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第四部 王都の新たな日々
第388話 引っ越し祝いとお帰り祝い(?)②
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その背中を見送り、それから改めてシュリは待たせていたキルーシャの方へ顔を向けた。
「待たせてごめんね、キルーシャ。グランとシェルファから大まかな話は聞いてるけど、大変だったね。お疲れさま」
「ありがとう、ございます。シュリ様」
「でも良かったの? 仲間の人達と一緒に、元の土地でやり直す選択をしても良かったんだよ? 自由にこの先を選べるように、僕はキルーシャを奴隷から解放したんだから」
食い入るように、むさぼるようにシュリを見つめるキルーシャのまなざしの意味をいったん横に置いておいて、シュリはじっと彼女の青い瞳を見つめたまま尋ねた。
主のその問いかけに、キルーシャは迷うことなく答えた。
「シュリ様の心遣いには気づいていた。だが、私はシュリ様のお側にいたかった。迷惑、だろうか?」
くぅん、と耳を垂れるわんこの姿が見えた気がして、シュリは思わずキルーシャの頭を撫でてあげたい衝動にかられた。
だが、物理的距離が離れていたので頭を撫でることは諦め、ただ微笑んで首を横に振った。
「迷惑なんかじゃないよ。僕はキルーシャが戻ってきてくれて嬉しい。僕みたいな子供を主と認めてくれてありがとう、キルーシャ」
シュリの言葉に、キルーシャは頬を色づかせ、瞳を輝かせる。
その様子に、ご主人様にほめられてしっぽをばっさばっさと振る大きなわんこが重なって見えて、シュリの胸はなんだかほっこりした。
心の中でキルーシャわんこの頭をよしよしと撫でてから、シュリは改めて彼女の隣に並んで座る男女に目を移した。
髪と肌の色がキルーシャと同じだから、彼等は恐らくキルーシャと同じ砂漠の民。
庭に残してきても良かったのに、あえてここに連れてきたということは、キルーシャにとって2人は心を許し頼れる相手、と言うことなのだろう。
年の頃も近そうだし、幼友達とかなのかもしれない。
そんなことを考えながら2人を見ていると、男の人の方からはなぜかぎろりと睨まれ、そんな彼に鋭く肘を入れた女の人からはにっこりと微笑みかけられた。
その笑顔につられたようにシュリも微笑み返し、
「こんにちは。僕はシュリナスカ・ルバーノといいます。どうぞシュリって呼んで下さい。お2人はキルーシャのお友達?」
「はい。私もこのバカも、キルーシャとは幼い頃からの友人です。我らもキルーシャと共にあなたのもとで働きたいと思い、ついてきました。なので、我らへの敬語は不要ですよ、シュリ様」
「そう。じゃあ、そうさせてもらうよ。僕の下で働きたいって言ってくれるのはありがたいけど、本当にそれでいいの? キルーシャが僕に恩を感じるのは分かるけど、あなた達まで僕に恩を感じる必要はないんだよ? あなた達を助けたのはキルーシャなんだから」
「シュリ様がキルーシャを助けたからキルーシャが我々を助ける事が出来たんです。それに、キルーシャが我々を請け出すのに使った資金はシュリ様が用意なさったものだと聞いてますよ?」
「あれは……あのお金はキルーシャにあげたお金だから、どう使おうと自由、というか。あのお金を持ってどこかで新しい生活を始めたって良かったんだから。だけど、そのお金を使ってあなた達を助けたいと思ったのはキルーシャの意志だよ。だから、感謝の気持ちは全部キルーシャに向けてくれていいと思うんだけど」
「シュリ様が私を助け、私の自由にしていいんだとお金を預け、仲間達の情報を教えてくれたからこそ、私は動けた。あなたとの出会いがなければ、仲間達を助けるどころか、私自身、なにも出来ないままただ死んでいたはず。だから……」
「ですね。我らを助けようと動いてくれたキルーシャにはもちろん感謝ですが、そうできるようにしてくれたシュリ様にも感謝しかないですよ。ねえ、ジガド?」
「……」
「あっれぇ? 恩人に感謝も出来ないような男が、戦士長を名乗っていいのかなぁ?」
「ぐっ……感謝、している」
キルーシャは、感謝の気持ちと言うには少々熱く潤みすぎた目を向けてくるし、隣の女性に感謝の言葉を半ば強要されたジガドという男性は、感謝というには鋭すぎる視線を突き刺してくる。
僕って、男の人には嫌われる事、結構あるんだよねぇ、などと思いながら、シュリはキルーシャとまだ名前の分からない砂漠の民の女性の顔を交互に眺めた。
2人とも平均以上に美人でシュリに好意的だ。
