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第一部・巻き戻りのやり直し
全国大会。②
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あれはいつからだったか。俺はある時から戦闘中敵の攻撃がゆっくり見える瞬間を感じるようになった。
○◇○◇○◇
その朝、俺はいつものように早く起きた。もう習慣化してるからやめられない。
ホテルの一室。隣のベッドにはきむっちょが寝ている。
起こさないように、ベッドを離れる。ゆっくり体を伸ばす。
軽く竹刀は振ったが、2日ランニングや訓練をしていないから身体が気持ち悪い…もうやってないとダメな身体になってしまったのか?
時間をつぶすように筋トレをはじめる。
はじめはゆっくり、徐々にスピードをあげてこなしていく。
一通り終えると、俺のトレーニング欲はおさまっていた。
それから本を読んで時間が経つのを待つ。ページをゆっくり捲る。
起こしても問題ない時間となったのでシャワーを浴びた。
シャワーを浴びて出るときむっちょが起きていた。
「おはよう」
「おはよー」
「さっき筋トレやってた?」
「うん。うるさかった?」
「うるさくなかったけど、目が覚めてきたら筋トレやっててびびった」
「ごめんごめん」
「毎日やってるの?」
「毎日やらないと気持ち悪いんだよな」
「なにそれ。筋トレバカなの?」
「お前なぁ…ストイックと言いたまえ」
「はいはい」
それから二人で朝食を食べ、集合時間にホテルのロビーに行った。
そこには先生とアキ父がいた。アキ父と話をしてるとみんな集まってきた。なかにぃが眠そうだ。意外とコイツは寝起きが悪い。
試合会場に向かう。本日も武道館。
前のように緊張感はなかった。
何千人とそろう開会式を経て、試合場へ。いくつも試合場があるから戸惑う。三人で素振りをしてアップする。
俺達は気合いが入っていた。
一回戦は強豪チームとの対戦となった。地域によって剣道が強い所、弱い所がある。俺達が相手にするのは確実に強い所だ。
でも何故か負ける気がなかった。
先鋒で出た俺は良い意味で緊張感を漂わせ、蹲踞をして開始合図を待つ。試合が始まった。
まずは相手の出方をうかがって間合いの取り合いをする。打ち合いから鍔迫り合い。相手と力と力の攻め合いをする。相手と自分の力はほぼ同じ。
俺はこれを待っていた。
一旦離れてまた鍔迫り合いをする。竹刀が当たった瞬間に、相手を押した反動で後ろに下がりながら面を打つ。
見事に決まった。
(よし!まずは一本!)
そしてまた間合いをとる。相手が焦れて攻撃してきたところを迎撃。小手を打つ!当たりが浅い。相手が前に出てくる。
どうやら俺は集中の極致に入ったらしい。よくアスリートが言っているゾーンに入ったのだ。
相手の攻撃がゆっくりと降りてくる。横移動しながら小手。2本目をとった。試合は2ー0で俺の勝利。
(なんだこれすげぇ。俺はどうなったんだ?それはとりあえず置いといて、まずは1勝。あとは任せた)
アキも果敢に醒めた。見事な面を決め、そのポイントを守りつつ、攻めの姿勢を崩さない。1ー0で2勝目をあげた。
2回戦、3回戦と順調に進む。
つづく4回戦、敢闘賞が決まる一戦。
取れたらいいな。いいや取ってやると心に決めた。
「アキ、なかにぃ取るぞ」
俺はアキとなかにぃに右腕を向ける。
「敢闘賞、悪くないな」
なかにぃが拳を合わせニコッとする。
「そうだねえ」
アキも拳を合わせる。こちらもニコニコだ。
「今の俺達は勝てる。そう思わないか?」
「うんうん」
「そう思いたいねー」
「じゃあ行くかー」
試合場に到着する。一連の礼法をして、試合開始を待つ…試合がはじまった。
まずは間合いを取り合い、先制する。小手から面を打つ。
くっ、浅い。有効打にならず。鍔迫り合いとなる。そのまま打ち合いに。
(負けるかぁ!)
相手の動きを予測して打ち払い、面を決めた!
(よし!おっしゃあ!)
それからは膠着状態。お互い攻撃しあうが有効打は出ず。先鋒戦を1ー0で勝利した。
アキは時間いっぱいまで戦って引き分け。マジがんばってた。
そしてなかにぃ登場。
はじまってすぐに相手の隙をついて小手を決め、そのまま鍔迫り合いの押し合いから引き、小手を決め2ー0で勝利。敢闘賞が確定となった。
(なにこいつ、すげぇ!成長したなぁ)
五回戦、準決勝は負けた。
俺は1ー1の引き分け、アキも1ー1の引き分け、なかにぃは判定負けだった。
俺達の夏の全国大会は終わった。
………………………………………
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○◇○◇○◇
その朝、俺はいつものように早く起きた。もう習慣化してるからやめられない。
ホテルの一室。隣のベッドにはきむっちょが寝ている。
起こさないように、ベッドを離れる。ゆっくり体を伸ばす。
軽く竹刀は振ったが、2日ランニングや訓練をしていないから身体が気持ち悪い…もうやってないとダメな身体になってしまったのか?
