探偵絢辻真希の推理

無知葉 奈央

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プロローグ

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断崖絶壁を滝が流れ落ちている。滝壺には尖った岩がいくつも突き出ていて、高さはそれほどでもないが落ちたら確実に死ぬ。それを知ってか知らずか、ここから身を投げて自殺する者が後を絶たない。
今、滝の下には多くの警察車両が止まっており、滝の周りを警察官が取り囲んでいる。
滝の上には向かい合うようにして立つ影が二つ。
一人は黒いズボンに黒い服、黒い手袋に黒い靴。全身黒一色で固めた30代くらいの男。
もう一人は灰色のスーツを見に纏った短髪の女性。
「やっと会えましたね。初めまして黒男さん」
女性の方が先に口を開いた。
「おやおや、絢辻先生に名前を覚えて頂いているとは嬉しいですな」
男は余裕の笑みを浮かべて答えた。
「私からのプレゼントは喜んでいただけましたかな?」
「えぇ、とっても。さすが黒男さんです。ですが、それも今日まで。そろそろこの楽しい時間を終わりにしましょうか」
絢辻がそう言うと、黒男は少し寂しそうな顔をして言った。
「…ふぅ。残念です。もう少しあなたとの対決を楽しみたかったんですがね」
黒男は嬉しそうに叫んだ。
「では最後の前に少し思い出話でもしましょうか!」
黒男の言葉を聞いた絢辻は一度、にっこり微笑んだ。
そしてその顔は次の瞬間には獲物を狙う捕食者の顔に変わった。
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