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エサを探すのじゃ
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二人?(一人一匹?)は歩けど歩けど変わらない景色をひたすら歩き続ける。
ふくは小高い丘に登り、岩の上に座り込む。
「ふく、疲れた?」
「当たり前じゃ。わしは元々ヒトじゃ。ケモノのお前と一緒にするでない」
「オレ、ケモノじゃなくて神なんだけど……。オレの上に乗る?」
ふくはヴォルフの背中を見つめると、だんだんとヴォルフの息遣いが荒くなってくる。
「本当にお前は犬じゃの。神ならそこまで子供のような顔をせんじゃろ。ぼるふよ、わしは水が飲みたいのじゃ。近くに川はないのか?」
「この近辺はないよ?魔法使って出せば良いんじゃないの?」
「……わしにも出せるんなら教えるのじゃ」
「オレは氷しか出せないからわからない。頭の中で水を流すイメージをしてみたら、出てくるんじゃないかな?」
「……いめーじとは何ぞじゃ?」
「うーん……思い浮かべる……?」
「なんと、まあ……。絵に描いた餅のような発想じゃな……」
ふくは疑心暗鬼になりながら目を閉じて意識を集中させる。
水を掌のお皿の上に載せていく想像をする。
掌の肉球に冷たいものを感じて目を開けるとヴォルフが目の前に座っており、ヨダレがふくの手のひらにピタピタと垂れていたのだった。
ふくはヴォルフをキッと睨むと右平手打ちがマズル部分にヒットする。
体格差があるため吹き飛ぶようなことはなかったが、怒られた理由を理解していなかったようだった。
「ぼるふ。今すぐに貴様を葬ってやろうかの?」
「ま、待ってよ!どうして怒ってるのさ!?」
「お前がわしの掌に涎を垂らしておるからじゃ。せっかく成功したと思うておったのに……」
「ふくは……魔力を使っていないから発動できないよ?」
「魔力というものはどうやって出すのじゃ?」
「お腹に力を入れて、溢れた魔力を頭に集めたらできるようになる……はずだよ」
「二度とふざけた事をするでない。次はその鼻を爪でズタズタにしてやるからの」
ヴォルフはふくの目を見て本気でやってくる事を察して、距離を空ける。
それを見たふくは「ふう……」と息を吐き、再び集中する。
掌に水を乗せる想像をし、拳大の水塊を思う。
お腹に力を入れ身体が熱を持つのを感じ、それを額に集中する。
掌に冷たいものが触れ、目を開けると、手で作った器の中に水が入っていた。
「おお、できたのじゃ!ぼるふよ!わしにもできたのじゃ!ほおぉ~……んくっ!うむ、美味しい」
「よかったね。慣れると目を開けたままでも出来るようになるから、練習するといいよ」
「そうじゃの。とりあえず、水は確保した事じゃし、次は食料じゃな。ぼるふよこの世界で食べられるものはなんじゃ?」
「魔物だよ」
「はあ?わしにトカゲでも食えというのか?」
ふくは嫌な顔をしながらヴォルフの顔を見ると、彼もまた浮かない顔をしていた。
「あれは……食えないこともないけど、美味しくない。草ばっか食べる奴なら美味しいぞ」
「それはどこにおるんじゃ?わしはこの世界に来てから食事を摂っとらんから腹減っとるんじゃ」
ヴォルフはクンクンと鼻を引くつかせると、ニオイのした方に顔を向ける。
「あっちだね。とってこようか?」
「わしも一緒に連れていけ」
そう言い、ヴォルフの尻をバシンと叩き、強制的に座らせる。
背中をよじ登り、首の弛んだ皮を掴む。
一方ヴォルフは、ふくが背中に乗ってくれたことで嬉しそうな顔つきになる。
