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行き倒れ少女
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ロイ
<召喚士>
▷魔術:【召喚】【送還】
▷スキル:【フィードバック】
▷召喚獣
水ノ重亀(耐久上昇Ⅱ)
風ノ子蜂(力上昇Ⅰ)
風ノ幼梟(魔力上昇Ⅰ)
大地ノ穴土竜(力上昇Ⅰ/耐久上昇Ⅰ/スキル【掘削】)
地ノ子蟻(力上昇Ⅰ)×2
地ノ子甲虫(耐久上昇Ⅰ)
樹ノ蔓茸(スキル【蔓操術】)
樹ノ幼鼠(敏捷上昇Ⅰ)×3
樹ノ子百足(力上昇Ⅰ)
▷召喚武装
導ノ剣:あらゆるものへの道筋を示す。
「けっこう契約できたな」
「順調だね!」
グレフ村に向かいながら、道中の召喚スポットも忘れず回っておく。
契約した中で注目すべきは二体だろう。
まず、水属性の『水ノ重亀』。
この召喚獣は動きこそ遅いが、高さ三メートルほどもあるうえ頑丈だ。いざというとき敵の攻撃を防ぐ盾の役割を担ってくれるだろう。
さらに『樹ノ蔓茸』。
こちらは【フィードバック】に関する補正がない代わりにスキルを持っている。丈夫なツルを撃ち出し敵を絡め取るあのスキルは使いどころも多そうだ。
シルの言う通り、<召喚士>の実力を伸ばすのは順調である。
さて、そんな感じでグレフ村へと向かっていると。
なんか、道の真ん中で人が倒れていた。
「ど、どうしようロイ! なんか人が倒れてるんだけど!?」
「そ、そうだな。とりあえず声をかけてみよう。……おーい、大丈夫か?」
「う、うう……」
倒れているのは小柄な女の子だった。独特な形状で、袖がゆったりとした服を着ている。こちらの地域では見かけない服装だし、異国の人間だろうか? 腰には剣を差している。
それにしても、こんな場所で倒れているなんて一体何があったんだろうか。
魔物に襲われて致命的なけがを負っている可能性も——
「お腹が……減ったでござる……」
ぐぎゅるるるるるるるるる。
異国の少女の腹から悲しげな音が鳴った。
どうやらお腹が減って動けなくなってしまったようだ。心配して損した気にならないでもない。
「そ、そうか。何か食べ物を分けてやりたいけど、俺たちも慌てて街から出てきたからなあ……」
残念ながら分けてあげられるだけの食糧はない。
しかしこのまま見捨てるのも忍びない。
ここは<召喚士>らしく手を打つとしよう。
「シル、この近くに食べられる山菜や果物があるか探してくれ」
「わかった!」
シルが念じると、足元から無数の青い光が伸びていく。
「【召喚:『風ノ子蜂』『風ノ幼梟』『地ノ子蟻』『地ノ子甲虫』『樹ノ幼鼠』『樹ノ子百足』】」
それを確認してから動きの素早い召喚獣をまとめて呼び出す。
「この青い光を追って、その先にある食べ物を持ってきてくれ」
『キュイッ!』『――』『クルルッ』
召喚獣たちは俺の指示を受け、シルの発生させた青い光を追ってバラバラに動き出した。
「なるほど~、召喚獣たちに食べ物を集めさせるわけだね! ロイは賢いな~!」
俺の取った行動に、感心したようにシルがそんなことを言っていた。
数十分後。
「よし、これだけあれば十分だな」
俺たちの目の前には、召喚獣たちが集めてきた山菜や木の実、果物なんかが並んでいた。
果物はそのままでいいが、山菜はそのまま食べると食中毒になる可能性があるのでスープにする。
「いい匂いがするでござる……」
調理中、行き倒れの少女がのそりと顔を上げる。
そんな少女に出来上がったスープを渡す。
「ほら」
「……食べていいのでござるか?」
「この状況で俺たちだけで食べたら外道すぎるだろ……」
いくら何でも空腹で倒れている相手の前で自分たちだけ食事を始めたりしない。
「あ、ありがたく頂戴いたす! がつがつがつがつっ――」
異国の少女は目を輝かせて跳ね起き、一心不乱にスープをかき込んだ。
「うまい、うまいでござる!」
「はは、それはよかった。それじゃシル、俺たちも食べるか」
