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1巻

1-2

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  ◇ ◇ ◇


 二日酔いになった。

「頭が痛い……」

 うめきながら、俺は部屋の鏡を見る。
 そこに映っているのは、白い髪と青い瞳の青年――俺の姿だ。昨日やけ酒したせいで顔色が悪い。
 服装は学院の制服ではなく、以前街で買った黒のローブだ。
 たいへん格好いい。
 やはり全身黒ずくめというのは格好いいものだ。
 指ぬきの黒いグローブもあるが、あれは外出用なので室内では着用しない。万が一破れたりしては困るからな。
 超一流の魔導士を目指す男は身だしなみから気を遣うのだ。
 ……まあ、今の俺は最下級の六級魔導士に過ぎないのだが。
 どういう魔導士が六級になるかというと、まず五歳以上の貴族は全員そうだ。誕生日を迎えたその日に階級章を持たされ、そこから魔導学院に入学するまでの間だけ六級魔導士の身分となる。
 ちなみに魔導学院に入学するのはたいてい十二歳から十三歳。早ければ十歳。
 つまり――六級魔導士イコール五歳から十二、三歳の子ども。そのレベルが今の俺の立ち位置だった。
 ちなみに俺は十六歳だ。成人である。当然酒も飲めるというわけだ。
 これが夢なら早く覚めてほしい。

「さて、師匠に連絡しなくてはな……」

 俺はため息を吐いてからベッドに座り、魔素を操作した。
 発動させたのは無属性の【通信テレパス】。

『む……? これは通信魔術か』

 すると宿の壁に半透明の女性の姿が浮かび上がる。
 背は俺の胸あたりまでしかない。美しい金髪は膝裏あたりまで伸びている。
 薄緑色のひらひらした衣装をまとっているが、布が多いのは袖のあたりだけで、肩や足を大胆に露出させている。足元には木を編んだサンダル。
 なにより特徴的なのはその美貌と、長くとがった耳だろう。
 要するに、エルフの女性だった。
 外見的には十二歳くらいの少女に見えるが。

『おおっ、ウィズではないか! 久しぶりじゃのう!』

 彼女は俺に気づくとぱあっと笑みを浮かべた。
 実年齢は百歳を超えているのに、そうしていると本当にただの小さな女の子のようだ。
 俺は小さく頭を下げる。

「お久しぶりです、師匠」
『本当に久しいの。前に会ったのは【疑似転移】の魔術実験の時じゃったか? なんじゃったか、あの、学院の論文コンクールに出すというやつ』
「……そうでしたかね」

 論文コンクールという言葉に俺は口元を引きつらせた。
 あれを完成させるため、師匠にも協力してもらったのだ。それが読まれることすらなく破り捨てられたと聞いたら師匠はどう思うだろうか。
 泣くかキレるかどっちかだな。大人げないからなこの人……いや人じゃなくてエルフだが。
 余談だが、【疑似転移】はまだ正式な魔術として認定されていない。古代言語による魔術名がないのはそのためだったりする。

『というか、なぜ通信魔術なのじゃ? 用があるなら【疑似転移】でこちらに来ればよかろうに』

 師匠が不思議そうに言っている。
 師匠はここからかなり離れた山奥に住んでいるが、【疑似転移】を使えば簡単に会いに行ける。だが、今はそれができない。

「えっとですね……」

 俺がそのあたりの事情を説明しようとすると、師匠は手を前にかざしてきた。

『いや、よい。せっかくじゃから、わらわがそちらに行こう。久しぶりにお主に会いたくなった。居場所はリンドでいいのじゃろう?』
「はい」
『では少々待っておれ。むむ……』

 通信魔術の向こうで師匠がうなった、その数秒後。

「とうっ! ……む、なんじゃここ? 魔導学院の寮ではないのか?」

 そんな不思議そうな声とともに、師匠が俺の真横に出現していた。
【疑似転移】によって遠方の住処すみかからここに一瞬で移動してきたのだ。
 師匠は周囲をきょろきょろ見回し、その緑の目に俺をとらえる。
 その瞬間、師匠の目が輝いた。

「お久しぶりです、師しょ」
「会いたかったぞ我が弟子よ――!」

 俺が挨拶あいさつしようとすると、いきなり師匠が抱きついてきた。俺は勢いに負けてそのまま座っていたベッドに押し倒される。
 師匠は小さな手で俺の腕を、ぎゅうううっ、とつかむ。

「寂しかったぞ話したかったぞ、お主のほうからはあまり連絡を寄こさんからのう。こうして触れる機会を心待ちにしておったんじゃ」
「……普通師匠はいきなり弟子に抱きついたりしないと思いますが」
「普通なんぞ知らん。妾は常に人との触れ合いにえておる」