肩をポンポンと叩き、合図を送ると、それに応えるように神速のごとき脚力を発揮し、一瞬で獲物の前に到着する。
「こいつだよ、ふく?」
ヴォルフは背中に乗っているふくを見ると、長い黒髪をぼさぼさにし、放心状態の彼女がいた。
不思議そうにヴォルフが眺めていると、正気を取り戻した彼女は自身の牙を使い、ヴォルフの首にかみついた。
「痛い!?痛い痛い痛いっ!?」
グルグルと唸りながら噛みついてくるふくを離そうとするが四足歩行の彼にはその場で転がるくらいしか方法がなかった。
やっとの思いで引き剥がすと、今までにない形相のふくが立っていた。
(……あ、完全に怒ってる)
「ど、どうして怒ってるのさ……!」
「どうしても、こうしてもないのじゃ!何も言わずにいきなりアホみたいな速さで走るバカはおらん!死ぬかと思ったじゃないか!」
「……ご、ごめん。オレの中で普通の速さだったから……」
そう説明している間、手櫛で髪を直すと、大きくため息をして指を指す。
「……もう良い。して、あやつはどうやって狩るのじゃ?わしはあんなに巨大な体をしとるとは聞いとらんが?」
「えっと……普通に首を噛みちぎる感じ……。はい、オレが仕留めてきます……!」
ヴォルフは気合を入れて息を吐くと、彼の周りに冷気が纏わりつき、霜柱が立ち始める。
ふくは改めてヴォルフの魔法について考える。
ふくのいた世界は物を凍らせる技術はない。
物が凍る時は霊峰の山頂か冬季の時期だけであるからだ。
それも、水くらいしか凍らず、生き物が凍ることなど殆どない。
どうやって凍らせているのか考えると、ふくの記憶にはない「何か」が頭の中に閃く。
「そうか……あやつの術は凍らすのではなく、全ての動きを停止させる物なのじゃな……。じゃから、凍って硬くなるのではなく、全てが停止することでバラバラになるのか……」
なぜ、このような知識を急に得たのかは不明だったが、ふくの探究心が少し満たされたことで気にせずに放置したのだった。
ふくは小高い丘に登り、岩の上に座り込む。
「ふく、疲れた?」
「当たり前じゃ。わしは元々ヒトじゃ。ケモノのお前と一緒にするでない」
「オレ、ケモノじゃなくて神なんだけど……。オレの上に乗る?」
ふくはヴォルフの背中を見つめると、だんだんとヴォルフの息遣いが荒くなってくる。
「本当にお前は犬じゃの。神ならそこまで子供のような顔をせんじゃろ。ぼるふよ、わしは水が飲みたいのじゃ。近くに川はないのか?」
「この近辺はないよ?魔法使って出せば良いんじゃないの?」
「……わしにも出せるんなら教えるのじゃ」
「オレは氷しか出せないからわからない。頭の中で水を流すイメージをしてみたら、出てくるんじゃないかな?」
「……いめーじとは何ぞじゃ?」
「うーん……思い浮かべる……?」
「なんと、まあ……。絵に描いた餅のような発想じゃな……」
ふくは疑心暗鬼になりながら目を閉じて意識を集中させる。
水を掌のお皿の上に載せていく想像をする。
掌の肉球に冷たいものを感じて目を開けるとヴォルフが目の前に座っており、ヨダレがふくの手のひらにピタピタと垂れていたのだった。
ふくはヴォルフをキッと睨むと右平手打ちがマズル部分にヒットする。
体格差があるため吹き飛ぶようなことはなかったが、怒られた理由を理解していなかったようだった。
「ぼるふ。今すぐに貴様を葬ってやろうかの?」
「ま、待ってよ!どうして怒ってるのさ!?」
「お前がわしの掌に涎を垂らしておるからじゃ。せっかく成功したと思うておったのに……」
「ふくは……魔力を使っていないから発動できないよ?」
「魔力というものはどうやって出すのじゃ?」
「お腹に力を入れて、溢れた魔力を頭に集めたらできるようになる……はずだよ」
