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第四部 王都の新たな日々
第376話 サシャ先生は王都へ帰りたい②
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「何でお前等も一緒に来てるんだ。今回は俺の順番だっただろう?」
「いいじゃないですか、兄さん。そうケチケチしなくても」
「そうだよ。兄弟って分かち合うものでしょ?」
アズベルグに向かう馬車の中で、兄弟3人がみっちり詰まり顔をつきあわせて話をしている様は、何ともいえずに暑苦しい。
決して狭くない馬車のはずなのだが、戦闘職の長兄はもちろんのこと、妹を、姉を守る為に日々体を鍛える次男と末っ子の肉体も中々にたくましく育っており。
結果、貴族の好む優美な作りの馬車の中は筋肉であふれかえっていた。
彼らはサシャの兄と弟。
普段は王都に住まう彼らが、どうして地方都市アズベルグに向かう途上にあるのか。
答えは簡単。
そこに最愛の妹(姉)がいるからである。
彼らの最愛の妹(姉)のサシャは、長年地方都市のアズベルグで教鞭をとっていたが、今年になって王都の王立学院勤務となった。
それ自体は大変喜ばしい事だ。
サシャが嫌がるため、アズベルグに遊びに行く事もかなわず、年に1、2度帰省するサシャに会うことしか出来ずに涙をのんでいた兄弟は、サシャの帰郷を心から歓迎した。
しかし、である。
久々に王都に帰ってきた彼らの愛するサシャは、道ならぬ恋に身を焦がす、恋する乙女へと変貌していた。
その事実もその相手も、彼らにはとても許容できない事だった。
とはいえ、サシャの相手が一般的な男子であれば、いくら姉妹命のかれらとて、ここまで過剰に反応することは無かっただろう。
彼らにとっては可愛い妹であり姉であるサシャも、認めたくはないが結婚適齢期を迎えた女性なのである。
彼女にだって結婚する権利はあるし、彼女が好きな相手と結婚したいというのなら、強固に反対する訳にもいかない。
まあ、相手の男に少しの嫌がらせくらいはするかもしれないが。
だが、サシャが焦がれる相手は、どう見ても一般的な相手とは言えなかったし、結婚相手とするのも難しいだろう。
何しろ、年が離れすぎている。
サシャよりも遙かに年下のその少年は、アズベルグでもサシャが関わりのあった生徒だという。
彼はその優秀さから、異例の飛び級をして王都の王立学院へ進学する事となり、その際、彼のサポートとして着いてくる事になったのがサシャだった。
そんなわけで、件の少年とサシャは生徒と教師の関係性。
そこに恋愛感情が混ざるのはまずい……と彼らは考えた。
というのは建前で、少年にメロメロ過ぎる妹の姿に嫉妬の念がおさえきれなかったというのが真実に近い。
理由はともあれ、とにかくサシャを少年の近くに置いておくのはよくない。
そう考えた彼らは、サシャの勤務する王立学院の学院長である祖父に、直談判した。
永遠に2人を引き離すのは無理だとしても、少し距離を置かせて気持ちの熱を冷ます必要があるのではないか、と。
3人の意見に祖父はそれほど乗り気ではなかったが、尋常ではない姉妹愛ゆえの圧に負け、サシャをしばし王都から引き離すことに同意してくれたのだった。
こうしてサシャは、古巣であるアズベルグ初等学校への出向を命じられ、しぶしぶ王都を旅立った。
サシャは少しでも早く王都に戻るために、驚くべきスピードで仕事をこなしていたが、そう簡単に戻って来られては意味がない。
というわけで、3兄弟はアズベルグ初等学校の校長に賄賂を贈り、協力を要請した。
結果、サシャがアズベルグに足止めされて3週間が過ぎ、今回の訪問で校長へ渡る賄賂は4枚目となる。
「しっかしなぁ。こんなのが賄賂になるとはな」
「こんなのとは失礼ですよ、兄上。これでも一応高名な画家に依頼したものなんですから」
「ま、確かにあの子供の特徴はよく捕らえてるよな。絵としてはいい出来だと思うけどさ」
3人は顔を寄せ合って、今回の賄賂をのぞき込む。