ジガドは恐らく、この2人のどちらかに想いを寄せているのだろう。
ヤキモチを焼かれたあげく、その嫉妬心が敵意に変わる現象は今までに何度も経験してきたし、この王都に来てからもタントで経験済みだ。
(ん~。どっち、かなぁ)
名前を知らない女の人の方ならまだ対処出来るだろう。
彼女はまだ、そこまで深くシュリに捕らわれていない。
でも、もしキルーシャの方だとしたら手遅れの可能性がある。
キルーシャは、せっかくシュリのもとを一度離れるという機会に恵まれたのに、それでもシュリのところへ戻ってきてしまった。
それがシュリへの思慕なのか、助けてもらった事への義理からなのか。
本人に聞いたわけではないからはっきりとは分からないが、キルーシャの視線の熱さからの予測だと、義理ではないだろうとの結論が叩き出される。
まあ、出会いが出会いだから仕方がないかもしれない。
キルーシャからしたらシュリは、命を救い奴隷の身分から救い出してくれたヒーローのようなものなのだろう。
普通に考えたら、恋に落ちるなという方が無理な話だ。
ちょっとシュリが幼すぎるという点は、シュリのとんでもスキルが十二分に補ってくれちゃったに違いない。
そんなことを考え、キルーシャ達と他愛ない会話を交わしながら観察する。
ジガドが好きなのはどっちだ、と。
普通に気兼ねなく仲が良さそうなのは、キルーシャの幼なじみだという砂漠の民の女性だ。
彼女はジガドとも幼なじみで、名前はファルマと言うらしい。
観察の間の世間話で、その辺りの基礎情報は聞き出せた。
気兼ねなくつき合える仲のいい幼なじみ。
とってもいい響きだが、ジガドが想う相手はどうやら、気がつけば高嶺の花になってしまった幼なじみ、の方だったようだ。
つまり、ジガドはキルーシャの事が好きらしい。
話を聞けば、ジガドがキルーシャの結婚相手候補と目されていた時期もあったらしい。
ただ、外の部族からの結婚話がキルーシャに舞い込み、それもなかったことにされてしまったようだが。
恋人同士だった時期はあるのか、とそっち方面にちょっと話を向けてみたが、3人の関係性はずっと幼なじみの域をでていないようだ。
ジガドは時折、焦がれるような視線をキルーシャに向ける。
だが、キルーシャはそれに気づくことはない。
彼女は彼女でシュリを見つめる事に忙しいから。
そんな2人を……正確にはジガドを困ったように眺めるのはファルマ。
仕方ない奴、そう言いたげなまなざしの中には、少しだけ切なさが混じっていて。
ああ、ファルマはジガドのことが好きなんだな、きっと。
シュリにそんな考えを抱かせる。
ジガドはキルーシャが好きだが、キルーシャはシュリを想っているから、彼の思いは報われない。
そんな彼にファルマが想いを寄せている。
余計なお世話だが、ファルマとジガドは結構お似合いじゃないかとシュリは思う。
ファルマの恋が成就する近道は、ジガドがキルーシャにきちんと失恋することじゃないだろうか。
そんなことをぼんやり考えていたら、
「我々は、シュリ様の私兵団として働きたいと思っている。どうか我らの忠誠を受け入れては頂けないだろうか?」
懇願するようなキルーシャのその問いについつい、
「うん」
と答えてしまっていた。
すると、ジェス達との話し合いをいつの間にか終え、シュリの斜め後ろの定位置に戻っていたジュディスが、
「シュリ様専属の私兵団。いいですね。団長はキルーシャに任せていいでしょうか?」
きりりとした表情でそう問いかけてきた。
そんな彼女に、実は余りよく話を聞いていませんでした、とは言い出せず、ジュディスがいいことだと言うなら間違いないだろう、と、
「あ、うん。もちろん!」
打てば響くように答えを返していた。
ジュディスは満足そうに頷いて、
「専属契約の傭兵団に専属の私兵団。これでシュリ様の周囲の安全も万全ですね。それぞれの団はジェスとキルーシャに任せるとして、シュリ様護衛団としての全体の指揮はカレン、あなたがとるといいでしょう」
自分の斜め後ろに立っていたカレンにそう告げた。
「構わないでしょうか、シュリ様」
「うん。カレン、お願い出来るかな?」
「はい。シュリ君……いえ、シュリ様の為、身命をとしてつとめます」
「僕の命は早々危なくならないから、カレンも護衛団のみんなも、命を大事に、だよ。自分の体と命をちゃんと守るように」
「え~っと、シュリ君? それじゃあ護衛団の意味がないというか」
「僕の護衛団はそれでいいんだよ。守られる方の僕が普通の護衛対象とは違うんだから」
「ですけど……」