時間をつぶすように筋トレをはじめる。
はじめはゆっくり、徐々にスピードをあげてこなしていく。
一通り終えると、俺のトレーニング欲はおさまっていた。
それから本を読んで時間が経つのを待つ。ページをゆっくり捲る。
起こしても問題ない時間となったのでシャワーを浴びた。
シャワーを浴びて出るときむっちょが起きていた。
「おはよう」
「おはよー」
「さっき筋トレやってた?」
「うん。うるさかった?」
「うるさくなかったけど、目が覚めてきたら筋トレやっててびびった」
「ごめんごめん」
「毎日やってるの?」
「毎日やらないと気持ち悪いんだよな」
「なにそれ。筋トレバカなの?」
「お前なぁ…ストイックと言いたまえ」
「はいはい」
それから二人で朝食を食べ、集合時間にホテルのロビーに行った。
そこには先生とアキ父がいた。アキ父と話をしてるとみんな集まってきた。なかにぃが眠そうだ。意外とコイツは寝起きが悪い。
試合会場に向かう。本日も武道館。
前のように緊張感はなかった。
何千人とそろう開会式を経て、試合場へ。いくつも試合場があるから戸惑う。三人で素振りをしてアップする。
俺達は気合いが入っていた。
一回戦は強豪チームとの対戦となった。地域によって剣道が強い所、弱い所がある。俺達が相手にするのは確実に強い所だ。
でも何故か負ける気がなかった。
先鋒で出た俺は良い意味で緊張感を漂わせ、蹲踞をして開始合図を待つ。試合が始まった。
まずは相手の出方をうかがって間合いの取り合いをする。打ち合いから鍔迫り合い。相手と力と力の攻め合いをする。相手と自分の力はほぼ同じ。
俺はこれを待っていた。
一旦離れてまた鍔迫り合いをする。竹刀が当たった瞬間に、相手を押した反動で後ろに下がりながら面を打つ。
見事に決まった。
(よし!まずは一本!)
そしてまた間合いをとる。相手が焦れて攻撃してきたところを迎撃。小手を打つ!当たりが浅い。相手が前に出てくる。
どうやら俺は集中の極致に入ったらしい。よくアスリートが言っているゾーンに入ったのだ。
相手の攻撃がゆっくりと降りてくる。横移動しながら小手。2本目をとった。試合は2ー0で俺の勝利。
(なんだこれすげぇ。俺はどうなったんだ?それはとりあえず置いといて、まずは1勝。あとは任せた)
アキも果敢に醒めた。見事な面を決め、そのポイントを守りつつ、攻めの姿勢を崩さない。1ー0で2勝目をあげた。
2回戦、3回戦と順調に進む。
つづく4回戦、敢闘賞が決まる一戦。
取れたらいいな。いいや取ってやると心に決めた。
「アキ、なかにぃ取るぞ」
俺はアキとなかにぃに右腕を向ける。
「敢闘賞、悪くないな」
なかにぃが拳を合わせニコッとする。
「そうだねえ」
アキも拳を合わせる。こちらもニコニコだ。
「今の俺達は勝てる。そう思わないか?」
「うんうん」
「そう思いたいねー」
「じゃあ行くかー」
試合場に到着する。一連の礼法をして、試合開始を待つ…試合がはじまった。
まずは間合いを取り合い、先制する。小手から面を打つ。
くっ、浅い。有効打にならず。鍔迫り合いとなる。そのまま打ち合いに。
(負けるかぁ!)
相手の動きを予測して打ち払い、面を決めた!
(よし!おっしゃあ!)
それからは膠着状態。お互い攻撃しあうが有効打は出ず。先鋒戦を1ー0で勝利した。
アキは時間いっぱいまで戦って引き分け。マジがんばってた。
そしてなかにぃ登場。
はじまってすぐに相手の隙をついて小手を決め、そのまま鍔迫り合いの押し合いから引き、小手を決め2ー0で勝利。敢闘賞が確定となった。
(なにこいつ、すげぇ!成長したなぁ)
五回戦、準決勝は負けた。
俺は1ー1の引き分け、アキも1ー1の引き分け、なかにぃは判定負けだった。
俺達の夏の全国大会は終わった。
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