そこには、まだ幼い少年の姿が瑞々しく描かれていた。
「う~ん。確かにいい出来だがなぁ。俺だったらサシャの絵が欲しいな」
「そんなの、僕だって一緒ですよ。サシャの絵ならどんな手を使っても手に入れたいですね。本来なら、この画家にサシャの肖像画も頼もうと思っていたのですが……」
「あ、それいいね。この画家、腕は確かみたいだし。サシャ姉さんの肖像画、3枚頼もうよ。取り合いにならないようにさ」
「そうできれば良かったんですが、今回の依頼ですっかりあの少年の虜になってしまったようで。これから先はあの少年の絵姿だけを描いて生きていく事を決めた、とそう言ってました」
「そ、そうなのか!? うーむ。確かに見た目は可愛い、と言えるかもしれんが、うちのサシャの方がずっと可愛いと思うが。解せんな」
「うんうん。あんなちょっと可愛いだけの子供のどこがいいんだか、ほんと意味不明だよねぇ」
狭苦しい馬車の中、3人は真面目な顔で言葉を交わしあう。
その間も、馬車は順調に距離を稼ぎ。
彼らの愛しのシスターがいるアズベルグ到着まで、もう少しだった。
◆◇◆
「むっふぅ~。あったらしいシュリ君、あったらしいシュリ君」
サシャが隠れてあとをつけているなどとは夢にも思わず、校長は浮かれきった足取りでどこかへ向かっている。
しかし、新しいシュリ君、とはどういうことなのだろうか?
サシャは生真面目に身を隠しつつ首を傾げる。
(シュリ君に、新しいも古いもないと思いますが……。まあ、このまま見ていれば、そのうちに校長の言葉の真意も判明するでしょう)
一旦疑問を棚上げし、冷静に慎重に校長の後ろ姿を追う。
そのまましばらく追い続け、たどり着いた先は校舎のはずれの、古びた倉庫だった。
校長は迷い無くその倉庫の扉へと向かい、閉ざされた扉に向かって、
「シュリ君かわいい」
激しく同意ではあるがなぜここでいう必要が? とつっこみたくなる言葉をぶつける。
だが、サシャのその疑問はすぐに解けた。
なぜなら、倉庫の内側から、
「サシャの方がもっとかわいい」
精悍な男らしい声が聞こえたからだ。
聞こえてきたその声に、校長は更に言葉を返す。
「かわいいは正義」
「……うむ。入ってくれ」
校長の言葉を合図に、倉庫の扉が内側から開く。
先ほどからの校長の発言は、どうやら合い言葉だったようだ。
その一連のやりとりに、サシャはがっくり肩を落とす。
半ば予想していたが、自分をアズベルグに足止めしているのは過保護な兄弟達らしい、と察して。
校長を飲み込んだあと再び閉じた扉を半眼で見つめサシャは次の行動を開始する。
なにしろ古い倉庫なので、中の様子をのぞき見するための隙間には事欠かない。
まずはその壁の隙間から中の様子をうかがって、実際に賄賂の受け渡しが行われたら、即座に踏み込んで現場を押さえる。
これからの行動の流れを頭の中で確認しつつ、壁の隙間に顔を寄せた。
倉庫の中では、小柄な校長と、体の大きな男が3人、向かい合うようにして立っていた。
見覚えのありすぎる大男3人衆に、正直ため息しか出てこない。
(……何をやってるんですか、3人とも)
そこにいるのは、紛れもなくサシャの兄2人と弟の姿だった。
3人ともそれなりに責任ある立場の社会人で、王都での仕事も忙しいはず。
なのに、3人勢ぞろいでこんな片田舎の学校に出没したのはなぜなんだろうか。
(……国家の一大事で、校長に重要な連絡があった、とかだといいんですが)
現実逃避気味にそんな想像をするが、実のところ、彼らがここにいる理由など分かり切っていた。
彼らが不可解な行動をとる理由はいつもサシャに関わること。
今、サシャがアズベルグにいるのも、恐らく彼らが現在のサシャの雇い主である祖父に働きかけた結果なのだろう。
ということを、サシャは今はっきりと確信した。
まあ、前から若干の疑いを持ってはいたが。
(3人の攻勢のしつこさに、おじい様がうんざりして根負けした、というのが真実でしょうね)
目的は恐らく、サシャをシュリから引き離すこと。
(ばかばかしい。ちょっと離れていたくらいで、私のシュリ君への気持ちが冷めるとでも?)
