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第0章 神話に残る能力で
修復
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「ん……」
不意に、目が覚めた。
今、何時だ……。
だが、時計はない。スマホなんて便利アイテムはここ1か月近く触っていない。
こういうとき、窓がない地下室は不便だ。
ラウラのところなら――鹿の脚亭なら、窓の外に見える月の高さ、空の白み具合で時間が分かる。
もぞもぞとベッドから這いずり出て、目をこする。
寝るか、起きるか。
体は「まだ寝ておけ」と言っているようだが、それは慣れない採掘作業で体力を使いすぎたせいだろう。
「しゃーないなぁ……」
重たい足を引きずるように、ドアへ近付く。
一度どこか窓の見えるところまで行って、様子を確認するのが早いだろう。
ドアに手をかけて、開ける。
一歩――ぼふっ……。
「ぼふ……?」
「ぎ……ぎゃあぁぁぁァァっ!?」
「!?」
強烈な悲鳴に、一気に俺の体が臨戦態勢になる。
「なんだ!? ドディシュ――」
「このっ……バカっ!!」
ドゴぉっ、と強烈な衝撃が脳天を貫く。
「起こしに来てあげたのにっ!」
「あ……え……?」
痛む頭をさすって顔を上げると、そこにはミアが立っていた。
「ミア、おはよ……」
「おはようじゃない! もう昼前!」
「ご、ごめん……」
寝ぼけと頭の痛みでクラクラする。
部屋に押し返され、再びもぞもぞと動き出すと、衣装棚の前に立ち、インベントリのアイテムを整理する。服を着なおして、ピッケルを持って……。
「ぼふ……?」
……何の衝撃だったんだ?
思考が少しずつ明瞭になっていく。
同時に、俺の脳に浮かんだ状況は……最悪の予感だった。
急いで着替えを終え、扉を開ける。
「ご、ごめんっ!! 俺、あの、寝ぼけてて……」
ミアの目が、鋭く俺を見ている。
「その……そこにミアがいるとも気付かなくて」
「次からは、気を付けてね」
ミアはふいっと顔を背け、先に歩き出していってしまった。
あの様子……許して……は、もらえてないだろうな。
この塔の修理、気が重いことばっかりだ。
だが、落ち込んでばかりもいられない。
俺は自分に気合を入れると、ベッドから聞こえる誘惑を振り切って、階段を一段飛ばしで上って行った。
◇◇◇
プラムはしっかりインベントリのことを教えてくれていたのだろう。
俺がインベントリを経由して石を出したり戻したりしても、ミアは何も言わなかった。
「んで、こんな感じ」
石ブロックを積むように、石塔の壁を内側から積み上げると、ミアは「なるほど」と顔色一つ変えずに言った。
「……私もやってみていいか?」
「いいけど……」
インベントリが使えなきゃ、こんな簡単には扱えない。
どうプラムが説明したかは知らないが、プレイヤーでもないミアはインベントリを使えないはずだ。つまり……。
「ぐッ……んんッ……!」
真剣に踏ん張って「石の塊」を持ち上げる、ということになる。生身の人間にはまず不可能だ。
「ッはぁっ、はぁ……ッ……! あなたの……! どこに……そんな力が……ッはぁっ……」
「そういうものさ」
そうとでも言っておくしかない。
「石を積むのは大変だと思うから、俺に任せて。ミアには、ミアにしかできないことをお願い」
「……私にしか、できないこと?」
設計図通りなら、各階の床は石で出来ていたはずだ。
倉庫やエネルギーの生産施設になるとは言え、どうせなら多少おしゃれにしたい。これは俺の『クラフターとしての』こだわりでもある。
「石がむき出しじゃ、冷気がこもるだろ? 人が通る部分に、簡単なラグを敷きたい。プラムと相談して、布か糸……出来れば羊毛なんかを少し持ってきてくれない?」
「羊毛? ラグを私が編むのか?」
「いいや。持ってきてくれるだけでいい」
「……わかった、賢者様と話してくる……サボらないで」
「当たり前だろ。俺だって早く直したいんだ」
俺の言葉を、ミアは信じてくれたのだろうか。俺の顔を見て、やがて螺旋階段を下りて行った。
「さて……」
ここで、インベントリに隠しておいた自動建築機を石壁にセットする。