「みんなが自分を大事にしないと、僕がみんなを守ることになるよ? みんなが僕を守って危ない目にあわないように」
「そ、それは……困りますね」
「でしょ? だから、自分の身の安全は自分できちっと守るように。みんなが自分を守ることが、僕を守ることにつながるって、そう思ってくれればいいよ。分かってくれるよね?」
「……わかりました。護衛団の指針に、己の身命を第一に守るべし、の一文を入れることにして、みんなに徹底させることにします。まったく、シュリ君にはかないませんね」
「うん。ありがとう、カレン。護衛団の指針に関しては、後で僕も一緒に考えるよ」
シュリがにっこり笑い、頑固な主に言い負かされたカレンはちょっぴり疲れた顔をする。
だが、主に守られる護衛団よりも、自分の身は自分で守る護衛団の方がまだましだ。
でもまあ、よく考えれば、自分達が生きてそこに立っていれば、それは主を守ることにつながる。
命を懸けて守り抜きます、と宣言できないのは残念な気がするが、己の命を守り、主と共に生き残ります、というのも悪くはないだろう。
そう考えて、カレンは大人しく口をつぐんだ。
「話はまとまりましたね。では、小ホールに軽食を用意してありますので場所を移しましょう。[月の乙女]との話し合いで、彼女達の拠点はこちらで準備することに致しました。長らく空き家になっているお隣の屋敷が売りに出ておりますので、そこを買い取り兵舎として使えるように整えようかと考えております。こちらの、えーと」
ジュディスがキルーシャ達をなんと呼ぶか言いよどむ様子を見て、シュリはキルーシャ達の私兵団としての名称を考えなきゃな、としばし黙考した。
「キルーシャ」
「はい、シュリ様」
「今日からキルーシャ達はシュリナスカ・ルバーノ専属兵団[砂の勇士]って名乗るように」
シュリの言葉に、キルーシャは驚きに目を大きく見開いた。
そして、
「砂の、勇士」
キルーシャは主から与えられた自分達の呼び名を繰り返す。
じわじわとこみ上げてくる喜びに、頬を上気させ、その口元がゆるむのを感じながら。
「その呼び方で、イヤじゃないかな?」
キルーシャ達の意見なんて聞かなくてもいい立場のはずなのに、すこし自信がなさそうに聞いてくれる主が愛おしい。
キルーシャは微笑み、首を横に振った。
「いや。すばらしい呼び名だ。心からの感謝を」
「そう? 良かった。ジェス達が[月の乙女]だから、最初は[砂の乙女]って名前が浮かんだんだけど、ジェス達と違ってキルーシャ達の中には男の人もいるからどうだろうって思って」
言いながら、シュリはジガドに笑いかけた。
だが、帰ってきたのはむっとしたような不機嫌そうな顔で、それに気づいた隣のファルマが再び肘を突きいれ。
ジガドはうぐっと呻いてわき腹を押さえた。
その様子を微笑ましく眺めていたら、
「[砂の勇士]。良い名だと思います。では、[砂の勇士]のみなさまにも、[月の乙女]と同じく、隣家の敷地に兵舎を準備します。ただ、これから購入し、工事を手配しますのでそれまでは敷地内に天幕を張って生活してもらう事になるかと。[月の乙女]の皆様は、兵舎が出来上がるまで宿にいる、とのことでしたが、[砂の勇士]はどうしますか?」
ジュディスが言葉を挟み、キルーシャにそう問いかけた。
キルーシャは少しだけ考える様子を見せたがすぐに顔を上げ、
「専属とはいえ、傭兵団の[月の乙女]と違い、我ら[砂の勇士]はシュリ様の為だけの兵団。なので出来ればシュリ様のお側に居たいと考えているのだが、天幕で生活をさせてもらうのは見苦しくないだろうか? 迷惑なら、どこかに宿を取ることも検討したいと思っているが」
しっかりと己の意見を述べる。
彼女の言葉にジュディスは頷き、答えた。
「我がルバーノ家は、王都での貴族同士のつきあいがあまりございません。なので、庭に天幕があろうとも、見られて困る相手が訪問するとは考えにくいでしょう。ですから、敷地内に天幕を張って生活してもらう事に問題はありません。隣の屋敷を買い上げたら、まずは延び放題の木を整え、訓練に使えるスペースを作りますから、そこが整い次第天幕はそちらに移せばいいですし。では、[砂の勇士]はこちらに滞在と言うことでよろしいですか」
「ああ。よろしくお願いする。それから、我らと同道した奴隷の中には、戦士ではなく別の仕事を望む者も多いのだが……」
「かしこまりました。ではシュリ様とも相談し、後で面談の予定を立てます。ですが、今はまず、シュリ様護衛の両翼[月の乙女]と[砂の勇士]の幹部の交流を行いましょう。立食形式ですから、食べて飲み、自由に言葉を交わし、相互理解を深めて下さい。私達、シュリ様専属の使用人も同席しますので、何か分からないことは遠慮なく聞いていただければと思います」
