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第四部 王都の新たな日々
第393話 わらしべ長者な長い1日③
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己の想い人・キルーシャが想いを寄せる少年と話をつけよう、と後をつけたのは良かったが、声をかけようと思うタイミングでことごとく邪魔が入り。
最初は担いだ薪の紐が切れて困っている男。
次に、ダンジョンに入るのに灯りを買う金も使い果たしてしまった間抜けな冒険者達。
更に、腹を下した老人が現れ、恋人への贈り物を無くして嘆いている農家の青年が現れて。
キルーシャが想う少年は、その全ての人へ嫌な顔ひとつせずに救いの手を差し伸べた。
身分のある者は高慢な生き物だ、とずっと思ってきた。
それが全てではないとは分かっているが、それでもそうじゃない例にはほとんどお目にかかる事が無かった。
だが、あの少年の心根はキルーシャが想うだけあって、身分がある者にしては悪くない。
いや、むしろ尊敬に値する、といってもいい。
彼の後をついて歩くうちにそう思うようになっていた。
まあ、最後に行った先にいた美人シスターに色目を使っていた事だけはいただけないが。
と、シュリが聞いていたら、色目なんていつ使った!? 、と怒るような事を考えながら、ジガドは物陰からシュリの様子を見守っていた。
だが次の瞬間、
「ジガド~? そろそろBBQの準備するから手伝ってよ」
そう声をかけられて驚愕する。
完璧に隠れていたつもりだったが、あの幼い主にはお見通しだったようだ。
憮然とした表情で草むらから立ち上がると、それとは対照的な表情で主がにっこりと微笑む。
そして更にジガドを驚愕させた。
「ファルマも、いるんでしょ? 手伝ってくれたらおいしいお肉をごちそうするから出ておいで」
なんでここでファルマの名前が出る!? 、と驚いて振り向くと、少し離れた物陰から、気まずそうな顔のファルマが出てきた。
じ、と見つめると、つぃっと目を反らすその様子から、彼女が自分をつけてきていたのだという事実を知る。
(いくら尾行に集中していたとはいえ、己がつけられていることに気づけないとは)
己を情けなく思うのと同時に、ファルマの技量に素直に感嘆した。
戦うだけが得意な奴だと思っていたが、そうじゃなかったんだな、と。
「ほら、2人とも早くこっちに来てよ。ジガドはそっちで、ファルマはその隣をよろしく。食べ盛りの子供達が来るからじゃんじゃん焼いてあげてね。僕はあっちで焼いてるから」
てきぱきとそう指示を出し、はい、これトングね、と肉や野菜を挟むのであろう器具を手渡し、シュリはさっさと自分の配置についた。
ジガドとファルマはトングを片手にしばし立ち尽くし。
だが、いつまでもそうしているわけにもいかないので、
「……仕方ない。配置につくか」
「……そうだね」
ぼそぼそと言葉を交わして、指示された場所へ移動した。
「ファルマ! ジガドが困ってたら助けてあげてね~」
そう言いながら、金属の網の上に肉やら野菜やらをせっせと並べ始めたシュリを見ながら、見よう見まねで同じように食材を網の上に並べていく。
焼きあがった食材につけるタレは別にあるらしく、食材への味付けも特になく、普段は自分で料理などしないジガドであってもどうにかなった。
野営で肉を焼くときは、串に刺して直火であぶることが多かったが、大人数で食べるならこう言うのも悪くないかもな、などと思いながら食材を焼く。
片面が程良く焼けたら裏返し、両面焼けたら順番に並ぶやせ細った子供達の持つ器の中へ肉や野菜を惜しみなく入れてやった。
彼の焼いた肉を見て顔を輝かせる子供達の様子に、心が温かくなるのを感じながら。
そうしてしばらく焼き続け。
ふと気がつくと、彼の前に並ぶ子供達の列がなんだか長くなっていた。
何でだろうと横を見ると、ファルマのところは子供の姿が少なく、なんだか暇を持て余しているように見えた。
そこで、並ぶ子供達の1人に聞いてみる。
「おい、坊主」
「なに?」
「どうしてあっちに並ばないんだ? あっちの方が早く肉をもらえるぞ??」
「あのねーちゃん、肉も野菜も焼きすぎて焦げてるから美味しくないんだよ」
少年はそう言い残し、肉の入った器を持って駆け去る。
そういうことか、と横に顔を向け、
「ファルマ、肉を焼きすぎだ。ちょっとくらい赤いところがあったって腹なんてこわさないさ。焦げるまで焼いたら、いい肉と野菜がもったいないぞ?」
そう助言する。
「う……わ、わかってるわよ。焦げないように焼けばいいんでしょ? 焦げないように焼けば」
唇を尖らせ、不器用に肉や野菜をひっくり返す姿に笑みが誘われる。
そういえば、昔からこいつは料理が苦手だったな、と。
何でも器用にこなすキルーシャと違って。
(戦いに関しては何でも器用にこなす奴なんだけどな)
戦いの場では非常に頼りになる相棒のような存在の幼なじみを、作業の合間にちらちらと眺める。
網の上で焼ける食材を真剣に眺めるその横顔を見ながら思う。
こいつ、けっこういい女だったんだな、と。
今まで彼女を女としてみる事なんて無かった気がする。
ジガドにとっての女性は、手には入らないと分かってからもなお、キルーシャだけだったから。
ファルマは、子供の頃からやんちゃで、ずっと同性の友人のようなつき合い方をしていたから、彼女が女だという事実を、意識せずに生きてきた。
今、この時まで。
ようやくコツがつかめたのか、焦げずに焼けるようになった食材を子供に配りながら、ファルマが笑う。
その笑顔がなんだかまぶしいような気がして、ジガドは彼女の横顔から目を反らした。
彼女から視線を反らしたその先には、ジガド達と同じようにせっせと食材を焼いて子供達へ配るシュリの姿があって。
貴族のぼんぼんのはずなのに、全くそう見えないその姿に、ジガドの口元に笑みが浮かんだ。
会った瞬間から。
いや、会う前から。
とにかく腹立たしいだけの存在だった。
どうにかしてなんとしても、キルーシャの心をあの子供から奪い返したいと思っていた。
あんな子供はキルーシャにふさわしくない。
そんな心の声のままに。
でも、今なら分かる。
キルーシャの言っていた言葉の意味が。
彼女は言っていた。
幼き主の傍らに存在するのにふさわしい人間になりたい。
その為にはどんな努力もいとわない、と。
その言葉を聞いたとき、ジガドは鼻で笑ったし、実際にキルーシャがご執心の貴族の子供を見たときにも思った。
