95 / 108
魔物の掃討!
しおりを挟む
「『大いなる火の力よ、周りの魔の力を集め、我の魔力と共に押し固め、炸裂せよ!』」
ライラは周囲の魔力を【収束】で集め、自身の魔力と【圧縮】し、三体の魔物の中心に目掛けて投げると、それは爆発した。
避難は全て終わっていた為、ライラは全開で魔法を放っていく。
そうでもしなければ、ライラの魔力では魔物の魔力の壁を突き破れない為である。
ライラの【火】の魔法で焼き払われた魔物はどす黒い石が露わになる。
すかさずライラは先ほどと同じように【火】の魔法を炸裂させ、石を砕いていった。
度重なる大魔法を放った事で、その場に倒れ込む。
「ライラっ!?」
ガルドはライラをすぐに回収し、一時撤退する。
戦線を離れ、誰もいない空き家に隠れる二人。
肩で息をし、苦しそうに胸を押さえるライラを見て心配そうな顔をする。
そんなガルドを見てライラは彼のふわふわな頬の毛を撫でる。
「えへへ……。ガルド君?ウチは大丈夫だよ……?多分だけど……ガルド君とウチの子供ができた……かも……」
突然のカミングアウトでガルドの思考が停止する。
それは初夜から日にちがそれほど経っていないため、信じることができず、竜人族は非常に繁殖力が低い種族であった為である。
「信じられない……でしょ?ウサギを舐めちゃダメだよ?ウチらは、弱い生き物だから早く子供を作らないと絶滅しちゃうの。そして、早く産まれる。だから、今、魔力が足りないのは……そういうコトだと思う」
「なら、戦地に出てはダメだ」
ライラはガルドと戦う気でいたが、それを許可しなかった。
それはライラとその子供のためだった。
「……ライラは城に行ってくれ。ライラと子供を守るのは私の役目だから」
ガルドは槍を担ぎ、外へと出ていった。
一人残されたライラはポロポロと涙を流す。
「……死なないでね……。ガルド君……!」
涙を拭い、お腹を抱え、魔物に見つからないように城へと向かっていった。
ガルドはカブトムシのような見た目を持つ魔物と対峙する。
魔物の身体は非常に硬く、ミスリルの槍は全くと言って良いほど歯が立たなかった。
【水】の魔法を纏わらせて突くが、それでも弾かれる。
角による攻撃を槍でいなして、甲殻の隙間を狙っていくが、僅かに刺さるだけで有効打にならなかった。
非常に相性が悪く、苦虫を噛み潰したような表情をする。
ガルドの魔力を持ってすれば、水の塊に閉じ込めることもできるが、二、三体程倒せば魔力が尽きてしまう。
魔物の数が多いため、大規模な魔法は放てずにいた。
「くそ……!他のやつも倒さないといけないのに……!」
城に向かって歩いていく魔物を見て段々と焦りの表情を見せるガルド。
一跳びで上空に跳び上がりガルドは、自由落下の加速を上乗せし、魔物に槍を突き立てた。
しかし、槍は貫通せず、根本からボキリと折れ、壊れてしまう。
ガルドは魔物の振り回した角で岩山に叩きつけられ、意識が遠のいていく。
(ライラさん……ごめん……。何も……できなかったっ……)
魔物の角がガルドに向けられ、突き刺さる事を覚悟し、眼を瞑る。
「『大気の塊よ、我の魔力に呼応し、その圧力を高めよ』」
何処からともなく詠唱が聴こえ、眼を開けると、魔物は見えない何かに上から押さえつけられ、身動きが取れずにいた。
「『彼の者を地面と結びつけ!』」
魔物の角が地面と混ざり合い、より強固に拘束された。
二つの致命傷を与える事は無かったが、地面から離れることができずに魔物はもがいていた。
そして、ガルドの前にポチおとにゃんが現れる。
戦闘用の魔法でないはずの【結合】と【変圧】を戦闘に使えるように工夫した攻撃方法に納得する。
「セイラさんに援護するように言われました!大丈夫ですか?」
「助かった……!」
「早く倒さないとアイツの拘束が解けるよ!」
「……私の魔法では魔物の甲殻を破れないんだ……」
落ち込むガルドに対し、ポチおは彼の肩にポンと手を置く。
「大丈夫!水は最強の刃物だから!まだ、魔法は放てるよね?」
ガルドはポチおのやろうとしていることに理解が追いつかなかったが、先程の【結合】の使い方を見て、妙案があるのだと感じ、頭上に水塊を生成する。
