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小話
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グレンと蓮のお話。
唇を、指でなぞる。重ねただけの感触は薄れて、もう随分と朧気だ。それなのに、ふとした瞬間に触れてしまう。何故、あのような真似をしたのか自分でも分からないというのに、薄れていくそれに僅かな寂しさを覚えるのはどうしてなのだろう。
泣きそうな顔をしていた。濡れた瞳が不安げに揺れていて、腕に添わされた指先が微かに震えていることに気がついた時には遅かった。触れたい。単純な欲求に突き動かされるまま身を屈めて、唇に何かが触れたと分かった時には驚きに見開かれた黒い瞳があった。
「っ、俺が殺してきた人達は……誰かの大切な人だったかもしれない……。ここにいる人達が色々な想いを抱えているように、多分、魔族だって同じで……おれ、は……っ」
彼の手を血に染めて、同じ場所まで引き摺り落としておきながら、こうした部分を好ましいと感じるのは可笑しいのかもしれない。
召喚した蓮は、伝え聞いていた勇者の姿とは異なっていた。物語に描かれる勇者は只管に道を猛進するような男だった。多くを救いながらも同時に沢山の者を切り捨てて、最後には必ず目も眩むような幸福を手に入れる。嘗ては、そうして崇められた勇者の末裔は今となっては飾りに過ぎず、富と権力によって歪んだそれらを剣が再び選ぶことはなかった。とはいえ、王族の起源に関わることだ。彼らは勇者召喚の議を、あらゆる理由を連ねて跳ね除けた。新たな勇者が現れ、戦果など挙げられてしまっては自分たちの立場が危うくなると考えたようだった。
だが、恐らく彼には無理だろう。この世界に残ったところで、好きに振舞う姿など想像ができない。望み通り元の世界に帰還したとしても、ここで起きた全てのことを忘れて生きていくことは彼にはできないだろう。
初めて会った時は彼が勇者など到底信じられなかったが、今なら理解できるような気がする。きっと、この甘さが不幸にも剣に選ばれた要因の一つだ。
一兵卒が上官に気安く声を掛けるなど本来であれば許されないことだが、蓮は彼らの恐怖を切り捨てることができずに望まれるまま祝福を与えているらしい。その行為に魔法が込められていなくても、それは彼らを鼓舞し、士気を上げることに一役買っているのは事実だ。兵士の多くは蓮に希望を見出し、彼を魔王の元へと送り届けるためなら死すら厭わない。彼らの行いは意図せず蓮の手足を戦場に縛りつけ、戦う理由となっている。きっと、もう人質の存在がなくても、蓮に兵士たちを置き去りにするような真似は出来ないだろう。
魔族を滅ぼした後、私を殺す者がいるのだとしたら、それは蓮かも知れない。ふと過った考えは思ったよりも甘美なもので、口許が自然と笑みを描く。戦争の果てなど考えたことはなかったが、終わりを与えてくれるのが彼であればいい。
そんなことを考えている間に、どうやら目的のテントの前に辿り着いたようだった。見張りを一瞥してから中に踏み入れば、ちょうど剣の手入れをしているところだったのだろう。顔を上げた彼は、私を見るなり眉を潜めた。
「こんばんは。今日も眠れないかと思いまして、魔法を掛けに参りました」
「帰れ。お前の顔を見たせいで、余計に魘されそうだ」
「おや、それはいけませんね。責任を取らせていただきたいので失礼します」
私の言葉に蓮は言い返すように口を開き、結局は諦めたように溜息を吐いて黙り込んでしまった。会話と呼ぶには硬いものだが、彼の言葉を交わすのは素直に好ましいと思っている。口調は冷たくても、そこに打算が感じられないからかもしれない。
「もう食事は済ませたのですか」
「……ああ」
本当に、嘘が下手な男だ。見張りから聞いた話によれば、戦場に出てからの彼は食事量が酷く少ないようだった。兵士達に心配されることは避けたいのか少量は取るようだが、その後に吐いていることもあるのだと言う。
「蓮」
この調子では、持ってきたものを差し出したところで素直に受け取ってはくれないだろう。少しだけ迷ったが、軽く放るようにしてリコの実を投げる。逸らされていた視線が素早く此方を向き、パシッ、と乾いた音と共に掌へと収まった。蓮は赤い実を見下ろすと、疑うような目つきで私を見る。
「何のつもりだ」
「食欲がないのでしょう。果物でしたら少しは食べ易いと思いますよ」