見目が美しいだけの、ただの子供じゃないか、と。
そこに貴族という身分がくっついているから、周囲がちやほやしているだけ。
金も身分も無くしたら、そこに残るのはただの子供でしかない。
そう、思っていた。
だが、今日、今ここでたくさんの人に囲まれ、その笑顔を生み出している彼は、それを金で買った訳ではない。
ちょっとの幸運と優しい心。
彼が今日使ったのはそれだけだ。
まあ、最後に少しだけ、金を使いはしたが、そんなのちょっとしたスパイスに過ぎない。
たとえそれが無かったとしても……
「やあやあ、坊や。今朝は助かったよ。きちんとお礼がしたくて坊やを捜していたら、孤児院で炊き出しをやっていると聞いてね。近所の連中に話したら感心な坊やだって盛り上がって、是非手助けをしたいって事になったんだよ。余ってる食材やら色々抱えて手伝いに来たんだが、迷惑じゃないかな?」
最初に合流してきたのは、今朝、薪で困っていた男。
彼は、食材やら日用品やらを抱えた男達を引き連れて現れた。
「わぁ。いいんですか? こんなに色々もらっても」
「家で使わないようなもので悪いが、孤児院でなら役に立ててもらえるかと思ってね。ここは、坊やが懇意にしてる孤児院なのかい?」
「はい。個人的に……」
「そうか。なら、近所のよしみもあるし、薪や余った食材や日用品を、時々届けてあげよう」
「すごいや。助かります」
「いいんだよ。今朝は本当に助かったんだから」
目を輝かせにこにこするシュリの様子に相好を崩し、薪の男も周囲の男達も、目の前の愛らしい少年にすっかりメロメロだ。
近くには、この孤児院の美人シスターもいるのに、シュリを取り囲むおじさん達が例外なくシュリの方に関心を持っている様子は少々異様なようにも思えたが、あの少年の稀有な魅力がそうさせるのだろう。
薪の男達は、持ってきた物を食材の山の側に置くと、シュリやシスターに促されるまま、BBQに参加する事にしたようだ。
子供達に混じって談笑する彼らを見るとはなしに見ていると、
「お、いたいた。今朝はたいまつ……っつーか、薪な。あれ、すげえ助かったよ。おかげで初ダンジョンのクエストも大成功だったし、なんかきちんとした礼をしねーと気がすまねぇよなってこいつとも話してさ。で、ちょっと聞き込みしたら、特徴ぴったりの子供が孤児院でなんかしてるって情報をゲットしたわけよ」
「そうそう。それでこうしてお土産をしとめて持ってきたってわけ」
次に話しかけてきたのは冒険者らしき風体の男女2人組。
男の方が大きな草食の獣を肩に担ぎ、女の方は数羽の鳥を手にぶら下げていた。
「わぁ。すごいね!! こんなにいっぱい捕ってきてくれたの?」
「まあな! 村では猟師みたいな事もしてたし、狩りは得意なんだ」
「そうそう。私の武器、弓だしね!!」
にこにこ笑うシュリの賞賛を受けて、2人は得意そうに胸を張る。
すると周囲に散っていたおじさん達がわらわらと寄ってきて、獣や鳥をさばいてあげよう、と彼らの獲物を引き取っていった。
「いやあ、でも、思ったより人が集まってんのな。炊き出しか? これ。この孤児院の連中と仲いいのか?」
「うん。そうなんだよ。えっと、おにーさんとおねーさん……」
「あ、まだ、自己紹介してなかったっけか。俺はユージスで、こいつはリラン。今日デビューしたてほやほやの有望な冒険者だぜ!!」
「ユージスさんにリランさん、かぁ」
「さんはいらねぇよ。呼び捨てでいいって」
「えっと、じゃあ、ユージスとリラン。僕はシュリ。よろしくね」
「おう、よろしくな! で、なんだ? さっきなんか言い掛けたよな?」
「うん。あのさ? この孤児院、あんまり支援してくれる人がいなくて、シスターも子供達も困ってたみたいなんだ。だから、もしよかったら」
「みなまで言うな。まかせとけ!!」
「え、えっと?」
「こいつはこう言いたいのよ。冒険のついでにたまに様子を見に来てやるから心配いらない、って。狩りは得意だし、冒険のついでにまた獲物をゲットして持ってくるようにするわ」
任せておいて、そう言ってリランという冒険者はぱちりとウィンクをした。
シュリはほっとしたように微笑み、彼らにもBBQへの参加を促した。
冒険者達はもともと子供好きなのか、孤児院の子供達と仲良く交流しながら食事を楽しんでいるようだ。
そうこうしているうちに、次にやってきたのは腹を下していた老人。
彼はシュリを見つけると駆け寄って、
「おお、坊主。お主がこの孤児院で何かやっておると聞きつけてな。手ぶらでやってくるのもどうかと思い、ほれ、こうして魚を釣って持ってきたぞ」
老人はそう言って、ぶら下げてきた大量の魚をシュリに手渡した。
「おじいさん、ありがとう!! お腹の調子は大丈夫ですか?」
受け取ったシュリは、にこにこ笑いながらおじいさんの体調をねぎらう。
その魚は、駆け寄ってきたおじさんが回収し、子供達や2人の冒険者が一緒になって串をうち塩をふって焼かれ始めた。
そんな中、老人は機嫌良くシュリに話しかける。
「うむ。お主がくれた薬草のおかげで何ともないわい。それどころか、妙に調子が良くてな!! あれほど深刻だったスランプもどこかへいってしまったようじゃ。お主から得たインスピレーションのおかげかもしれんの。ほれ、これがお主をイメージして作ったものじゃ。良かったら受け取ってくれい」
言いながら差し出されたのは繊細な細工のネックレス。
昼間もらったものより手が込んでおり、格段に高級そうなそれを反射的に受け取りながら、
「これ、すごく高そうなんですけど、僕がもらっちゃっていいんですか?」
そう問いかける。
「うむ。お主の為に作ったものじゃからな!! 他の奴には似合わん品じゃ。まあ、気にいらんかったら売るなり捨てるなり好きにしていいぞ? 細工師ギルエン・ドージの作だと言って売ればそれなりの値がつくじゃろう。一応銘は入れてあるが、そんな物が無くとも見るものが見れば分かるはずじゃ」
答えた老人はわはは、と笑い、シュリの目が丸くなる。
目の前の老人がそれほどの人物だとは思っていなかったのだろう。
シュリは手渡されたネックレスをもう一度ながめ、それから自分の首にかけた。
それから老人……ギルエンの顔を見上げた。
「似合います?」
「おう。よう似合っとる」
「僕のために作ってくれてありがとうございます。大事にします」
「気にせず売ってもええんじゃぞ?」
「売りませんよ。僕もこの子を気に入りましたから」
そう言って、シュリは胸元を飾る細工をそっと撫でる。
