不器用なカノジョ

高嶺 蒼

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部活見学~弓道部編・ソラside~

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 「ねぇ、悠木さん。良かったら弓道部の見学に一緒に行かない?」

 部活紹介の翌日の事。
 放課後の教室でそんな風に声をかけられ、ソラはびっくりしたように目を丸くした。
 自慢じゃないが、クラスで孤立している自覚はある。
 別に虐められているわけでは無かったが、そんな一匹狼のソラに声をかけてくる人が居るとも思っていなかった。

 昔と違ってそれを寂しいとも思わない。
 今のソラは、1人で居ることにすっかり慣れてしまっていた。

 声をかけてくれたのは、クラス委員をしている山根さん。
 眼鏡が似合う、知的な印象の彼女は確か附属中学からの持ち上がりで、これまでも何度か話しかけたり、グループに誘ってくれたりと、何かとソラを気にかけてくれていた。

 「えっと、あの・・・・・・」

 咄嗟の事にうまく言葉が出てこない。
 今日は早速軽音部に行って入部届を出すつもりだったのだが、完全に出鼻を挫かれた。
 そんなソラの様子をどうとったのか、

 「悠木さんが軽音部に入るつもりなのは知ってるけど、せっかくの機会だし他の部の様子も見てみない?ほら、弓道部だったら、何となく縁もありそうだし」

 そんな風に、説得を始める山根さん。
 ソラは困ったように彼女を見上げた。
 弓道部に興味が無いわけではないが、入る部活を決めているのに他の部活を見に行くのはどうなんだろう。
 そんなことを考えながら躊躇しているソラの背中を押すように、

 「実は、弓道部見に行きたいんだけど、一緒に行ってくれる子が居なくてさ。私を助けると思って、一緒に行ってくれない?」

 彼女は片手で拝むようにして、ソラを見た。
 しばらく考えた末、小さく頷く。そこまで言われたら、断るのもなんだか悪いような気がしたので。

 「いいよ。一緒に行こ」

 立ち上がり、小さく微笑むと山根さんは、ちょっとだけ目を丸くして、

 「悠木さんって笑うとすごく可愛いね。きれいな顔してるな~とは思ってたけど」

 そんな風に言った。
 誉められたソラはびっくりして、

 「そ、んな事、ないよ。山根さんの方が綺麗だと思うけど」

 真面目な顔で答えた。
 ソラの言うとおり、山根さんは綺麗な少女だった。
 肩口まで伸びたまっすぐな黒髪と意志の強そうな眉。
 切れ長の瞳は少し気が強そうに見えるけど、ふっくらした唇にいつも浮かべている笑みがそれを緩和している。
 眼鏡もとても似合っていて、ソラは自分なんかより彼女の方がよっぽど綺麗なのになぁと素直に思う。
 そんなソラの様子に、山根さんは苦笑いをしながら、

 「うわぁ。まるで自覚無いんだね、悠木さん。自分が結構な美少女だって事・・・・・・」

 ぼそっと呟き、聞き取り損ねたソラが、

 「ん?」

 と聞き返すと、彼女はごまかすように笑って、

 「や、なんでもない。じゃあ、悠木さん、行こうか」

 そんな風にソラを促すのだった。




 弓道場は熱気にあふれていた。
 やはり人気がある部活なのだろう。
 他のクラスからも、結構な人数が見学に訪れている様だった。
 彼女達は1カ所に集まって、所在なさげにしている。
 ソラと山根さんも、とりあえずその集団に混じることにして、彼女達の元へと向かった。

 「あー、亜希ちゃんも弓道部?」

 その中の1人が、山根さんに手を振りながら話しかけてきた。
 少しおっとりした感じの背の高い美人さんだ。

 「おー、しーちゃんも?」

 山根さんも親しげに答えている。
 ソラは、山根さんの後ろに隠れるようにして、彼女の友人の様子を伺った。
 するとその視線に気づいたしーちゃんと呼ばれる背の高い少女は、ソラの方を見てにこっと笑いかけてきた。
 なんだか知らないが、やけに目をキラキラさせて。