この辺りは元々、人間側の領土だった。侵略行為によって一度は追われた土地だが、生息している草木は見知ったものだ。一時とはいえ魔族の支配下にあったのだと思うと全てを灰にしてしまいたくなるが、リコの実は病人食と呼ばれるほど栄養価が高い果物だった。兵糧として配られるものは限界まで乾燥させたパンや豆を水で煮たようなものばかりなので、あまり消化に良いとは言い難い。最初は魔族の土地だったものは全て燃やすつもりだったが、こうして役に立つのであれば、その考えは現実的なものではないだろう。
「兵達にはご内密でお願いします。些細なことで不満を持たせたくありませんので」
「……だから、お前も彼らと同じ食事をするのか」
「それで、僅かばかりでも信頼を買えるのであれば安いものでしょう。元々、平民の出ですから慣れたものです。……ですが、貴方は違う。体調が悪いときは私に申告するように」
蓮は実を見下ろして、僅かに唇を噛んだ。俯いた彼の表情を窺うことができず、それに妙に心が乱れる。他人の機微に気を払うことが随分と久しく、少し歯痒かった。
相手が自分に求めている言葉を予測し吐くこと、行動によって他者の動きを誘発することは生きていく上で必要な術だ。他人の好意や悪意でさえも、扱い方を間違えなければ何よりも鋭い武器になる。何も持たない子どもだった頃、それだけが私の剣だった。それを手放せば、追い落とされ踏み潰されるのは自分だと思っていた。
その考えを、今でも間違っているとは思わない。誰よりも上に立つために多くを蹴り落として来たからこそ、私が此処にいることは事実だ。そうでなければ、今ここで蓮と話している自分はきっと存在していない。今頃、泥の中で冷たくなっていただろう。
後悔など、していない。あの日、故郷が焦土と化した時点で私の人生は決まっていた。食い物にされるか、その前に全てを喰い尽くすか。それだけだった。
「……このままでは食べ辛いでしょう。少し貸してください」
大きな物質の移動は鏡などの補助が必要となるが、小物程度であればそれほど難しいことではない。器を一つ喚び出して、風魔法によって粉々に砕いたリコの実を注いでいく。それとなく魔力を混ぜ込んだので、剣を使ったことに因る魔力不足の症状は治まる筈だ。
どうぞ、と身を屈めて差し出すと、蓮は複雑そうな表情でそれを受け取った。器と私を交互に見ては、飲むか飲まないか決め兼ねているようだ。口に合うかどうかは分からないが、広く知られた果物であるため不味くはないはずだ。ただ、もう随分と味など気にしたことがないため自分の舌に自信はない。蓮と並んで食べたパイは仄かに甘みを感じたような気はしたが、あれ以降、何を食べても特に変化はなかった。食というのは生命を存続する上で必要な行為だと理解はしているが、そうでなければ進んでしたいものではない。大して味がしないものを永遠と噛み砕く行為は苦行に近いものがある。
「不味ければ途中で吐き出していただいても構いませんよ」
「……いや、いただきます」
蓮は諦めたようにスプーンを手に取ると、少しずつ口元に運んだ。黙々と食べ勧める様子を見るに不味いということはなかったらしい。しかし、それを見下ろすように眺めていると、彼は手を止めてしまう。気まずそうに視線が動いて、それに首を傾げた。
「食べ辛いから出ていくか……座るか、してくれないか」
「そう言うものですか。では、お隣に失礼しますね」
隣に腰かけると、ベッドが少しだけ軋んだ音を立てる、彼は横目で私を見たが、何も言わずに食事を再開させた。横顔を見る限りでは、想像していたよりは顔色も悪くはなさそうだ。無理やりとはいえ睡眠を促している甲斐もあって、嘔吐も以前よりは減っているとの報告は受けている。
そんなことを考えつつも眺めていると、蓮はふいっと顔を逸らしてしまう。何だ、と素っ気ないながらも言葉を投げられたので、彼の気が変わる前に口を開いた。
「ふと気になりまして、村では何を食べていらしたのですか」
「……基本的には此処で食べているようなスープに少し野菜とか足したものだ。ただ狩りがうまくいった日は皆で分け合ってシチューを作ったりしていた」
「それは貴方も作られるのですか?」
「あ、ああ、二人が教えてくれたから」
いつの間にか、身を乗り出していたらしい。驚いたように丸くなった瞳を前に我に返り、少しだけ身を引く。
