Sword Survive

和泉茉樹

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第13章

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     十三

「あのバカが!」
 怒りの収まらない天城さんが壁を思い切り殴りつけた。
「落ち着いてくださいよ」僕が宥めるのも変な感じだったけど他にはアンドロイドしかいない。「状況がよくわからないんですけど」
 僕の部屋の中を右へ左へ歩きつつ、天城さんが話し出した。
「昨日の夜だ。私の結界に謎の干渉があった。その瞬間を狙い澄ましたように月読が逃げ出した。不愉快だ。なぜ逃げる? どこにも行く当てなどないのに!」
 ギロリと天城さんがこちらを見た。今日は珍しくサングラスもメガネもかけていない。
「お前が連れ戻せ、私はもううんざりした」
「え? 僕には居場所がわかりませんよ。そもそも、ここから出られない」
「特別に出してやる。小娘は松代シティにいる。今は深夜だ」
 意味がわからなかった。窓の外には日が差している。昼間じゃないのか?
「地球の裏側なんだ。くだらないことを考えずに、さっさと迎えに行け。追っ手に気をつけろ。お前のモバイルを出せ。そこに指示が行くようにする」
 慌ててモバイルを取り出すと、天城さんはただ自分の手のひらをそれに当てた。モバイルの画面に目まぐるしく文字が走り、それが消えると再起動し始める。
 素手でモバイルの基礎情報を操作する人、初めて見た……。
「服装を整えろ。警察に確保されるなよ、そんなマヌケは破門だからな」
 天城さんが部屋の外へ出て行く。その程度には冷静になったようだ。
 着替えて外に出ると、天城さんがコートを差し出してくる。
「とりあえず、魔法式の迷彩コートだ。ちょっとは身を隠せる。持っていけ」
「ありがとうございます」
「礼は全てが終わってから言え。早くしろ」
 僕は例のドアの前に連れて行かれた。天城さんが珍しく長い手順の操作をする。そしてドアを開けた。
 ドアの向こうは、夜の街だった。
「行け」
 僕はドアの向こうに踏み出し、それを閉める。どこか懐かしいとも思える、松代シティの気配が確かにする。背後を振り返ると、どこかのマンションの非常口のドアだった。開けてみようとするが、開かない。鍵がかかっていた。
 モバイルが震える。松代シティの地図が一人でに展開される。経路が赤い矢印で描かれている。
 手に持っていたコートを着て、僕は駆け出した。
 時間を確認するためにモバイルを見ると、二十三時すぎだった。高校生が出歩いていい時間ではない。もちろん、中学生のような月読も。
 参照にしている地図は、ちゃんと人目を避けるコースが設定されていて、大通りを通ることは少ない。脇道から脇道へ進むように移動する。進むうちに、確かに松代シティだと確信できた。
 やがて、僕も一回来たことがある公園に到着した。夜なので、人気はない。全くの無音だった。公園の中に入って、モバイルの地図を拡大した。かなり詳細に月読の位置がわかった。
 どうしてこんなに詳細にわかるんだろう。それが不思議だけど、今は別のことが本題だ。
 噴水のある広場に出て、その噴水が見えるベンチに月読は腰掛けていた。僕に気づいても、逃げようとしはしない。
「心配したよ」
 隣に腰を下ろしても、月読は黙っている。僕も口を閉じて、じっと目の前の光景を見た。
 噴水は夜でも定期的に水を噴き上げている。月明かりがまぶしいくらいで、その光を水滴が複雑に反射していた。水と水がぶつかる音が心地いい。
「どうして、逃げ出したの?」
 月読がこちらを見た。
「危ないことは、嫌だから」
「守護者のこと?」
「私、不完全で……きっと、無理……」
 何が無理なのかは、ぼんやりとしかわからない。守護者の事もあるけど、きっと月読は自信を喪失しているのだ。僕はちょっと言葉を探して、話す。
「少しはできることもあるさ。店長が言っていたけど、守護者の相手は天城さんがやってくれる。僕たちはそれをサポートすればいい。そもそも、戦いになると決まっているわけじゃない。天城さんの屋敷は、どうも特別な場所らしいし。それは、月読がよく知っていると思うけど」
