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魔法に一石を投じてみるのじゃ
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ふくは魔法を発動するときに魔力の塊を複数出している。
それにはそれぞれの属性をかたどったものであり、数と配置を適当に置くことでその魔法を発動できるものだった。
そのような発動をするヒトは獣人、鳥人、竜人のどの種族にも存在せず、ふくだけがその方法で使っていた。
そういった説明をするのだが、ヴォルフとレオンにはさっぱりなようで、ヴォルフは尻をペシンと叩かれる。
「お前が統治する世界じゃろうて!なぜ知らぬのじゃ!」
「ま、魔法は創造神の見よう見真似で作ったからよく知らないんだよぅ」
「情けないの。兎も角、お前たちにも魔法が発動されるときは出てきておるのじゃよ?ぼるふの魔法は複雑すぎてよくわからぬが」
「ふく様、もしかするとですが、それは新たな発見で革命的かもしれません」
レオンがそう言うとふくは身体をレオンに向け、話を聞く体勢になる。
その態度にレオンは不思議な感覚だった。
ふくは話を聞くとき、身体ごと向けるため非常に話しやすく感じた。
自身の過去、ヴォルフの聞き方を振り返ってもふくのようにしたこともされたこともなかった。
「話せ」
そう言われ、自然と話をしたくなっていた。
浮足立つことがないように、気分を抑えて説明する。
「はっ……私の精霊魔法はそれなりに特別なものだと思うのですが、先ほど精霊からふく様の魔法の発動方法は万人に使うことができるものらしいのです」
「ほう、それではわしに素養がなくても複数の魔法が使えるのはそれが理由になるのかの?」
「はい、属性を持った魔力を組む、これが重要なようで、それを正しく組み上げれば魔法が使えるようになるもの……らしいです」
「確かにの。わしは魔法を組む時に複数の属性の魔力を均一になるように組んでおる。それが正しいものだったのかのう」
ふくは自分の魔法を振り返ってそう感じる。
しかし、『魔法大全』にはその形については一切記されていない。
ふくは真偽を確かめるため、レオンに訊く。
「れおんよ、わしの言う通りの魔力を組んで発動してみせよ」
突然の無茶ぶりにレオンは焦って、弁解する。
「ま、待ってください!?こ、心のじゅ——」
「つべこべ言うでない。ほれ、これをこのように……」
木の棒を使って地面に絵を描いていく。
火を表しているような模様を中心に、風が渦巻いているような模様を火の模様の周りに六つ均等に並べる。
そして、それぞれの風と火は渦のような模様で結ばれ、すべてを炎で囲まれる。
「これを組むのじゃ。出来ぬとは言わせぬぞ?」
急に課題を振られ、おまけに失敗するなという条件が付いてきた。
レオンはプレッシャーを感じつつも、やるしかなかった。
魔力を使い、精霊を呼び出す手順を踏む。
「『風の精霊シルフ、火の精霊イフリートよ我が魔力と呼びかけに応え、顕現せよ』」
小さな体で風を纏った魔力の塊とメラメラと燃え上がる小さな灯の塊がレオンの前に現れる。
ふくは召喚の魔法を発動の瞬間に不思議あ模様を一瞬だけ見るが、理解できずに終わる。
「シルフ、イフリート。この文様を使った魔法は作ることができるか?」
そう聞くとやる気なようで魔力の昂りが目に見えてわかる。
空中にふくの書いたものを組み上げていくとレオンは膝から崩れ落ちる。
どうやら維持するだけで手いっぱいなようであった。
「ふ、ふく様……申し訳ございません。私の魔力量ではこの魔法は組むので精一杯です……」
「ならばぼるふ、れおんの作ったものを受け取り、使ってみるのじゃ」
「おっけー。じゃあ貰っていくぜ。ってオレ氷しか使えないんだけど!?」