蓮との間で交わされる遣り取りは今後の役に立たないものばかりだ。彼の拠り所となっていた老夫婦の身柄は既に確保しているのだから、この会話から引き出せるものは何もない。けれど、自分が知らない間の蓮の話しを聞くのは、何故だか胸が弾んだ。妙な感覚だ。戸惑ったように揺れる瞳に映る自分は、滑稽に思えるほど緩んだ顔をしている。
「これから進攻を続けていけば、どこかで主要な都市を落とす機会が来るでしょう。今は難しいですが、城ともなれば厨房があるはずです。出来るだけ綺麗なまま奪取するようにしますから作ってくださいませんか」
ぽかん、と口を開けたまま固まる蓮の顔を見つめていると、彼はもごもごと不明瞭に唇を動かして、そのまま何かを飲み込むようにスプーンを押しこんだ。
「兵の士気を維持する為に、ある程度の睡眠と食事は必要です。それを城で取るか、外で取るかの話ですよ」
「それは理解できるが……俺がシチューを作る必要はないだろ」
確かに、必要性で考えるのであれば蓮の言葉通りだ。ただ蓮とする食事は他とは違って味がするような気がした。毒を含んだ時のような雑味ではなく、胸の辺りが仄かに暖かくなるような妙な感覚。あれをもう一度、味わってみたかっただけだ。
「蓮と食べたパイは妙な食感ではありましたが、味がしたような気がしたので」
「……お腹、減ってるのか?」
「え? いえ、特には」
蓮は困ったように眉を下げると、そのまま首を傾げてしまった。私もこの感覚をどう伝えていいのか言葉が見つけられず、しばらく無言のまま見つめ合うことになる。
おいしい、と言うのかもしれない。蓮とした食事には仄かに味があって、多分、あれがおいしいというものだった。いつもより少しだけ和らいだ蓮の眼差しが、交わされる会話が、心地よかった。突き放すような物言いで、それでも微かに気遣いが感じられる彼との会話は何だか妙に落ち着く。だが、それを言葉にしようと思うと難しい。頭の中を巡るものからその場にあったものを選び取ることは慣れたものだが、その中に自分の感情を組み込もうとするとぐちゃぐちゃに乱れて言葉が詰まる。
「明日から、食事を共にしてもいいですか?」
結局、言葉に出来たのは、そんな有り触れたものだった。
「……嫌だと言っても勝手に来るんだろ」
「それはそうですが、蓮が居なければ私が此処に来る意味もなくなってしまうではありませんか。ですから、夜はあまり出歩かず、部屋で私を待っていてください」
蓮の周囲に配置している部下は他よりは信頼しているが、所詮は使い捨てだ。軍隊と一括りにしたところで寄せ集めの集団であることに変わりはなく、その全ての動向を把握することは難しい。戦場で勇者である蓮の力を見ている以上、下手な真似はしないだろうが、一部の者達が彼のことを妙な目で見ているのは知っている。甘い部分のある男だ、縋るように求められれば断り切れないかもしれない。そういった心配事を纏めて片付けられるのであれば、この胸のざわめきも多少は収まるだろう。
蓮が言っていた好きなものは、まだ見つけられてはいない。ただ彼と過ごす時間を心地よく感じているのは確かだ。その不可解な感情に戸惑うことはあるが、何故か不要と切り捨てるには躊躇いがある。危険な兆候だ。兵の一人に気を配ることは大切だが、あまり入れ込み過ぎれば大局を見失いかねない。ただひとり生き残った意味を、私は忘れてはならない。
「グレン」
私の名を呼ぶものは珍しい。第三王女に取り入るために疑似的な兄妹を演じたことはあるが、彼女に呼ばれたときは何も感じられなかった。お兄様、と震える声で私を呼んだ王女の気持ちを想像することはできても、その感情を心から理解することは出来ない。それを知ったときの蓮の静かな怒りも、私には分からないままだ。
「おいしかった……だから、その…ありがとう……」
空になった器が差し出される。視線を上げれば、耳裏が赤く染まっているのが見えた。本当に律儀な男だ。彼の立場を考えれば私に対する礼など不要だと思うのだが、それはそれで居心地が悪いのかもしれない。
あの時のように共に食事をしたわけではないのに、ぬくもりが胸を満たしていく。不可解な感覚だ、理解ができないものだ。だが、失うことを考えると、それだけで指先が冷たく痺れるような気がする。
「良かったです。またお持ちしますね」
