155 / 545
第二部 少年期のはじまり
第百五十二話 旅立ち、別れ、そして…
しおりを挟む
「では、シュリ。おばー様の言うことをちゃんと聞いて、いい子にしているんですよ?おばー様から出来るだけ離れないように」
「はい、おじー様!」
エルジャの言葉にいい返事を返して、シュリはにっこり微笑む。
あの後、ヴィオラから事情を説明されたエルジャは、旅支度の整った二人を連れて、グリフォンのシェスタの発着出来る開けた場所まで連れてきてくれたのだ。
「いいですか、シェスタ。今度、ここに来るときは、この場所へ降りれば里まですぐですからね?よーく覚えておいて下さいね??」
エルジャは、ヴィオラに里への近道を覚えさせることは諦めたようで、呼び出されたばかりのシェスタにこんこんと言い聞かせている。
シェスタの表情からは、分かっているのか分かっていないのか微妙だが、賢い子だから理解しているだろう。
そんなエルジャをまるっと無視して、ヴィオラは普段からは想像できないくらいてきぱきとシェスタに荷物をくくりつけている。
まあ、それほど大荷物の旅じゃないからすぐ準備は終わるだろうけど。
そんな彼らをしばし見守った後、シュリはちょっと視線をずらして、別に呼んでないのになぜか居る、二人の人物を黙って見つめた。
「ヴィオラちゃん、早く用事を済ませて戻ってくるんじゃぞ~?酒盛りの準備をしておくからの~??」
きゃいきゃいと、ヴィオラにそんな声援を送るのは、この里で一番偉い人……のはずだ。
里長は、エルジャの家にお泊まりしてからすっかりヴィオラのファンになってしまったようである。
そしてその隣には、蜂蜜色の豊かな髪にけぶるような紫の瞳の美人さん。
ほっそりとした華奢な肢体を、若草色のひらひらした生地のワンピース……というか、シンプルなドレスみたいな服で包んでのお出ましだ。
(てかさ?なんで今日はこんなにおしゃれしてるんだろ?)
そんな事を思いながら、リリシュエーラの顔を見上げて首を傾げる。
(うーん、あれかな?昔惚れてたおじー様への愛が再燃した、とか??)
まあ、おじー様一応独身だし、別にいいとは思うけどね~、とまるで見当違いの事を考えながら、シュリはじっとリリシュエーラを見つめた。
彼女もシュリの視線に気が付いて、ほんのり頬を染めて見つめ返してくる。
「どう?似合ってるかしら?」
「うん?そうだね。似合ってる。きれいだよ??」
「そ、そう……」
会話のとっかかりとして、今日の格好への感想を求めたら、ものすごくストレートに誉められて、恥ずかしそうにうつむくリリシュエーラ。
そんな恥じらう様子が、普段とのギャップもあって何とも可愛らしく、今の姿をおじー様に見せたらいいんじゃないの?と余計な気を回したシュリが、
「えっと、おじー様ならあそこにいるよ?」
親切心からそう教えてあげれば、
「は?どうしてエルジャバーノの居場所が出てくるの?私、あなたを見送りに来たんだけど」
怪訝そうな顔のリリシュエーラにそう返された。
「あ、そうなの?わざわざ見送りに来てくれたんだ。ありがとう」
「べ、別に。ちょっと暇だったから来てみただけよ」
「こんな里の外れに、わざわざそんなキレイな服を着て?」
「こっ、これは、しまいっぱなしだと生地が痛むから、たまには風に当てようと思って着ただけよ。べ、別に、シュリの為に着たとか、そんなんじゃ……」
「ふうん。そっかぁ。そうだね。洋服って、しまっておくだけだとダメだって言うしね」
「そ、そうよ。そのついでに、ちょっと足を伸ばしてみただけなんだから」
誤解しないでよね、とツンツンしながらリリシュエーラが主張する。
