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第一章「異世界転移編」
第1話「転移とベルト」
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「ここをこうして、こう」
基盤に慎重にはんだずけを行う。煙が立ちこみ独特な匂いがする。
「先輩。またこんな研究して。子供らしいことはもうやめません? 今日で10日ですよ。徹夜」
ショートボブの女性がコーヒーをそっと机に置く。
「うるさい。私なるんだ正義の味方に。ライダーに」
子供の頃から憧れているモノがあった。それは特撮ヒーローだ。光の巨人やバッタヒーロー、レンジャーなどなど。毎週の土曜と日曜はテレビの前に居座り、目を輝かせながらその勇姿を脳内に焼き付けていた。
テレビの中のヒーローは圧倒的な力で悪を倒し、賞賛される。負けてもどんなに追い詰められても諦めずに立ち向かう姿は輝いて見えた。なりたかった。かっこいいヒーローに。私の進路希望書はいつもヒーローだったし、合気道、剣道などを極め、そこそこ強くなった。
しかし現実は非情だった。私はいい大学に入りいい仕事につくようにと耳にタコができるくらい昔から言われてきた。ヒーローは俳優さんが演じていて、スーツを着たスーツアクターさんがいる。私が見ていたのは虚像だったのだろうか。
卓上に置かれたコーヒーではなく、冷蔵庫で冷やしていた缶ビールをプシュッと開け、喉に流す。
「あ~。頭がクラクラする。酒の飲み過ぎか? 仕事中にする飲酒が一番気持ちがいい」
今は大学の後輩のヒモだ。後輩は私の機械いじりに可能性を見出し、とある会社の研究員に推薦した。なんてやつだ。
「呑んでると全てを忘れられてキエテカレカレータだ」
あ。今のは怪獣語ですごくいい気分だって意味ね。
タイムカードを機械に差し込む。さて帰るか。
歩道をふらふらと彷徨う。
「あ~気持ち悪い。死ぬ」
頭ん中がポワポワする。もう寝よう。
私は大通りでうつ伏せになる。地面は熱った体を冷やしてくれる。セケンテーなんかどうでもいい。今は寝させてくれ。
私は気絶するように眠りについた。
......ん? あー。寝てたのか。
「あー起きた起きた。沖田総一」
「大丈夫? キミ? こんな場所で横になって。騎士団に怒られるよ。怖いんだぞー騎士団長」
スチームパンクなゴーグルをかけた少年が不思議そうに私の顔を覗き込んでいる。
「お姉さん大丈夫? 具合悪いの?」
少年はなんとも言えない顔をする
「ぼちぼちかな」
そっけない返事を返す。てか誰だこの少年。まぁ。いっか。
足音が聞こえる。大勢の。スクランブル交差点だからしかたな......ん? スクランブル交差点って地面コンクリじゃなかったっけ。なんかすごいレンガ。
重い体を起こす。
「は???」
私がいるのはスクランブル交差点ではなかった。何処だここ。
「見渡す限り、出店? のようなものがたくさんある。市場かな? 賑わってていいなこれ」
少年は鼻高々に
「だってここは王都レイメールだよ」
日本にそんな地域あったっけ?
「レイメール? レイメール......レイメール。海外にも聞き覚えないな」
立ち上がって周りを見回してみると猫耳が生えてる人や耳のとんがった人がいる。?
夢にしてはリアルだなぁ。明晰夢ってやつ?
それにしても腹が減った。何か食べよう。
幸い出店は沢山ある。りんご飴あるかな?
私は出店に向かって歩き、お店のお姉さんに話しかける。この人も耳が長い。
「お姉さん綺麗ですね。あ。りんご飴ひとつください。いくらですか?」
「はいひとつですね。ひとつで100レイです」
「すみません。値段がよく聞こえなくて」
耳の長いお姉さんはニコッと笑って
「100レイです」
レイ?なにそれ日本円じゃないの?