 不服そうに言ってくる師匠に俺は苦笑した。

「わかってますよ。四人しかいない大魔導士の一人だから、一般人の前に簡単に顔を出せない――そういうことでしょう」

 大魔導士。
 魔導士階級は六級から始まり、一級のその上に特級が存在する。
 特級魔導士は二種類に分けられ、その片方が師匠の属する大魔導士だ。この国には師匠を超える地位の魔導士はたった一人しかいない。
 師匠はあまりに有名なので、厄介ごとを避けるため、人里離れた山奥に一人で暮らしている。
 当然来客など滅多めったにない。だから師匠は人との関わりに飢えている。
 もっとも師匠が人目を避けているのは大魔導士だからという理由だけではないのだが――ともあれ、師匠は俺と会うたびこうして抱きついてくるくせがあった。
 この師匠、体温が高いから抱きつかれると暑いんだが……

「師匠、そろそろ起き上がっても構いませんか」
「うむ。よかろう」

 俺がベッドの上に座りなおすと、師匠は当然のように俺の後ろに回り、首に手を回して再度抱きしめてきた。

「あのですね師匠」
「手を放せ、という要望であれば断固拒否じゃ。膝上に座らせてくれるなら考えんでもないが」
「……なんでもありませんよ」

 本当にスキンシップの好きな師匠で困る。
 まあいい。しばらく会っていなかったし、甘んじてぬいぐるみ代わりを務めよう。

「それで、ウィズ。どうしてこのような場所におる?」

 俺は深呼吸をして、端的に言った。

「退学になったからです。魔導学院を。昨日」
「なんじゃと!?」
「これがその証拠です」

 俺はローブの袖をまくり、腕輪を見せた。そこについた階級章の色は黒。六級の証だ。そして師匠は、魔導学院にいる限り生徒は五級の階位を与えられると知っている。

「な、なぜそんなことになっておるんじゃ! まさか魔術の実験で校舎を粉々にでもしたか!? それとも気に入らない講師をうっかりちりにしたとか!」

 この師匠は俺をなんだと思っているのだろう。

「していませんよ。ちゃんと使う魔素の量も全力で加減して、目立たないようにしていたんですから。目立てば貴族は俺のことを排除しようと躍起やっきになるでしょうからね」

 俺はそう言って師匠の言葉を否定する。

「ではなぜじゃ!?」
「それがですね……」

 俺は師匠に、俺が退学になった経緯を説明した。
 同級生のリックに絡まれ、それをあしらったこと。
 その時に撮影された保存画が加工され、ありもしない暴行の証拠品として学院にばらまかれたこと。
 俺を目障りに思っていた学院長が、それを根拠に俺を退学させたこと。

「なんじゃそれはぁ!」

 師匠は後ろから抱きついたまま思いきり腕に力を込めた。いだだだだ首が絞まっている首が絞まっている。

「妾の可愛い弟子をそのようなふざけた理由で退学させるとは……そういえば、入学の時もいちゃもんをつけておったなあ」

 入学の時、というのは入学試験のことだろう。
 俺は初受験の時点で無詠唱もできたし魔素合成もできたし筆記も自己採点では満点だったのだが、魔導学院の連中は難癖つけて二回も試験に落としてきた。
 最終的には大魔導士の師匠が圧力をかけることでようやく合格できたのだ。
 学院の連中いわく、伝統を曲げて平民を入学させるにはそれなりの実力が必要で、しかもその基準は明かせないとかなんとか。
 どうしても平民を入学させたくない、という学院側の考えが透けて見えるようだった。

「……行くか」
「待ってください師匠。そんな殺気をまき散らしてどこに行くつもりですか」
「決まっておる! 学院じゃ! お主の退学を撤回するよう直談判する。必要なら学院の中に食人花しょくじんかを溢れさせてでも学院長あのジジイの首を縦に振らせてみせよう!」

 ああ、やっぱりこうなったか。
 師匠は属性魔術のエキスパートだ。学院の敷地の中を人食い植物だらけにすることなど造作もない。本当にやりかねない。
 師匠が本気で怒ってくれたことに感動しつつ、俺は立ち上がろうとする師匠の手を掴んで止めた。

「待ってください師匠。お気持ちは嬉しいんですが――というか俺もぜひそうしたいのですが、それはまずいんです」
「なにがじゃ!」
「魔導学院に喧嘩を売れば、魔導士協会を敵に回すことになります。そうなると、俺は魔導士階級を上げることができなくなります」
「む……」

 魔導士階級は魔導士協会の承認を得ないと上げられない。
 魔導学院は魔導士協会の下部組織なので、魔導学院を敵に回すことはそのまま魔導士協会と敵対することにつながる。そうなれば俺の昇級は絶望的だ。