にゃんは【変圧】を使い、超高圧の水滴となる。
水滴の一点だけ圧力を解き、押し固められた水がそこから一気に噴き出す。
その勢いは非常に鋭く、魔物の甲殻を易々と切り裂いた。
そして、魔物の中にある魔障石も切り裂き、【水】の元素魔法を吸収し、石はサラサラと消えていき、魔物の身体も霧散していった。
自身の魔法を想定外の方法で強化された事を実感し、呆然とする。
「魔法は便利だけど、もっと使い方を限定すると力を増すみたいなんだよ。ガルドも事象魔法と付与魔法を勉強してみると良いよ」
「そう……だな。水の圧力で甲殻が切り裂けるのは知らなかった……。二人のおかげで助かった……!そうだ、ライラさんが城へ向かったんだ。すぐに追いかけたいんだが、協力してくれるか?」
「勿論さ。はやく、迎えにいってあげよう!」
三人はライラを追いかけに城へと向かったのだった。
そして、一同は城の前で衝撃的なものを目の当たりにするのだった。
ライラは周囲の魔力を【収束】で集め、自身の魔力と【圧縮】し、三体の魔物の中心に目掛けて投げると、それは爆発した。
避難は全て終わっていた為、ライラは全開で魔法を放っていく。
そうでもしなければ、ライラの魔力では魔物の魔力の壁を突き破れない為である。
ライラの【火】の魔法で焼き払われた魔物はどす黒い石が露わになる。
すかさずライラは先ほどと同じように【火】の魔法を炸裂させ、石を砕いていった。
度重なる大魔法を放った事で、その場に倒れ込む。
「ライラっ!?」
ガルドはライラをすぐに回収し、一時撤退する。
戦線を離れ、誰もいない空き家に隠れる二人。
肩で息をし、苦しそうに胸を押さえるライラを見て心配そうな顔をする。
そんなガルドを見てライラは彼のふわふわな頬の毛を撫でる。
「えへへ……。ガルド君?ウチは大丈夫だよ……?多分だけど……ガルド君とウチの子供ができた……かも……」
突然のカミングアウトでガルドの思考が停止する。
それは初夜から日にちがそれほど経っていないため、信じることができず、竜人族は非常に繁殖力が低い種族であった為である。
「信じられない……でしょ?ウサギを舐めちゃダメだよ?ウチらは、弱い生き物だから早く子供を作らないと絶滅しちゃうの。そして、早く産まれる。だから、今、魔力が足りないのは……そういうコトだと思う」
「なら、戦地に出てはダメだ」
ライラはガルドと戦う気でいたが、それを許可しなかった。
それはライラとその子供のためだった。
「……ライラは城に行ってくれ。ライラと子供を守るのは私の役目だから」
ガルドは槍を担ぎ、外へと出ていった。
一人残されたライラはポロポロと涙を流す。
「……死なないでね……。ガルド君……!」
涙を拭い、お腹を抱え、魔物に見つからないように城へと向かっていった。
ガルドはカブトムシのような見た目を持つ魔物と対峙する。
魔物の身体は非常に硬く、ミスリルの槍は全くと言って良いほど歯が立たなかった。
【水】の魔法を纏わらせて突くが、それでも弾かれる。
角による攻撃を槍でいなして、甲殻の隙間を狙っていくが、僅かに刺さるだけで有効打にならなかった。
非常に相性が悪く、苦虫を噛み潰したような表情をする。
ガルドの魔力を持ってすれば、水の塊に閉じ込めることもできるが、二、三体程倒せば魔力が尽きてしまう。
魔物の数が多いため、大規模な魔法は放てずにいた。
「くそ……!他のやつも倒さないといけないのに……!」
城に向かって歩いていく魔物を見て段々と焦りの表情を見せるガルド。
一跳びで上空に跳び上がりガルドは、自由落下の加速を上乗せし、魔物に槍を突き立てた。
しかし、槍は貫通せず、根本からボキリと折れ、壊れてしまう。
ガルドは魔物の振り回した角で岩山に叩きつけられ、意識が遠のいていく。
(ライラさん……ごめん……。何も……できなかったっ……)
魔物の角がガルドに向けられ、突き刺さる事を覚悟し、眼を瞑る。
「『大気の塊よ、我の魔力に呼応し、その圧力を高めよ』」