 僕が言い終わっても、月読は、黙って噴水を見ていた。
「逃げたい」
 ぽつりと、月読が言う。
「研究所からも、何もかもから」
 研究所、という言葉で、一号から受け取った様々なイメージが再び頭の中に蘇った。
「守護者の事だけど」僕は思わず言っていた。「守護者は、水天宮魔法研究所を放っておかないと思う。あそこでは、人道に反した事が行われている。月読は、その証人でもある」
「無理……。私は……、ただの道具だから。道具の意見なんて、誰も聞かない……」
「ただの道具ではないね」
 僕は月読の横顔を見た。真っ白い肌と、大きな瞳。銀色の髪の毛が月光を受けている。
「月読には意志があるから、ただの道具ではない。そして僕を選んだ。道具はただ使われるだけで、使用者を選ばない。これは誰かも言っていた。使うものを選ぶ存在、そんな存在を僕は道具とは思わない」
「なら」
 彼女がまっすぐに僕を見た。心の中を、覗き込むように。
「私は、何?」
「僕の相棒、かな」
 相棒? 首を傾げた後、月読はまた噴水の方に目を戻した。でもその瞳には何かが揺れてる。心が、何かに迷っているようだった。
 しかしそれを見ている余裕はなかった。
 車の走行音がする。飛行自動車特有の甲高い、飛行機関の駆動音。
 僕は月読の手を取って立ち上がった。引っ張られて立ち上がった月読だけど、すぐに僕の手を振り払った。
「全部、投げ出すつもり?」
 問いかけに、顔を歪める月読は、泣くでもなく、しかし答えるでもなく、ただ、僕の足元を見ている。
「心配ないよ」
 僕は自然と微笑んだ。
「僕がいる。いつでも、どこでも。そばにいるように、するよ」
 僕は月読に手を差し出した。
 彼女が一度頷いて、僕の手を取った。
 二人で走り出す。すぐに月読は剣の姿になった。運動強化魔法が発動。大きな跳躍で通路を無視して公園を出ようとする。
 背後に気配。肩越しに振り返ると、二つの影が追ってくる。同じほどの運動能力。
 月読の意図で一瞬だけ視界がズームされて、相手を確認。竜剣七号を使っている行使者だ。ただ、鎧の形状からして相当、強化してある。警察ではない、水天宮魔法研究所の所属だろう。
 思考と思考の間で、一瞬で話し合いは終わった。
 僕は跳躍をやめ、走る。周囲の光景はどんどん背後で離れていく。
 竜剣シリーズは防御力を重視していて、接近戦を得意とする。なら、同じ土俵に立ってみようと僕が提案した。
 走っているうちに前方に割り込んできた影がある。
 緑色の鱗で覆われた行使者。背後の気配を探る、魔力の流れからやはり二人。目の前の一人は待ち伏せていたか。
 僕は構わず前進した。
 相手も突進してくる。相手の手には剣が握られていた。
 背筋が冷えるのを抑えこみ、間合いに、入った。
 攻防は一瞬。相手の剣を反らした動きのまま、月読の柄頭が相手の首筋を打ち据え、倒していた。
「完璧だね」
 僕は再び疾走を再開。背後の二人はすぐそこまで迫っている。
 頭上に気配、落下してくるのは追跡者の一人だ。
 足を止め、逆にこちらから跳躍。空中で月読と竜剣七号が噛み合う。お互いに相手を弾き、間合いができる。
 そこへ追跡者のもう一人が迫ってきた。こちらは空中。
 月読の中にストックされていた、天城さんの魔法の複製のうちの一つが発動する。
 月読の刀身に炎が生まれ、一条の帯となって追跡者に衝突し、撃墜する。
 着地して、剣を振って火を消す。目立つのは良くない。
「さっさと逃げ--」
 よう、としたが、弾き飛ばした一人が体勢を整え、再度、突っ込んできた。
 完全に不意をつかれたけど、月読が僕の体を反射的に動かす。
 その動きに僕も従うことができた。
 自分でも驚くほど無駄のない動きで相手の剣を防ぐと、反撃に回し蹴りで首を抉るように打ち据えていた。
 運動が強化されていた一撃に、鱗を撒き散らしながら行使者はすっとび、重い音を立てて木にぶつかって動かなくなった。
「すごいな、これは」
 思わず口に出すと、
(早く逃げよう)
 と、月読に催促されてしまった。感想を言うのは後。
 月読を剣のままにして、僕はコートを起動させる。魔法式の迷彩とは、光学、熱、魔力の不自然さを探査装置で察知できないようにできる処理だ。ただし完全ではない、気休め程度だ。