ギルエンはその様子を嬉しそうに眺めた。
「ふむ。ふさわしい貰い手に貰ってもらえて、そいつも幸せ者じゃな。よし。用事も済んだし、わしはそろそろ……」
「ギルエンさん?」
「ん? なんじゃな?」
「お願いがあるんですけど、聞いてもらえます? 聞いて貰うだけでもいいので」
「む? まあ、お主には恩があるからのう。聞いてやるからこの爺にいってみろ」
「この孤児院の子供達がちょっとした手仕事が出来るように、簡単な技術とかを教えてあげる事って出来ませんか?」
「ふむ。ここの子供らを、か?」
「はい。この孤児院はあまり助けがないみたいで貧しいんです。お金をだして一時しのぎをさせてあげる事は出来るけど、それよりも子供達が技術を学んで手に職を持てるようになったらもっといいんじゃないかなぁっておもって」
「なるほど。お主はここの孤児達を、助けてやりたい、と思っておるということじゃな」
「はい。出来ることなら。どうでしょう? 技術を教えて貰うのは難しい、ですか?」
「いや。基本的な事を教えるくらいならそれほど手間もかからんじゃろ。じゃが、覚える技術が彫金細工だけ、というのもなんじゃし、わしの職人仲間にも慈善事業の誘いをかけておくか。他ならぬお主の願いじゃ。このわしに任せておけい」
「ありがとうございます、おじいさん」
「ふむ。それ、なんじゃがの」
「えっと、なんでしょう?」
「わしに敬語は無用じゃし、わしのことはおじいちゃん、と呼んでくれてええんじゃぞ? お主とわしの仲じゃしな!!」
どんな仲だよ、と思わないでもないが、協力して貰うんだからそれくらいいっか、とでも言いたそうな顔でシュリは一瞬沈黙し。
だがすぐににっこり愛らしい笑顔を作った。
「うん。おじいちゃん。ありがとう!!」
「ふぐおぉぅっ!! なんちゅう破壊力じゃ。う、うむ。この孤児院の子供達の自立はこのおじいちゃんが何とかしてやるでの。どーんと任せておけぃ!!」
はっはっはっ、と笑い、その老人はシュリが引き留める間もなく去っていった。
恐らく、早速職人仲間に連絡を取り合ってくれる気なんだろう。
なんていう人たらし能力だ、と感嘆しながら、ジガドはシュリを見つめる。
だが、さすがにそろそろ打ち止めだろう、と思っていたら、メエメエ無く生き物を連れたカップルが仲良く連れ立って現れた。
いちゃいちゃべたべたの幸せオーラ全開の2人は、シュリを見つけてぱっと顔を輝かせる。
男の方が駆け寄り、シュリの両手を掴んで、
「坊や!! 坊やのおかげでメリーがおらの嫁こさ来てくれることになっただよおぉ!!」
そう吠える。
まんまるくなった目で、自分の手を掴む農夫と、その傍らで幸せそうに頬を染めるふっくら柔らかで優しそうな乙女を交互に見て、それから本当に嬉しそうに微笑んだ。
「よかった。おめでとうございます」
「全部、あそこでおらを助けて背中を押してくれた坊やのおかげだぁ。その話をメリーにしたら、なんとしても礼がしてぇって言ってよ。なあ? メリー」
「んだぁ。だども、なにあげたら喜んでくれるかわかんねかったし、お父に相談して、うちで1番めんこい子ぉ連れてきただよ。かわいがってやって欲しいだ」
言いながらメリーが示したのは、もっふもふの羊毛に包まれたつぶらな瞳の羊さん。
その羊はメリーに促されるままにシュリの前まで歩いてきて、メエェ、と一声鳴いた。よろしくね、とでも言うかのように。
「この子は女の子だで、毛もとれるし乳もとれる。土地になじんで落ち着いたら、種付けしてやるから子っこ生まして増やすとええだ」
にこにこしながらメリーが説明してくれる。
シュリは頷きながら彼女の言葉に耳を傾け、大人しく待つ羊をねぎらうようにその頭を撫でた。
「メリーさん、ありがとうございます! この羊さんは、この孤児院で大切に育てますね。それで、あの、たまにでいいんですが、羊の世話の仕方や羊毛の処理の仕方をここの子供達に教えてもらえませんか?」
「もちろん、ええだよ。ここの子等に、羊飼いのノウハウをしっかりと教え込んでやるだ。なあ、お前さん」
「んだなぁ。なら、メリーが羊の事を教えるときはおらもついてきて、うんまい作物の育て方でも教えてやるっぺよ。そうすりゃ、ちっちゃな家庭菜園でもちっとは腹の足しにできるっぺ」
シュリの言葉にメリーが頷き、農夫の若者もにこにこしながら言い添える。
シュリはもう1度、農夫と牧場娘のカップルにお礼を言ってから、2人と貰った羊をシスターの元へと連れて行く。
そこで、この孤児院への助力を約束してくれた人達の話でもしたのだろう。
感動したらしいシスターがひざまづいて自分に向かって祈りはじめようとするのを慌てて止めようとしている様子を見ていたら、自然と口元に笑みが浮かんでいた。
「あ~、疲れたわね。ぼーっとシュリ様を見てられるって事はそっちも一段落?」
「ああ、まぁな」
肩を回しながら、本当に疲れた様子でやってきた幼なじみを、苦笑と共に迎える。
子供達も後から加わった大人達もそれなりに腹が膨れたのだろう。
さっきまで肉、肉、と群がってきていた人だかりはもう無く、ジガドもファルマもようやく息をつくことが出来た。
焼き網の前を離れ、人々の喧噪から少し外れた辺りで2人は並んで腰を下ろす。
そこで再びシュリの様子を眺めた。
そうして気づく。
今朝、シュリを追って屋敷を出たときには確かにあった敵愾心のようなな感情は、もう自分の中のどこを探しても残っていないと言うことに。
そんな毒気の抜けたジガドの顔を見て、幼なじみは言う。
なんだかすっきりした顔をしてる、と。
そうだろうか、とジガドは自分の顔をつるりと撫でる。
自分ではよく分からないな、と思いながら。
「ジガド、ファルマ。お疲れさま」
さっきまで遠くに眺めていた相手の声が間近で聞こえ、はっとして目を向けると、にこにこ顔のシュリが肉を山盛りにしたお皿を持ってそこにいた。
シュリはそのお皿を有無を言わせずジガドに押しつけて走り去り、次に戻ってきた時には3人分の飲み物を抱えていて。
渡された飲み物をちびりと飲み、すすめられるままに肉を口に運ぶ。
そうしてしばらく3人で黙々と肉を食べては飲み物を飲み、それが一段落したところでシュリが口を開いた。
「で、ジガドは何か僕に言いたいことがあるんでしょ?」
その問いを受け、ジガドはしばし考え込む。
今朝は確かにあったのだ。目の前の少年にぶつけたい文句やら恨み言が山ほど。でも今は。
「言いたいこと、か。今朝は確かにあったんだがな。いや、あったんですが」
「敬語はいらないよ。自然に話してよ。あ、ファルマもね?」