立ち上がり、器を机に置いた。そして、身を屈めるようにしてベッド脇に座る彼の頬を撫でる。びく、と微かに肩が揺れて、思わず笑みが零れた。あなたが勇者でなかったら、私はそんなことを蓮に投げかけたことがある。けれど、今になって思うのだ。彼が勇者でなかったら、きっと私のような者と関わり合いになることなどなかっただろう。私の底など、知れたものだ。私は、私が彼の興味を引けるような人間だとは思えなかった。
「……そろそろ魔法を掛けましょうか」
怖い、という感情を、蓮といると思い出す。魔族を滅ぼせるのであれば、最終的に行き着く先が何処であっても構わないと思っていたはずだ。それなのに、今となっては彼がいないことを考えると恐ろしくて堪らない。全てを終えたその先で隣に居られないというのであれば、私を殺してほしい。崩れ落ちた道の先を、ひとりでは見つけられる気がしない。
「目を閉じて、呼吸に集中してください。大丈夫、悪夢は貴方に近づけない」
自分でも驚くほど穏やかな声だった。頬に触れた掌が、熱い。蓮は静かに私を見上げていたが、何も口にすることなく瞼を閉じた。伏せられた睫毛が、呼吸に合わせて微かに震えている。詠唱を紡ぐたびに強張っていた全身から緩やかに力が抜けていき、蓮の身体が傾いていく。倒れる前に首裏に手を回し、そのまま腕の中に囲い込んだ。すぅすぅ、と穏やかな寝息が聞こえてきて、気がつけば口許には笑みが浮かんでいた。
「蓮……」
そっと指先で目元をなぞれば、彼はくすぐったそうに小さく身動いだ。こうしていると普段より少し幼く見える。私や兵の前では気を張っているのだろう。
起きている時の自然な彼の姿など、出会った当初の僅かな期間しか知らない。村で出会ったばかりの頃は緊張した雰囲気はあったものの、まだ笑みを見せてくれていた。それらを全て踏み躙り、僅かばかり積み上がっていた信頼を壊したのは私だった。
目元から下ろした指先で、触れた。やわらかく弾力のある唇をなぞり、そのまま親指を押しこむ。ん、と僅かに吐息が漏れた。濡れた熱が指先を包みこみ、触れたいと強烈な欲が背骨を駆け上がってくる。一瞬だけ触れた口づけが蘇ってきて、訳も分からず心臓が酷く乱れた。
「蓮」
呼びかける声が震えてしまう。両手で頬を包むようにして、片方の親指で唇を割り開いた。覗く舌の赤さに引き寄せられるように、そっと唇を被せる。無意識にキスをしたとき、蓮はひどく驚いた顔をしていた。それなのに、寝ている間にこんなことをしていると知ったら、彼は軽蔑の眼差しで私を見るだろう。わかっている。わかっているのに、止まらない。身体の制御が奪われたように夢中になって噛みつく。触れているところ、すべてが熱くて蕩けそうだ。
つるりとした歯列をなぞり、奥の粘膜まで執拗に舌先で触れる。無意識に逃げ回る舌を追いかけて、頭裏に回した手で持ち上げるようにしてキスを深めた。舌を絡ませるうちに溢れた唾液が頬を伝い落ちていく。息がし辛いのだろう。蓮が苦しげに眉を寄せるのが分かって、止めなければと頭の片隅でぼんやりと思う。
「っ、ぁ…ん……ぅ、ふぁ……」
普段なら聞くことのない甘い吐息が、頭の奥を強く揺らした。ほんのりと赤く色づいた目元をなぞり、閉ざされた瞼の向こうを見たくなる。けれど、それが出来ていたのなら、そもそも眠った彼に口づけをするなどと言った真似はしていない。
「ん、んぅ……っ」
離れ難く思えて唇を寄せると、むずがるようにして逸らされた。少しむっとするものの彼の安眠を妨害しているのは私の方だ。諦めて額や頬に触れさせるだけに留めると、彼の口許が微かに緩む。あどけない笑みは起きている時には見られない表情で、なんだか酷く可愛らしく思えた。
「……私も眠くなってきたな」
視界が、溶ける。瞼が重たくなって、ゆったりと微睡が寄せてくる。
眠ることは、あまり好きではない。最も無防備になる瞬間であり、寝てしまえば出来る作業もできなくなる。短い時間、仮眠を取ることはあるが、このままだとそれでは済まないような気がした。腕に抱いた体温が妙に心地よくて、思考が徐々に維持できなくなる。
これほど多くの人間が集まる中で眠るなんて自殺行為だ。外に見張りがいるとはいえ、それらが裏切らないとは限らない。せめて気配は読めるように意識の半分は起こしておかなければならないのに、眠気は遠ざかるどころかじりじりと距離を縮めてくる。
「ん、んん……っ」
きっと無意識だろう。寝心地が悪かったのか。蓮は腕の中で何度か動いた後、私に寄りかかるようにして身を寄せてきた。この体温を手放せば幾らか眠気は去るかも知れないが、それも惜しいと思うのだから、もう結果は決まっていた。
