4回目の、ファンタジー。

そのころ、数多の都市と城があり、空にはいくつかの浮島が浮かび、飛ぶ鯨と海豚が舞い踊る風景がよく見れたものである。
山のような大きさの、青銅色の馬の群れが嘶き、多くの海ではその上を真紅の巨人が歩いていた。三つの月の下、何かが蠢く神代の時代であり、神が様々な形で地上に影響を与えていた時代でもあった。
 妖魔や魔獣がいた。妖魔は全てを餌として、魔獣は手のつけられない破壊の象徴として人々に苦痛を与えるものだった。善良なる妖精や、悪に連なる妖もいた。どちらも簡単に召喚できる。が、追い払うとなれば多大な犠牲を払う事となった。
 魔術や神聖術や魔法や呪いの時代でもあった。幻は現実となり、自然現象は歪んだ。夢は現実となり、悪夢もまた現実となった。
 〈エルフ〉たちは過去にすがるように生き、〈ドワーフ〉は現実から目を逸らし、物を創り出す事に生きていた。〈獣人〉は神々の悪戯によって生み出され、〈竜人〉は竜に懸想した女により生み出された。〈小人〉は地を這うように進み、〈ラミア〉もまた地を這うように進んだ。そんな中〈人間〉が生まれ、短命の呪いに蝕まれる事になった。
人々は豊かさを享受し、貧しさもまた享受した。剣を取り、己の運命を切り開く者が創り出す時代でもあったからだ。そのなかで成り上がり者の〈人間〉は繁殖して、数を増やすことを覚えた獣となった。獣は世界中にひろがり、古い人々を打ち倒し、恐怖を与える。世界のあちこちで白骨が生まれ、廃墟が生まれた。
不安な獣である〈人間〉は、傲慢にも支配することを覚えた。古い人々は生き残る為〈人間〉の支配を受け入れざるを得なかった。しかるに〈人間〉は不安な獣である事を辞める事が出来ず、フラフラと前に進んだ。王たる為政者が生まれ、王国や帝国などと呼ばれる区切りを作り、争いをさらに加速する事となった。
そんな中私たちは呼ばれた。
私たちが呼ばれた意味を私たちは知らない。宇宙がそれを知るだろうか、いやたかが構成物のひとつである私たちに、一瞥を配ることはないだろう。創造物がなにをしようとお構い無しだ。しかし私たちはここに来た。ここにあり続けるかはまだわからない。
果たして私たち……二度目の人生を送っている途中でここに来た、巻き戻りし者たちは運命を識る者になり得るのか。それは神のみぞ識る。
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