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序
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『 息をするようにごく自然と魔法を使う大魔導師とは私——シャルル・ベリアズの事。
ふふん、自慢じゃないけどこの大陸で、魔導王国ハワーズの“魔導”の部分を付け加えさせたのは私の手柄と言っても全・然過言ではない。
それほど私という存在は偉大で、聡明で、可愛いくて、美人で、魔術の天才中の天才! 魔導師の中の大魔導師! 魔法界でのカリスマ中の超超超カリスマ!!
魅力の大集大成こそシャルル・ベリアズ!!
それなのに、これほどまで完璧な私でも解決出来ない問題が最近起こっている......ずばりその問題源とは。私の唯一の弟子ベルク・マルガンなのだ。
そう、彼は最近様子がおかしい。
三日前までは普段通り無口でも優しいお利口さんだった可愛いベルちゃんが近頃よく喋るようになった!!!!
ではなくて、何故だが私にやたらと触れてくる。昔みたいに、小さい頃の感覚で甘えているのかと思いきや。へっ、変な所に触ってくるし⋯⋯
この前なんか。唇にキっ、キキスをして! 』
「先生?何を書いているんですか?」
「あわわわぁー! 何でもない!」
慌てて古びた手記に書き綴る日記を閉じる。
背後から気配も無く現れた黒髪赤眼の美青年こそ私の愛弟子ベルク。
まったく気付かなかった、流石我が弟子。
転移魔法の波動を微塵も感じさせ無いとは、うむ。
(そろそろ隠居しても良いかも。隠居後はこのルーン大陸を旅しながら一周して、あわよくばイイヒトと出会ったら結婚何かしちゃたり、えへへ~)
「そんなに楽しい考え事をしているんですか? 俺にも教えて下さい」
不意に耳元で至近距離に呟かれ、自分の世界から現実へ引き戻された。熱い息が耳を掠めて思わず肩がビクッと小さく揺れると、フッと軽く小さい笑い声が聞こえる。
「先生、可愛い」
甘い言葉と同時に耳たぶを甘噛みされた。
突然な出来事にみっともない声をあげてしまう。
「ひゃぁうっ!? ベルちゃん、やめてっ!
耳は⋯⋯」
「耳は弱いんですよね。知ってます」
「わざとですから」
真っ赤に染まる小さな耳に今度は熱い舌を這われ、執拗に耳の穴まで舐められた。
「っ、んっ、舐めちゃ、ダメッ」
振り向いて抗議したつもりなのに。
見つめる真紅の瞳はさらに赤くギラついたのは気のせいだよね。
「ッ先生⋯⋯良い、ですよね?」
(待って、何が良いの!? 何の確認!?)
この時、シャルルは知らなかった。
男と女の身長差。
上気ながら目元を赤らんでの上目遣い。
どんな男でも押し倒すだろう。
主に愛弟子に。
熱を灯した声に荒い息と何かの欲求が垣間見る。
後ろから抱きつく両腕がもぞもぞと動き出し。
ローブの中に長い指先を潜らせたら、彼は綺麗な顔を私へゆっくりと近づけ⋯⋯
「絶対ダメーーーー!!!! 」
(だって私はベルクの事、ずっと息子だと思っていたんだからぁ!!!)
これはある日自分の拾った愛弟子に食われるまで相手の深すぎる愛に気が付かない、少しおバカでかなりの自信家な大魔導師の恋愛物語。
ふふん、自慢じゃないけどこの大陸で、魔導王国ハワーズの“魔導”の部分を付け加えさせたのは私の手柄と言っても全・然過言ではない。
それほど私という存在は偉大で、聡明で、可愛いくて、美人で、魔術の天才中の天才! 魔導師の中の大魔導師! 魔法界でのカリスマ中の超超超カリスマ!!
魅力の大集大成こそシャルル・ベリアズ!!
それなのに、これほどまで完璧な私でも解決出来ない問題が最近起こっている......ずばりその問題源とは。私の唯一の弟子ベルク・マルガンなのだ。
そう、彼は最近様子がおかしい。
三日前までは普段通り無口でも優しいお利口さんだった可愛いベルちゃんが近頃よく喋るようになった!!!!
ではなくて、何故だが私にやたらと触れてくる。昔みたいに、小さい頃の感覚で甘えているのかと思いきや。へっ、変な所に触ってくるし⋯⋯
この前なんか。唇にキっ、キキスをして! 』
「先生?何を書いているんですか?」
「あわわわぁー! 何でもない!」
慌てて古びた手記に書き綴る日記を閉じる。
背後から気配も無く現れた黒髪赤眼の美青年こそ私の愛弟子ベルク。
まったく気付かなかった、流石我が弟子。
転移魔法の波動を微塵も感じさせ無いとは、うむ。
(そろそろ隠居しても良いかも。隠居後はこのルーン大陸を旅しながら一周して、あわよくばイイヒトと出会ったら結婚何かしちゃたり、えへへ~)
「そんなに楽しい考え事をしているんですか? 俺にも教えて下さい」
不意に耳元で至近距離に呟かれ、自分の世界から現実へ引き戻された。熱い息が耳を掠めて思わず肩がビクッと小さく揺れると、フッと軽く小さい笑い声が聞こえる。
「先生、可愛い」
甘い言葉と同時に耳たぶを甘噛みされた。
突然な出来事にみっともない声をあげてしまう。
「ひゃぁうっ!? ベルちゃん、やめてっ!
耳は⋯⋯」
「耳は弱いんですよね。知ってます」
「わざとですから」
真っ赤に染まる小さな耳に今度は熱い舌を這われ、執拗に耳の穴まで舐められた。
「っ、んっ、舐めちゃ、ダメッ」
振り向いて抗議したつもりなのに。
見つめる真紅の瞳はさらに赤くギラついたのは気のせいだよね。
「ッ先生⋯⋯良い、ですよね?」
(待って、何が良いの!? 何の確認!?)
この時、シャルルは知らなかった。
男と女の身長差。
上気ながら目元を赤らんでの上目遣い。
どんな男でも押し倒すだろう。
主に愛弟子に。
熱を灯した声に荒い息と何かの欲求が垣間見る。
後ろから抱きつく両腕がもぞもぞと動き出し。
ローブの中に長い指先を潜らせたら、彼は綺麗な顔を私へゆっくりと近づけ⋯⋯
「絶対ダメーーーー!!!! 」
(だって私はベルクの事、ずっと息子だと思っていたんだからぁ!!!)
これはある日自分の拾った愛弟子に食われるまで相手の深すぎる愛に気が付かない、少しおバカでかなりの自信家な大魔導師の恋愛物語。
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