「二度とふざけた事をするでない。次はその鼻を爪でズタズタにしてやるからの」
ヴォルフはふくの目を見て本気でやってくる事を察して、距離を空ける。
それを見たふくは「ふう……」と息を吐き、再び集中する。
掌に水を乗せる想像をし、拳大の水塊を思う。
お腹に力を入れ身体が熱を持つのを感じ、それを額に集中する。
掌に冷たいものが触れ、目を開けると、手で作った器の中に水が入っていた。
「おお、できたのじゃ!ぼるふよ!わしにもできたのじゃ!ほおぉ~……んくっ!うむ、美味しい」
「よかったね。慣れると目を開けたままでも出来るようになるから、練習するといいよ」
「そうじゃの。とりあえず、水は確保した事じゃし、次は食料じゃな。ぼるふよこの世界で食べられるものはなんじゃ?」
「魔物だよ」
「はあ?わしにトカゲでも食えというのか?」
ふくは嫌な顔をしながらヴォルフの顔を見ると、彼もまた浮かない顔をしていた。
「あれは……食えないこともないけど、美味しくない。草ばっか食べる奴なら美味しいぞ」
「それはどこにおるんじゃ?わしはこの世界に来てから食事を摂っとらんから腹減っとるんじゃ」
ヴォルフはクンクンと鼻を引くつかせると、ニオイのした方に顔を向ける。
「あっちだね。とってこようか?」
「わしも一緒に連れていけ」
そう言い、ヴォルフの尻をバシンと叩き、強制的に座らせる。
背中をよじ登り、首の弛んだ皮を掴む。
一方ヴォルフは、ふくが背中に乗ってくれたことで嬉しそうな顔つきになる。
肩をポンポンと叩き、合図を送ると、それに応えるように神速のごとき脚力を発揮し、一瞬で獲物の前に到着する。
「こいつだよ、ふく?」
ヴォルフは背中に乗っているふくを見ると、長い黒髪をぼさぼさにし、放心状態の彼女がいた。
不思議そうにヴォルフが眺めていると、正気を取り戻した彼女は自身の牙を使い、ヴォルフの首にかみついた。
「痛い!?痛い痛い痛いっ!?」
グルグルと唸りながら噛みついてくるふくを離そうとするが四足歩行の彼にはその場で転がるくらいしか方法がなかった。
やっとの思いで引き剥がすと、今までにない形相のふくが立っていた。
(……あ、完全に怒ってる)
「ど、どうして怒ってるのさ……!」
「どうしても、こうしてもないのじゃ!何も言わずにいきなりアホみたいな速さで走るバカはおらん!死ぬかと思ったじゃないか!」
「……ご、ごめん。オレの中で普通の速さだったから……」
そう説明している間、手櫛で髪を直すと、大きくため息をして指を指す。
「……もう良い。して、あやつはどうやって狩るのじゃ?わしはあんなに巨大な体をしとるとは聞いとらんが?」
「えっと……普通に首を噛みちぎる感じ……。はい、オレが仕留めてきます……!」
ヴォルフは気合を入れて息を吐くと、彼の周りに冷気が纏わりつき、霜柱が立ち始める。
ふくは改めてヴォルフの魔法について考える。
ふくのいた世界は物を凍らせる技術はない。
物が凍る時は霊峰の山頂か冬季の時期だけであるからだ。
それも、水くらいしか凍らず、生き物が凍ることなど殆どない。
どうやって凍らせているのか考えると、ふくの記憶にはない「何か」が頭の中に閃く。
「そうか……あやつの術は凍らすのではなく、全ての動きを停止させる物なのじゃな……。じゃから、凍って硬くなるのではなく、全てが停止することでバラバラになるのか……」
なぜ、このような知識を急に得たのかは不明だったが、ふくの探究心が少し満たされたことで気にせずに放置したのだった。
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