 「そのちっさい子、亜希ちゃんのお友達?」

 「ちっさい言うな。悠木さんに失礼でしょ?悠木さん、この子は九条静って言って、私の悪友。結構なお金持ちのお嬢様」

 「九条、さん」

 「うん。よろしくね~。亜希ちゃんにはいつもお世話になってますぅ」


 にこにこしながら、九条さんはソラの手を握ってぶんぶんと振った。
 ソラは戸惑った様に九条さんと、山根さんの顔を見上げる。
 さっき九条さんに言われたとおり、ソラの背は低いので、3人の中では1番小さい。
 低い身長はちょっとコンプレックスで、毎日牛乳を飲んでいるが、中々伸びない。
 その代わりと言ってはなんだが、胸は身長の割に結構な成長期で中々のボリュームだ。
 スレンダーな九条さんと山根さんより、やや大きめかもしれないくらいには。
 山根さんは、すがる様に自分を見上げてくるソラを微笑ましそうに見つめ、それから、

 「で、彼女は悠木ソラさん。私のと・・・・・・クラスメイト」

 そんな風に九条さんに紹介してくれた。
 ふむふむと九条さんは相づちを打って、

 「へぇ~、じゃあ、ソラちゃんって呼ぶね!私の事も、しーちゃんって呼んで」

 屈託なくそう言った。
 何とも開けっぴろげに好意を向けられ、何だか戸惑ってしまう。
 ついつい、また助けを求める様に山根さんを見上げてしまった。

 「こらこら、私だってまだ名前の方で呼んでないのに」

 山根さんのそんな抗議に、

 「えー、悠木さんって呼ぶより、ソラちゃんの方が可愛いじゃん。私だけそう呼ぶのが羨ましいなら、亜希ちゃんも名前で呼ばせてもらえば?」

 そんな切り返し。

 「うっ、羨ましい訳じゃないけど・・・・・・」

 そう言いながら、ちらりと山根さんの視線が飛んでくる。
 何だろうと小さく首を傾げると、彼女は慌てたように目をそらし、それから再びこっちを見た。

 「じゃあ、私も名前で呼んで良い?私の事も、亜希って名前で呼んでくれて良いから」

 照れたように頬を染め、告げられた彼女の言葉にちょっと驚いた。
 名前で呼び合うなんて、まるで友達みたいーそんな風に思う。
 でも、こんな簡単に友達が出来る訳ないか、と思い直し、彼女の提案を検討する。
 自分の名前は好きだから、名前を呼んでもらえるのは素直に嬉しい。
 ソラは、少し考えた末、小さく頷いた。2人の顔を見上げ、

 「うん、いいよ。山根さん、九条さん」

 そう言うと、2人はぱっと顔を輝かせ、すぐに眉間にしわを寄せた。


 「しーちゃんでしょ、ソラちゃん」

 「亜希でいいよ、ソラ」


 そんな風に返され、ずいぶん長い間名前で呼び合う程親しい相手が居なかったソラは、困った様に彼女達の顔を見上げ、

 「・・・・・・しーちゃん。亜希ちゃん」

 観念したようにそう呼んで、はにかむように微笑んだ。
 それを見た2人の少女がうっと固まる。

 「っ!ソラちゃん、チョー可愛いっ」

 感極まったように叫んだしーちゃんにがばっと抱きしめられ、ソラは目を白黒させる。
 家族以外から、そんなスキンシップを受けるのもずいぶん久し振りだ。
 何だか胸がほっこりした。

 そんなソラの頭を、亜紀ちゃんがわしわしと撫でてくる。
 その感触に目を細めながら、ふと何だか懐かしい気持ちがわき上がってきた。

 昔。ずいぶん小さい頃。

 こんな風に誰かに頭を撫でてもらったような気がする。
 お父さんやお母さんの大きな手じゃなくて、もっと小さな掌に。
 ソラは、その手に頭を撫でてもらうのがとても好きだった。
 でも、その手は一体誰のものだったのだろう。
 随分長いこと忘れていたのですぐには思い出せなかった。

 (偉いぞ、ソラ)

 そんな風に言いながら撫でてくれるその人が、ソラは大好きだった・・・・・・ような気がする。

 (ん~、もうちょっとで思い出せそうなんだけどなぁ?)