そんなジュディスの言葉を合図に、一同は立ち上がり、食事の準備がされているという小ホールに移動した。
本来は、貴族同士のつき合いで小規模のダンスパーティーやサロンコンサートを行う為に作られた場所らしいが、その貴族同士のつき合いがほぼないため、ほこりをかぶっていた。
が、[月の乙女]と[砂の勇士]の両幹部の交流のため、急遽整えられたその場所には、ルバーノの料理人が腕を振るった料理が並べられ、急遽呼ばれた楽師が華やかな音楽を奏で、なんとも華やかな雰囲気になっていた。
小ホールというからにはそれなりの広さがあり、そこに入った人数からすると少々広すぎの感は否めなかったが。
そんなだだっ広いホールに通されて放置され端っこに固まっていたいた[月の乙女]の面々が、後から入ってきたシュリ達と[砂の勇士]の姿を認めてほっとしたような顔をする。
そんな彼女達に、
「待たせてごめんね」
と声をかけ、ジェス達に、キルーシャ達を引き合わせた。
そこに、今後彼女達をまとめる立場となるカレンが加わり、和やかに交流がはじまる。
シュリはそれを確かめてから、一仕事を終えたとばかりに大きく息をついて伸びをして、
「庭で待ってる人達のところにも、ご飯、いってるかな?」
誰にともなくそう尋ねる。
そんな主の問いを受け、
「手配済みです。ここにある食事ほど上品なものではありませんが、戦闘職の方々が多いので、肉中心のメニューを準備しました」
「給仕してるメイドからの報告だと、かなり好評みたいですよ~」
専属執事のアビス、専属メイドのルビスが報告をしてくれた。
その報告に頷き、
「そっか。なら良かった。じゃあ、僕も何か食べようかな」
再びシュリが誰にともなくそう呟いた瞬間、
「シュリ様。料理を見繕って盛り合わせてきました。どうぞお召し上がり下さい」
そんな言葉と共に差し出された皿を、シュリは反射的に受け取っていた。
「ありがとう、シャイナ」
「よろしければ、あーん、をいたしましょうか?」
「大丈夫。自分で食べられるよ」
礼を伝えたら冗談が返ってきたので苦笑混じりにさくっと断っておく。
でも、シャイナは結構本気でがっかりした顔をしていたので、あーんの下りは冗談じゃなかったのかもしれない。
そんなことを思いつつ、立ったまま食事を開始しようとしたら待ったの声がかかった。
「アビスもルビスもシャイナも。しっかりシュリ様のお役に立ってすばらしいですね。ここは私も……。さっ、シュリ様」
なにが、さっ、なのか分からないが、ジュディスはいそいそと四つん這いになって、期待に満ち満ちた瞳でシュリを見ている。
これはあれだろうか。
四つん這いのジュディスに座れという、そんなプレイなのだろうか。
ちょっと遠い目をしてそんなことを思う。
もちろん、シュリは即座に断ろうとした。
でも、そんなことが許されるはずもなく。
「さっ、シュリ様。どうぞ」
横から伸びてきたシャイナの手で抱き上げられ、シュリのお尻はあっという間にジュディスの背中の上に置かれてしまっていた。
「えーっと。お、重くない? 僕は立って食べても平気だから……」
「いーえ。全く重くありません。むしろジュディスはこれ以上ない幸福感を感じております。非常にいい気分です」
降りてもいい? と聞こうとしたのだが、その言葉はジュディスの嬉しそうな声に打ち消された。
「そ、そう?」
「はい! シュリ様のお尻はこのジュディスがお守りしますので、安心してお食事をなさって下さい!!」
別に守ってもらうほどのお尻じゃないんだけどな、と思いながら反論する気力を根こそぎ奪われたシュリは、手に持ったお皿に綺麗に盛りつけられた料理の数々に目を落とす。
落ち込んだまま食事をしたら、作ってくれた人に失礼だ、と気を取り直して、
「えっと、じゃあ……い、いただきま~す」
そう言ってから、フォークで刺した料理を口に運び、その美味しさに目尻を下げた。
やっぱりうちの料理人の腕は確かだなぁ、と思いながら。
だが、そんな感動も長くは続かない。
「ジュディス様。次は私、シャイナがシュリ様のイスをつとめます。そんなうらやましい役目、独り占めはよくないです」
「そうですよぅ~、ジュディスさん。順番交代ですよ、順番交代。シャイナさんの後は私がシュリ様のお尻を背中に乗せますからねぇ」
「わ、私は、その、シュリ様のお尻を私なんかの背中に乗せるなんて恐れ多いと思うんですが。で、でも、せっかくなので、お姉様の次にシュリ様のお尻をお引き受けします。いえ、させて下さい!!」