「つかぬことをお聞きしてもいいですか?」
耳の長いお姉さんは首を傾げて
「はい。なんでしょう」
私はポケットからスマホを取り出して位置情報を確認する。お姉さんにスマホを見せて
「圏外なんですけど、電波ある場所教えてくれませんか?」
お姉さんはスマホを物珍しそうに見ている。
「なんですかその板」
「スマホですけど」
お姉さんは少し困った様子だ。
「あの、さっきから言ってることがわからないんですけど。何処の国から来ました? 旅人様ですか?」
「日本っす」
「にほん? そんな国ありませんよ」
「は?」
日本がないってどゆこと?意味がわからないんだけど日本語喋ってる?
頭に悪い考えがよぎる。これアレだ。
「魔法って使えます?」
お姉さんは少し困った様子で
「なんで当たり前のことを聞くのですか?」
あ。確定した。異世界だわ。ここ。
お姉さんは追い討ちをかけるように
「通貨がないのならギルドに行くといいですよ。そこで依頼を受けて達成すると報酬がもらえます」
とりあえず行ってみるかギルド。
そんなこんなでギルドまで歩いてきた。冒険者になるのか。
そう言えばさ今思ったんだけどリュックの中身って何入ってたっけ。
リュックを下ろし、ファスナーを開ける。中には未完成の変身ベルトが入っていた。
「おぅ。嬢ちゃん。なんだそのアーティファクト。見たことねぇな」
コワモテのお兄さんがはなしかけてきた。こわい
お兄さんは遠くにある店を指さして
「アーティファクトならあの店で鑑定してくれるぞ。壊れてたら修理もできるからな。頑張れよ冒険者さん」
なんだ。いい人だった。アーティファクトってなんだっけ? 最近のヒーローに出てきたな。魔法が込められている道具的な?
あ。天才的なこと思いついた。
「この世界なら変身できるのでは?」
小説で読んだことあるぞ。道具にこう。魔力を流して。いいかんじに。
体の中を何かが駆け巡る感覚がする。コレが魔力か。その魔力はベルトに貯まっていく。
『ライズドミネーター』
え?喋ったんだけどベルト。電池入れてないのに。
お前ライズドミネーターっていうのか。
『そうだよ』
「ふあっ!? 話しかけてきた!? ベルトさんかよ」
『ボクは完成したんだ』
ライズドミネーターは眩い光を放ち、徐々にその形を変えていく。
「うおっ!? まぶし」
次に目を開けたときにはぱっつん前髪の黒髪にオレンジ色のインナーカラーの綺麗な髪の少年が佇んでいた。
「ぼくはドミ。よろしくね。ご主人。
正式名称は魔力伝導式強化外装甲初期型ライズドミネーターだよ」
「長い名前すき。イイね!! イェーイ!!」
私はドミとハイタッチをする。
ドミは少し申し訳なさそうに
「ごめんね。ご主人の魔力全部もらっちゃった。ご主人はもう魔法つかえないよ。そのかわり変身してヒーローになれる。ボクを使って」
最高じゃんそれ。
「烈火龍が出たぞー!!城に逃げろー!!」
1人の男が叫ぶように呼びかける。
「烈火龍?なにそれ」
ドミは手を差し出して
「棚からドラゴンだね。チカラを試す刻がきたよご主人」
戦うの? ドラゴンと? 無理無理。
あ。でも市民が逃げ惑うなか1人だけ立ち向かう私!! 最高にヒーローしてる!!
