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終わりと始まり
見知った天井
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俺は微睡の中にいた。それも味わったことがないような心地よい微睡だ。
気づけば胸の痛みがない。そしてヤニ臭くない。だが、身体中からなんとも言えない違和感を感じるのだ。
(とうとう死んだのか俺。天国とか地獄とかあるのかな?まさか目の前に女神がいて異世界転生だー、とか言うやつか)
思い切って目を開けると木目が美しい天井が見える…そこは天国でも地獄でもなく、俺は生きているようだった。俺はこの天井がある所にいた事がある。その天板の特徴に見覚えがあるのだ。
そのどこか見覚えのある天井を見つめ、しばしどこにいるのか考える。そうここは……
(ここって実家じゃん。あちゃー、ぶっ倒れて運ばれて来たか。親父ごめんな)
その美しい木目はまぎれもない実家であるという証明だった。建築関係にいた父親がよく自慢していた物だった。だがまてよ、と考え直す。明らかにおかしくないか?
「え?」
(あれ?確か実家って15歳の時立て直したはずじゃなかったっけ?この部屋も壊したはずでは?てか俺こんな声してたっけ?)
思い切って起きてみる。懐かしいベッド、テーブル、椅子、そして家具類。前の実家の部屋だ…取り壊す前の。
「はぁ?」
俺は混乱して狼狽した。しばらくどういうことか考えても意味がわからない。それはそうだ。前の日は借りていた借家のベッドで寝たもの。
散々混乱していたが、尿意がきたので一旦考える事を放棄してトイレに行く事にした。
トイレに入って気づいた。色々な身体の部分が小さくなってる。ありえない、昨日まで大人だったよな俺。
だがこんな時でも出るものは止められず、出すものを出して部屋に戻る。部屋に戻ると頭が割れるように痛くなる。俺は我慢できずに布団にくるまった。
(やばい、やばい、やばい。とうとう頭に病気が回ったわ。もうおしまいだ。早く死のう)
夢よ覚めてくれと頭の中で頭痛と戦いながら唱える。でもなかなか夢は覚めない。頭痛がだんだん酷くなる。
そのあまりの痛さに耐えきれず、俺は気絶するように眠った。
「リョウ、リョウ、起きなさい」
と俺の頭の上あたりから声がする。
(とうとう迎えが来たか)
と思い目を開けると誰かと目が合う。明らかに自分より大きい女が自分を見下ろしているのだ。
誰だ、と半ばパニックになりながら目を凝らして見る……母親だった。
記憶していた姿より若く、そして優しい笑顔だ。その柔らかい笑顔で俺を見つめている。
頭痛が治らない。震えがくる。
(死んだおふくろが呼びにきたのか)
急に心配そうな顔になって、額に手を当てられる。俺はその柔らかい手を抗う事なく受け入れた。
「熱ね。ゆっくり寝なさい」
とふわっと布団を掛けられ、寝るように促される。
「薬もってくるから」
と母親は出ていった。
頭痛が酷くなる。震えがきて全身がだるい。戻ってきた母親に薬を飲ませてもらって目をつぶる。
いつまで経っても天国に連れてってくれる様子はなかった。
俺はまた微睡む。
病気よ、今度はどんな夢を見させてくれるんだ?
………………………………………
【我慢強さ】取得
気づけば胸の痛みがない。そしてヤニ臭くない。だが、身体中からなんとも言えない違和感を感じるのだ。
(とうとう死んだのか俺。天国とか地獄とかあるのかな?まさか目の前に女神がいて異世界転生だー、とか言うやつか)
思い切って目を開けると木目が美しい天井が見える…そこは天国でも地獄でもなく、俺は生きているようだった。俺はこの天井がある所にいた事がある。その天板の特徴に見覚えがあるのだ。
そのどこか見覚えのある天井を見つめ、しばしどこにいるのか考える。そうここは……
(ここって実家じゃん。あちゃー、ぶっ倒れて運ばれて来たか。親父ごめんな)
その美しい木目はまぎれもない実家であるという証明だった。建築関係にいた父親がよく自慢していた物だった。だがまてよ、と考え直す。明らかにおかしくないか?
「え?」
(あれ?確か実家って15歳の時立て直したはずじゃなかったっけ?この部屋も壊したはずでは?てか俺こんな声してたっけ?)
思い切って起きてみる。懐かしいベッド、テーブル、椅子、そして家具類。前の実家の部屋だ…取り壊す前の。
「はぁ?」
俺は混乱して狼狽した。しばらくどういうことか考えても意味がわからない。それはそうだ。前の日は借りていた借家のベッドで寝たもの。
散々混乱していたが、尿意がきたので一旦考える事を放棄してトイレに行く事にした。
トイレに入って気づいた。色々な身体の部分が小さくなってる。ありえない、昨日まで大人だったよな俺。
だがこんな時でも出るものは止められず、出すものを出して部屋に戻る。部屋に戻ると頭が割れるように痛くなる。俺は我慢できずに布団にくるまった。
(やばい、やばい、やばい。とうとう頭に病気が回ったわ。もうおしまいだ。早く死のう)
夢よ覚めてくれと頭の中で頭痛と戦いながら唱える。でもなかなか夢は覚めない。頭痛がだんだん酷くなる。
そのあまりの痛さに耐えきれず、俺は気絶するように眠った。
「リョウ、リョウ、起きなさい」
と俺の頭の上あたりから声がする。
(とうとう迎えが来たか)
と思い目を開けると誰かと目が合う。明らかに自分より大きい女が自分を見下ろしているのだ。
誰だ、と半ばパニックになりながら目を凝らして見る……母親だった。
記憶していた姿より若く、そして優しい笑顔だ。その柔らかい笑顔で俺を見つめている。
頭痛が治らない。震えがくる。
(死んだおふくろが呼びにきたのか)
急に心配そうな顔になって、額に手を当てられる。俺はその柔らかい手を抗う事なく受け入れた。
「熱ね。ゆっくり寝なさい」
とふわっと布団を掛けられ、寝るように促される。
「薬もってくるから」
と母親は出ていった。
頭痛が酷くなる。震えがきて全身がだるい。戻ってきた母親に薬を飲ませてもらって目をつぶる。
いつまで経っても天国に連れてってくれる様子はなかった。
俺はまた微睡む。
病気よ、今度はどんな夢を見させてくれるんだ?
………………………………………
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