恐らく、兄達や弟はそう思っているのだろう。
だが、サシャのシュリへの思いは、ちょっと離れたくらいでどうこう出来るレベルのものではないのだ。
むしろ、会えない時間が長くなるほどに、シュリに焦がれる気持ちは強くなっている気がする。
こんな状態でシュリに会ってしまったらどうなるか、自分でも心配になるほどに。
脳内でそんな推測を展開しつつ、サシャは彼らの取引の様子に目を凝らす。
彼女の視線の先では、額装された絵画のようなものが受け渡されていた。
(……金銭の代わりに高額な芸術品で、ということなんでしょうか?)
それとも兄達や弟はただ、美術品を寄贈するためだけに来ただけで、サシャに関する画策をするため、というのは誤解なのだろうか?
頭を悩ませるサシャの視界で、若者3人と老人は自分達を見ている目があることも知らず、取引を続ける。
「絵の出来はどうだ? 気に入って頂けたか?」
「それはもうっ!! この何とも言えぬ上目遣い! 最高すぎますぞい!! 4枚目のこれは今までのものより大きめで、それも素晴らしい!!」
「そ、そうか。気に入って頂けたようで何よりだ」
「画家が言うには、今回は実物大に限りなく近づけて描いた、とのことでした。その絵を飾るときはなるべく当人の顔が来るであろう高さに飾ってほしい、と」
「ふむっ! シュリ君の身長から考えると、そうですな……この辺りですかな? っ!! ふぉうっ!!」
「ど、どうなされた?」
「む、むぅ。画家の策略にまんまとはめられて、危うく心臓が喜び止まってしまうところでしたぞい。まさしく実物のシュリ君に上目遣いで見上げられている気分ですな!!」
「喜び、止まる……」
「トキメキ止まる、と言い換えても良いですぞ! とにかく、この絵はそれだけ素晴らしいということですな!!」
「……確かに良い絵だとは思いますが、そこまで、ですか」
「そこまで、ですな。あなたも想像してごらんなさい。この絵があなたの大切な人の絵だと。この額縁の中から、あなたの大切な人がいつも上目遣いに甘く見上げてくれる光景を!」
校長に促され、3人は想像する。
愛しいサシャが、額縁の中から普段は見せてくれないくらいに甘い上目遣いに見上げてくれる光景を。
それは思った以上に素晴らしいものだった。
「くっ。サシャがそんなに甘く俺を見つめてくれるとは、なんて素晴らしい。生きてるうちにこんな日が来るなんて。兄ちゃん、感動して目から汗が出てきたよ……」
「ふっ。僕の理性を試しているのですね、サシャ。大丈夫です。僕の理性はこんな事でゆらぎは……はっ。いけない。サシャの魅力に僕の鼻から真っ赤な情熱があふれ出そうです」
「昔はあんなに小さかったのに、大きくなりましたね……って? サシャ姉さんの慈しむような上目遣いの威力、すごすぎるよ。サシャ姉さん、頭を撫でて! いーこだねって、よちよちしてぇっ!!」
暴走する3人に、校長が若干ひいているのが遠目でも分かった。
壁を挟んで覗いているサシャ自身もひいているので、人のことは言えないが。
あそこにいるのは紛れもなく、己の兄達であり弟であるのだが、ちょっぴり……いやごまかすのはやめよう。
正直かなり気持ち悪い。
とはいえ、我慢して見ていた甲斐があった。
これはもう、現場を押さえたといってもいいだろう。
そろそろ踏み込んで、彼らの罪を追求する時間だ。
そう判断したサシャは、兄達と弟にどん引きしている校長に逃げられないよう、急いで倉庫の入り口へと向かった。