シュリはなんの疑問も抱かずに彼女の言葉を受け取って、
「そっかぁ。ありがと、リリシュエーラ。急な出発だし、挨拶に行けないからもう会えないかと思ってたんだ」
にっこり笑って素直にお礼を言った。
「もう会えないって、またここへ戻ってくるんでしょう?エルジャバーノも居るんだし」
「ん~。おじー様には会いたいけど、六歳になったら学校も始まるし、そうそうは来れないかなぁ。これから向かう先の、おばー様の用事にどれくらい時間がかかるかも分からないしね」
「そ、そうなの……」
シュリの言葉を聞いたリリシュエーラの表情が見る見るうちに暗くなり、しょぼんと肩を落として小さく呟くのが聞こえた。
どうしたんだろう、と問いかけようとしたが、出発の準備が整ったのだろう。
シェスタの背にまたがったヴィオラに呼ばれたシュリは、
「もう、行かなくちゃ。リリシュエーラ、わざわざ見送りに来てくれてありがとう。じゃあ、バイバイ」
リリシュエーラを見上げてあっさりとそう告げると、くるりときびすを返して走っていってしまった。
一度も彼女を振り返ることなく。
リリシュエーラは、何ともいえない表情でその小さな背中を見送った。
「おばー様、お待たせ」
「も~、シュリってば、また女の子をたらし込んでたの?」
「たらし込むって、人聞きが悪いなぁ。違うよ。リリシュエーラは友達。それに、リリシュエーラが好きなのは、おじー様だと思うよ?」
「エルジャ?ま~、エルジャなら別にいいけど、でも、本当にそうなのかしらね~」
「まあ、リリシュエーラが誰を好きかはともかく、シュリ、ヴィオラ。くれぐれも気を付けて。困ったら呼んで下さい。駆けつけますから」
軽口をたたき合う二人に苦笑を漏らしつつ、エルジャはシュリを抱き上げてヴィオラの前に座らせてあげた。
そして、真剣な眼差しで、
「二人の無事をここから祈っています。ヴィオラ、シュリをちゃんと、見ていてあげて下さいね?シュリも、おばー様が無茶をしすぎないように、しっかり側にいて下さい」
それぞれに、そんな忠告をした。
(おじー様はきっと、おばー様に届いた手紙の内容をしってるんだろうなぁ)
そして、それを知っているからこそ、二人の事を考えての忠告と共に、引き留めることなくこうして見送ってくれるのだろう。
(一体、手紙にはなんて書かれてたんだろう)
一応ヴィオラに訪ねてみたのだが、はぐらかされてしまった。
手紙の内容は確かな情報じゃないから、現地について現状がはっきりしたら教える、と。
(まあ、向こうに行ったら教えてもらえるんだからいいか)
そう自分を納得させて、シュリはヴィオラの体に寄りかかるように体勢を安定させた。
それを感じたヴィオラが微笑み、片手を回してぎゅっとシュリを抱き寄せる。
「じゃあ、行こうか。シュリ」
「うん、おばー様」
短く言葉を交わし、ヴィオラが手綱を操ると、主の意を的確に感じたシェスタが翼を羽ばたかせた。
翼と風魔法を併用して飛翔するシェスタはあっという間にその高度を上げ、シュリはすっかり小さくなった祖父やリリシュエーラに大きく手を振った。
そして、すっかり安心しきって体を預けたまま、ヴィオラの顔を仰いで問いかける。
「おばー様。何が起こっているかは向こうに付いたら教えてもらうとして、僕たちって、どこに行くの??」
「ああ。言ってなかったっけ?これから向かうのは国境の要の街・スベランサ。私がホームにしてる冒険者ギルドがある街よ」
「ふうん。おばー様のホームかぁ」
「そうよ~?ついたらみんなにシュリの事、自慢しなきゃ」
「自慢、するの?」
