は副団長のようだけど、おそらくこれからの十年で出世するんだろう。
異名は“黒獅子”。公爵家に生まれである彼は剣術と魔術に秀で、作中でただ一人、魔物を生身で倒すことができるとされている。
そんな彼は原作でアイリスが魔物を狂暴化させたあと、国外に逃げようとするアイリスとミリーリアを追跡・捕縛する。騎士たちに捕らえられたアイリスたちは王都の牢獄に閉じ込められ、数日後に処刑されてしまうのだ。
私たちの死亡フラグに大きくかかわるネームドキャラ。
それこそがこのフォードなのである。
「ふぉーどさまは、たまにわたしにあいにきてくれるんです」
アイリスがそんなことを言う。
「アイリス、フォード様と知り合いなの?」
「はい。このきょうかいに、つれてきてくださいました」
「?」
「北部の村に魔物が現れた際、その討伐任務中にアイリスと出会った。そこでアイリスは聖女の力を発現させ、聖女になりたいという彼女の願いを叶えるため、俺が教会へと連れてきた」
「あ、そうなんですか」
原作だと、アイリスが聖女になった経緯は詳しく語られない。まさかフォードがそのきっかけにかかわっていたとは思わなかった。
フォードは私に視線を向ける。
「アイリスは教会での暮らしに不自由をしていないと聞いていた。だが、最近になって事情が大きく変わったとも聞いた。新たな教育係をつけられ、きわめて実践的な訓練が行われるようになったと。……そう、五歳の子どもに課すには実践的すぎるほどの」
あれ? フォードの視線、厳しくない?
まさか転生前の私がやっていた厳しい訓練を聞きつけて、アイリスが虐められてないか確認しに来たとか……!? 私、疑われてる!?
これはまずい。何がまずいって、ミリーリアがアイリスに厳しすぎる訓練をさせていたのは事実なのだ。私が転生してからはむしろものすごく甘やかしているけれど!
「え、ええっと、それは」
冷や汗がだらだら流れる私。ここからの受け答えは慎重にしないといけない。なぜなら目の前にいるのは原作最強格にして、十年後に私とアイリスに引導を渡す死神なのだから。
「――だが、俺の杞憂だったようだ」
「へ? 杞憂?」
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私が提げているバスケットを見てそう言うフォード。
あれ? セーフ? もしかして助かった?
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「はい。せんせいには、とてもよくしてもらっています」
アイリスの援護射撃もあり、フォードの態度がわずかに穏やかさを帯びる。
「そうか。ならいい。無用な疑いをかけたことは申し訳ないと――」
「きびしいくんれんも、“いまは”、もうありません」
「今は?」
まずい。アイリスの一言で風向きが変わった気がする。
「……」
「……」
「え? あの、ふたりとも……?」
何かを見定めようとするフォードと、内心で冷や汗を流す私。不穏な場の雰囲気を察したのか、慌てたようにアイリスが口を開いた。
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「ほう。五歳の子どもを監禁したうえ、休ませず十時間以上の訓練させたと」
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どうしよう。このままだとフォードに悪女認定されてしまう。それは今後のために避けたい!
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「えっと、そのですね」
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勢いだけで呼び止めてしまった。どうしよう。何か、フォードが私とアイリスの仲を誤解しないための、目に見える方法はないかしら。
はっ、そうだ!
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「……当然だ。王立騎士団は王都を守護する絶対の盾。いくら修練をしても十分ということはない」
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「何?」
「わたしですか?」
聞き返すフォードと首を傾げるアイリスに頷きを返す。
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私が言うと、フォードが意外そうに目を瞬かせた。
「……聖女の“治癒”は多額の寄付と引き換えだったはずだが」
「騎士たちはこの国を守る重要な存在。ゆえに特例として扱ってもらえるよう、私のほうで教皇様と話をつけます」
「それが可能なら、こちらとしては助かるが……」
「ではそうしましょう! ご快諾いただけて感謝いたします、フォード様!」
「あ、ああ」
目を白黒させるフォードの手をがっちり掴んで言質を取る。
フォードの疑いを晴らすためには、私とアイリスの訓練風景を実際に見せるのが手っ取り早い。けれど多忙な騎士団副団長であるフォードにそんな機会はそうそうないだろう。
けれどこっちから騎士団の詰所に行くなら話は別だ。
フォードの仕事場でアイリスの聖女教育を行えば、嫌でも目に入るはず。
それにアイリスの“治癒”の力を向上させるには、場数が必要だった。騎士たちの傷を治すことでそっちも磨くことができる。まさに一石二鳥だ。
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