自分の足下で繰り広げられるそんな交渉の様子を聞かされ。
シュリはおいしい料理をもむもむするのを一時中断し、ちょっぴり遠い目をするのだった。
「待たせてごめんね、キルーシャ。グランとシェルファから大まかな話は聞いてるけど、大変だったね。お疲れさま」
「ありがとう、ございます。シュリ様」
「でも良かったの? 仲間の人達と一緒に、元の土地でやり直す選択をしても良かったんだよ? 自由にこの先を選べるように、僕はキルーシャを奴隷から解放したんだから」
食い入るように、むさぼるようにシュリを見つめるキルーシャのまなざしの意味をいったん横に置いておいて、シュリはじっと彼女の青い瞳を見つめたまま尋ねた。
主のその問いかけに、キルーシャは迷うことなく答えた。
「シュリ様の心遣いには気づいていた。だが、私はシュリ様のお側にいたかった。迷惑、だろうか?」
くぅん、と耳を垂れるわんこの姿が見えた気がして、シュリは思わずキルーシャの頭を撫でてあげたい衝動にかられた。
だが、物理的距離が離れていたので頭を撫でることは諦め、ただ微笑んで首を横に振った。
「迷惑なんかじゃないよ。僕はキルーシャが戻ってきてくれて嬉しい。僕みたいな子供を主と認めてくれてありがとう、キルーシャ」
シュリの言葉に、キルーシャは頬を色づかせ、瞳を輝かせる。
その様子に、ご主人様にほめられてしっぽをばっさばっさと振る大きなわんこが重なって見えて、シュリの胸はなんだかほっこりした。
心の中でキルーシャわんこの頭をよしよしと撫でてから、シュリは改めて彼女の隣に並んで座る男女に目を移した。
髪と肌の色がキルーシャと同じだから、彼等は恐らくキルーシャと同じ砂漠の民。
庭に残してきても良かったのに、あえてここに連れてきたということは、キルーシャにとって2人は心を許し頼れる相手、と言うことなのだろう。
年の頃も近そうだし、幼友達とかなのかもしれない。
そんなことを考えながら2人を見ていると、男の人の方からはなぜかぎろりと睨まれ、そんな彼に鋭く肘を入れた女の人からはにっこりと微笑みかけられた。
その笑顔につられたようにシュリも微笑み返し、
「こんにちは。僕はシュリナスカ・ルバーノといいます。どうぞシュリって呼んで下さい。お2人はキルーシャのお友達?」
「はい。私もこのバカも、キルーシャとは幼い頃からの友人です。我らもキルーシャと共にあなたのもとで働きたいと思い、ついてきました。なので、我らへの敬語は不要ですよ、シュリ様」
「そう。じゃあ、そうさせてもらうよ。僕の下で働きたいって言ってくれるのはありがたいけど、本当にそれでいいの? キルーシャが僕に恩を感じるのは分かるけど、あなた達まで僕に恩を感じる必要はないんだよ? あなた達を助けたのはキルーシャなんだから」
「シュリ様がキルーシャを助けたからキルーシャが我々を助ける事が出来たんです。それに、キルーシャが我々を請け出すのに使った資金はシュリ様が用意なさったものだと聞いてますよ?」
「あれは……あのお金はキルーシャにあげたお金だから、どう使おうと自由、というか。あのお金を持ってどこかで新しい生活を始めたって良かったんだから。だけど、そのお金を使ってあなた達を助けたいと思ったのはキルーシャの意志だよ。だから、感謝の気持ちは全部キルーシャに向けてくれていいと思うんだけど」
「シュリ様が私を助け、私の自由にしていいんだとお金を預け、仲間達の情報を教えてくれたからこそ、私は動けた。あなたとの出会いがなければ、仲間達を助けるどころか、私自身、なにも出来ないままただ死んでいたはず。だから……」
「ですね。我らを助けようと動いてくれたキルーシャにはもちろん感謝ですが、そうできるようにしてくれたシュリ様にも感謝しかないですよ。ねえ、ジガド?」
「……」
「あっれぇ? 恩人に感謝も出来ないような男が、戦士長を名乗っていいのかなぁ?」
「ぐっ……感謝、している」
キルーシャは、感謝の気持ちと言うには少々熱く潤みすぎた目を向けてくるし、隣の女性に感謝の言葉を半ば強要されたジガドという男性は、感謝というには鋭すぎる視線を突き刺してくる。
僕って、男の人には嫌われる事、結構あるんだよねぇ、などと思いながら、シュリはキルーシャとまだ名前の分からない砂漠の民の女性の顔を交互に眺めた。
2人とも平均以上に美人でシュリに好意的だ。
ジガドは恐らく、この2人のどちらかに想いを寄せているのだろう。
ヤキモチを焼かれたあげく、その嫉妬心が敵意に変わる現象は今までに何度も経験してきたし、この王都に来てからもタントで経験済みだ。
(ん~。どっち、かなぁ)
名前を知らない女の人の方ならまだ対処出来るだろう。
彼女はまだ、そこまで深くシュリに捕らわれていない。
でも、もしキルーシャの方だとしたら手遅れの可能性がある。
キルーシャは、せっかくシュリのもとを一度離れるという機会に恵まれたのに、それでもシュリのところへ戻ってきてしまった。
それがシュリへの思慕なのか、助けてもらった事への義理からなのか。
本人に聞いたわけではないからはっきりとは分からないが、キルーシャの視線の熱さからの予測だと、義理ではないだろうとの結論が叩き出される。
まあ、出会いが出会いだから仕方がないかもしれない。
キルーシャからしたらシュリは、命を救い奴隷の身分から救い出してくれたヒーローのようなものなのだろう。
普通に考えたら、恋に落ちるなという方が無理な話だ。
ちょっとシュリが幼すぎるという点は、シュリのとんでもスキルが十二分に補ってくれちゃったに違いない。
そんなことを考え、キルーシャ達と他愛ない会話を交わしながら観察する。
ジガドが好きなのはどっちだ、と。
普通に気兼ねなく仲が良さそうなのは、キルーシャの幼なじみだという砂漠の民の女性だ。
彼女はジガドとも幼なじみで、名前はファルマと言うらしい。
観察の間の世間話で、その辺りの基礎情報は聞き出せた。
気兼ねなくつき合える仲のいい幼なじみ。
とってもいい響きだが、ジガドが想う相手はどうやら、気がつけば高嶺の花になってしまった幼なじみ、の方だったようだ。
つまり、ジガドはキルーシャの事が好きらしい。
話を聞けば、ジガドがキルーシャの結婚相手候補と目されていた時期もあったらしい。
ただ、外の部族からの結婚話がキルーシャに舞い込み、それもなかったことにされてしまったようだが。
恋人同士だった時期はあるのか、とそっち方面にちょっと話を向けてみたが、3人の関係性はずっと幼なじみの域をでていないようだ。
ジガドは時折、焦がれるような視線をキルーシャに向ける。
だが、キルーシャはそれに気づくことはない。
彼女は彼女でシュリを見つめる事に忙しいから。
そんな2人を……正確にはジガドを困ったように眺めるのはファルマ。
仕方ない奴、そう言いたげなまなざしの中には、少しだけ切なさが混じっていて。
ああ、ファルマはジガドのことが好きなんだな、きっと。
シュリにそんな考えを抱かせる。
ジガドはキルーシャが好きだが、キルーシャはシュリを想っているから、彼の思いは報われない。
そんな彼にファルマが想いを寄せている。
余計なお世話だが、ファルマとジガドは結構お似合いじゃないかとシュリは思う。
ファルマの恋が成就する近道は、ジガドがキルーシャにきちんと失恋することじゃないだろうか。
そんなことをぼんやり考えていたら、
「我々は、シュリ様の私兵団として働きたいと思っている。どうか我らの忠誠を受け入れては頂けないだろうか?」
懇願するようなキルーシャのその問いについつい、
「うん」
と答えてしまっていた。
すると、ジェス達との話し合いをいつの間にか終え、シュリの斜め後ろの定位置に戻っていたジュディスが、
「シュリ様専属の私兵団。いいですね。団長はキルーシャに任せていいでしょうか?」
きりりとした表情でそう問いかけてきた。
そんな彼女に、実は余りよく話を聞いていませんでした、とは言い出せず、ジュディスがいいことだと言うなら間違いないだろう、と、
「あ、うん。もちろん!」
打てば響くように答えを返していた。
ジュディスは満足そうに頷いて、
「専属契約の傭兵団に専属の私兵団。これでシュリ様の周囲の安全も万全ですね。それぞれの団はジェスとキルーシャに任せるとして、シュリ様護衛団としての全体の指揮はカレン、あなたがとるといいでしょう」
自分の斜め後ろに立っていたカレンにそう告げた。
「構わないでしょうか、シュリ様」
「うん。カレン、お願い出来るかな?」
「はい。シュリ君……いえ、シュリ様の為、身命をとしてつとめます」
「僕の命は早々危なくならないから、カレンも護衛団のみんなも、命を大事に、だよ。自分の体と命をちゃんと守るように」
「え~っと、シュリ君? それじゃあ護衛団の意味がないというか」
「僕の護衛団はそれでいいんだよ。守られる方の僕が普通の護衛対象とは違うんだから」
「ですけど……」
「みんなが自分を大事にしないと、僕がみんなを守ることになるよ? みんなが僕を守って危ない目にあわないように」
「そ、それは……困りますね」
「でしょ? だから、自分の身の安全は自分できちっと守るように。みんなが自分を守ることが、僕を守ることにつながるって、そう思ってくれればいいよ。分かってくれるよね?」