ある程度の高さまではこれで一気に積み上げていって、最後に少し削りながら天井を設計すればいいだろう。
その間に俺は、自動建築機では作るのがキツそうな、螺旋階段と床面の作成に取り掛かる。
ッ、ふぅ……全部インベントリに入ると、さすがに体が重たいような気が……。
そんなのは、気のせいなのだろうが。
◇◇◇
「……ねえ」
俺は塔の最上階で仰向けに寝そべっていた。
ミアが羊毛を集めに行っている1時間足らずの間に、賢者の塔の外見は、ほとんど元通りの形に戻せたと思う。
ほとんどの作業は自動建築機で行い、本当に細かい部分だけは手で調整した。
すべて手動で作れば時間がかかるだろうが、設計図があればそれを読み込ませるだけで済む。
「お前、何をした……?」
「何って……塔を直したんだよ」
「そういうことじゃない」
ミアは羊毛を床に置き、さっき俺が作ったばかりの石段に腰を下ろす。
「……私が……あんなに頑張っても持ち上がらなかった石を……」
「でも、ほとんど元通りだろ?」
ミアは、こくっとうなずいた。
だが、何か満足していなさそうな気配がある。
「なんか、マズかった?」
「いや――」
ミアは少し戸惑って、それから口を開いた。
「ここ、賢者様との思い出の場所だから……私もちょっと、直したかったなって」
「あ……」
「いや、いいの。直ったなら、直ったほうがいいに決まってる」
俺は立ち上がり、ミアの置いた羊毛を手に取った。
俺の――プレイヤーのクラフティングの能力は、壊れたものを直すことができる。
素材を、別の素材に変えることができる。
だけど……。
「ミア……織物って、できる?」
「なんで」
「せっかくだから、プラムと一緒にラグを編んでほしい」
ミアが、ちらりとこちらを見て、微笑んで、それから首を振った。
「賢者様、忙しいから」
ここで、俺がラグを『クラフト』するのは難しくない。
だけど。
「……俺、まだやること残ってんだ。昨日ミアが集めてくれた木を回収して、棚を作らなくちゃいけない。それから、昨日のドディシュのことも……エネルギー生産施設も回復させなくちゃ」
彼女のそばに寄り、腰を下ろす。
「プラムに聞けば、きっと教えてもらえるよ。あいつ、優しいから」
「……ホント?」
「たぶん……自信はないけど」
俺が目をそらすと、ミアはようやく微笑んで、「やっぱり、賢者様の言う通り」とつぶやいた。
「何が?」
「イツキが変な奴だってこと」
彼女は立ち上がり、俺の手から羊毛を奪い取ると、そのまま螺旋階段をぐるぐると駆け下りていった。
「一言余計だよ……」
石段に背をもたれかけ、天井を仰ぎ見た。
とりあえずこれで、今日やっておきたかったことは完全に終わった。あとは、内装にさっさと着手しないと。
不意に、目が覚めた。
今、何時だ……。
だが、時計はない。スマホなんて便利アイテムはここ1か月近く触っていない。
こういうとき、窓がない地下室は不便だ。
ラウラのところなら――鹿の脚亭なら、窓の外に見える月の高さ、空の白み具合で時間が分かる。
もぞもぞとベッドから這いずり出て、目をこする。
寝るか、起きるか。
体は「まだ寝ておけ」と言っているようだが、それは慣れない採掘作業で体力を使いすぎたせいだろう。
「しゃーないなぁ……」
重たい足を引きずるように、ドアへ近付く。
一度どこか窓の見えるところまで行って、様子を確認するのが早いだろう。
ドアに手をかけて、開ける。
一歩――ぼふっ……。
「ぼふ……?」
「ぎ……ぎゃあぁぁぁァァっ!?」
「!?」
強烈な悲鳴に、一気に俺の体が臨戦態勢になる。
「なんだ!? ドディシュ――」
「このっ……バカっ!!」
ドゴぉっ、と強烈な衝撃が脳天を貫く。
「起こしに来てあげたのにっ!」
「あ……え……?」
痛む頭をさすって顔を上げると、そこにはミアが立っていた。
「ミア、おはよ……」
「おはようじゃない! もう昼前!」
「ご、ごめん……」
寝ぼけと頭の痛みでクラクラする。
部屋に押し返され、再びもぞもぞと動き出すと、衣装棚の前に立ち、インベントリのアイテムを整理する。服を着なおして、ピッケルを持って……。
「ぼふ……?」
……何の衝撃だったんだ?