「つべこべ言でない。その魔法は【灼熱】とやらが入っておる。」
「あぁ、あの魔法か」
ヴォルフは意識を集中して【灼熱】魔法のイメージをする。
ネズミ族たちの目の前で使った魔法を思い浮かべて、岩を睨みつける。
すると火柱が立ち上がり、ゴウゴウと燃える。
無事に発動でき、レオンは安心したような表情を浮かべる。
「うむ、れおんよ。お前の言う通り、このように紋様を描けば誰にでも複合魔法はできるようじゃの!手柄じゃ、よくやった」
「ふく~、オレは?」
「お前は魔法を使っただけじゃ。調子に乗るでない」
そうあしらわれ ヴォルフは口を尖らせてそっぽ向く。
ふくは文様を描くことで魔法を使えるようになったことを証明したが、腕を組んで考え込む。
難しい顔をしているふくにレオンは首を傾げ、ヴォルフは心配する。
「ふく?大丈夫?」
「む?わしは別にどこも悪くないぞ?」
「だって、難しそうな顔をしているから」
「いや……の?わしの魔法は一体何なのじゃろうな?と思うての」
「??その『ショコ』ってのがふくの魔法なんじゃないの?」
ヴォルフの意見にふくは疑問を持ち首を傾げる。
それは、今ではある程度自身の意思で書庫へ向かうことができるようになっていたが、時々自分の意思とは関係なく飛ばされることもあり、おまけにふくが理解できないものをわかりやすくするための自動解説機能が自分の知識をはるかに超えているものであり、自分のものではないと思っていた。
「いまは不思議に思うかもしれないけれど、ふくの『ショコ』は神掛かったものだと思う。行く行くは判るようになるかもしれないけれど、そこに行くのに魔力が必要なんでしょ?」
ヴォルフの問いかけにふくはしっかりと頷く。
うんうんと首を縦に振り、ヴォルフはふくの頭を撫でる。
「じゃあ、それがふくの魔法だよ。『何でも知ることができるショコに行く魔法』こんな感じかもね」
「ふむ……そういうものなのか……」
「それなら確かにありえそうですね」
ふくもレオンも納得した表情になり、ひとまずふくの魔法については解決したのだった。
それにはそれぞれの属性をかたどったものであり、数と配置を適当に置くことでその魔法を発動できるものだった。
そのような発動をするヒトは獣人、鳥人、竜人のどの種族にも存在せず、ふくだけがその方法で使っていた。
そういった説明をするのだが、ヴォルフとレオンにはさっぱりなようで、ヴォルフは尻をペシンと叩かれる。
「お前が統治する世界じゃろうて!なぜ知らぬのじゃ!」
「ま、魔法は創造神の見よう見真似で作ったからよく知らないんだよぅ」
「情けないの。兎も角、お前たちにも魔法が発動されるときは出てきておるのじゃよ?ぼるふの魔法は複雑すぎてよくわからぬが」
「ふく様、もしかするとですが、それは新たな発見で革命的かもしれません」
レオンがそう言うとふくは身体をレオンに向け、話を聞く体勢になる。
その態度にレオンは不思議な感覚だった。
ふくは話を聞くとき、身体ごと向けるため非常に話しやすく感じた。
自身の過去、ヴォルフの聞き方を振り返ってもふくのようにしたこともされたこともなかった。
「話せ」
そう言われ、自然と話をしたくなっていた。
浮足立つことがないように、気分を抑えて説明する。
「はっ……私の精霊魔法はそれなりに特別なものだと思うのですが、先ほど精霊からふく様の魔法の発動方法は万人に使うことができるものらしいのです」
「ほう、それではわしに素養がなくても複数の魔法が使えるのはそれが理由になるのかの?」
「はい、属性を持った魔力を組む、これが重要なようで、それを正しく組み上げれば魔法が使えるようになるもの……らしいです」
「確かにの。わしは魔法を組む時に複数の属性の魔力を均一になるように組んでおる。それが正しいものだったのかのう」
ふくは自分の魔法を振り返ってそう感じる。