 僕はモバイルを手に、素早く松代シティの夜の闇を走り抜けた。
 指定されたドアは、なんとコンビニの従業員用の出入り口だった。コンビニだから二十四時間営業だ。建物の裏口を見張るために、二台のカメラが設置されている。今の迷彩でカメラの前を素通りするのは、無理だ。痕跡が残る。
 いったい、天城さんはどういうつもりなんだろう?
 モバイルが震えてメッセージを受信したと教えてくる。
 メッセージには、「行け」とだけ書かれている。
「行けって言われても……」
 僕はコンビニの裏口を伺いつつ、迷っていた。
 その時、裏口を照らしていた明かりが二回、明滅した。
 それで覚悟が決まった。今のは天城さんからの催促だ。信じるしかない。
 できるだけ月読が見えないように工夫して、一気に走ってドアに取り付いた。開けて中に入る。明かりに目がくらみつつ、中に入って、ドアを閉めた。
「まったく、このバカ弟子が!」
 状況を把握する前に、頭に拳が降ってきた。悲鳴をあげつつ、前を見ると、真っ赤な顔をした天城さんが立っていた。
「なんでメッセージを無視した! 言ってみろ! 私が行けと言ったら行くんだよ! バカ!」
 いや、それは……。
 さすがに、ビビったとは言えなかった。
 月読が僕のそばで人間の姿に戻る。天城さんはその頭にも容赦なく、本気でゲンコツを落とした。月読がしゃがみ込み、頭を押さえる。
「お前たち! 今日は屋敷中を掃除していろ! いいな!」
 僕たちは無言で頷いた。
「しかし」天城さんが眼を細める。「行使者三人を無力化する手際は、なかなかいい。できるようになったな」
 もしかして、褒められている?
「これからはもうちょっと訓練の負荷を上げよう、そうだな、それがいい」
 結果を出すのも、どうやら逆効果のような気もしてきた。
 天城さんに言われた通り、僕と月読はその日はそこらじゅうを掃除して夕方まで過ごした。
 夕飯の後に、天城さんが僕たちを書斎に呼んだ。
「二度と今回のようなことはごめんだ。私は途方も無い努力と、たゆまない尽力で、この場所を維持している。余計な横やりの入らない、安全な、個人的なスペースだ。月読!」
 ビクッと月読の小さな肩が震えた。
「お前の能力はよくわかった。単体でも学習したことのある程度は再現できるんだな」
 え? どういうこと? 月読がこの空間から脱出した時のことを話しているんだろうけど、僕にはついていけない話題だった。
「月読、お前にして欲しいことは、簡単だ。睦月とよく打ち合わせておけ。二人が協力すれば、もっと大きいことができるはずだ。私はそのために二人を鍛えてきた。いいか?」
 天城さんが僕と月読を順番に見てから、
「お前たちは、二人で一つ、唯一無二の最高の組み合わせなんだ」
 と、言った。
 月読が驚いたのははっきりとわかった。息を飲むとか、緊張するとかではなく、もっとダイレクトに、僕の心に彼女の心理が伝わってきた。今まで、なかったことだ。
「良いな?」
 念を押す天城さんに月読が何度も頷く。それがどこかおかしくて、僕は少し笑ってしまった。
「明日からはまた激しくやるぞ。守護者の件もあるしな。今のところ、私が協力する以外に、お前たちがやっていける見込みはない。隠れるにしろ、逃げるにしろな」
 戦う、という選択肢はないのか、天城さんはそれを口にしなかった。
 推測するに、戦うとなると相当な苦戦か、あるいは敗北を覚悟するような、そんな展開になるのかもしれない。
 僕は、自分と月読だけでここを出て、どこかへ逃げる可能性を無意識に頭に浮かべたけど、それはダメだ。天城さんに禁じられたのだ。
 天城さんは、僕たちを守ると決めている。
 それを裏切るようなことは、してはいけない。
「よろしくお願いします」
 僕が頭を下げると、天城さんは不服そうに「感謝されるのも悪くないが、問題は金だ。金を出せ、金を」と漏らした。無視するしかない。
 天城さんは僕を先に退室させて、月読を部屋に残した。
 僕は書斎を出て、月読の部屋の前に向かった。二人で色々と話したいことがあった。どうでもいい世間話だけど、今しかそういう話はできない気がした。
 なんでだろう、もうあまり時間がないような、そんな気がする。