思考が少しずつ明瞭になっていく。
同時に、俺の脳に浮かんだ状況は……最悪の予感だった。
急いで着替えを終え、扉を開ける。
「ご、ごめんっ!! 俺、あの、寝ぼけてて……」
ミアの目が、鋭く俺を見ている。
「その……そこにミアがいるとも気付かなくて」
「次からは、気を付けてね」
ミアはふいっと顔を背け、先に歩き出していってしまった。
あの様子……許して……は、もらえてないだろうな。
この塔の修理、気が重いことばっかりだ。
だが、落ち込んでばかりもいられない。
俺は自分に気合を入れると、ベッドから聞こえる誘惑を振り切って、階段を一段飛ばしで上って行った。
◇◇◇
プラムはしっかりインベントリのことを教えてくれていたのだろう。
俺がインベントリを経由して石を出したり戻したりしても、ミアは何も言わなかった。
「んで、こんな感じ」
石ブロックを積むように、石塔の壁を内側から積み上げると、ミアは「なるほど」と顔色一つ変えずに言った。
「……私もやってみていいか?」
「いいけど……」
インベントリが使えなきゃ、こんな簡単には扱えない。
どうプラムが説明したかは知らないが、プレイヤーでもないミアはインベントリを使えないはずだ。つまり……。
「ぐッ……んんッ……!」
真剣に踏ん張って「石の塊」を持ち上げる、ということになる。生身の人間にはまず不可能だ。
「ッはぁっ、はぁ……ッ……! あなたの……! どこに……そんな力が……ッはぁっ……」
「そういうものさ」
そうとでも言っておくしかない。
「石を積むのは大変だと思うから、俺に任せて。ミアには、ミアにしかできないことをお願い」
「……私にしか、できないこと?」
設計図通りなら、各階の床は石で出来ていたはずだ。
倉庫やエネルギーの生産施設になるとは言え、どうせなら多少おしゃれにしたい。これは俺の『クラフターとしての』こだわりでもある。
「石がむき出しじゃ、冷気がこもるだろ? 人が通る部分に、簡単なラグを敷きたい。プラムと相談して、布か糸……出来れば羊毛なんかを少し持ってきてくれない?」
「羊毛? ラグを私が編むのか?」
「いいや。持ってきてくれるだけでいい」
「……わかった、賢者様と話してくる……サボらないで」
「当たり前だろ。俺だって早く直したいんだ」
俺の言葉を、ミアは信じてくれたのだろうか。俺の顔を見て、やがて螺旋階段を下りて行った。
「さて……」
ここで、インベントリに隠しておいた自動建築機を石壁にセットする。
ある程度の高さまではこれで一気に積み上げていって、最後に少し削りながら天井を設計すればいいだろう。
その間に俺は、自動建築機では作るのがキツそうな、螺旋階段と床面の作成に取り掛かる。
ッ、ふぅ……全部インベントリに入ると、さすがに体が重たいような気が……。
そんなのは、気のせいなのだろうが。
◇◇◇
「……ねえ」
俺は塔の最上階で仰向けに寝そべっていた。
ミアが羊毛を集めに行っている1時間足らずの間に、賢者の塔の外見は、ほとんど元通りの形に戻せたと思う。
ほとんどの作業は自動建築機で行い、本当に細かい部分だけは手で調整した。
すべて手動で作れば時間がかかるだろうが、設計図があればそれを読み込ませるだけで済む。
「お前、何をした……?」
「何って……塔を直したんだよ」
「そういうことじゃない」
ミアは羊毛を床に置き、さっき俺が作ったばかりの石段に腰を下ろす。
「……私が……あんなに頑張っても持ち上がらなかった石を……」
「でも、ほとんど元通りだろ?」
ミアは、こくっとうなずいた。
だが、何か満足していなさそうな気配がある。
「なんか、マズかった?」
「いや――」
ミアは少し戸惑って、それから口を開いた。
「ここ、賢者様との思い出の場所だから……私もちょっと、直したかったなって」
「あ……」
「いや、いいの。直ったなら、直ったほうがいいに決まってる」
俺は立ち上がり、ミアの置いた羊毛を手に取った。
俺の――プレイヤーのクラフティングの能力は、壊れたものを直すことができる。
素材を、別の素材に変えることができる。
だけど……。
「ミア……織物って、できる?」
「なんで」
「せっかくだから、プラムと一緒にラグを編んでほしい」
ミアが、ちらりとこちらを見て、微笑んで、それから首を振った。
「賢者様、忙しいから」
ここで、俺がラグを『クラフト』するのは難しくない。
だけど。
「……俺、まだやること残ってんだ。昨日ミアが集めてくれた木を回収して、棚を作らなくちゃいけない。それから、昨日のドディシュのことも……エネルギー生産施設も回復させなくちゃ」
彼女のそばに寄り、腰を下ろす。
「プラムに聞けば、きっと教えてもらえるよ。あいつ、優しいから」
「……ホント?」
「たぶん……自信はないけど」
俺が目をそらすと、ミアはようやく微笑んで、「やっぱり、賢者様の言う通り」とつぶやいた。
「何が?」
「イツキが変な奴だってこと」
彼女は立ち上がり、俺の手から羊毛を奪い取ると、そのまま螺旋階段をぐるぐると駆け下りていった。
「一言余計だよ……」
石段に背をもたれかけ、天井を仰ぎ見た。
とりあえずこれで、今日やっておきたかったことは完全に終わった。あとは、内装にさっさと着手しないと。
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