蕩けきった意識に呑まれるように熱を抱き寄せて、そのまま微睡に身を任せることにした。
唇を、指でなぞる。重ねただけの感触は薄れて、もう随分と朧気だ。それなのに、ふとした瞬間に触れてしまう。何故、あのような真似をしたのか自分でも分からないというのに、薄れていくそれに僅かな寂しさを覚えるのはどうしてなのだろう。
泣きそうな顔をしていた。濡れた瞳が不安げに揺れていて、腕に添わされた指先が微かに震えていることに気がついた時には遅かった。触れたい。単純な欲求に突き動かされるまま身を屈めて、唇に何かが触れたと分かった時には驚きに見開かれた黒い瞳があった。
「っ、俺が殺してきた人達は……誰かの大切な人だったかもしれない……。ここにいる人達が色々な想いを抱えているように、多分、魔族だって同じで……おれ、は……っ」
彼の手を血に染めて、同じ場所まで引き摺り落としておきながら、こうした部分を好ましいと感じるのは可笑しいのかもしれない。
召喚した蓮は、伝え聞いていた勇者の姿とは異なっていた。物語に描かれる勇者は只管に道を猛進するような男だった。多くを救いながらも同時に沢山の者を切り捨てて、最後には必ず目も眩むような幸福を手に入れる。嘗ては、そうして崇められた勇者の末裔は今となっては飾りに過ぎず、富と権力によって歪んだそれらを剣が再び選ぶことはなかった。とはいえ、王族の起源に関わることだ。彼らは勇者召喚の議を、あらゆる理由を連ねて跳ね除けた。新たな勇者が現れ、戦果など挙げられてしまっては自分たちの立場が危うくなると考えたようだった。
だが、恐らく彼には無理だろう。この世界に残ったところで、好きに振舞う姿など想像ができない。望み通り元の世界に帰還したとしても、ここで起きた全てのことを忘れて生きていくことは彼にはできないだろう。
初めて会った時は彼が勇者など到底信じられなかったが、今なら理解できるような気がする。きっと、この甘さが不幸にも剣に選ばれた要因の一つだ。
一兵卒が上官に気安く声を掛けるなど本来であれば許されないことだが、蓮は彼らの恐怖を切り捨てることができずに望まれるまま祝福を与えているらしい。その行為に魔法が込められていなくても、それは彼らを鼓舞し、士気を上げることに一役買っているのは事実だ。兵士の多くは蓮に希望を見出し、彼を魔王の元へと送り届けるためなら死すら厭わない。彼らの行いは意図せず蓮の手足を戦場に縛りつけ、戦う理由となっている。きっと、もう人質の存在がなくても、蓮に兵士たちを置き去りにするような真似は出来ないだろう。
魔族を滅ぼした後、私を殺す者がいるのだとしたら、それは蓮かも知れない。ふと過った考えは思ったよりも甘美なもので、口許が自然と笑みを描く。戦争の果てなど考えたことはなかったが、終わりを与えてくれるのが彼であればいい。
そんなことを考えている間に、どうやら目的のテントの前に辿り着いたようだった。見張りを一瞥してから中に踏み入れば、ちょうど剣の手入れをしているところだったのだろう。顔を上げた彼は、私を見るなり眉を潜めた。
「こんばんは。今日も眠れないかと思いまして、魔法を掛けに参りました」
「帰れ。お前の顔を見たせいで、余計に魘されそうだ」
「おや、それはいけませんね。責任を取らせていただきたいので失礼します」
私の言葉に蓮は言い返すように口を開き、結局は諦めたように溜息を吐いて黙り込んでしまった。会話と呼ぶには硬いものだが、彼の言葉を交わすのは素直に好ましいと思っている。口調は冷たくても、そこに打算が感じられないからかもしれない。
「もう食事は済ませたのですか」
「……ああ」
本当に、嘘が下手な男だ。見張りから聞いた話によれば、戦場に出てからの彼は食事量が酷く少ないようだった。兵士達に心配されることは避けたいのか少量は取るようだが、その後に吐いていることもあるのだと言う。
「蓮」
この調子では、持ってきたものを差し出したところで素直に受け取ってはくれないだろう。少しだけ迷ったが、軽く放るようにしてリコの実を投げる。逸らされていた視線が素早く此方を向き、パシッ、と乾いた音と共に掌へと収まった。蓮は赤い実を見下ろすと、疑うような目つきで私を見る。
「何のつもりだ」
「食欲がないのでしょう。果物でしたら少しは食べ易いと思いますよ」