「そうか? そう言ってもらえるならそうしよう」
「じゃあ、言葉に甘えてそうするわ」
「うん。そうしてもらえた方が僕も嬉しい。えっと、話を戻すけど、今朝はあったんだよね? 言いたいこと。今は? なくなっちゃったの??」
「そうだな。少なくとも、顔を見る度に文句が浮かんではこなくなったな」
「そ、そうなんだ? じゃあ、今朝までは僕の顔を見る度に文句が浮かんでたってことかぁ。なら、僕がみるジガドの顔がいつも仏頂面だったのも仕方ないね」
そんなシュリの言葉に、ジガドは驚いた顔をする。
己は自分の感情をそんなに顔に出していただろうか、と。
「仏頂面。そうだったか?」
「そうだったよ?」
「そうだったわよ?」
ジガドの問いかけに、シュリとファルマの声が重なる。
2人は顔を見合わせて、ね、と頷きあい、その姉弟のような仲のいい様子に、ジガドは己の口元が柔らかくゆるむのを感じた。
「そうか。それはすまなかった。だが、まあ、そうやって顔を見る度に文句が浮かぶ事は無くなったから、これからはちょっとはましになる、はずだ。ときにシュリよ、少したずねてもいいか?」
「質問? いいよ」
「今朝からお前は色々な物を貰い、手放した。結果、お前の手にはなにも残らなかっただろう? 惜しいとは思わなかったのか? それとも、裕福だからそんなものは必要無かった、ということか?」
ジガドの口から出た問いかけを、シュリはちょっと拍子抜けした気持ちで聞く。
たずねてもいいか、そう言われたときに、絶対にキルーシャの事を聞かれるんだろうな、と構えていたから。
思いもしなかった質問を受け、シュリはしばし考えをまとめるように沈黙した。
そしてゆっくりと口を開く。
「ん~。貰った物はみんな嬉しかったし、持ち帰れるならちゃんと持ち帰ったと思うよ? お金を出せば買えてしまうものだけど、どれもみんな気持ちのこもった物だったからね。ただ、それを僕より必要としていた人がいた。それだけのことだよ。だから、惜しいとは思わない。それにさ、なにも残らなかった、なんて事はないんじゃないかな?」
「だが、最後に貰った野菜もこうしてみんなで食ってしまったし、残っったものだって孤児院の子供達にやるんだろう? むしろ、大量の肉を買ってこうして与えて、なにも残らないどころか出費が増えているじゃないか。俺には、マイナスしかないように見えるがな」
「え~? ちゃんと残ったよ」
「なにが、と聞いていいか?」
いいけど、一目瞭然だと思うけどなぁ。ちょっぴり苦笑しながら、シュリは孤児院の庭で食事を楽しむ子供達を目で示した。
それを目で追ったジガドは、まさかな、と思いながら口を開く。
「まさか、子供達の笑顔が残った、とか言うんじゃないだろうな?」
「ちゃんと分かってるじゃない。そ。あの子達の笑顔が、僕が最後に貰ったものだよ。ね? ちゃんと1番いいものが残ってるでしょ?」
シュリは心からそう思ってるのだろう。
晴れやかに微笑む表情に嘘はない。
お前はどこの聖人様だ、と思いながらジガドは己の口があんぐり開くのを感じた。
「……ぷ。あはは!! ジガド、あんたの負けね」
そんな2人の顔を見比べ、ファルマが笑い出す。
「……ああ。わかってるさ」
笑われながら、ジガドも苦虫を噛み潰したような顔で渋々頷いた。
キルーシャはこの少年の、計算のない度量の広さに惹かれたのだろう。
今、この瞬間。
自分がこの少年に打ちのめされたように。
「シュリ~。そんなおっさん達と話してないでこっちで遊ぼうぜ~」
「シュリ~。あそぼ~」
短い時間の間にすっかりシュリに心を許したらしい孤児達が彼を呼ぶ。
笑顔が1番だと言い切った少年は、仕方ないなぁ、と苦笑しながら立ち上がり、彼を待つ孤児達の方へと走っていく。
その背中を見送っていると、不意にシュリが振り向いた。
「あ、2人とも。先に帰っててもいいよ? 僕はもうしばらくここにいて、片づけをしてから帰るから」
その口から出てきたのはそんな言葉。
不遜な貴族からは、決して出てきそうもない言葉だ。
ジガドは笑い、
「俺達も最後までつき合おう。一緒に片づけて、お前を護衛して帰ることにする。それが俺の仕事だし、俺の望みでもある」
大きな声でそう返す。
シュリはそれ以上は言い募らずに頷いて返し、それから己を待つ孤児達のところへと向かった。
それを目で追いかけ、主の幼い姿が孤児達の中に加わるのを確かめてから小さく息をつき、空を仰いだ。
キルーシャの事はあきらめよう。自分はあの少年にかなわない。
素直にそう思えたことに、少しだけほっとしながら。
「飲む?」
いつの間にとってきたのか、ファルマの手には2人分の飲み物。
ジガドは黙ってそれを受け取り一口飲んで顔をしかめた。
「酒か? まだ仕事中だぞ」
「1杯だけよ。それくらいなら酔ったりしないでしょ? 私も、あんたも。ようやくキルーシャを諦めることができたんだし、それくらいいいじゃない。仕事が終わったら、今日は朝までつき合うわよ。飲み明かしましょ」
「……俺の顔は、そんなにわかりやすいのか?」
憮然とした顔で思わず呟くと、ファルマはそんなジガドがおかしくてたまらないというように笑った。
その笑顔が少しだけまぶしく感じたのは、きっといま飲んだ酒のせいなのだろう。
言葉の通り、ファルマがそれ以上酒を勧めてくることもなく。
お開きになったBBQという食事会の片づけを己の主と認めた少年の指示の元率先して行い、彼を護衛して帰途についた。
無事に幼い主が屋敷の中に消えたのを確認してから、約束通りファルマと酒を飲むために彼女を己に与えられた部屋へ招く。
[砂の勇士]の全てにではないが、キルーシャと幹部とみなされているファルマとジガド、それから体調を崩している者や年長者の一部には、空いている部屋が割り振られ、天幕で寝なくても言いように配慮されていた。
ジガドもファルマも、それぞれ部屋を与えられているので、別にファルマの部屋でも良かったのだが、女性1人の部屋に押し掛けるのはどうだろうと配慮した結果、彼女を己の部屋へ招くことにしたのだった。
その夜、2人の間になにがあったか、それは2人だけの秘密である。
◆◇◆
なんて事はもちろんなく。
「そんなわけで、ジガドは私の男になったから!!」
部族内のライバルに対して、ファルマの口からしっかりと恋人宣言と報告があり。
その話は流れに流れてルバーノの屋敷中に広がった。
密かに彼を狙っていた砂の部族の若い娘は悔しがり、ファルマの想いを薄々知っていたキルーシャは幼なじみ2人の恋を祝福しつつほっと胸をなでおろし。