     ◆

 天城は月読と二人になると、足を組み直した。
「こちらの魔法をどれくらい読み解きつつあるのかな?」
 優しげでもある天城の声には隠しきれない好奇心があった。月読はかすかに戸惑いを見せながら、
「まだほとんど、わかりません」
「この閉鎖空間を突破したのに?」
「それは……」
 月読が唾を飲み、それから、躊躇いがちに答えた。
「ずっと、ここにいますから」
 椅子の背もたれにもたれかかった天城は髪の毛をかきあげた。
「そうか、なるほど、そうね……」
 天城が天井を仰ぎ、何かを考えた。
「睦月は」天井を見たまま、天城が言う。「気付いているか?」
「え?」
「お前のその性質の本質にだ」
 ぶんぶんと月読は首を振った。天城はため息を吐いて、
「よし、わかった。その辺も詰めておけ」
 天城は立ち上がった。
「二度目はないと言ったが、私はお前がもう一回、愚かな真似をするような奴ではないと信じている。信じさせてくれよ」
 そんな言葉を残して、天城は転移魔法のドアからどこかへと出て行った。
 月読は慌ててその後を追ってドアを開けたが、その向こうに天城の姿はなかった。いつもの屋敷の中、一つの廊下に出てしまった。
 月読は一人で自分の部屋に向かって歩いた。外に面するガラスの向こうは真っ暗で、ほとんど何も見えない。月読の姿がぼんやりと見えるだけ。
 本当に短い間、巨大なガラスの筒の中に浮かぶ、姉の姿が浮かんだ。
 後ろめたさがこみ上げてくるが、しかし、月読は自分を研究所から抜け出させた時、姉がかけてくれた言葉を思い出す。
 自由になりなさい。それが、あなたの使命。
 私の代わりに、行きなさい。
 月読の生活している部屋のドアが見えた。そのドアの前に、少年が立っている。
 睦月だった。
 彼が月読に気づいて、手を挙げる。
 月読の心に何かがこみ上げてくるけれど、それをどうにか堪えて、でも走り出すのは止められなかった。
 ほとんど飛びつくようにして、睦月の前に立った。睦月は月読の勢いに戸惑っているようだった。
「話をしようと思ったんだけど」
 睦月がそう言い終わる前に、月読は笑顔で、頷いていた。














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