この辺りは元々、人間側の領土だった。侵略行為によって一度は追われた土地だが、生息している草木は見知ったものだ。一時とはいえ魔族の支配下にあったのだと思うと全てを灰にしてしまいたくなるが、リコの実は病人食と呼ばれるほど栄養価が高い果物だった。兵糧として配られるものは限界まで乾燥させたパンや豆を水で煮たようなものばかりなので、あまり消化に良いとは言い難い。最初は魔族の土地だったものは全て燃やすつもりだったが、こうして役に立つのであれば、その考えは現実的なものではないだろう。
「兵達にはご内密でお願いします。些細なことで不満を持たせたくありませんので」
「……だから、お前も彼らと同じ食事をするのか」
「それで、僅かばかりでも信頼を買えるのであれば安いものでしょう。元々、平民の出ですから慣れたものです。……ですが、貴方は違う。体調が悪いときは私に申告するように」
蓮は実を見下ろして、僅かに唇を噛んだ。俯いた彼の表情を窺うことができず、それに妙に心が乱れる。他人の機微に気を払うことが随分と久しく、少し歯痒かった。
相手が自分に求めている言葉を予測し吐くこと、行動によって他者の動きを誘発することは生きていく上で必要な術だ。他人の好意や悪意でさえも、扱い方を間違えなければ何よりも鋭い武器になる。何も持たない子どもだった頃、それだけが私の剣だった。それを手放せば、追い落とされ踏み潰されるのは自分だと思っていた。
その考えを、今でも間違っているとは思わない。誰よりも上に立つために多くを蹴り落として来たからこそ、私が此処にいることは事実だ。そうでなければ、今ここで蓮と話している自分はきっと存在していない。今頃、泥の中で冷たくなっていただろう。
後悔など、していない。あの日、故郷が焦土と化した時点で私の人生は決まっていた。食い物にされるか、その前に全てを喰い尽くすか。それだけだった。
「……このままでは食べ辛いでしょう。少し貸してください」
大きな物質の移動は鏡などの補助が必要となるが、小物程度であればそれほど難しいことではない。器を一つ喚び出して、風魔法によって粉々に砕いたリコの実を注いでいく。それとなく魔力を混ぜ込んだので、剣を使ったことに因る魔力不足の症状は治まる筈だ。
どうぞ、と身を屈めて差し出すと、蓮は複雑そうな表情でそれを受け取った。器と私を交互に見ては、飲むか飲まないか決め兼ねているようだ。口に合うかどうかは分からないが、広く知られた果物であるため不味くはないはずだ。ただ、もう随分と味など気にしたことがないため自分の舌に自信はない。蓮と並んで食べたパイは仄かに甘みを感じたような気はしたが、あれ以降、何を食べても特に変化はなかった。食というのは生命を存続する上で必要な行為だと理解はしているが、そうでなければ進んでしたいものではない。大して味がしないものを永遠と噛み砕く行為は苦行に近いものがある。
「不味ければ途中で吐き出していただいても構いませんよ」
「……いや、いただきます」
蓮は諦めたようにスプーンを手に取ると、少しずつ口元に運んだ。黙々と食べ勧める様子を見るに不味いということはなかったらしい。しかし、それを見下ろすように眺めていると、彼は手を止めてしまう。気まずそうに視線が動いて、それに首を傾げた。
「食べ辛いから出ていくか……座るか、してくれないか」
「そう言うものですか。では、お隣に失礼しますね」
隣に腰かけると、ベッドが少しだけ軋んだ音を立てる、彼は横目で私を見たが、何も言わずに食事を再開させた。横顔を見る限りでは、想像していたよりは顔色も悪くはなさそうだ。無理やりとはいえ睡眠を促している甲斐もあって、嘔吐も以前よりは減っているとの報告は受けている。
そんなことを考えつつも眺めていると、蓮はふいっと顔を逸らしてしまう。何だ、と素っ気ないながらも言葉を投げられたので、彼の気が変わる前に口を開いた。
「ふと気になりまして、村では何を食べていらしたのですか」
「……基本的には此処で食べているようなスープに少し野菜とか足したものだ。ただ狩りがうまくいった日は皆で分け合ってシチューを作ったりしていた」
「それは貴方も作られるのですか?」
「あ、ああ、二人が教えてくれたから」
いつの間にか、身を乗り出していたらしい。驚いたように丸くなった瞳を前に我に返り、少しだけ身を引く。
蓮との間で交わされる遣り取りは今後の役に立たないものばかりだ。彼の拠り所となっていた老夫婦の身柄は既に確保しているのだから、この会話から引き出せるものは何もない。けれど、自分が知らない間の蓮の話しを聞くのは、何故だか胸が弾んだ。妙な感覚だ。戸惑ったように揺れる瞳に映る自分は、滑稽に思えるほど緩んだ顔をしている。