「よしわかった!!やろう」
ドミはニヤリと笑う
「そうこなくっちゃ。さすがご主人」
ドミは続けて
「なんか鍵もってない? 家の鍵でもなんでもいいから。ボクのエンジンを動かす鍵だ」
ポケットにバイクのキーが入ってた気がする。ん? あっ、あった。
「あったよ」
「使い方はわかるよね」
「もちろん!!」
私はサムズアップをする。
ドミの手を取るとドミは再びベルトへと姿を変える。
腹部にベルトを押し当てると自動的にベルトが腰に巻き付く。
『ライズドミネーター』
ベルトにキーを深く差し込む。
『デュアル!! イグニッション!!』
警告音と共に粒子がベルトから放出されバイクを形成し自分の周りを駆け回り始める
「始動!!」
キーを回し、エンジンをかけ、ベルトが横に展開する。マフラーから噴き出された蒼炎は身体を包みスーツが形成されていく。
自分の周りを周回するバイクは空中で分解され身体に装甲のように装着されていく。
全ての装甲が装着されバイザーについているマフラーが轟き炎を吹く。
『改造完了ドミネーター」
「さぁ。試走だ」
基盤に慎重にはんだずけを行う。煙が立ちこみ独特な匂いがする。
「先輩。またこんな研究して。子供らしいことはもうやめません? 今日で10日ですよ。徹夜」
ショートボブの女性がコーヒーをそっと机に置く。
「うるさい。私なるんだ正義の味方に。ライダーに」
子供の頃から憧れているモノがあった。それは特撮ヒーローだ。光の巨人やバッタヒーロー、レンジャーなどなど。毎週の土曜と日曜はテレビの前に居座り、目を輝かせながらその勇姿を脳内に焼き付けていた。
テレビの中のヒーローは圧倒的な力で悪を倒し、賞賛される。負けてもどんなに追い詰められても諦めずに立ち向かう姿は輝いて見えた。なりたかった。かっこいいヒーローに。私の進路希望書はいつもヒーローだったし、合気道、剣道などを極め、そこそこ強くなった。
しかし現実は非情だった。私はいい大学に入りいい仕事につくようにと耳にタコができるくらい昔から言われてきた。ヒーローは俳優さんが演じていて、スーツを着たスーツアクターさんがいる。私が見ていたのは虚像だったのだろうか。
卓上に置かれたコーヒーではなく、冷蔵庫で冷やしていた缶ビールをプシュッと開け、喉に流す。
「あ~。頭がクラクラする。酒の飲み過ぎか? 仕事中にする飲酒が一番気持ちがいい」
今は大学の後輩のヒモだ。後輩は私の機械いじりに可能性を見出し、とある会社の研究員に推薦した。なんてやつだ。
「呑んでると全てを忘れられてキエテカレカレータだ」
あ。今のは怪獣語ですごくいい気分だって意味ね。
タイムカードを機械に差し込む。さて帰るか。
歩道をふらふらと彷徨う。
「あ~気持ち悪い。死ぬ」
頭ん中がポワポワする。もう寝よう。
私は大通りでうつ伏せになる。地面は熱った体を冷やしてくれる。セケンテーなんかどうでもいい。今は寝させてくれ。
私は気絶するように眠りについた。
......ん? あー。寝てたのか。
「あー起きた起きた。沖田総一」
「大丈夫? キミ? こんな場所で横になって。騎士団に怒られるよ。怖いんだぞー騎士団長」
スチームパンクなゴーグルをかけた少年が不思議そうに私の顔を覗き込んでいる。
「お姉さん大丈夫? 具合悪いの?」
少年はなんとも言えない顔をする
「ぼちぼちかな」
そっけない返事を返す。てか誰だこの少年。まぁ。いっか。
足音が聞こえる。大勢の。スクランブル交差点だからしかたな......ん? スクランブル交差点って地面コンクリじゃなかったっけ。なんかすごいレンガ。
重い体を起こす。
「は???」
私がいるのはスクランブル交差点ではなかった。何処だここ。
「見渡す限り、出店? のようなものがたくさんある。市場かな? 賑わってていいなこれ」
少年は鼻高々に
「だってここは王都レイメールだよ」
日本にそんな地域あったっけ?
「レイメール? レイメール......レイメール。海外にも聞き覚えないな」
立ち上がって周りを見回してみると猫耳が生えてる人や耳のとんがった人がいる。?
夢にしてはリアルだなぁ。明晰夢ってやつ?
それにしても腹が減った。何か食べよう。
幸い出店は沢山ある。りんご飴あるかな?
私は出店に向かって歩き、お店のお姉さんに話しかける。この人も耳が長い。
「お姉さん綺麗ですね。あ。りんご飴ひとつください。いくらですか?」
「はいひとつですね。ひとつで100レイです」
「すみません。値段がよく聞こえなくて」
耳の長いお姉さんはニコッと笑って
「100レイです」
レイ?なにそれ日本円じゃないの?
「つかぬことをお聞きしてもいいですか?」
耳の長いお姉さんは首を傾げて
「はい。なんでしょう」
私はポケットからスマホを取り出して位置情報を確認する。お姉さんにスマホを見せて
「圏外なんですけど、電波ある場所教えてくれませんか?」
お姉さんはスマホを物珍しそうに見ている。
「なんですかその板」
「スマホですけど」
お姉さんは少し困った様子だ。
「あの、さっきから言ってることがわからないんですけど。何処の国から来ました? 旅人様ですか?」
「日本っす」
「にほん? そんな国ありませんよ」
「は?」
日本がないってどゆこと?意味がわからないんだけど日本語喋ってる?