「もちろん!私の孫はこんなに可愛いのよ~ってね」
「そっかぁ。じゃあ、頑張って猫かぶる」
「猫なんてかぶらなくても、シュリは十分可愛いわよ。まあ、猫耳としっぽをはやした姿は殺人的に可愛いけど、それは今度また、二人だけの時に、ね?」
「ね、猫耳は忘れてよ」
「無理よぉ。もう目の奥に焼き付いちゃってるもん」
そんな軽い会話を交わしながら、ものすごいスピードでスベランサへ向かう。
そこで一体なにが起こっているのか。
今のシュリにはまだ、知る由もなかった。
「いっちゃった……」
グリフォンにまたがったシュリが消えた方向を呆然と見上げて、リリシュエーラが呟く。
もう会えないかもしれない……そう思うと、妙に胸の奥がうずいた。
「バイバイ、かぁ。またね、じゃなくて」
別れ際のシュリの言葉を思い出して、思わずため息を漏らす。
「シュリにとって私は、再会を約束するほどの存在じゃないって、そう言うことなのよね……」
落ち込んだように呟く彼女の肩にポン、と大きな手が置かれる。
リリシュエーラは反射的に顔を上げて、自分の肩に乗っている手の持ち主がエルジャバーノだと分かるやいなや、ものすごーくイヤそうな顔をした。
それをみたエルジャバーノが苦笑を浮かべる。
「やっぱり、あなたが私に恋をしている、なんて、あり得ないですよねぇ?」
「はあ?なに寝言いってるの??寝言は寝ている時だけにしてもらえないかしら?」
「違いますよ、リリシュエーラ。私が言ったんじゃありません。シュリが言ったんですよ??リリシュエーラはどうやら私が好きなようだと」
「え!?うそ!!」
「本当です」
「えええ~……そんな誤解をされたままお別れなんて、悲しすぎるわ」
「ですよねぇ。我が孫ながら、鈍感な子です」
うんうん、と頷き、あなたも大変ですねぇとリリシュエーラに笑顔を向ける。
だが、そんな事にも気づかないまま、リリシュエーラは絶望的な顔をしてどんよりしていた。
「どうしたらいいのよ……もう今更、誤解も解けないし」
「解けばいいじゃないですか?」
「なに言ってるのよ。解ける訳ないでしょう?もうシュリはいないんだから」
「あなたこそなにを言っているんですか?別に、会いに行けばいいじゃないですか。ここでシュリを待つだけが正解では無いはずですよ?」
「会いに??」
「そうですよ。あなたが本当に望むなら、ね」
「私が、望むなら……」
リリシュエーラはうつむいたまま呟く。
シュリに会いたいかと問われれば、会いたいと答えしか浮かんでこない。
二度と会えないと思えば、胸がつぶれてしまいそうなほどに苦しい。
シュリが行ってしまうよ、と小さい精霊達に教えられ、このまま別れてしまうのはイヤだと見送りに出かけた。
特別なときに着る為に用意しておいた、とっておきの服を身につけて。シュリに、少しでも魅力的だと思って欲しかったから。
あんな小さい子に、こんな気持ちを抱くのはどうかと思う。
だが同時に思う。
エルフの寿命は長い。見た目が釣り合うまでの時間などあっという間だと。
そうすれば、リリシュエーラがシュリに恋することに、なんの障害もありはしない。
リリシュエーラがシュリに恋することを諦めずに、シュリを振り向かせることが出来さえすれば。
「ねえ、エルジャバーノ?」
リリシュエーラは、シュリが旅立った空を見上げながらかつての師匠の名を呼んだ。
「なんですか?リーシュ?」
すっかり生意気に成長したかつての生徒を、当時呼んでいた愛称で呼び、エルジャは口元に柔らかい笑みを浮かべる。
「……その呼び方は止めて。あなたに愛称で呼ばれるなんてぞっとするわ」