「そうか……お主はもともと魔導士階級を上げるために、魔導学院に入学したんじゃったな」
「はい」

 俺は頷いた。
 魔導学院では、入学、進級のタイミングで一つ階級が上がる。一年で五級。二年で四級。そして最高学年である三年で三級。俺が魔導学院に入ったのはそれが目的だった。
 学院長やリックたちは許しがたいが、ここで暴れては本末転倒だ。

「魔導士階級を特級に上げるため――そして〈賢者〉の地位を手に入れるためには、学院と敵対するわけにはいかないんです」
「うーむむむむ……」

 俺が言うと、師匠は唸った。
〈賢者〉。
 つまり、全魔導士の頂点とも呼べる存在。
 特級魔導士は現在五人。その中でもっとも魔術の扱いに優れた者が、〈賢者〉に選ばれる。
 その称号を手に入れるのが俺の長年の夢なのだ。

「ウィズよ。お主が〈賢者〉を目指す理由は知っておる。しかし……もういいじゃろう? 過去にとらわれて苦しむのは、お主の母親も望んでおらんはずじゃ」

 師匠の口ぶりには俺を気遣う響きがあった。俺の過去を知っているからこそ、心を痛めてくれている。そのことに感謝しつつも、俺は首を横に振った。

「いくら師匠の言葉でも、これだけはゆずれません。俺は〈賢者〉になると決めていますから」

 俺の言葉を聞くと、師匠は呆れたような視線を向けてきた。

「わかっておったが、お主は本当に頑固じゃなあ」
「すみません」
「そもそもお主が学院で実力を隠しておる時点でいろいろおかしいんじゃ。お主は――本当は、妾より強いというのに」

 座ったまま不満げにぶんぶんと足を振る師匠。
 そうしていると本当に子どもみたいだ。俺は肩をすくめてみせる。

「樹属性も治癒ちゆも浄化も、師匠には全然かないませんよ」
「そのへんだけはの。ああもう、納得いかんのじゃ~~~~」

 ぐりぐりと頭を俺に押しつけてくる師匠。

「どうりで【疑似転移】が使えんわけじゃな。六級では魔素の合成ができん」
「そういうことです。【疑似転移】には自分の体を分解する破壊、そしてそれを再構築する治癒の二属性が必須ですから」

 魔素にはいくつかの属性が存在する。
 火、水、風、土、かみなり、樹の基礎属性。
 それらをかけ合わせて作る複合属性。
 そのいずれにも属さない無属性。
 俺が考案した【疑似転移】は、複合属性である破壊と治癒の二種類を使わなくては発動できないものだった。
 どちらも今の俺には使えない。使えば階級章がそれを認識し、魔導士協会に俺の違反が通報されてしまう。
 師匠と話すために無属性の通信魔術に頼ったのは、そういう理由だった。
 と――ここで、ぐぎゅるるるるるると師匠の腹が鳴った。

「む。腹が減ったの」
「では食事に行きますか。ですが師匠はそのままでは目立ちますね」

 なにしろ師匠は見目麗みめうるわしく、おまけにエルフだ。
 そして師匠の正体が街中でバレてしまうのはいろいろまずい。

「この耳を隠せばよいのであろ?」

 師匠は自分の長い耳をみょんみょんいじりながら言った。

「お主、いいものを着ておるではないか」


「生地が厚くほつれもなく、自浄作用の魔術陣が織りこまれておって、おまけに着るとウィズの匂いがする。いいものじゃのう、これ」
「気に入っていただけたようでなによりですよ……」

 数分後、師匠は俺のローブを着こんで上機嫌のまま、酒場のテーブルに着いていた。
 丈が違うから俺のローブは師匠が着るとほとんどワンピース状態だ。
 フードを目深まぶかに下ろしているため、確かに師匠の顔は見えづらい。
 師匠がやたらと嬉しそうなので、文句を言う気も失せてしまった。


 注文した料理が運ばれてくるまでの間、師匠はこんなことを言った。

「それにしても、いよいよ魔導学院もどうしようもないのう。お主のようなでかい魚をみすみす手放すとは」
「まったくですね」

 大きく頷いておく。俺はいずれ〈賢者〉になる男だからな。その恩師と言い張れる立場を自ら放棄した学院長はおろかと言わざるをえない。

「で、ウィズよ。お主まだ〈賢者〉になるのを諦めておらんのじゃろ?」
「無論です」

 まあ具体的にどうしたらいいか、という方法は浮かんでいないが。

「では一つ提案をしてやろう」
「提案?」
「お主、冒険者になってはどうじゃ?」



 第一章 冒険者ギルド・ソノク支部


「ここが冒険者ギルドか……」

 エイゲート子爵領、ソノクの町。
 その一角にある建物の木製扉を前に、俺はそう呟いた。
 冒険者というのは市民の依頼を受けて魔獣を倒したり、薬草を集めたりする、平民の職業の一つだ。
 俺が昨日まで暮らしていたリンドの〝街〟には冒険者がいない。
 なぜなら貴族や大商人ばかりが住むリンドの街には魔導結界があり、魔獣を寄せつけないからだ。魔導兵も大勢詰めているため、冒険者の需要が低い。
 一方、平民ばかりが暮らすソノクの〝町〟には、結界のような高額な設備などない。
 だから魔獣による被害を減らすために、冒険者のような腕利きの平民たちが必要になってくるわけだ。彼らを支援する冒険者ギルドも同様である。
 で、俺がなぜこんな場所にいるのか。
 その理由は一日前にさかのぼる。