頭に悪い考えがよぎる。これアレだ。
「魔法って使えます?」
お姉さんは少し困った様子で
「なんで当たり前のことを聞くのですか?」
あ。確定した。異世界だわ。ここ。
お姉さんは追い討ちをかけるように
「通貨がないのならギルドに行くといいですよ。そこで依頼を受けて達成すると報酬がもらえます」
とりあえず行ってみるかギルド。
そんなこんなでギルドまで歩いてきた。冒険者になるのか。
そう言えばさ今思ったんだけどリュックの中身って何入ってたっけ。
リュックを下ろし、ファスナーを開ける。中には未完成の変身ベルトが入っていた。
「おぅ。嬢ちゃん。なんだそのアーティファクト。見たことねぇな」
コワモテのお兄さんがはなしかけてきた。こわい
お兄さんは遠くにある店を指さして
「アーティファクトならあの店で鑑定してくれるぞ。壊れてたら修理もできるからな。頑張れよ冒険者さん」
なんだ。いい人だった。アーティファクトってなんだっけ? 最近のヒーローに出てきたな。魔法が込められている道具的な?
あ。天才的なこと思いついた。
「この世界なら変身できるのでは?」
小説で読んだことあるぞ。道具にこう。魔力を流して。いいかんじに。
体の中を何かが駆け巡る感覚がする。コレが魔力か。その魔力はベルトに貯まっていく。
『ライズドミネーター』
え?喋ったんだけどベルト。電池入れてないのに。
お前ライズドミネーターっていうのか。
『そうだよ』
「ふあっ!? 話しかけてきた!? ベルトさんかよ」
『ボクは完成したんだ』
ライズドミネーターは眩い光を放ち、徐々にその形を変えていく。
「うおっ!? まぶし」
次に目を開けたときにはぱっつん前髪の黒髪にオレンジ色のインナーカラーの綺麗な髪の少年が佇んでいた。
「ぼくはドミ。よろしくね。ご主人。
正式名称は魔力伝導式強化外装甲初期型ライズドミネーターだよ」
「長い名前すき。イイね!! イェーイ!!」
私はドミとハイタッチをする。
ドミは少し申し訳なさそうに
「ごめんね。ご主人の魔力全部もらっちゃった。ご主人はもう魔法つかえないよ。そのかわり変身してヒーローになれる。ボクを使って」
最高じゃんそれ。
「烈火龍が出たぞー!!城に逃げろー!!」
1人の男が叫ぶように呼びかける。
「烈火龍?なにそれ」
ドミは手を差し出して
「棚からドラゴンだね。チカラを試す刻がきたよご主人」
戦うの? ドラゴンと? 無理無理。
あ。でも市民が逃げ惑うなか1人だけ立ち向かう私!! 最高にヒーローしてる!!
「よしわかった!!やろう」
ドミはニヤリと笑う
「そうこなくっちゃ。さすがご主人」
ドミは続けて
「なんか鍵もってない? 家の鍵でもなんでもいいから。ボクのエンジンを動かす鍵だ」
ポケットにバイクのキーが入ってた気がする。ん? あっ、あった。
「あったよ」
「使い方はわかるよね」
「もちろん!!」
私はサムズアップをする。
ドミの手を取るとドミは再びベルトへと姿を変える。
腹部にベルトを押し当てると自動的にベルトが腰に巻き付く。
『ライズドミネーター』
ベルトにキーを深く差し込む。
『デュアル!! イグニッション!!』
警告音と共に粒子がベルトから放出されバイクを形成し自分の周りを駆け回り始める
「始動!!」
キーを回し、エンジンをかけ、ベルトが横に展開する。マフラーから噴き出された蒼炎は身体を包みスーツが形成されていく。
自分の周りを周回するバイクは空中で分解され身体に装甲のように装着されていく。
全ての装甲が装着されバイザーについているマフラーが轟き炎を吹く。
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「さぁ。試走だ」
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