 しーちゃんに抱きしめられ、亜希に頭を撫でられながらそんな事を考えていると、

 「委員長、なにじゃれあってんのよ?」

 そんな呆れたような声が降ってきた。

 「え?あー、佐治じゃない。弓道着、いいなぁ、かっこいいじゃん」

 羨ましそうな亜紀ちゃんの声につられるように目線を上げると、そこには部活紹介の日に的を渡してくれた弓道部員の人がいた。
 ぱっちり二重で優しげな顔立ち。
 だけど、何だかソラを見る目はちょっときつい様な気がする。

 「えと、この間はどうもありがとうございました」

 しーちゃんが離してくれないので、自由の利く範囲でぺこりと頭を下げる。
 すると、彼女は信じられないものを見るような目でソラを見て、

 「ちょっと、悠木ソラ。あんた、あたしの事ちゃんと認識してないでしょ?」

 呆れたようにそう言った。
 ソラは首を傾げる。
 ソラの認識では、彼女は部活紹介でソラに的を渡してくれた、優しい弓道部の先輩だ。だが、それが間違っていると言うことなのだろうか?
 助けを求める様に亜希ちゃんを見ると、彼女は仕方ないなぁという風に苦笑していた。

 「まあまあ、佐治。あんた、その弓道着が悪いんじゃない?」

 そんな事を言った。


 「なんでよ?」

 「ほら、ソラから見れば、弓道着を着てる時点で先輩って図式になっちゃってるんじゃないかな?」

 「・・・・・・なんでそーなんのよ。あたしの顔、ちっとも覚えてないわけ?」


 ぎろりと睨まれ、思わず首をすくめる。
 そんな彼女を亜希ちゃんがまあまあ、となだめてくれた。
 怒らせちゃったのかな?なんだか怖いーそんな事を思っていると、

 「あー、そっかぁ。そう言うこと」

 後ろからそんな声。

 「ソラちゃん、ソラちゃん。さぁちゃんは同級生だよ?」

 しーちゃんはそう言いながら、憮然とした顔の佐治さんを示した。

 (えっと・・・・・・同級生?)

 理解が追いつかずにきょとんとする。

 「しかも、ソラちゃんと亜紀ちゃんと同じクラス。だよね?さぁちゃん」

 混乱する頭に追い打ちをかけるような説明。目の前に立つ佐治さんがコクンと大きく頷く。


 「お、同じクラス?」

 「そ。しかもソラの後ろの席よ?」


 亜希ちゃんからの追加説明に目の前が真っ暗になるくらいの衝撃。
 同じクラス。しかも、後ろの席。
 そんな近くで一週間以上過ごしていたのに覚えてないとは、失礼すぎる。
 ソラの顔がさーっと青ざめた。