しかし、『魔法大全』にはその形については一切記されていない。
ふくは真偽を確かめるため、レオンに訊く。
「れおんよ、わしの言う通りの魔力を組んで発動してみせよ」
突然の無茶ぶりにレオンは焦って、弁解する。
「ま、待ってください!?こ、心のじゅ——」
「つべこべ言うでない。ほれ、これをこのように……」
木の棒を使って地面に絵を描いていく。
火を表しているような模様を中心に、風が渦巻いているような模様を火の模様の周りに六つ均等に並べる。
そして、それぞれの風と火は渦のような模様で結ばれ、すべてを炎で囲まれる。
「これを組むのじゃ。出来ぬとは言わせぬぞ?」
急に課題を振られ、おまけに失敗するなという条件が付いてきた。
レオンはプレッシャーを感じつつも、やるしかなかった。
魔力を使い、精霊を呼び出す手順を踏む。
「『風の精霊シルフ、火の精霊イフリートよ我が魔力と呼びかけに応え、顕現せよ』」
小さな体で風を纏った魔力の塊とメラメラと燃え上がる小さな灯の塊がレオンの前に現れる。
ふくは召喚の魔法を発動の瞬間に不思議あ模様を一瞬だけ見るが、理解できずに終わる。
「シルフ、イフリート。この文様を使った魔法は作ることができるか?」
そう聞くとやる気なようで魔力の昂りが目に見えてわかる。
空中にふくの書いたものを組み上げていくとレオンは膝から崩れ落ちる。
どうやら維持するだけで手いっぱいなようであった。
「ふ、ふく様……申し訳ございません。私の魔力量ではこの魔法は組むので精一杯です……」
「ならばぼるふ、れおんの作ったものを受け取り、使ってみるのじゃ」
「おっけー。じゃあ貰っていくぜ。ってオレ氷しか使えないんだけど!?」
「つべこべ言でない。その魔法は【灼熱】とやらが入っておる。」
「あぁ、あの魔法か」
ヴォルフは意識を集中して【灼熱】魔法のイメージをする。
ネズミ族たちの目の前で使った魔法を思い浮かべて、岩を睨みつける。
すると火柱が立ち上がり、ゴウゴウと燃える。
無事に発動でき、レオンは安心したような表情を浮かべる。
「うむ、れおんよ。お前の言う通り、このように紋様を描けば誰にでも複合魔法はできるようじゃの!手柄じゃ、よくやった」
「ふく~、オレは?」
「お前は魔法を使っただけじゃ。調子に乗るでない」
そうあしらわれ ヴォルフは口を尖らせてそっぽ向く。
ふくは文様を描くことで魔法を使えるようになったことを証明したが、腕を組んで考え込む。
難しい顔をしているふくにレオンは首を傾げ、ヴォルフは心配する。
「ふく?大丈夫?」
「む?わしは別にどこも悪くないぞ?」
「だって、難しそうな顔をしているから」
「いや……の?わしの魔法は一体何なのじゃろうな?と思うての」
「??その『ショコ』ってのがふくの魔法なんじゃないの?」
ヴォルフの意見にふくは疑問を持ち首を傾げる。
それは、今ではある程度自身の意思で書庫へ向かうことができるようになっていたが、時々自分の意思とは関係なく飛ばされることもあり、おまけにふくが理解できないものをわかりやすくするための自動解説機能が自分の知識をはるかに超えているものであり、自分のものではないと思っていた。
「いまは不思議に思うかもしれないけれど、ふくの『ショコ』は神掛かったものだと思う。行く行くは判るようになるかもしれないけれど、そこに行くのに魔力が必要なんでしょ?」
ヴォルフの問いかけにふくはしっかりと頷く。
うんうんと首を縦に振り、ヴォルフはふくの頭を撫でる。
「じゃあ、それがふくの魔法だよ。『何でも知ることができるショコに行く魔法』こんな感じかもね」
「ふむ……そういうものなのか……」
「それなら確かにありえそうですね」
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