     ◇ ◇ ◇


「ここから少し離れたところに、ソノクという町があるじゃろ?」

 酒場で頼んだ煮こみ料理から肉だけ俺の皿に移しつつ、師匠がそう言った。
 師匠は肉が苦手である。
 普段も果物や野菜ばかり食べている。

「師匠。肉も食わないと大きくなれませんよ」
「ソノクの町には冒険者ギルドがある。そこに行けば即日冒険者になれるじゃろう」
「師匠。聞いてますか師匠」

 師匠は俺の言葉を無視して続けた。

「冒険者になれば、依頼を受けて魔獣やら盗賊やらを討伐とうばつして名声を得ることも可能じゃ」
「名声を得る……」

 師匠は頷く。

「魔導士階級は功績によって上げられるじゃろ? たとえば……そうじゃな、今まで魔導騎士団を何度も退しりぞけた、凶暴な邪竜じゃりゅうを倒したとする。そうなれば魔導士協会もお主の昇級をこばんだりはできんじゃろう」
「じゃりゅ――邪竜!? そんな魔獣がいるんですか!?」
「どこに食いついておる。たとえじゃ、たとえ」

 なんだ。いないのか。
 邪竜とは実に格好いい響きだ。いるなら会ってみたかったのだが。
 しかし、なるほど。師匠の言うことにも一理ある。
 魔導士階級を上げるのに必要なのは〝功績〟。
 魔導学院の生徒ではなくても――たとえば凶悪な魔獣を討伐した魔導兵なんかが階級を上げるというのは、よくある話だ。

「冒険者ギルドには魔獣の情報が集まりやすい。そしてなにより冒険者は実力主義じゃ。お主にはぴったりだと思うがの」
「ふむ……」

 確かに貴族の顔色をうかがいながら暮らすのには飽き飽きしていたところだ。
 実力主義、という言葉は俺にとって魅力的だった。

「しかし、そう簡単に強い獲物など見つかるでしょうか?」
「さあの。じゃが、もう一度別の魔導学院に入りなおすよりはマシじゃと思うぞ」

 確かに。

「わかりました師匠。俺、冒険者になります!」
「うむ。頑張るのじゃぞ。これは妾からのせんべつじゃ」
「テクニカルな言い訳で苦手な肉を寄こさないでください師匠」

 その後まだ帰りたくないと駄々をこねる師匠と一緒に街をぶらつき、俺は一年近く暮らしたリンドの街を出たのだった。


     ◇ ◇ ◇


 そして現在、俺はソノクの町の冒険者ギルド前にいる。
 ちなみに師匠は帰った。人の多い場所に長くとどまるのは厄介ごとの種だからな。

「行くか」

 俺はお気に入りの指ぬきグローブを嵌めた手で、勢いよくギルドの扉を開け放つ。
 途端に中にいた人間が一斉にぎろりと俺を睨んできた。
 彼らが冒険者たちだろうか。ガラの悪いことだ。
 俺は受付窓口まで歩いていき、受付嬢に話しかける。

「冒険者になりたいんだが」

 俺が言うと、受付嬢はきょとんとして首をかしげた。

「ええと……お客様が冒険者に?」
「そうだ」

 受付嬢は信じられないものを見るような目でこう言った。

「ず、ずいぶん細身ですね」
「フッ……まあな」

 俺は自慢げに前髪を払った。
 魔導士の頂点を目指す俺は体形にまで気を遣っている。
 太っていたりやせすぎていたりしては格好よさが損なわれるからだ。
 そんな俺を見てなぜか受付嬢は困ったように眉根を寄せている。

「あの、剣はお得意ですか?」
「剣? いや、触ったこともない」
「では他に得意な武器があったりとかは……」
「俺の武器は〝これ〟だ」

 そう言ってなにも持っていない手を開閉させてみせる。

「そして……〝ここ〟だ」

 次に人差し指で頭を示す。
 魔導士は基本的に武器を持たない。つまり大気に満ちる魔素と知識が俺の武器と言えるだろう。

「ああ……そういう感じの人ですか……」

 なぜ受付嬢は生暖かい目を俺に向けてくるのか。


「はははっ! おい聞いたかよ今の!」
「素手が武器だとよ!」
「あんなに細っこいのに、素手でどうやって魔獣と戦うんだろうなー!?」


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