「はいはい、わかりました。で、なんですか、リリシュエーラ」
「あなたにまた、家庭教師をお願いするわ」
さらりと告げられたその言葉に、エルジャバーノは目を見開く。
それほどに意外な言葉だった。
「今更、なんでまた?今のあなたに私が教えられる事なんてそう無いとは思いますが?」
「エルジャバーノ。私に里の外の世界の常識を教えて。里を出て、一人で旅を出来るだけの知識を教えてくれない?」
少し照れくさそうに、恥ずかしそうに。
だが、リリシュエーラはまっすぐにエルジャバーノを見上げ、それからしっかりと頭を下げた。
「シュリを、追いかけるんですか?」
「さあ?まだ分からないわ。でも、もし追いかけたいと思ったときに、すぐに出発できるだけの準備はしておくべきでしょう?」
「そうですね。確かに。わかりました。あなたの家庭教師をお受けしますよ」
「じゃあ、早速今日からお願い」
「きょ、今日からですか!?」
「そ、そうよ。悪い??わ、私がいつ、シュリを追いかけたくなるかなんて分からないでしょ?」
そう言って、リリシュエーラは唇を尖らせて、ぷいっと顔を背ける。
ほんの少し、その頬を赤く色づかせて。
エルジャバーノは思わず吹き出して、だがリリシュエーラに睨まれたのでそれ以上は必死にこらえて頷く。
「わ、分かりました。じゃあ、私は準備をしてからそちらに伺いますので、リリシュエーラは家で待っていて下さいますか?」
「いいわ。出来るだけ早く来てね、エルジャバーノ」
頷いたリリシュエーラは、里長の手を引いて、意気揚々と去っていった。
その後ろ姿を見送って、エルジャバーノはクスクスと押さえきれない笑みをこぼす。
そして、今は快適な空の旅を楽しんでいるだろう孫の顔を思い浮かべながら、
「どうやらリリシュエーラはあなたに夢中のようですよ、シュリ。全く、ヴィオラの言うとおり、女泣かせの罪な子ですねぇ、シュリは」
そんな風に一人つぶやき、ゆっくりと家へ向かって歩いていくのだった。
「くちゅっ」
「シュリ?どしたの??もしかして、寒い??」
不意にくしゃみをこぼした孫に向かって、ヴィオラの心配そうな声が飛ぶ。
「ううん。平気。寒くないよ、おばー様」
シュリはふるふると首を振って、不思議そうに首を傾げながら鼻をすすった。
(うーん?誰か僕の噂話でもしてるのかなぁ??)
そんな事を思った瞬間、
・リリシュエーラの攻略度が50%を越え、恋愛状態となりました!
そんなアナウンスが流れた。
「はえ???」
思わずそんな間抜けな声が漏れる。
「ど、どうしたの、シュリ?やっぱり寒い??上着とか出そうか??」
「う、ううん。平気。な、なんでもない」
再び心配そうに声をかけてくるヴィオラに、動揺を隠しつつそう答え、シュリはこっそりステータス画面を開く。
様々な項目を飛ばして恋愛状態になった人の名前がずらずら~っと並ぶところを確認してみれば、確かに間違いなく、リリシュエーラの名前が新たに加わっていた。
ということは、さっきのはやはり聞き間違いではないらしい。
(な、なんで今更??)
盛大にはてなマークを飛ばしながらシュリは首を傾げる。
シュリは知らない。
自分のすげない態度と変な勘違いが、逆にリリシュエーラの恋心を燃え上がらせてしまったと言うことを。
昔からよく言う。
押してダメなら引いてみな、と。
意図せずに、それを実践してしまったシュリには、リリシュエーラが自分に惚れた理由が掴めずに、それからしばらく釈然としない顔のまま、空の旅を続けた。
そして思う。
(おかしいなぁ。リリシュエーラはおじー様を好きなんじゃなかったのかなぁ??)