「これから進攻を続けていけば、どこかで主要な都市を落とす機会が来るでしょう。今は難しいですが、城ともなれば厨房があるはずです。出来るだけ綺麗なまま奪取するようにしますから作ってくださいませんか」
ぽかん、と口を開けたまま固まる蓮の顔を見つめていると、彼はもごもごと不明瞭に唇を動かして、そのまま何かを飲み込むようにスプーンを押しこんだ。
「兵の士気を維持する為に、ある程度の睡眠と食事は必要です。それを城で取るか、外で取るかの話ですよ」
「それは理解できるが……俺がシチューを作る必要はないだろ」
確かに、必要性で考えるのであれば蓮の言葉通りだ。ただ蓮とする食事は他とは違って味がするような気がした。毒を含んだ時のような雑味ではなく、胸の辺りが仄かに暖かくなるような妙な感覚。あれをもう一度、味わってみたかっただけだ。
「蓮と食べたパイは妙な食感ではありましたが、味がしたような気がしたので」
「……お腹、減ってるのか?」
「え? いえ、特には」
蓮は困ったように眉を下げると、そのまま首を傾げてしまった。私もこの感覚をどう伝えていいのか言葉が見つけられず、しばらく無言のまま見つめ合うことになる。
おいしい、と言うのかもしれない。蓮とした食事には仄かに味があって、多分、あれがおいしいというものだった。いつもより少しだけ和らいだ蓮の眼差しが、交わされる会話が、心地よかった。突き放すような物言いで、それでも微かに気遣いが感じられる彼との会話は何だか妙に落ち着く。だが、それを言葉にしようと思うと難しい。頭の中を巡るものからその場にあったものを選び取ることは慣れたものだが、その中に自分の感情を組み込もうとするとぐちゃぐちゃに乱れて言葉が詰まる。
「明日から、食事を共にしてもいいですか?」
結局、言葉に出来たのは、そんな有り触れたものだった。
「……嫌だと言っても勝手に来るんだろ」
「それはそうですが、蓮が居なければ私が此処に来る意味もなくなってしまうではありませんか。ですから、夜はあまり出歩かず、部屋で私を待っていてください」
蓮の周囲に配置している部下は他よりは信頼しているが、所詮は使い捨てだ。軍隊と一括りにしたところで寄せ集めの集団であることに変わりはなく、その全ての動向を把握することは難しい。戦場で勇者である蓮の力を見ている以上、下手な真似はしないだろうが、一部の者達が彼のことを妙な目で見ているのは知っている。甘い部分のある男だ、縋るように求められれば断り切れないかもしれない。そういった心配事を纏めて片付けられるのであれば、この胸のざわめきも多少は収まるだろう。
蓮が言っていた好きなものは、まだ見つけられてはいない。ただ彼と過ごす時間を心地よく感じているのは確かだ。その不可解な感情に戸惑うことはあるが、何故か不要と切り捨てるには躊躇いがある。危険な兆候だ。兵の一人に気を配ることは大切だが、あまり入れ込み過ぎれば大局を見失いかねない。ただひとり生き残った意味を、私は忘れてはならない。
「グレン」
私の名を呼ぶものは珍しい。第三王女に取り入るために疑似的な兄妹を演じたことはあるが、彼女に呼ばれたときは何も感じられなかった。お兄様、と震える声で私を呼んだ王女の気持ちを想像することはできても、その感情を心から理解することは出来ない。それを知ったときの蓮の静かな怒りも、私には分からないままだ。
「おいしかった……だから、その…ありがとう……」
空になった器が差し出される。視線を上げれば、耳裏が赤く染まっているのが見えた。本当に律儀な男だ。彼の立場を考えれば私に対する礼など不要だと思うのだが、それはそれで居心地が悪いのかもしれない。
あの時のように共に食事をしたわけではないのに、ぬくもりが胸を満たしていく。不可解な感覚だ、理解ができないものだ。だが、失うことを考えると、それだけで指先が冷たく痺れるような気がする。
「良かったです。またお持ちしますね」
立ち上がり、器を机に置いた。そして、身を屈めるようにしてベッド脇に座る彼の頬を撫でる。びく、と微かに肩が揺れて、思わず笑みが零れた。あなたが勇者でなかったら、私はそんなことを蓮に投げかけたことがある。けれど、今になって思うのだ。彼が勇者でなかったら、きっと私のような者と関わり合いになることなどなかっただろう。私の底など、知れたものだ。私は、私が彼の興味を引けるような人間だとは思えなかった。