そんな様子を遠目で見ていたシュリは、
(ジガドってモテるんだなぁ。筋肉あって男らしくてかっこいいもんねぇ。筋肉……いいなぁ、筋肉)
ちょっぴり見当違いな感想を抱きつつ、地道な筋トレをしても一向に育つ気配のない己の筋肉に目を落とし、ひっそり吐息を漏らしたのだった。
最初は担いだ薪の紐が切れて困っている男。
次に、ダンジョンに入るのに灯りを買う金も使い果たしてしまった間抜けな冒険者達。
更に、腹を下した老人が現れ、恋人への贈り物を無くして嘆いている農家の青年が現れて。
キルーシャが想う少年は、その全ての人へ嫌な顔ひとつせずに救いの手を差し伸べた。
身分のある者は高慢な生き物だ、とずっと思ってきた。
それが全てではないとは分かっているが、それでもそうじゃない例にはほとんどお目にかかる事が無かった。
だが、あの少年の心根はキルーシャが想うだけあって、身分がある者にしては悪くない。
いや、むしろ尊敬に値する、といってもいい。
彼の後をついて歩くうちにそう思うようになっていた。
まあ、最後に行った先にいた美人シスターに色目を使っていた事だけはいただけないが。
と、シュリが聞いていたら、色目なんていつ使った!? 、と怒るような事を考えながら、ジガドは物陰からシュリの様子を見守っていた。
だが次の瞬間、
「ジガド~? そろそろBBQの準備するから手伝ってよ」
そう声をかけられて驚愕する。
完璧に隠れていたつもりだったが、あの幼い主にはお見通しだったようだ。
憮然とした表情で草むらから立ち上がると、それとは対照的な表情で主がにっこりと微笑む。
そして更にジガドを驚愕させた。
「ファルマも、いるんでしょ? 手伝ってくれたらおいしいお肉をごちそうするから出ておいで」
なんでここでファルマの名前が出る!? 、と驚いて振り向くと、少し離れた物陰から、気まずそうな顔のファルマが出てきた。
じ、と見つめると、つぃっと目を反らすその様子から、彼女が自分をつけてきていたのだという事実を知る。
(いくら尾行に集中していたとはいえ、己がつけられていることに気づけないとは)
己を情けなく思うのと同時に、ファルマの技量に素直に感嘆した。
戦うだけが得意な奴だと思っていたが、そうじゃなかったんだな、と。
「ほら、2人とも早くこっちに来てよ。ジガドはそっちで、ファルマはその隣をよろしく。食べ盛りの子供達が来るからじゃんじゃん焼いてあげてね。僕はあっちで焼いてるから」
てきぱきとそう指示を出し、はい、これトングね、と肉や野菜を挟むのであろう器具を手渡し、シュリはさっさと自分の配置についた。
ジガドとファルマはトングを片手にしばし立ち尽くし。
だが、いつまでもそうしているわけにもいかないので、
「……仕方ない。配置につくか」
「……そうだね」
ぼそぼそと言葉を交わして、指示された場所へ移動した。
「ファルマ! ジガドが困ってたら助けてあげてね~」
そう言いながら、金属の網の上に肉やら野菜やらをせっせと並べ始めたシュリを見ながら、見よう見まねで同じように食材を網の上に並べていく。
焼きあがった食材につけるタレは別にあるらしく、食材への味付けも特になく、普段は自分で料理などしないジガドであってもどうにかなった。
野営で肉を焼くときは、串に刺して直火であぶることが多かったが、大人数で食べるならこう言うのも悪くないかもな、などと思いながら食材を焼く。
片面が程良く焼けたら裏返し、両面焼けたら順番に並ぶやせ細った子供達の持つ器の中へ肉や野菜を惜しみなく入れてやった。
彼の焼いた肉を見て顔を輝かせる子供達の様子に、心が温かくなるのを感じながら。
そうしてしばらく焼き続け。
ふと気がつくと、彼の前に並ぶ子供達の列がなんだか長くなっていた。
何でだろうと横を見ると、ファルマのところは子供の姿が少なく、なんだか暇を持て余しているように見えた。
そこで、並ぶ子供達の1人に聞いてみる。
「おい、坊主」
「なに?」
「どうしてあっちに並ばないんだ? あっちの方が早く肉をもらえるぞ??」
「あのねーちゃん、肉も野菜も焼きすぎて焦げてるから美味しくないんだよ」
少年はそう言い残し、肉の入った器を持って駆け去る。
そういうことか、と横に顔を向け、
「ファルマ、肉を焼きすぎだ。ちょっとくらい赤いところがあったって腹なんてこわさないさ。焦げるまで焼いたら、いい肉と野菜がもったいないぞ?」
そう助言する。
「う……わ、わかってるわよ。焦げないように焼けばいいんでしょ? 焦げないように焼けば」
唇を尖らせ、不器用に肉や野菜をひっくり返す姿に笑みが誘われる。
そういえば、昔からこいつは料理が苦手だったな、と。
何でも器用にこなすキルーシャと違って。
(戦いに関しては何でも器用にこなす奴なんだけどな)
戦いの場では非常に頼りになる相棒のような存在の幼なじみを、作業の合間にちらちらと眺める。
網の上で焼ける食材を真剣に眺めるその横顔を見ながら思う。
こいつ、けっこういい女だったんだな、と。
今まで彼女を女としてみる事なんて無かった気がする。
ジガドにとっての女性は、手には入らないと分かってからもなお、キルーシャだけだったから。
ファルマは、子供の頃からやんちゃで、ずっと同性の友人のようなつき合い方をしていたから、彼女が女だという事実を、意識せずに生きてきた。
今、この時まで。
ようやくコツがつかめたのか、焦げずに焼けるようになった食材を子供に配りながら、ファルマが笑う。
その笑顔がなんだかまぶしいような気がして、ジガドは彼女の横顔から目を反らした。
彼女から視線を反らしたその先には、ジガド達と同じようにせっせと食材を焼いて子供達へ配るシュリの姿があって。
貴族のぼんぼんのはずなのに、全くそう見えないその姿に、ジガドの口元に笑みが浮かんだ。
会った瞬間から。
いや、会う前から。
とにかく腹立たしいだけの存在だった。
どうにかしてなんとしても、キルーシャの心をあの子供から奪い返したいと思っていた。
あんな子供はキルーシャにふさわしくない。
そんな心の声のままに。
でも、今なら分かる。
キルーシャの言っていた言葉の意味が。
彼女は言っていた。
幼き主の傍らに存在するのにふさわしい人間になりたい。
その為にはどんな努力もいとわない、と。
その言葉を聞いたとき、ジガドは鼻で笑ったし、実際にキルーシャがご執心の貴族の子供を見たときにも思った。
見目が美しいだけの、ただの子供じゃないか、と。
そこに貴族という身分がくっついているから、周囲がちやほやしているだけ。