と。
その疑問が解けるまで、しばしの時が必要だった。
そう、リリシュエーラがエルジャの教えの元に一般常識を身につけて、里を飛び出してシュリの元へ至るまでの時が。
それは、そう遠くない未来。
だが、今のシュリには想像すらできず、シュリは可愛らしく首をかしげヴィオラを心配させながら、うんうん唸って頭を悩ませるのだった。
「はい、おじー様!」
エルジャの言葉にいい返事を返して、シュリはにっこり微笑む。
あの後、ヴィオラから事情を説明されたエルジャは、旅支度の整った二人を連れて、グリフォンのシェスタの発着出来る開けた場所まで連れてきてくれたのだ。
「いいですか、シェスタ。今度、ここに来るときは、この場所へ降りれば里まですぐですからね?よーく覚えておいて下さいね??」
エルジャは、ヴィオラに里への近道を覚えさせることは諦めたようで、呼び出されたばかりのシェスタにこんこんと言い聞かせている。
シェスタの表情からは、分かっているのか分かっていないのか微妙だが、賢い子だから理解しているだろう。
そんなエルジャをまるっと無視して、ヴィオラは普段からは想像できないくらいてきぱきとシェスタに荷物をくくりつけている。
まあ、それほど大荷物の旅じゃないからすぐ準備は終わるだろうけど。
そんな彼らをしばし見守った後、シュリはちょっと視線をずらして、別に呼んでないのになぜか居る、二人の人物を黙って見つめた。
「ヴィオラちゃん、早く用事を済ませて戻ってくるんじゃぞ~?酒盛りの準備をしておくからの~??」
きゃいきゃいと、ヴィオラにそんな声援を送るのは、この里で一番偉い人……のはずだ。
里長は、エルジャの家にお泊まりしてからすっかりヴィオラのファンになってしまったようである。
そしてその隣には、蜂蜜色の豊かな髪にけぶるような紫の瞳の美人さん。
ほっそりとした華奢な肢体を、若草色のひらひらした生地のワンピース……というか、シンプルなドレスみたいな服で包んでのお出ましだ。
(てかさ?なんで今日はこんなにおしゃれしてるんだろ?)
そんな事を思いながら、リリシュエーラの顔を見上げて首を傾げる。
(うーん、あれかな?昔惚れてたおじー様への愛が再燃した、とか??)
まあ、おじー様一応独身だし、別にいいとは思うけどね~、とまるで見当違いの事を考えながら、シュリはじっとリリシュエーラを見つめた。
彼女もシュリの視線に気が付いて、ほんのり頬を染めて見つめ返してくる。
「どう?似合ってるかしら?」
「うん?そうだね。似合ってる。きれいだよ??」
「そ、そう……」
会話のとっかかりとして、今日の格好への感想を求めたら、ものすごくストレートに誉められて、恥ずかしそうにうつむくリリシュエーラ。
そんな恥じらう様子が、普段とのギャップもあって何とも可愛らしく、今の姿をおじー様に見せたらいいんじゃないの?と余計な気を回したシュリが、
「えっと、おじー様ならあそこにいるよ?」
親切心からそう教えてあげれば、
「は?どうしてエルジャバーノの居場所が出てくるの?私、あなたを見送りに来たんだけど」
怪訝そうな顔のリリシュエーラにそう返された。
「あ、そうなの?わざわざ見送りに来てくれたんだ。ありがとう」
「べ、別に。ちょっと暇だったから来てみただけよ」
「こんな里の外れに、わざわざそんなキレイな服を着て?」
「こっ、これは、しまいっぱなしだと生地が痛むから、たまには風に当てようと思って着ただけよ。べ、別に、シュリの為に着たとか、そんなんじゃ……」
「ふうん。そっかぁ。そうだね。洋服って、しまっておくだけだとダメだって言うしね」
「そ、そうよ。そのついでに、ちょっと足を伸ばしてみただけなんだから」
誤解しないでよね、とツンツンしながらリリシュエーラが主張する。