◆◇◆
「ぢゃ、ぢゃあ、わしはそろそろ……」
「はっ!! そ、そうですね。では引き続きサシャの引き留めをよろし……」
「そこまでです!!」
若干微妙な空気になってしまった倉庫の中に、凛とした声が響いた。
その声に、校長はぎょっとした顔をし、3兄弟は喜びに満ちあふれた表情をはじけさせる。
「さ、さしゃ先生!? なぜっ!?」
「なぜっ!? じゃありません。校長のあとをつけてきたに決まっているでしょう? こっそりと」
「わしの後をつけてきた、じゃと!? なんと!! わしの後を追わずにいられないほどサシャ先生に愛されておったとは知らんかったぞい! じゃ、じゃがわしにはシュリ君という心に決めた……」
「誰があなたに惚れてるバカ女ですか。そんな訳ないでしょう? それに私の心だって全てシュリ君のものですから、校長なんて目に入ったゴミほども眼中にありません。校長が怪しいからつけたに決まっているでしょう?」
「わしが怪しい、じゃと!? うぬぅっ!! なぜバレたぁぁ!!」
「バレバレです。バレないと思う方がおかしいレベルです。取引は全てこの目で見ました。言い逃れは出来ないと思っていただいて結構です」
「ぐ、ぐぬぅ。な、なんてことなのじゃ」
きっぱりと告げると、校長は頭を抱え込んだ。
校長はこれでいいでしょう、と兄達と弟に向き直る。
だが、思っていたより近くに彼らの顔を見つけ、サシャは思わずぎょっとして身を引いた。
「さしゃぁぁ。そんなに兄ちゃんに会いたかったのか? 兄ちゃんだってなぁ。兄ちゃんだって、サシャにものすごぉく会いたかったんだぞ? さ、兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!!」
「僕の愛しいサシャ。そんなに僕に会いたかったのなら、一言そう言ってくれるだけで、すぐにあなたの元へ飛んでいったのに。さ、兄上の暑苦しい胸板よりも僕のスマートな胸に飛び込んでいらっしゃい。お兄ちゃんはあなただけのものですよ」
「サシャ姉さん、僕がそんなに恋しかったの? 僕はいつだってサシャ姉さんだけのものだよ。ほら、兄貴達なんか無視して僕んとこへおいで。僕に姉さんをぎゅーってさせてよ」
「寝言は寝てからお願いします。暑苦しいのでそれ以上近づかないでください」
彼らの熱いラブコールを冷たく切って捨て、
「校長、仕事は終わりましたから、本日でこちらでの勤務は終わらせていただきます。私は王都へ帰ります」
まだ頭を抱えている校長へそう宣言した。
「ぬぬっ。それは急すぎるぞい」
「もうバレているんですから、これ以上は引き留められませんよ? 全てを明るみに出されたくないのでしたら、大人しく頷いた方が賢明かと思いますが」
「うぐぅ」
「……了承いただけて幸いです。では、本日中にお借りしている教員寮の部屋も引き払いますので。何かありましたら王都まで一報をお願いします。お兄様、馬車はどこですか?」
「あ、ああ。外に停めてあるぞ」
「分かりました。では校長。お世話になりました。他の先生方にもよろしくお伝えください。それでは、失礼します」
サシャは校長に頭を下げ、
「それから、これは没収します」
校長の傍らに置いてあった絵の包みを素早く取り上げた。
「そ、そんなっ!? 横暴じゃぞ!!」
「……他の3枚を見逃してさしあげるのですから、ありがたいと思って下さい。それとも全て、取り上げましょうか? 今回の件で迷惑を被った被害者の権利として」