金も身分も無くしたら、そこに残るのはただの子供でしかない。
そう、思っていた。
だが、今日、今ここでたくさんの人に囲まれ、その笑顔を生み出している彼は、それを金で買った訳ではない。
ちょっとの幸運と優しい心。
彼が今日使ったのはそれだけだ。
まあ、最後に少しだけ、金を使いはしたが、そんなのちょっとしたスパイスに過ぎない。
たとえそれが無かったとしても……
「やあやあ、坊や。今朝は助かったよ。きちんとお礼がしたくて坊やを捜していたら、孤児院で炊き出しをやっていると聞いてね。近所の連中に話したら感心な坊やだって盛り上がって、是非手助けをしたいって事になったんだよ。余ってる食材やら色々抱えて手伝いに来たんだが、迷惑じゃないかな?」
最初に合流してきたのは、今朝、薪で困っていた男。
彼は、食材やら日用品やらを抱えた男達を引き連れて現れた。
「わぁ。いいんですか? こんなに色々もらっても」
「家で使わないようなもので悪いが、孤児院でなら役に立ててもらえるかと思ってね。ここは、坊やが懇意にしてる孤児院なのかい?」
「はい。個人的に……」
「そうか。なら、近所のよしみもあるし、薪や余った食材や日用品を、時々届けてあげよう」
「すごいや。助かります」
「いいんだよ。今朝は本当に助かったんだから」
目を輝かせにこにこするシュリの様子に相好を崩し、薪の男も周囲の男達も、目の前の愛らしい少年にすっかりメロメロだ。
近くには、この孤児院の美人シスターもいるのに、シュリを取り囲むおじさん達が例外なくシュリの方に関心を持っている様子は少々異様なようにも思えたが、あの少年の稀有な魅力がそうさせるのだろう。
薪の男達は、持ってきた物を食材の山の側に置くと、シュリやシスターに促されるまま、BBQに参加する事にしたようだ。
子供達に混じって談笑する彼らを見るとはなしに見ていると、
「お、いたいた。今朝はたいまつ……っつーか、薪な。あれ、すげえ助かったよ。おかげで初ダンジョンのクエストも大成功だったし、なんかきちんとした礼をしねーと気がすまねぇよなってこいつとも話してさ。で、ちょっと聞き込みしたら、特徴ぴったりの子供が孤児院でなんかしてるって情報をゲットしたわけよ」
「そうそう。それでこうしてお土産をしとめて持ってきたってわけ」
次に話しかけてきたのは冒険者らしき風体の男女2人組。
男の方が大きな草食の獣を肩に担ぎ、女の方は数羽の鳥を手にぶら下げていた。
「わぁ。すごいね!! こんなにいっぱい捕ってきてくれたの?」
「まあな! 村では猟師みたいな事もしてたし、狩りは得意なんだ」
「そうそう。私の武器、弓だしね!!」
にこにこ笑うシュリの賞賛を受けて、2人は得意そうに胸を張る。
すると周囲に散っていたおじさん達がわらわらと寄ってきて、獣や鳥をさばいてあげよう、と彼らの獲物を引き取っていった。
「いやあ、でも、思ったより人が集まってんのな。炊き出しか? これ。この孤児院の連中と仲いいのか?」
「うん。そうなんだよ。えっと、おにーさんとおねーさん……」
「あ、まだ、自己紹介してなかったっけか。俺はユージスで、こいつはリラン。今日デビューしたてほやほやの有望な冒険者だぜ!!」
「ユージスさんにリランさん、かぁ」
「さんはいらねぇよ。呼び捨てでいいって」
「えっと、じゃあ、ユージスとリラン。僕はシュリ。よろしくね」
「おう、よろしくな! で、なんだ? さっきなんか言い掛けたよな?」
「うん。あのさ? この孤児院、あんまり支援してくれる人がいなくて、シスターも子供達も困ってたみたいなんだ。だから、もしよかったら」
「みなまで言うな。まかせとけ!!」
「え、えっと?」
「こいつはこう言いたいのよ。冒険のついでにたまに様子を見に来てやるから心配いらない、って。狩りは得意だし、冒険のついでにまた獲物をゲットして持ってくるようにするわ」
任せておいて、そう言ってリランという冒険者はぱちりとウィンクをした。
シュリはほっとしたように微笑み、彼らにもBBQへの参加を促した。
冒険者達はもともと子供好きなのか、孤児院の子供達と仲良く交流しながら食事を楽しんでいるようだ。
そうこうしているうちに、次にやってきたのは腹を下していた老人。
彼はシュリを見つけると駆け寄って、
「おお、坊主。お主がこの孤児院で何かやっておると聞きつけてな。手ぶらでやってくるのもどうかと思い、ほれ、こうして魚を釣って持ってきたぞ」
老人はそう言って、ぶら下げてきた大量の魚をシュリに手渡した。
「おじいさん、ありがとう!! お腹の調子は大丈夫ですか?」
受け取ったシュリは、にこにこ笑いながらおじいさんの体調をねぎらう。
その魚は、駆け寄ってきたおじさんが回収し、子供達や2人の冒険者が一緒になって串をうち塩をふって焼かれ始めた。
そんな中、老人は機嫌良くシュリに話しかける。
「うむ。お主がくれた薬草のおかげで何ともないわい。それどころか、妙に調子が良くてな!! あれほど深刻だったスランプもどこかへいってしまったようじゃ。お主から得たインスピレーションのおかげかもしれんの。ほれ、これがお主をイメージして作ったものじゃ。良かったら受け取ってくれい」
言いながら差し出されたのは繊細な細工のネックレス。
昼間もらったものより手が込んでおり、格段に高級そうなそれを反射的に受け取りながら、
「これ、すごく高そうなんですけど、僕がもらっちゃっていいんですか?」
そう問いかける。
「うむ。お主の為に作ったものじゃからな!! 他の奴には似合わん品じゃ。まあ、気にいらんかったら売るなり捨てるなり好きにしていいぞ? 細工師ギルエン・ドージの作だと言って売ればそれなりの値がつくじゃろう。一応銘は入れてあるが、そんな物が無くとも見るものが見れば分かるはずじゃ」
答えた老人はわはは、と笑い、シュリの目が丸くなる。
目の前の老人がそれほどの人物だとは思っていなかったのだろう。
シュリは手渡されたネックレスをもう一度ながめ、それから自分の首にかけた。
それから老人……ギルエンの顔を見上げた。
「似合います?」
「おう。よう似合っとる」
「僕のために作ってくれてありがとうございます。大事にします」
「気にせず売ってもええんじゃぞ?」
「売りませんよ。僕もこの子を気に入りましたから」
そう言って、シュリは胸元を飾る細工をそっと撫でる。
ギルエンはその様子を嬉しそうに眺めた。
「ふむ。ふさわしい貰い手に貰ってもらえて、そいつも幸せ者じゃな。よし。用事も済んだし、わしはそろそろ……」