シュリはなんの疑問も抱かずに彼女の言葉を受け取って、
「そっかぁ。ありがと、リリシュエーラ。急な出発だし、挨拶に行けないからもう会えないかと思ってたんだ」
にっこり笑って素直にお礼を言った。
「もう会えないって、またここへ戻ってくるんでしょう?エルジャバーノも居るんだし」
「ん~。おじー様には会いたいけど、六歳になったら学校も始まるし、そうそうは来れないかなぁ。これから向かう先の、おばー様の用事にどれくらい時間がかかるかも分からないしね」
「そ、そうなの……」
シュリの言葉を聞いたリリシュエーラの表情が見る見るうちに暗くなり、しょぼんと肩を落として小さく呟くのが聞こえた。
どうしたんだろう、と問いかけようとしたが、出発の準備が整ったのだろう。
シェスタの背にまたがったヴィオラに呼ばれたシュリは、
「もう、行かなくちゃ。リリシュエーラ、わざわざ見送りに来てくれてありがとう。じゃあ、バイバイ」
リリシュエーラを見上げてあっさりとそう告げると、くるりときびすを返して走っていってしまった。
一度も彼女を振り返ることなく。
リリシュエーラは、何ともいえない表情でその小さな背中を見送った。
「おばー様、お待たせ」
「も~、シュリってば、また女の子をたらし込んでたの?」
「たらし込むって、人聞きが悪いなぁ。違うよ。リリシュエーラは友達。それに、リリシュエーラが好きなのは、おじー様だと思うよ?」
「エルジャ?ま~、エルジャなら別にいいけど、でも、本当にそうなのかしらね~」
「まあ、リリシュエーラが誰を好きかはともかく、シュリ、ヴィオラ。くれぐれも気を付けて。困ったら呼んで下さい。駆けつけますから」
軽口をたたき合う二人に苦笑を漏らしつつ、エルジャはシュリを抱き上げてヴィオラの前に座らせてあげた。
そして、真剣な眼差しで、
「二人の無事をここから祈っています。ヴィオラ、シュリをちゃんと、見ていてあげて下さいね?シュリも、おばー様が無茶をしすぎないように、しっかり側にいて下さい」
それぞれに、そんな忠告をした。
(おじー様はきっと、おばー様に届いた手紙の内容をしってるんだろうなぁ)
そして、それを知っているからこそ、二人の事を考えての忠告と共に、引き留めることなくこうして見送ってくれるのだろう。
(一体、手紙にはなんて書かれてたんだろう)
一応ヴィオラに訪ねてみたのだが、はぐらかされてしまった。
手紙の内容は確かな情報じゃないから、現地について現状がはっきりしたら教える、と。
(まあ、向こうに行ったら教えてもらえるんだからいいか)
そう自分を納得させて、シュリはヴィオラの体に寄りかかるように体勢を安定させた。
それを感じたヴィオラが微笑み、片手を回してぎゅっとシュリを抱き寄せる。
「じゃあ、行こうか。シュリ」
「うん、おばー様」
短く言葉を交わし、ヴィオラが手綱を操ると、主の意を的確に感じたシェスタが翼を羽ばたかせた。
翼と風魔法を併用して飛翔するシェスタはあっという間にその高度を上げ、シュリはすっかり小さくなった祖父やリリシュエーラに大きく手を振った。
そして、すっかり安心しきって体を預けたまま、ヴィオラの顔を仰いで問いかける。
「おばー様。何が起こっているかは向こうに付いたら教えてもらうとして、僕たちって、どこに行くの??」
「ああ。言ってなかったっけ?これから向かうのは国境の要の街・スベランサ。私がホームにしてる冒険者ギルドがある街よ」
「ふうん。おばー様のホームかぁ」
「そうよ~?ついたらみんなにシュリの事、自慢しなきゃ」
「自慢、するの?」
「もちろん!私の孫はこんなに可愛いのよ~ってね」
「そっかぁ。じゃあ、頑張って猫かぶる」
「猫なんてかぶらなくても、シュリは十分可愛いわよ。まあ、猫耳としっぽをはやした姿は殺人的に可愛いけど、それは今度また、二人だけの時に、ね?」