反射的に声をあげた校長だが、サシャ先生の鋭い返球にしゅんとなって小さくなった。
「そうですね。その判断が賢明です」
うっすらと微笑んだサシャは、校長から取り上げた絵を、大切に胸に抱きしめた。
「安心して下さい。校長の代わりに私が毎日ちゃんと愛でますから。本当なら、他の3枚も私が大切に保管したいところですが……」
「ふぉぉぉっ! それだけはぁっ」
「……私も鬼ではありません。そちらの3枚は見逃しましょう。ただし……」
「ありがとう!! 恩にきるぞ、サシャ先生ぃぃ」
「決してよからぬ目的には使わないように」
「ぎくぅっ」
「……今すぐ没収した方がいい気がしてきました」
「いやっ、待ってくれぃ! ちゃんと大事に観賞するだけにすると約束する!! じゃから、あとの3枚だけは勘弁してほいぞい!!」
土下座せんばかりの勢いで懇願され、サシャは小さくため息をつき頷いた。
「分かりました。残りの3枚は校長にお預けしておきます。ですが、万が一の時は容赦なく取り上げますから、そうならぬようにがんばって下さい。いつでも、見ていますよ。最近の王都では、すすんだ監視魔術も開発されてますからね」
サシャの言葉に校長は震え上がる。
校長は知っていた。
サシャ先生はやると言ったことは必ず実行する先生だということを。
そして、約束を破った相手に対するサシャ先生は、とにかく容赦がないということも。
そんな彼女に逆らうなど、考えるだけで恐ろしい。
「や、約束する! 絶対じゃ!!」
「そうですか?」
サシャ先生との約束を破るなどとんでもない、と力を込めて校長が答え、それを受けたサシャは若干残念そうな顔をする。
校長が曖昧な返事を返すようなら、残りの3枚も没収してしまうことも考えていたのだが、そう上手く事は運びそうに無かったから。
(でも、まあ、欲張っても仕方ありません。それに王都に戻れば本物のシュリ君に会えるんですから)
それで良しとしましょう、と己に言い聞かせ、
「わかりました。では、今度こそ、失礼します。校長も、お元気で」
シュリの絵を胸に抱き抱えたまま腰を折って深々と頭を下げ、これ以上の面倒はごめんだと言わんばかりにさっさと古びた倉庫を出ていった。
「待ってくれ、サシャ!」
「サシャ」
「サシャ姉さん」
その後ろ姿に、3兄弟も続く。
だが、サシャに続いて馬車に乗り込もうとした男兄弟3人組は、暑苦しい、と蹴り出され、
「この馬車は私と私の荷物でいっぱいですから、そちらは別の馬車を用立てて下さい」
そう言い置いたサシャに、見事なまでに置き去りにされた。
馬車を急がせ、寮の部屋に戻ったサシャは、いつでも王都に戻れるように荷造りしてあった荷物を馬車に放り込み、室内の掃除を完璧に終わらせると、さっさとアズベルグを後にしたのだった。
後に残されたのは、直前まで人が住んでいたとは思えないほど綺麗になった空き部屋。
……と。
誰もいない部屋で呆然とする、大急ぎで馬車を用立てサシャを追ってきた3兄弟の姿だった。
「いいじゃないですか、兄さん。そうケチケチしなくても」
「そうだよ。兄弟って分かち合うものでしょ?」
アズベルグに向かう馬車の中で、兄弟3人がみっちり詰まり顔をつきあわせて話をしている様は、何ともいえずに暑苦しい。
決して狭くない馬車のはずなのだが、戦闘職の長兄はもちろんのこと、妹を、姉を守る為に日々体を鍛える次男と末っ子の肉体も中々にたくましく育っており。