「ギルエンさん?」
「ん? なんじゃな?」
「お願いがあるんですけど、聞いてもらえます? 聞いて貰うだけでもいいので」
「む? まあ、お主には恩があるからのう。聞いてやるからこの爺にいってみろ」
「この孤児院の子供達がちょっとした手仕事が出来るように、簡単な技術とかを教えてあげる事って出来ませんか?」
「ふむ。ここの子供らを、か?」
「はい。この孤児院はあまり助けがないみたいで貧しいんです。お金をだして一時しのぎをさせてあげる事は出来るけど、それよりも子供達が技術を学んで手に職を持てるようになったらもっといいんじゃないかなぁっておもって」
「なるほど。お主はここの孤児達を、助けてやりたい、と思っておるということじゃな」
「はい。出来ることなら。どうでしょう? 技術を教えて貰うのは難しい、ですか?」
「いや。基本的な事を教えるくらいならそれほど手間もかからんじゃろ。じゃが、覚える技術が彫金細工だけ、というのもなんじゃし、わしの職人仲間にも慈善事業の誘いをかけておくか。他ならぬお主の願いじゃ。このわしに任せておけい」
「ありがとうございます、おじいさん」
「ふむ。それ、なんじゃがの」
「えっと、なんでしょう?」
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どんな仲だよ、と思わないでもないが、協力して貰うんだからそれくらいいっか、とでも言いたそうな顔でシュリは一瞬沈黙し。
だがすぐににっこり愛らしい笑顔を作った。
「うん。おじいちゃん。ありがとう!!」
「ふぐおぉぅっ!! なんちゅう破壊力じゃ。う、うむ。この孤児院の子供達の自立はこのおじいちゃんが何とかしてやるでの。どーんと任せておけぃ!!」
はっはっはっ、と笑い、その老人はシュリが引き留める間もなく去っていった。
恐らく、早速職人仲間に連絡を取り合ってくれる気なんだろう。
なんていう人たらし能力だ、と感嘆しながら、ジガドはシュリを見つめる。
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男の方が駆け寄り、シュリの両手を掴んで、
「坊や!! 坊やのおかげでメリーがおらの嫁こさ来てくれることになっただよおぉ!!」
そう吠える。
まんまるくなった目で、自分の手を掴む農夫と、その傍らで幸せそうに頬を染めるふっくら柔らかで優しそうな乙女を交互に見て、それから本当に嬉しそうに微笑んだ。
「よかった。おめでとうございます」
「全部、あそこでおらを助けて背中を押してくれた坊やのおかげだぁ。その話をメリーにしたら、なんとしても礼がしてぇって言ってよ。なあ? メリー」
「んだぁ。だども、なにあげたら喜んでくれるかわかんねかったし、お父に相談して、うちで1番めんこい子ぉ連れてきただよ。かわいがってやって欲しいだ」
言いながらメリーが示したのは、もっふもふの羊毛に包まれたつぶらな瞳の羊さん。
その羊はメリーに促されるままにシュリの前まで歩いてきて、メエェ、と一声鳴いた。よろしくね、とでも言うかのように。
「この子は女の子だで、毛もとれるし乳もとれる。土地になじんで落ち着いたら、種付けしてやるから子っこ生まして増やすとええだ」
にこにこしながらメリーが説明してくれる。
シュリは頷きながら彼女の言葉に耳を傾け、大人しく待つ羊をねぎらうようにその頭を撫でた。
「メリーさん、ありがとうございます! この羊さんは、この孤児院で大切に育てますね。それで、あの、たまにでいいんですが、羊の世話の仕方や羊毛の処理の仕方をここの子供達に教えてもらえませんか?」
「もちろん、ええだよ。ここの子等に、羊飼いのノウハウをしっかりと教え込んでやるだ。なあ、お前さん」
「んだなぁ。なら、メリーが羊の事を教えるときはおらもついてきて、うんまい作物の育て方でも教えてやるっぺよ。そうすりゃ、ちっちゃな家庭菜園でもちっとは腹の足しにできるっぺ」
シュリの言葉にメリーが頷き、農夫の若者もにこにこしながら言い添える。
シュリはもう1度、農夫と牧場娘のカップルにお礼を言ってから、2人と貰った羊をシスターの元へと連れて行く。
そこで、この孤児院への助力を約束してくれた人達の話でもしたのだろう。
感動したらしいシスターがひざまづいて自分に向かって祈りはじめようとするのを慌てて止めようとしている様子を見ていたら、自然と口元に笑みが浮かんでいた。
「あ~、疲れたわね。ぼーっとシュリ様を見てられるって事はそっちも一段落?」
「ああ、まぁな」
肩を回しながら、本当に疲れた様子でやってきた幼なじみを、苦笑と共に迎える。
子供達も後から加わった大人達もそれなりに腹が膨れたのだろう。
さっきまで肉、肉、と群がってきていた人だかりはもう無く、ジガドもファルマもようやく息をつくことが出来た。
焼き網の前を離れ、人々の喧噪から少し外れた辺りで2人は並んで腰を下ろす。
そこで再びシュリの様子を眺めた。
そうして気づく。
今朝、シュリを追って屋敷を出たときには確かにあった敵愾心のようなな感情は、もう自分の中のどこを探しても残っていないと言うことに。
そんな毒気の抜けたジガドの顔を見て、幼なじみは言う。
なんだかすっきりした顔をしてる、と。
そうだろうか、とジガドは自分の顔をつるりと撫でる。
自分ではよく分からないな、と思いながら。
「ジガド、ファルマ。お疲れさま」
さっきまで遠くに眺めていた相手の声が間近で聞こえ、はっとして目を向けると、にこにこ顔のシュリが肉を山盛りにしたお皿を持ってそこにいた。
シュリはそのお皿を有無を言わせずジガドに押しつけて走り去り、次に戻ってきた時には3人分の飲み物を抱えていて。
渡された飲み物をちびりと飲み、すすめられるままに肉を口に運ぶ。
そうしてしばらく3人で黙々と肉を食べては飲み物を飲み、それが一段落したところでシュリが口を開いた。
「で、ジガドは何か僕に言いたいことがあるんでしょ?」
その問いを受け、ジガドはしばし考え込む。
今朝は確かにあったのだ。目の前の少年にぶつけたい文句やら恨み言が山ほど。でも今は。
「言いたいこと、か。今朝は確かにあったんだがな。いや、あったんですが」
「敬語はいらないよ。自然に話してよ。あ、ファルマもね?」
「そうか? そう言ってもらえるならそうしよう」
「じゃあ、言葉に甘えてそうするわ」
「うん。そうしてもらえた方が僕も嬉しい。えっと、話を戻すけど、今朝はあったんだよね? 言いたいこと。今は? なくなっちゃったの??」