「ね、猫耳は忘れてよ」
「無理よぉ。もう目の奥に焼き付いちゃってるもん」
そんな軽い会話を交わしながら、ものすごいスピードでスベランサへ向かう。
そこで一体なにが起こっているのか。
今のシュリにはまだ、知る由もなかった。
「いっちゃった……」
グリフォンにまたがったシュリが消えた方向を呆然と見上げて、リリシュエーラが呟く。
もう会えないかもしれない……そう思うと、妙に胸の奥がうずいた。
「バイバイ、かぁ。またね、じゃなくて」
別れ際のシュリの言葉を思い出して、思わずため息を漏らす。
「シュリにとって私は、再会を約束するほどの存在じゃないって、そう言うことなのよね……」
落ち込んだように呟く彼女の肩にポン、と大きな手が置かれる。
リリシュエーラは反射的に顔を上げて、自分の肩に乗っている手の持ち主がエルジャバーノだと分かるやいなや、ものすごーくイヤそうな顔をした。
それをみたエルジャバーノが苦笑を浮かべる。
「やっぱり、あなたが私に恋をしている、なんて、あり得ないですよねぇ?」
「はあ?なに寝言いってるの??寝言は寝ている時だけにしてもらえないかしら?」
「違いますよ、リリシュエーラ。私が言ったんじゃありません。シュリが言ったんですよ??リリシュエーラはどうやら私が好きなようだと」
「え!?うそ!!」
「本当です」
「えええ~……そんな誤解をされたままお別れなんて、悲しすぎるわ」
「ですよねぇ。我が孫ながら、鈍感な子です」
うんうん、と頷き、あなたも大変ですねぇとリリシュエーラに笑顔を向ける。
だが、そんな事にも気づかないまま、リリシュエーラは絶望的な顔をしてどんよりしていた。
「どうしたらいいのよ……もう今更、誤解も解けないし」
「解けばいいじゃないですか?」
「なに言ってるのよ。解ける訳ないでしょう?もうシュリはいないんだから」
「あなたこそなにを言っているんですか?別に、会いに行けばいいじゃないですか。ここでシュリを待つだけが正解では無いはずですよ?」
「会いに??」
「そうですよ。あなたが本当に望むなら、ね」
「私が、望むなら……」
リリシュエーラはうつむいたまま呟く。
シュリに会いたいかと問われれば、会いたいと答えしか浮かんでこない。
二度と会えないと思えば、胸がつぶれてしまいそうなほどに苦しい。
シュリが行ってしまうよ、と小さい精霊達に教えられ、このまま別れてしまうのはイヤだと見送りに出かけた。
特別なときに着る為に用意しておいた、とっておきの服を身につけて。シュリに、少しでも魅力的だと思って欲しかったから。
あんな小さい子に、こんな気持ちを抱くのはどうかと思う。
だが同時に思う。
エルフの寿命は長い。見た目が釣り合うまでの時間などあっという間だと。
そうすれば、リリシュエーラがシュリに恋することに、なんの障害もありはしない。
リリシュエーラがシュリに恋することを諦めずに、シュリを振り向かせることが出来さえすれば。
「ねえ、エルジャバーノ?」
リリシュエーラは、シュリが旅立った空を見上げながらかつての師匠の名を呼んだ。
「なんですか?リーシュ?」
すっかり生意気に成長したかつての生徒を、当時呼んでいた愛称で呼び、エルジャは口元に柔らかい笑みを浮かべる。
「……その呼び方は止めて。あなたに愛称で呼ばれるなんてぞっとするわ」
「はいはい、わかりました。で、なんですか、リリシュエーラ」
「あなたにまた、家庭教師をお願いするわ」
さらりと告げられたその言葉に、エルジャバーノは目を見開く。
それほどに意外な言葉だった。
「今更、なんでまた?今のあなたに私が教えられる事なんてそう無いとは思いますが?」