何処からともなく詠唱が聴こえ、眼を開けると、魔物は見えない何かに上から押さえつけられ、身動きが取れずにいた。
「『彼の者を地面と結びつけ!』」
魔物の角が地面と混ざり合い、より強固に拘束された。
二つの致命傷を与える事は無かったが、地面から離れることができずに魔物はもがいていた。
そして、ガルドの前にポチおとにゃんが現れる。
戦闘用の魔法でないはずの【結合】と【変圧】を戦闘に使えるように工夫した攻撃方法に納得する。
「セイラさんに援護するように言われました!大丈夫ですか?」
「助かった……!」
「早く倒さないとアイツの拘束が解けるよ!」
「……私の魔法では魔物の甲殻を破れないんだ……」
落ち込むガルドに対し、ポチおは彼の肩にポンと手を置く。
「大丈夫!水は最強の刃物だから!まだ、魔法は放てるよね?」
ガルドはポチおのやろうとしていることに理解が追いつかなかったが、先程の【結合】の使い方を見て、妙案があるのだと感じ、頭上に水塊を生成する。
にゃんは【変圧】を使い、超高圧の水滴となる。
水滴の一点だけ圧力を解き、押し固められた水がそこから一気に噴き出す。
その勢いは非常に鋭く、魔物の甲殻を易々と切り裂いた。
そして、魔物の中にある魔障石も切り裂き、【水】の元素魔法を吸収し、石はサラサラと消えていき、魔物の身体も霧散していった。
自身の魔法を想定外の方法で強化された事を実感し、呆然とする。
「魔法は便利だけど、もっと使い方を限定すると力を増すみたいなんだよ。ガルドも事象魔法と付与魔法を勉強してみると良いよ」
「そう……だな。水の圧力で甲殻が切り裂けるのは知らなかった……。二人のおかげで助かった……!そうだ、ライラさんが城へ向かったんだ。すぐに追いかけたいんだが、協力してくれるか?」
「勿論さ。はやく、迎えにいってあげよう!」
三人はライラを追いかけに城へと向かったのだった。
そして、一同は城の前で衝撃的なものを目の当たりにするのだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強の英雄は幼馴染を守りたい
なつめ猫
ファンタジー
異世界に魔王を倒す勇者として間違えて召喚されてしまった桂木(かつらぎ)優斗(ゆうと)は、女神から力を渡される事もなく一般人として異世界アストリアに降り立つが、勇者召喚に失敗したリメイラール王国は、世界中からの糾弾に恐れ優斗を勇者として扱う事する。
そして勇者として戦うことを強要された優斗は、戦いの最中、自分と同じように巻き込まれて召喚されてきた幼馴染であり思い人の神楽坂(かぐらざか)都(みやこ)を目の前で、魔王軍四天王に殺されてしまい仇を取る為に、復讐を誓い長い年月をかけて戦う術を手に入れ魔王と黒幕である女神を倒す事に成功するが、その直後、次元の狭間へと呑み込まれてしまい意識を取り戻した先は、自身が異世界に召喚される前の現代日本であった。

ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
ヒロインは始まる前に退場していました
サクラ
ファンタジー
とある乙女ゲームの世界で目覚めたのは、原作を知らない一人の少女。
産まれた時点で本来あるべき道筋を外れてしまっていた彼女は、知らない世界でどう生き抜くのか。
母の愛情、突然の別れ、事故からの死亡扱いで目覚めた場所はゴミ捨て場、
捨てる神あれば拾う神あり?
人の温かさに触れて成長する少女に再び訪れる試練。
そして、本来のヒロインが現れない世界ではどんな未来が訪れるのか。
主人公が7歳になる頃までは平和、ホノボノが続きます。
ダークファンタジーになる予定でしたが、主人公ヴィオの天真爛漫キャラに ダーク要素は少なめとなっております。
同作品を『小説を読もう』『カクヨム』でも配信中。カクヨム先行となっております。
追いつくまで しばらくの間 0時、12時の一日2話更新予定
作者 非常に豆腐マインドですので、悪意あるコメントは削除しますので悪しからず。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる