531 / 545
第四→五部 婚約した後の色々なお話
第481話 マチルダとシュリ
しおりを挟む
久しぶりなのに短くてすみません。
次はこんなにあかないように少しずつ書き溜めております。
楽しく読んでいただければ嬉しいです。
********************
シュリの寝息しか聞こえてこない空間に、ノックの音が響く。
最初のノックの後に返事を待つようにしばしの間の後、
「お返事がない、わね。ジュディスさんは、今ならシュリ君は1人でお部屋にいるっていってたんだけど。お出かけでも、しちゃったかしら?」
ドアの向こうからそんな声。
でもその声でぐっすり寝入ってしまっているシュリが目を覚ますこともなく。
かといって、ドアの向こうの人も、諦めよくいなくなる気配はなく、再びドアのノックが響いた後、今度はうっすらとドアが開いた。
「シュリ君?」
控えめに呼びかける声。
声の主はドアのところで部屋の中を伺うように見回して、ベッドの上で力つきたように眠っているシュリを見つけると、嬉しそうに微笑んだ。
「なんだ。寝ちゃってたのね」
出かけちゃってなくて良かった、そう言いながら部屋に入ってきたのは、乳母のマチルダ。
普通であれば、勝手に部屋に入るのはダメなことだが、乳母である彼女は、シュリ専属である愛の奴隷達やキキと同様に、鍵が閉まってなければ入っていい事になっている。
そんな訳で。
許可されているのだから堂々と入ってくればいいのに、恐る恐るおずおずと部屋に入り込んだマチルダは、眠っているシュリの傍らにそっと腰を下ろした。
すると彼女の重みを受けてベッドが揺れ、その刺激を受けたシュリが寝返りを打って仰向けになる。
そんなシュリの寝乱れた髪を、慈母の微笑みを浮かべたマチルダが指先で優しく整え、懐かしい気配に反応したシュリが彼女の方へとにじり寄り。
結果、シュリの頭はマチルダの太股の上におさまった。
いわゆる膝枕、というやつである。
マチルダは、自分の太股の上におさまったシュリを一瞬きょとんとして見つめたが、その顔にはすぐに幸せそうな笑みが浮かんだ。
「ふふっ。こんなおばちゃんの膝枕がいいなんて。シュリ君は変わり者ですね~?」
なんて話しかけつつ、さっきの続きとばかりにシュリの髪を撫でる。
その手のひらに、甘えるように頭をぐりぐりと押しつけてもっと撫でろと言わんばかりのシュリに、マチルダはもうメロメロだ。
きゅんきゅんする胸に、
(これは母性。母性なのよ!!)
そう己に言い聞かせ、理性を総動員して眠るシュリを見守る。
そんなマチルダの理性を試すように、シュリがもぞもぞと動き出した。
大好きなもう1人のお母さんのにおいと包容力に包まれたシュリは、大変幸福な夢を見ていた。
それは今よりもっとちっちゃなころの夢。
毎日マチルダに甘やかされていた、赤ちゃんの頃の夢だ。
赤ちゃんのシュリはお腹を空かせて捜し物をしている。
赤ちゃんのシュリにとっては主食でありおやつでもあるような栄養の源、魅惑の液体を。
赤ちゃんの頃のように、親指をくわえてちゅぱちゅぱする様子に、マチルダははっとする。
その仕草は、昔から変わらず、シュリのお腹が空いたというおっぱい催促のサインだった。
「こ、困ったわ。さすがにもう出ないと思うし」
シュリの為の母乳を保ちたい、とおっぱいマッサージは続けていたが、そもそも母乳というものは、生まれた子供を育てる為に出るものだ。
生まれたての子供もいないのに、ほいほい出てくるものではない。
「で、でも、前にシュリ君が吸ったら出てきた事もあったわよね?」
以前の事を思い出し、マチルダは眠りながら親指を吸うシュリを見つめた。
「た、試してみる価値は、あるのかしら?」
そしてごくりと唾を飲み込み、胸元をくつろげてシュリを抱き直す。
授乳しやすい体勢へと。
それを察知したシュリは、本能のままに自分が吸いつくべき場所を探し始める。
「シュリ君? おっぱいですよ~?」
赤ちゃんの如くおっぱいを求めるシュリの口元に、マチルダは自分の胸を近づけていく。小さいけれどもう赤ちゃんではないシュリに授乳を試みる、という行為は何ともいえない背徳感があった。
シュリは、赤ちゃんの頃から慣れ親しんだおっぱいに唇をすり付け。
それを見つけた瞬間にはぷっと吸いついた。
その瞬間、マチルダの背筋に甘い電流が走り、こぼれ落ちそうになる不適切な声をどうにかしてこらえる。
そんなマチルダのことを知ってか知らずか、シュリは容赦なくおっぱいを吸い始めた。出るはずのない、母乳を求めて。
片手で口を覆い、あふれ出そうになる声と衝動をどうにかこらえていたマチルダは、しばらくして不思議な事に気がついた。
おっぱいを無心に吸っているシュリののどが何かを飲み込むように動いており、どうやら自分の胸の先から液体があふれ出しているようだという事実に。
枯れ果てたと思っていた母乳が出ている事実を前に、マチルダは目を丸くする。
そして思う。
母性ってすごい、と。
そんなマチルダはもちろん知らない。
このわき出る母乳の原因が、シュリの称号だということを。
でも、まあ、世の中、知らなくていいこと、というものもあるのである。
真実を知らないマチルダは、己の母性に感動しつつ、そのまましばらく授乳を続けるのだった。