「そうだな。少なくとも、顔を見る度に文句が浮かんではこなくなったな」
「そ、そうなんだ? じゃあ、今朝までは僕の顔を見る度に文句が浮かんでたってことかぁ。なら、僕がみるジガドの顔がいつも仏頂面だったのも仕方ないね」
そんなシュリの言葉に、ジガドは驚いた顔をする。
己は自分の感情をそんなに顔に出していただろうか、と。
「仏頂面。そうだったか?」
「そうだったよ?」
「そうだったわよ?」
ジガドの問いかけに、シュリとファルマの声が重なる。
2人は顔を見合わせて、ね、と頷きあい、その姉弟のような仲のいい様子に、ジガドは己の口元が柔らかくゆるむのを感じた。
「そうか。それはすまなかった。だが、まあ、そうやって顔を見る度に文句が浮かぶ事は無くなったから、これからはちょっとはましになる、はずだ。ときにシュリよ、少したずねてもいいか?」
「質問? いいよ」
「今朝からお前は色々な物を貰い、手放した。結果、お前の手にはなにも残らなかっただろう? 惜しいとは思わなかったのか? それとも、裕福だからそんなものは必要無かった、ということか?」
ジガドの口から出た問いかけを、シュリはちょっと拍子抜けした気持ちで聞く。
たずねてもいいか、そう言われたときに、絶対にキルーシャの事を聞かれるんだろうな、と構えていたから。
思いもしなかった質問を受け、シュリはしばし考えをまとめるように沈黙した。
そしてゆっくりと口を開く。
「ん~。貰った物はみんな嬉しかったし、持ち帰れるならちゃんと持ち帰ったと思うよ? お金を出せば買えてしまうものだけど、どれもみんな気持ちのこもった物だったからね。ただ、それを僕より必要としていた人がいた。それだけのことだよ。だから、惜しいとは思わない。それにさ、なにも残らなかった、なんて事はないんじゃないかな?」
「だが、最後に貰った野菜もこうしてみんなで食ってしまったし、残っったものだって孤児院の子供達にやるんだろう? むしろ、大量の肉を買ってこうして与えて、なにも残らないどころか出費が増えているじゃないか。俺には、マイナスしかないように見えるがな」
「え~? ちゃんと残ったよ」
「なにが、と聞いていいか?」
いいけど、一目瞭然だと思うけどなぁ。ちょっぴり苦笑しながら、シュリは孤児院の庭で食事を楽しむ子供達を目で示した。
それを目で追ったジガドは、まさかな、と思いながら口を開く。
「まさか、子供達の笑顔が残った、とか言うんじゃないだろうな?」
「ちゃんと分かってるじゃない。そ。あの子達の笑顔が、僕が最後に貰ったものだよ。ね? ちゃんと1番いいものが残ってるでしょ?」
シュリは心からそう思ってるのだろう。
晴れやかに微笑む表情に嘘はない。
お前はどこの聖人様だ、と思いながらジガドは己の口があんぐり開くのを感じた。
「……ぷ。あはは!! ジガド、あんたの負けね」
そんな2人の顔を見比べ、ファルマが笑い出す。
「……ああ。わかってるさ」
笑われながら、ジガドも苦虫を噛み潰したような顔で渋々頷いた。
キルーシャはこの少年の、計算のない度量の広さに惹かれたのだろう。
今、この瞬間。
自分がこの少年に打ちのめされたように。
「シュリ~。そんなおっさん達と話してないでこっちで遊ぼうぜ~」
「シュリ~。あそぼ~」
短い時間の間にすっかりシュリに心を許したらしい孤児達が彼を呼ぶ。
笑顔が1番だと言い切った少年は、仕方ないなぁ、と苦笑しながら立ち上がり、彼を待つ孤児達の方へと走っていく。
その背中を見送っていると、不意にシュリが振り向いた。
「あ、2人とも。先に帰っててもいいよ? 僕はもうしばらくここにいて、片づけをしてから帰るから」
その口から出てきたのはそんな言葉。
不遜な貴族からは、決して出てきそうもない言葉だ。
ジガドは笑い、
「俺達も最後までつき合おう。一緒に片づけて、お前を護衛して帰ることにする。それが俺の仕事だし、俺の望みでもある」
大きな声でそう返す。
シュリはそれ以上は言い募らずに頷いて返し、それから己を待つ孤児達のところへと向かった。
それを目で追いかけ、主の幼い姿が孤児達の中に加わるのを確かめてから小さく息をつき、空を仰いだ。
キルーシャの事はあきらめよう。自分はあの少年にかなわない。
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「飲む?」
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ジガドは黙ってそれを受け取り一口飲んで顔をしかめた。
「酒か? まだ仕事中だぞ」
「1杯だけよ。それくらいなら酔ったりしないでしょ? 私も、あんたも。ようやくキルーシャを諦めることができたんだし、それくらいいいじゃない。仕事が終わったら、今日は朝までつき合うわよ。飲み明かしましょ」
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無事に幼い主が屋敷の中に消えたのを確認してから、約束通りファルマと酒を飲むために彼女を己に与えられた部屋へ招く。
[砂の勇士]の全てにではないが、キルーシャと幹部とみなされているファルマとジガド、それから体調を崩している者や年長者の一部には、空いている部屋が割り振られ、天幕で寝なくても言いように配慮されていた。
ジガドもファルマも、それぞれ部屋を与えられているので、別にファルマの部屋でも良かったのだが、女性1人の部屋に押し掛けるのはどうだろうと配慮した結果、彼女を己の部屋へ招くことにしたのだった。
その夜、2人の間になにがあったか、それは2人だけの秘密である。
◆◇◆
なんて事はもちろんなく。
「そんなわけで、ジガドは私の男になったから!!」
部族内のライバルに対して、ファルマの口からしっかりと恋人宣言と報告があり。
その話は流れに流れてルバーノの屋敷中に広がった。
密かに彼を狙っていた砂の部族の若い娘は悔しがり、ファルマの想いを薄々知っていたキルーシャは幼なじみ2人の恋を祝福しつつほっと胸をなでおろし。
そんな様子を遠目で見ていたシュリは、
(ジガドってモテるんだなぁ。筋肉あって男らしくてかっこいいもんねぇ。筋肉……いいなぁ、筋肉)
ちょっぴり見当違いな感想を抱きつつ、地道な筋トレをしても一向に育つ気配のない己の筋肉に目を落とし、ひっそり吐息を漏らしたのだった。
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