「……そろそろ魔法を掛けましょうか」
怖い、という感情を、蓮といると思い出す。魔族を滅ぼせるのであれば、最終的に行き着く先が何処であっても構わないと思っていたはずだ。それなのに、今となっては彼がいないことを考えると恐ろしくて堪らない。全てを終えたその先で隣に居られないというのであれば、私を殺してほしい。崩れ落ちた道の先を、ひとりでは見つけられる気がしない。
「目を閉じて、呼吸に集中してください。大丈夫、悪夢は貴方に近づけない」
自分でも驚くほど穏やかな声だった。頬に触れた掌が、熱い。蓮は静かに私を見上げていたが、何も口にすることなく瞼を閉じた。伏せられた睫毛が、呼吸に合わせて微かに震えている。詠唱を紡ぐたびに強張っていた全身から緩やかに力が抜けていき、蓮の身体が傾いていく。倒れる前に首裏に手を回し、そのまま腕の中に囲い込んだ。すぅすぅ、と穏やかな寝息が聞こえてきて、気がつけば口許には笑みが浮かんでいた。
「蓮……」
そっと指先で目元をなぞれば、彼はくすぐったそうに小さく身動いだ。こうしていると普段より少し幼く見える。私や兵の前では気を張っているのだろう。
起きている時の自然な彼の姿など、出会った当初の僅かな期間しか知らない。村で出会ったばかりの頃は緊張した雰囲気はあったものの、まだ笑みを見せてくれていた。それらを全て踏み躙り、僅かばかり積み上がっていた信頼を壊したのは私だった。
目元から下ろした指先で、触れた。やわらかく弾力のある唇をなぞり、そのまま親指を押しこむ。ん、と僅かに吐息が漏れた。濡れた熱が指先を包みこみ、触れたいと強烈な欲が背骨を駆け上がってくる。一瞬だけ触れた口づけが蘇ってきて、訳も分からず心臓が酷く乱れた。
「蓮」
呼びかける声が震えてしまう。両手で頬を包むようにして、片方の親指で唇を割り開いた。覗く舌の赤さに引き寄せられるように、そっと唇を被せる。無意識にキスをしたとき、蓮はひどく驚いた顔をしていた。それなのに、寝ている間にこんなことをしていると知ったら、彼は軽蔑の眼差しで私を見るだろう。わかっている。わかっているのに、止まらない。身体の制御が奪われたように夢中になって噛みつく。触れているところ、すべてが熱くて蕩けそうだ。
つるりとした歯列をなぞり、奥の粘膜まで執拗に舌先で触れる。無意識に逃げ回る舌を追いかけて、頭裏に回した手で持ち上げるようにしてキスを深めた。舌を絡ませるうちに溢れた唾液が頬を伝い落ちていく。息がし辛いのだろう。蓮が苦しげに眉を寄せるのが分かって、止めなければと頭の片隅でぼんやりと思う。
「っ、ぁ…ん……ぅ、ふぁ……」
普段なら聞くことのない甘い吐息が、頭の奥を強く揺らした。ほんのりと赤く色づいた目元をなぞり、閉ざされた瞼の向こうを見たくなる。けれど、それが出来ていたのなら、そもそも眠った彼に口づけをするなどと言った真似はしていない。
「ん、んぅ……っ」
離れ難く思えて唇を寄せると、むずがるようにして逸らされた。少しむっとするものの彼の安眠を妨害しているのは私の方だ。諦めて額や頬に触れさせるだけに留めると、彼の口許が微かに緩む。あどけない笑みは起きている時には見られない表情で、なんだか酷く可愛らしく思えた。
「……私も眠くなってきたな」
視界が、溶ける。瞼が重たくなって、ゆったりと微睡が寄せてくる。
眠ることは、あまり好きではない。最も無防備になる瞬間であり、寝てしまえば出来る作業もできなくなる。短い時間、仮眠を取ることはあるが、このままだとそれでは済まないような気がした。腕に抱いた体温が妙に心地よくて、思考が徐々に維持できなくなる。
これほど多くの人間が集まる中で眠るなんて自殺行為だ。外に見張りがいるとはいえ、それらが裏切らないとは限らない。せめて気配は読めるように意識の半分は起こしておかなければならないのに、眠気は遠ざかるどころかじりじりと距離を縮めてくる。
「ん、んん……っ」
きっと無意識だろう。寝心地が悪かったのか。蓮は腕の中で何度か動いた後、私に寄りかかるようにして身を寄せてきた。この体温を手放せば幾らか眠気は去るかも知れないが、それも惜しいと思うのだから、もう結果は決まっていた。
蕩けきった意識に呑まれるように熱を抱き寄せて、そのまま微睡に身を任せることにした。
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