「うん!」
そんなわけで俺たちは三人で食事をとるのだった。
<召喚士>
▷魔術:【召喚】【送還】
▷スキル:【フィードバック】
▷召喚獣
水ノ重亀(耐久上昇Ⅱ)
風ノ子蜂(力上昇Ⅰ)
風ノ幼梟(魔力上昇Ⅰ)
大地ノ穴土竜(力上昇Ⅰ/耐久上昇Ⅰ/スキル【掘削】)
地ノ子蟻(力上昇Ⅰ)×2
地ノ子甲虫(耐久上昇Ⅰ)
樹ノ蔓茸(スキル【蔓操術】)
樹ノ幼鼠(敏捷上昇Ⅰ)×3
樹ノ子百足(力上昇Ⅰ)
▷召喚武装
導ノ剣:あらゆるものへの道筋を示す。
「けっこう契約できたな」
「順調だね!」
グレフ村に向かいながら、道中の召喚スポットも忘れず回っておく。
契約した中で注目すべきは二体だろう。
まず、水属性の『水ノ重亀』。
この召喚獣は動きこそ遅いが、高さ三メートルほどもあるうえ頑丈だ。いざというとき敵の攻撃を防ぐ盾の役割を担ってくれるだろう。
さらに『樹ノ蔓茸』。
こちらは【フィードバック】に関する補正がない代わりにスキルを持っている。丈夫なツルを撃ち出し敵を絡め取るあのスキルは使いどころも多そうだ。
シルの言う通り、<召喚士>の実力を伸ばすのは順調である。
さて、そんな感じでグレフ村へと向かっていると。
なんか、道の真ん中で人が倒れていた。
「ど、どうしようロイ! なんか人が倒れてるんだけど!?」
「そ、そうだな。とりあえず声をかけてみよう。……おーい、大丈夫か?」
「う、うう……」
倒れているのは小柄な女の子だった。独特な形状で、袖がゆったりとした服を着ている。こちらの地域では見かけない服装だし、異国の人間だろうか? 腰には剣を差している。
それにしても、こんな場所で倒れているなんて一体何があったんだろうか。
魔物に襲われて致命的なけがを負っている可能性も——
「お腹が……減ったでござる……」
ぐぎゅるるるるるるるるる。
異国の少女の腹から悲しげな音が鳴った。
どうやらお腹が減って動けなくなってしまったようだ。心配して損した気にならないでもない。
「そ、そうか。何か食べ物を分けてやりたいけど、俺たちも慌てて街から出てきたからなあ……」
残念ながら分けてあげられるだけの食糧はない。
しかしこのまま見捨てるのも忍びない。
ここは<召喚士>らしく手を打つとしよう。
「シル、この近くに食べられる山菜や果物があるか探してくれ」
「わかった!」
シルが念じると、足元から無数の青い光が伸びていく。
「【召喚:『風ノ子蜂』『風ノ幼梟』『地ノ子蟻』『地ノ子甲虫』『樹ノ幼鼠』『樹ノ子百足』】」
それを確認してから動きの素早い召喚獣をまとめて呼び出す。
「この青い光を追って、その先にある食べ物を持ってきてくれ」
『キュイッ!』『――』『クルルッ』
召喚獣たちは俺の指示を受け、シルの発生させた青い光を追ってバラバラに動き出した。
「なるほど~、召喚獣たちに食べ物を集めさせるわけだね! ロイは賢いな~!」
俺の取った行動に、感心したようにシルがそんなことを言っていた。
数十分後。
「よし、これだけあれば十分だな」
俺たちの目の前には、召喚獣たちが集めてきた山菜や木の実、果物なんかが並んでいた。
果物はそのままでいいが、山菜はそのまま食べると食中毒になる可能性があるのでスープにする。
「いい匂いがするでござる……」
調理中、行き倒れの少女がのそりと顔を上げる。
そんな少女に出来上がったスープを渡す。
「ほら」
「……食べていいのでござるか?」
「この状況で俺たちだけで食べたら外道すぎるだろ……」
いくら何でも空腹で倒れている相手の前で自分たちだけ食事を始めたりしない。
「あ、ありがたく頂戴いたす! がつがつがつがつっ――」
異国の少女は目を輝かせて跳ね起き、一心不乱にスープをかき込んだ。
「うまい、うまいでござる!」
「はは、それはよかった。それじゃシル、俺たちも食べるか」
「うん!」
そんなわけで俺たちは三人で食事をとるのだった。
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