「……わかりました。護衛団の指針に、己の身命を第一に守るべし、の一文を入れることにして、みんなに徹底させることにします。まったく、シュリ君にはかないませんね」
「うん。ありがとう、カレン。護衛団の指針に関しては、後で僕も一緒に考えるよ」
シュリがにっこり笑い、頑固な主に言い負かされたカレンはちょっぴり疲れた顔をする。
だが、主に守られる護衛団よりも、自分の身は自分で守る護衛団の方がまだましだ。
でもまあ、よく考えれば、自分達が生きてそこに立っていれば、それは主を守ることにつながる。
命を懸けて守り抜きます、と宣言できないのは残念な気がするが、己の命を守り、主と共に生き残ります、というのも悪くはないだろう。
そう考えて、カレンは大人しく口をつぐんだ。
「話はまとまりましたね。では、小ホールに軽食を用意してありますので場所を移しましょう。[月の乙女]との話し合いで、彼女達の拠点はこちらで準備することに致しました。長らく空き家になっているお隣の屋敷が売りに出ておりますので、そこを買い取り兵舎として使えるように整えようかと考えております。こちらの、えーと」
ジュディスがキルーシャ達をなんと呼ぶか言いよどむ様子を見て、シュリはキルーシャ達の私兵団としての名称を考えなきゃな、としばし黙考した。
「キルーシャ」
「はい、シュリ様」
「今日からキルーシャ達はシュリナスカ・ルバーノ専属兵団[砂の勇士]って名乗るように」
シュリの言葉に、キルーシャは驚きに目を大きく見開いた。
そして、
「砂の、勇士」
キルーシャは主から与えられた自分達の呼び名を繰り返す。
じわじわとこみ上げてくる喜びに、頬を上気させ、その口元がゆるむのを感じながら。
「その呼び方で、イヤじゃないかな?」
キルーシャ達の意見なんて聞かなくてもいい立場のはずなのに、すこし自信がなさそうに聞いてくれる主が愛おしい。
キルーシャは微笑み、首を横に振った。
「いや。すばらしい呼び名だ。心からの感謝を」
「そう? 良かった。ジェス達が[月の乙女]だから、最初は[砂の乙女]って名前が浮かんだんだけど、ジェス達と違ってキルーシャ達の中には男の人もいるからどうだろうって思って」
言いながら、シュリはジガドに笑いかけた。
だが、帰ってきたのはむっとしたような不機嫌そうな顔で、それに気づいた隣のファルマが再び肘を突きいれ。
ジガドはうぐっと呻いてわき腹を押さえた。
その様子を微笑ましく眺めていたら、
「[砂の勇士]。良い名だと思います。では、[砂の勇士]のみなさまにも、[月の乙女]と同じく、隣家の敷地に兵舎を準備します。ただ、これから購入し、工事を手配しますのでそれまでは敷地内に天幕を張って生活してもらう事になるかと。[月の乙女]の皆様は、兵舎が出来上がるまで宿にいる、とのことでしたが、[砂の勇士]はどうしますか?」
ジュディスが言葉を挟み、キルーシャにそう問いかけた。
キルーシャは少しだけ考える様子を見せたがすぐに顔を上げ、
「専属とはいえ、傭兵団の[月の乙女]と違い、我ら[砂の勇士]はシュリ様の為だけの兵団。なので出来ればシュリ様のお側に居たいと考えているのだが、天幕で生活をさせてもらうのは見苦しくないだろうか? 迷惑なら、どこかに宿を取ることも検討したいと思っているが」
しっかりと己の意見を述べる。
彼女の言葉にジュディスは頷き、答えた。
「我がルバーノ家は、王都での貴族同士のつきあいがあまりございません。なので、庭に天幕があろうとも、見られて困る相手が訪問するとは考えにくいでしょう。ですから、敷地内に天幕を張って生活してもらう事に問題はありません。隣の屋敷を買い上げたら、まずは延び放題の木を整え、訓練に使えるスペースを作りますから、そこが整い次第天幕はそちらに移せばいいですし。では、[砂の勇士]はこちらに滞在と言うことでよろしいですか」
「ああ。よろしくお願いする。それから、我らと同道した奴隷の中には、戦士ではなく別の仕事を望む者も多いのだが……」
「かしこまりました。ではシュリ様とも相談し、後で面談の予定を立てます。ですが、今はまず、シュリ様護衛の両翼[月の乙女]と[砂の勇士]の幹部の交流を行いましょう。立食形式ですから、食べて飲み、自由に言葉を交わし、相互理解を深めて下さい。私達、シュリ様専属の使用人も同席しますので、何か分からないことは遠慮なく聞いていただければと思います」
そんなジュディスの言葉を合図に、一同は立ち上がり、食事の準備がされているという小ホールに移動した。
本来は、貴族同士のつき合いで小規模のダンスパーティーやサロンコンサートを行う為に作られた場所らしいが、その貴族同士のつき合いがほぼないため、ほこりをかぶっていた。
が、[月の乙女]と[砂の勇士]の両幹部の交流のため、急遽整えられたその場所には、ルバーノの料理人が腕を振るった料理が並べられ、急遽呼ばれた楽師が華やかな音楽を奏で、なんとも華やかな雰囲気になっていた。
小ホールというからにはそれなりの広さがあり、そこに入った人数からすると少々広すぎの感は否めなかったが。
そんなだだっ広いホールに通されて放置され端っこに固まっていたいた[月の乙女]の面々が、後から入ってきたシュリ達と[砂の勇士]の姿を認めてほっとしたような顔をする。
そんな彼女達に、
「待たせてごめんね」
と声をかけ、ジェス達に、キルーシャ達を引き合わせた。
そこに、今後彼女達をまとめる立場となるカレンが加わり、和やかに交流がはじまる。
シュリはそれを確かめてから、一仕事を終えたとばかりに大きく息をついて伸びをして、
「庭で待ってる人達のところにも、ご飯、いってるかな?」
誰にともなくそう尋ねる。
そんな主の問いを受け、
「手配済みです。ここにある食事ほど上品なものではありませんが、戦闘職の方々が多いので、肉中心のメニューを準備しました」
「給仕してるメイドからの報告だと、かなり好評みたいですよ~」
専属執事のアビス、専属メイドのルビスが報告をしてくれた。
その報告に頷き、
「そっか。なら良かった。じゃあ、僕も何か食べようかな」
再びシュリが誰にともなくそう呟いた瞬間、
「シュリ様。料理を見繕って盛り合わせてきました。どうぞお召し上がり下さい」
そんな言葉と共に差し出された皿を、シュリは反射的に受け取っていた。
「ありがとう、シャイナ」
「よろしければ、あーん、をいたしましょうか?」
「大丈夫。自分で食べられるよ」
礼を伝えたら冗談が返ってきたので苦笑混じりにさくっと断っておく。
でも、シャイナは結構本気でがっかりした顔をしていたので、あーんの下りは冗談じゃなかったのかもしれない。
そんなことを思いつつ、立ったまま食事を開始しようとしたら待ったの声がかかった。
「アビスもルビスもシャイナも。しっかりシュリ様のお役に立ってすばらしいですね。ここは私も……。さっ、シュリ様」
なにが、さっ、なのか分からないが、ジュディスはいそいそと四つん這いになって、期待に満ち満ちた瞳でシュリを見ている。
これはあれだろうか。
四つん這いのジュディスに座れという、そんなプレイなのだろうか。
ちょっと遠い目をしてそんなことを思う。
もちろん、シュリは即座に断ろうとした。
でも、そんなことが許されるはずもなく。
「さっ、シュリ様。どうぞ」
横から伸びてきたシャイナの手で抱き上げられ、シュリのお尻はあっという間にジュディスの背中の上に置かれてしまっていた。
「えーっと。お、重くない? 僕は立って食べても平気だから……」
「いーえ。全く重くありません。むしろジュディスはこれ以上ない幸福感を感じております。非常にいい気分です」
降りてもいい? と聞こうとしたのだが、その言葉はジュディスの嬉しそうな声に打ち消された。
「そ、そう?」
「はい! シュリ様のお尻はこのジュディスがお守りしますので、安心してお食事をなさって下さい!!」
別に守ってもらうほどのお尻じゃないんだけどな、と思いながら反論する気力を根こそぎ奪われたシュリは、手に持ったお皿に綺麗に盛りつけられた料理の数々に目を落とす。
落ち込んだまま食事をしたら、作ってくれた人に失礼だ、と気を取り直して、
「えっと、じゃあ……い、いただきま~す」
そう言ってから、フォークで刺した料理を口に運び、その美味しさに目尻を下げた。
やっぱりうちの料理人の腕は確かだなぁ、と思いながら。
だが、そんな感動も長くは続かない。
「ジュディス様。次は私、シャイナがシュリ様のイスをつとめます。そんなうらやましい役目、独り占めはよくないです」
「そうですよぅ~、ジュディスさん。順番交代ですよ、順番交代。シャイナさんの後は私がシュリ様のお尻を背中に乗せますからねぇ」
「わ、私は、その、シュリ様のお尻を私なんかの背中に乗せるなんて恐れ多いと思うんですが。で、でも、せっかくなので、お姉様の次にシュリ様のお尻をお引き受けします。いえ、させて下さい!!」
自分の足下で繰り広げられるそんな交渉の様子を聞かされ。
シュリはおいしい料理をもむもむするのを一時中断し、ちょっぴり遠い目をするのだった。
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