次はこんなにあかないように少しずつ書き溜めております。
楽しく読んでいただければ嬉しいです。
********************
シュリの寝息しか聞こえてこない空間に、ノックの音が響く。
最初のノックの後に返事を待つようにしばしの間の後、
「お返事がない、わね。ジュディスさんは、今ならシュリ君は1人でお部屋にいるっていってたんだけど。お出かけでも、しちゃったかしら?」
ドアの向こうからそんな声。
でもその声でぐっすり寝入ってしまっているシュリが目を覚ますこともなく。
かといって、ドアの向こうの人も、諦めよくいなくなる気配はなく、再びドアのノックが響いた後、今度はうっすらとドアが開いた。
「シュリ君?」
控えめに呼びかける声。
声の主はドアのところで部屋の中を伺うように見回して、ベッドの上で力つきたように眠っているシュリを見つけると、嬉しそうに微笑んだ。
「なんだ。寝ちゃってたのね」
出かけちゃってなくて良かった、そう言いながら部屋に入ってきたのは、乳母のマチルダ。
普通であれば、勝手に部屋に入るのはダメなことだが、乳母である彼女は、シュリ専属である愛の奴隷達やキキと同様に、鍵が閉まってなければ入っていい事になっている。
そんな訳で。
許可されているのだから堂々と入ってくればいいのに、恐る恐るおずおずと部屋に入り込んだマチルダは、眠っているシュリの傍らにそっと腰を下ろした。
すると彼女の重みを受けてベッドが揺れ、その刺激を受けたシュリが寝返りを打って仰向けになる。
そんなシュリの寝乱れた髪を、慈母の微笑みを浮かべたマチルダが指先で優しく整え、懐かしい気配に反応したシュリが彼女の方へとにじり寄り。
結果、シュリの頭はマチルダの太股の上におさまった。
いわゆる膝枕、というやつである。
マチルダは、自分の太股の上におさまったシュリを一瞬きょとんとして見つめたが、その顔にはすぐに幸せそうな笑みが浮かんだ。
「ふふっ。こんなおばちゃんの膝枕がいいなんて。シュリ君は変わり者ですね~?」
なんて話しかけつつ、さっきの続きとばかりにシュリの髪を撫でる。
その手のひらに、甘えるように頭をぐりぐりと押しつけてもっと撫でろと言わんばかりのシュリに、マチルダはもうメロメロだ。
きゅんきゅんする胸に、
(これは母性。母性なのよ!!)
そう己に言い聞かせ、理性を総動員して眠るシュリを見守る。
そんなマチルダの理性を試すように、シュリがもぞもぞと動き出した。
大好きなもう1人のお母さんのにおいと包容力に包まれたシュリは、大変幸福な夢を見ていた。
それは今よりもっとちっちゃなころの夢。
毎日マチルダに甘やかされていた、赤ちゃんの頃の夢だ。
赤ちゃんのシュリはお腹を空かせて捜し物をしている。
赤ちゃんのシュリにとっては主食でありおやつでもあるような栄養の源、魅惑の液体を。
赤ちゃんの頃のように、親指をくわえてちゅぱちゅぱする様子に、マチルダははっとする。
その仕草は、昔から変わらず、シュリのお腹が空いたというおっぱい催促のサインだった。
「こ、困ったわ。さすがにもう出ないと思うし」
シュリの為の母乳を保ちたい、とおっぱいマッサージは続けていたが、そもそも母乳というものは、生まれた子供を育てる為に出るものだ。
生まれたての子供もいないのに、ほいほい出てくるものではない。
「で、でも、前にシュリ君が吸ったら出てきた事もあったわよね?」
以前の事を思い出し、マチルダは眠りながら親指を吸うシュリを見つめた。
「た、試してみる価値は、あるのかしら?」
そしてごくりと唾を飲み込み、胸元をくつろげてシュリを抱き直す。
授乳しやすい体勢へと。
それを察知したシュリは、本能のままに自分が吸いつくべき場所を探し始める。
「シュリ君? おっぱいですよ~?」
赤ちゃんの如くおっぱいを求めるシュリの口元に、マチルダは自分の胸を近づけていく。小さいけれどもう赤ちゃんではないシュリに授乳を試みる、という行為は何ともいえない背徳感があった。
シュリは、赤ちゃんの頃から慣れ親しんだおっぱいに唇をすり付け。
それを見つけた瞬間にはぷっと吸いついた。
その瞬間、マチルダの背筋に甘い電流が走り、こぼれ落ちそうになる不適切な声をどうにかしてこらえる。
そんなマチルダのことを知ってか知らずか、シュリは容赦なくおっぱいを吸い始めた。出るはずのない、母乳を求めて。
片手で口を覆い、あふれ出そうになる声と衝動をどうにかこらえていたマチルダは、しばらくして不思議な事に気がついた。
おっぱいを無心に吸っているシュリののどが何かを飲み込むように動いており、どうやら自分の胸の先から液体があふれ出しているようだという事実に。
枯れ果てたと思っていた母乳が出ている事実を前に、マチルダは目を丸くする。
そして思う。
母性ってすごい、と。
そんなマチルダはもちろん知らない。
このわき出る母乳の原因が、シュリの称号だということを。
でも、まあ、世の中、知らなくていいこと、というものもあるのである。
真実を知らないマチルダは、己の母性に感動しつつ、そのまましばらく授乳を続けるのだった。
1
お気に入りに追加
2,134
あなたにおすすめの小説
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる