ハズレ職〈召喚士〉がS級万能職に化けました〜無能と蔑まれた俺、伝説の召喚獣達に懐かれ力が覚醒したので世界最強です~

ヒツキノドカ

文字の大きさ
上 下
36 / 55

行動開始!

しおりを挟む
 さて、金策である。

 もともとの俺の所持金は、オールドダイルの討伐報酬(死体が残らなかったので半額)、ブルークラブの討伐報酬、『鉄の山犬』から巻き上げたぶんなどでおよそ二百万ユール。

 あと半月で二億ユール貯めるためには、残り一億九八〇〇万ユール。
 普通なら無理だがシルがいれば何とかなるかもしれない。

「それで、冒険者ギルドで何をするつもりなの?」
「情報収集をしたいんだ」

 イオナの質問に応えつつ、冒険者ギルドに着いた俺は受付嬢に頼み、ギルドの資料を読ませてもらう。
 俺が知りたいのは買い取り単価の高い素材だ。
 採集で確保できるものに絞って探す。

 ギルドの資料をぺらぺらめくると、ちょうどいいものがあった。

「『月涙草』……これだ」

 月涙草。
 資料によると、これは特殊なポーションの素材になる薬草だが、夜にしか花を咲かせない。夜は視界が悪くて探しにくく、昼間では他の雑草にまぎれてしまうため入手が困難。

「シル、この近くにある月涙草の居場所をすべてサーチしてくれ」
「いいよー」

 シルの足元から青い光が大量に伸びる。

「それから、これと、これの場所も教えてくれ」
「うん!」

 さらに青い光の数が増える。

「なるほど、シルの力が必要ってこういうことね」
「ああ。シルの力ならレアな素材の場所でも一瞬でわかるからな。探す手間がないぶん効率がいい」

 イオナの質問に答える。

 採集の面倒なところは広大な地形から目当てのものを見つけ出さないといけないことだ。
 しかしシルの能力を使えばそんな時間は一切必要ない。
 最短・最速で希少素材を集め放題だ。
 これなら効率よく金を稼ぐことができる。

 資料を読み終わったところでギルドをいったん出る。

「でも、いくら探す手間がなくてもこの数を回るのは大変じゃない?」
「そこも大丈夫だ。【召喚:『水ノ幼蟹』『水ノ幼井守』『水ノ幼蝦蟇』『風ノ子蜂』――」

 大量の召喚獣をその場に出す。
 彼らにもシルの青い光が見えることは、以前カナタと出会った際の食材探しで実証済みである。

 召喚獣たちに集めてほしい素材の外見を伝える。

「戦闘は必ず回避してくれ。それじゃあ各自出発!」
『きゅうー!』『――、』『げこげこっ』

 召喚獣たちが一斉に散らばっていった。

「なるほど、こうやって一気に素材を集めるわけね。ふふん、さすが私のご主人様だわ」
「ロイってやっぱり頭いいよね~」

 ……そう褒められると悪い気はしない。

 採集のほうはこれでよし。
 次は俺たちだ。




 やってきたのはグレフ村近くの『暗闇の洞穴』。

「ロイ、なんでこの洞窟に来たの?」

 シルの質問に俺は答える。

「ギルドの資料によると、ここは昔それなりに栄えたミスリル鉱山だったらしい。けど、ミスリルが枯渇して廃坑になって、魔物が棲みついてしまったそうだ」

 視線を横に向けると、あちこちにここが昔鉱山だった名残がある。
 まあ、百年以上も前の話だが。

「ミスリル?」
「魔力のこもった金属で、貴重なうえ魔道具の材料になるから高く売れる」
「それを探せばいいの?」
「そういうことだ。やってくれ、シル」
「任せて!」

 シルが能力を使い、鉱山内のあちこちに伸びていく。
 思った通りだ。まだ掘りつくしてないミスリルが大量に残っている。

 洞窟の中を進み、青い光と壁がぶつかった地点で足を止める。

 よし、掘るか。

「【掘削】!」

 ズガガガガガガガ、とスキルの力で素手で壁を掘っていく。
 このスキルがあれば穴掘りに関しては問題ない。

 しばらく掘ると薄紫に輝く鉱石が露出した。

 周りの岩を慎重に堀り、それを取り出す。青い光はそれに伸びている。

「ミスリル、ゲットだ!」
「「おおおおーっ!」」

 希少金属のミスリルをあっという間に獲得。
 これも高く売れることだろう。

「ねえねえロイ、私偉い? すごい?」
「ああ、偉いよ」
「えへへ~♪」

 俺がすり寄ってきたシルの頭を撫でると、とろけそうなほど満足そうな笑みを浮かべる。

「むむっ」

 それを見てイオナが不満そうな顔をした。

「シルばっかり活躍するのは不公平よ。ロイ、あたしに何かできることはない?」
「それなら、魔物の討伐を任せていいか? 実は素材が高く売れる魔物のリストも持ってきてるんだ」
「ええ、任せなさい! ……それでロイ、あたしがちゃんと魔物をたくさん倒したら……」

 イオナはもの言いたげに視線をさまよわせる。

「あ、ああ。褒めるのも、頭を撫でるのも、別に構わないぞ」
「わ、わかってるならいいわ! それじゃ行ってくるわね!」

 イオナはシルが魔物の位置をサーチすると、だだだだだーっ、とその場を駆けだしていった。

「……そんなにいいのか、頭を撫でるの」
「ロイは神気が濃いから、すごく気持ちいいんだよ~……」

 また神気か。
 自覚があるわけじゃないから、そう言われると妙な気分だ。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...