 「あの、その、さ、佐治、さん。あの、ごめんなさい。私、人の顔覚えるの、苦手で・・・・・・」

 あまりに情けなくて、泣きたいような気持ちで彼女を見上げる。
 彼女はそんなソラの情けない顔をしばらく眺め、大きくため息。それから呆れたように、

 「いいよ、悠木さん。後ろの席って言っても話したことほとんどないし」

 そう言って、手を伸ばしてソラの頭にぽふぽふと二度、その手を乗せた。
 気にしなくて良いよと、そう言うように。


 「う~、ごめんなさいぃ~」

 「だから、もういいって」


 苦笑混じりに笑って、

 「それより、ほら、見学に来たんでしょ?あっちで先輩方がついて弓を触らせてくれるから、早く行きなよ」

 そう言いながら、いつの間にか見学者達が移動していた先を示した。

 「あ、ほんとだ。早く行こ、2人とも。佐治、ありがとね」

 亜希ちゃんが、そう言って駆けていく。

 「あ、亜希ちゃん、まってぇ。ソラちゃん、行くよ~」

 その背中を追う様に、しーちゃんも歩き出した。もちろん、ソラの手をしっかり握って。
 彼女に引っ張られながら、ソラは佐治さんの顔を見上げた。

 「あの、ありがとう」

 お礼の言葉を告げると、

 「ん。折角だから、楽しんでいってね」

 そう言って、今度は普通に笑ってくれた。




 「ん、全員揃ったかな?」

 ソラ達が行くと、部活紹介の時に挨拶していた部長さんがそう言ってにこっと笑いかけてくれた。
 どうやらソラ達3人が揃うのを待っていてくれたようだ。

 「じゃあ、まずは弓道部の見学に来てくれてありがとう。私は部長の滝沢です。今日はうちの部員が弓を引くところを見てもらってから、みんなにも実際に弓を触ってもらうつもりです」

 そこまで言ってから、彼女はきょろきょろと辺りを見回して、


 「あ、いたいた。芝本~、お願いできる?」

 「はい」


 部長さんの呼びかけに答える涼やかな声。
 こちらに向かって姿勢良く歩いてくるその姿に、その場にいた1年生の誰もが見とれた。
 もちろんソラも例外ではなく、先日は遠目でしか見ることの出来なかった涼やかな美貌を間近で見て、思わず目で追ってしまった。
 すると、その視線に気がついたように、芝本先輩の切れ長の瞳がソラの方をちらりと見た。
 2人の視線が絡み合う。
 そして次の瞬間、芝本先輩の形の良い唇がほんのかすかに、だが緩やかな弧を描いた。

 どきっとして、ソラは思わず俯いた。
 そして、再び顔を上げた時には、芝本先輩は部長さんの隣に立ち、1年生たちの方を見ていた。

 「えっと、見覚えあるよね?今日も芝本がデモンストレーションしてくれるので、しっかり見ててね?・・・・・・じゃあ、芝本、お願いね?1射でいいから、分かりやすいようにゆっくり見せて上げて」

 芝本先輩は部長さんの言葉に頷いて、それから1年生を見回した。

 「じゃあ、これから矢を射る所を見せる。移動して構わないから、見やすい場所から見て欲しい」

 言葉少なにそう言ってから、彼女は的の方へと向き直る。
 足の位置を整えて、姿勢を正す。そしてそのまま、1年生達が落ち着くのをしばし待った。
 1年生達が位置に付き、静かになるのを待ってから、ゆっくりと弓を構えた。
 その一連の動作が、何ともいえず絵になって美しく、ソラは瞬きすることも忘れてじっと見つめた。

 たくさんの視線にさらされながら、彼女はまるで気にした様子もなく、ぐっと力強く弓を引き絞る。
 その一瞬の後には矢が解き放たれ、美しい残心。
 矢はまっすぐに的の真ん中に向かって飛び、まるで吸い込まれるように突き刺さった。
 それを確かめ、一呼吸置いた後、彼女はゆっくりと振り向いて一礼。
 拍手が沸き起こったが、冷静な表情を崩すことなく一歩引き、その場を部長さんへと譲った。

 「はい、じゃあこれからうちの部員が弓を持って呼びに行くので、声をかけられたらその部員について行って下さい。・・・・・・じゃあ、みんなよろしくね」

 部長さんの合図と共に、弓道部の先輩方が弓を手に1年生の中へ分け入ってきた。
 声をかけられた1年生が散り散りになっていく。
 私は誰と行くのかな?ーそんな事を考えながらきょろきょろしていると、