「エルジャバーノ。私に里の外の世界の常識を教えて。里を出て、一人で旅を出来るだけの知識を教えてくれない?」
少し照れくさそうに、恥ずかしそうに。
だが、リリシュエーラはまっすぐにエルジャバーノを見上げ、それからしっかりと頭を下げた。
「シュリを、追いかけるんですか?」
「さあ?まだ分からないわ。でも、もし追いかけたいと思ったときに、すぐに出発できるだけの準備はしておくべきでしょう?」
「そうですね。確かに。わかりました。あなたの家庭教師をお受けしますよ」
「じゃあ、早速今日からお願い」
「きょ、今日からですか!?」
「そ、そうよ。悪い??わ、私がいつ、シュリを追いかけたくなるかなんて分からないでしょ?」
そう言って、リリシュエーラは唇を尖らせて、ぷいっと顔を背ける。
ほんの少し、その頬を赤く色づかせて。
エルジャバーノは思わず吹き出して、だがリリシュエーラに睨まれたのでそれ以上は必死にこらえて頷く。
「わ、分かりました。じゃあ、私は準備をしてからそちらに伺いますので、リリシュエーラは家で待っていて下さいますか?」
「いいわ。出来るだけ早く来てね、エルジャバーノ」
頷いたリリシュエーラは、里長の手を引いて、意気揚々と去っていった。
その後ろ姿を見送って、エルジャバーノはクスクスと押さえきれない笑みをこぼす。
そして、今は快適な空の旅を楽しんでいるだろう孫の顔を思い浮かべながら、
「どうやらリリシュエーラはあなたに夢中のようですよ、シュリ。全く、ヴィオラの言うとおり、女泣かせの罪な子ですねぇ、シュリは」
そんな風に一人つぶやき、ゆっくりと家へ向かって歩いていくのだった。
「くちゅっ」
「シュリ?どしたの??もしかして、寒い??」
不意にくしゃみをこぼした孫に向かって、ヴィオラの心配そうな声が飛ぶ。
「ううん。平気。寒くないよ、おばー様」
シュリはふるふると首を振って、不思議そうに首を傾げながら鼻をすすった。
(うーん?誰か僕の噂話でもしてるのかなぁ??)
そんな事を思った瞬間、
・リリシュエーラの攻略度が50%を越え、恋愛状態となりました!
そんなアナウンスが流れた。
「はえ???」
思わずそんな間抜けな声が漏れる。
「ど、どうしたの、シュリ?やっぱり寒い??上着とか出そうか??」
「う、ううん。平気。な、なんでもない」
再び心配そうに声をかけてくるヴィオラに、動揺を隠しつつそう答え、シュリはこっそりステータス画面を開く。
様々な項目を飛ばして恋愛状態になった人の名前がずらずら~っと並ぶところを確認してみれば、確かに間違いなく、リリシュエーラの名前が新たに加わっていた。
ということは、さっきのはやはり聞き間違いではないらしい。
(な、なんで今更??)
盛大にはてなマークを飛ばしながらシュリは首を傾げる。
シュリは知らない。
自分のすげない態度と変な勘違いが、逆にリリシュエーラの恋心を燃え上がらせてしまったと言うことを。
昔からよく言う。
押してダメなら引いてみな、と。
意図せずに、それを実践してしまったシュリには、リリシュエーラが自分に惚れた理由が掴めずに、それからしばらく釈然としない顔のまま、空の旅を続けた。
そして思う。
(おかしいなぁ。リリシュエーラはおじー様を好きなんじゃなかったのかなぁ??)
と。
その疑問が解けるまで、しばしの時が必要だった。
そう、リリシュエーラがエルジャの教えの元に一般常識を身につけて、里を飛び出してシュリの元へ至るまでの時が。
それは、そう遠くない未来。
だが、今のシュリには想像すらできず、シュリは可愛らしく首をかしげヴィオラを心配させながら、うんうん唸って頭を悩ませるのだった。
10
お気に入りに追加
2,134
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる