ハズレ職の<召喚士>がS級万能職に化けました~世界で唯一【召喚スポット】をサーチ可能になった俺、次々と召喚契約して一瞬で成り上がる~

ヒツキノドカ

文字の大きさ
上 下
4 / 55

召喚スポットの探し方

しおりを挟む
「勢いで試験を受けたけど、どうやってオークなんて倒すんだよ……」

 ひとまずオークが出るという『魔食いの森』に向かいながら俺はぼやいた。

 オークは猪のような頭部を持つ二足歩行の魔物だ。
 高さが三メートル近くもあり、拳で木を殴り倒すほどの腕力を持つ。
 支部長に喧嘩を売ったことに後悔はしてないが……どうしたもんかな。

『何を心配することがある、ロイ』
「心配しかないぞ。俺は基礎スキルの【フィードバック】も使えないんだからな」

 【フィードバック】。
 このスキルを使えば、契約した召喚獣の身体能力を借りられる。

 例えば素早さの高い召喚獣と契約すればスピードが、耐久の高い召喚獣と契約すれば頑丈さが<召喚士>自身の肉体にプラスされる。

 <召喚士>が魔物と戦うためにはこの【フィードバック】で身体能力を上げるのが定石だ。

 だが今の俺が契約しているのは召喚武装の『導ノ剣』だけなので、これは使えない。

『問題ない。今のロイで勝てないなら、もっと契約すればいいだけだ』
「……あのな、簡単に言うなよ。召喚契約をするには召喚スポットを探し出さなきゃいけないんだぞ? それがどれだけ大変だと――」

 『導ノ剣』の言葉に反論しかけて、俺は気付いた。
 召喚スポットを『探す』?

「……まさかと思うが、『導ノ剣』、お前召喚スポットを探知できるのか?」
『無論だ。我の能力を忘れたのか?』

 なんということだろう。
 召喚スポットを見つけ出せるというのか。
 既存のどんな技術でも探知不可能だと言われているのに!
 普通なら信じられないが、『導ノ剣』の能力についてはすでに証明されている。

「こ、この近くに召喚スポットはあるのか?」

 駄目元で聞いてみる。
 そう簡単に見つかるとは思えないが、万が一近くに召喚スポットがあればどんな困難があろうとも必ず辿り着いて――

『十個ほどあるな』
「十個!?」

 その数はさすがに想定外だ。

『論より証拠だ。案内してやろう』

 『導ノ剣』の能力が発動し、足元から青い光が伸びていく。
 俺はそれに従って歩き出した。




『ここだ』

 『導ノ剣』の能力に従い森の奥までやってくる。

「この近くにあるのか? どこだ?」
『足元を見ろ』

 言われた通りに視線を下へ。
 あるのは湿った地面や伸びっぱなしの雑草、石ころといった普通の光景だ。
 しかし目を凝らすと、その中に不自然な『揺らぎ』がある。

「……って、まさかこれが召喚スポットか!?」

 木の陰に隠れるように黒い水晶が生えている。
 しかし『導ノ剣』のものが二メートルくらいだったのに対し、これは数センチ程度しかない。

『召喚スポットの大きさは、契約対象によって変わる。我ほどの存在ならばひと目でわかる大きさになるが――』
「自分で言うな自分で」
『逆にあまり強くないものなら、召喚スポットは小さく、また数も多くなる。実際、この森にあるのもそういったものばかりだ』
「だとしても、このサイズはあんまりだろ……」

 召喚スポットはただでさえ見つけにくいのに、こんなに小さくては絶対に気付かない。俺だって『導ノ剣』がいなかったら通り過ぎていたはずだ。

 おそらく世界中の<召喚士>の誰一人として、こんなサイズの召喚スポットが存在していると知らないだろう。

 ……これ、実は歴史に残るくらいの発見じゃないのか?

『契約するなら早くしろ。この召喚スポットはすぐに消えるはずだ』
「ん? どういう意味だ?」
『召喚スポットの大きさと同じで、中にいる召喚獣や召喚武装の格が低いと召喚スポットの持続時間も短くなる。このサイズならおそらく半日も持たないだろう』

 それなら確かに急いだほうがいいな。

「【我は汝との契約を望む】」

 俺は召喚スポットに触れ、試練を始めた。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜

桜 偉村
ファンタジー
 瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。  それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、  これが、空也の人生の分岐点となった。  ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。  娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。  呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——  これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

処理中です...