 「ソラ」

 不意に声をかけられた。
 その声の方を見れば、そこにいたのはさっきまで注目の的だった芝本先輩。
 急に名前を呼ばれ、びっくりして固まってしまったソラの様子に苦笑をもらし、彼女は大股に近づいてきて、ソラの前で足を止める。

 「何をぼーっとしてる?行くぞ?」

 そんな風に声をかけて、以外と優しくソラの手を握った。
 見上げてみれば、その瞳は楽しくて仕方がないというように笑っていて。
 ソラは、その瞳や彼女の顔、彼女の声に覚えがある気がして、ちょこんと首を傾げた。

 「ちょっとソラを借りていく。・・・・・・君たちは、ソラの友達かな?」

 そんなソラを優しい笑みで見守りながら、彼女のそばに立つ2人の女生徒に問いかける。


 「えーと、はい。友達です」

 「私もっ。お友達です」


 問いを受けた2人は、戸惑うことなくそう答えた。その答えにソラが目を見張る。
 おずおずと2人を見上げるソラに、


 「友達ってことでいいでしょ?ソラ」

 「ソラちゃんが嫌だって言っても、もう友達だよ~」


 2人はにっこり笑いかけた。
 嫌だった?ーそんな風に問われ、ソラは慌てて首を横に振る。嫌なんかじゃない。とても嬉しかった。

 「ううん。嫌じゃない。嬉しい。・・・・・・ありがと。亜希ちゃん、しーちゃん」

 そう言ってソラはふんわりと微笑んだ。
 そんなソラを、芝本先輩もまた、優しい眼差しで見つめていた。手を伸ばし、ソラの頭をわしゃわしゃと撫でる。
 その撫で方が、何だか懐かしかった。
 ソラは不思議そうな顔で、先輩の顔を見上げた。
 彼女は優しく目を細め、ソラを見つめている。

 「良い友達ができて良かったな、ソラ」

 まるで、昔から知り合いだったかのように話しかけてくる声。
 ソラの名前を呼ぶその声音を、ソラは覚えていた。やっと思い出した。
 幼い頃、ソラを可愛がって仲良くしてくれた一つ年上の女の子。
 人見知りで引っ込み思案のソラを、いつも優しく引っ張り出して、皆の輪の中に連れて行ってくれた、彼女の名前はなんと言っただろうか。
 確かー。

 「・・・・・・カエちゃん?」

 半信半疑のまま、幼い頃の彼女のあだ名を唇に乗せる。
 それを聞いた彼女は、ちょっとだけ驚いた顔をして、それからすぐに嬉しそうに笑ってくれた。


 「やっと、私の事を思い出したな?ソラ」

 「ほんとに、カエちゃん?」

 「ん。そうだぞ」


 小さい頃、色々事情が重なって、家にばかり居るようになった時、唯一辛いと思ったのは彼女に会えなくなったことだった。
 彼女に会いたいけど、でも、外に出るのは怖くて。いっぱい泣いたけど、彼女に会う事を諦めた。
 でも、今。彼女はここに居る。ソラの目の前に。すっかり大きくなって、キレイになって。


 「大きくなったな、ソラ。ずっと、会いたかったぞ」

 「・・・・・・私も、会いたかった」


 再会を喜ぶように優しく抱き寄せられ、ソラも彼女の胴着をそっと掴む。
 そんな2人を見ていた周囲の人間は大騒ぎだ。キャーッと黄色い歓声(悲鳴?)が響く。
 そんな風に公の場で学校の人気者と迂闊にも抱き合ってしまったソラの存在はあっという間に全校生徒に知れ渡りーソラがこの時の軽率な行動を後悔するのはもう少し後の事。
 今はただ、ずっと離ればなれだった幼なじみとの再会の喜びに胸を震わせるのだった。

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