結果、貴族の好む優美な作りの馬車の中は筋肉であふれかえっていた。
彼らはサシャの兄と弟。
普段は王都に住まう彼らが、どうして地方都市アズベルグに向かう途上にあるのか。
答えは簡単。
そこに最愛の妹(姉)がいるからである。
彼らの最愛の妹(姉)のサシャは、長年地方都市のアズベルグで教鞭をとっていたが、今年になって王都の王立学院勤務となった。
それ自体は大変喜ばしい事だ。
サシャが嫌がるため、アズベルグに遊びに行く事もかなわず、年に1、2度帰省するサシャに会うことしか出来ずに涙をのんでいた兄弟は、サシャの帰郷を心から歓迎した。
しかし、である。
久々に王都に帰ってきた彼らの愛するサシャは、道ならぬ恋に身を焦がす、恋する乙女へと変貌していた。
その事実もその相手も、彼らにはとても許容できない事だった。
とはいえ、サシャの相手が一般的な男子であれば、いくら姉妹命のかれらとて、ここまで過剰に反応することは無かっただろう。
彼らにとっては可愛い妹であり姉であるサシャも、認めたくはないが結婚適齢期を迎えた女性なのである。
彼女にだって結婚する権利はあるし、彼女が好きな相手と結婚したいというのなら、強固に反対する訳にもいかない。
まあ、相手の男に少しの嫌がらせくらいはするかもしれないが。
だが、サシャが焦がれる相手は、どう見ても一般的な相手とは言えなかったし、結婚相手とするのも難しいだろう。
何しろ、年が離れすぎている。
サシャよりも遙かに年下のその少年は、アズベルグでもサシャが関わりのあった生徒だという。
彼はその優秀さから、異例の飛び級をして王都の王立学院へ進学する事となり、その際、彼のサポートとして着いてくる事になったのがサシャだった。
そんなわけで、件の少年とサシャは生徒と教師の関係性。
そこに恋愛感情が混ざるのはまずい……と彼らは考えた。
というのは建前で、少年にメロメロ過ぎる妹の姿に嫉妬の念がおさえきれなかったというのが真実に近い。
理由はともあれ、とにかくサシャを少年の近くに置いておくのはよくない。
そう考えた彼らは、サシャの勤務する王立学院の学院長である祖父に、直談判した。
永遠に2人を引き離すのは無理だとしても、少し距離を置かせて気持ちの熱を冷ます必要があるのではないか、と。
3人の意見に祖父はそれほど乗り気ではなかったが、尋常ではない姉妹愛ゆえの圧に負け、サシャをしばし王都から引き離すことに同意してくれたのだった。
こうしてサシャは、古巣であるアズベルグ初等学校への出向を命じられ、しぶしぶ王都を旅立った。
サシャは少しでも早く王都に戻るために、驚くべきスピードで仕事をこなしていたが、そう簡単に戻って来られては意味がない。
というわけで、3兄弟はアズベルグ初等学校の校長に賄賂を贈り、協力を要請した。
結果、サシャがアズベルグに足止めされて3週間が過ぎ、今回の訪問で校長へ渡る賄賂は4枚目となる。
「しっかしなぁ。こんなのが賄賂になるとはな」
「こんなのとは失礼ですよ、兄上。これでも一応高名な画家に依頼したものなんですから」
「ま、確かにあの子供の特徴はよく捕らえてるよな。絵としてはいい出来だと思うけどさ」
3人は顔を寄せ合って、今回の賄賂をのぞき込む。
そこには、まだ幼い少年の姿が瑞々しく描かれていた。
「う~ん。確かにいい出来だがなぁ。俺だったらサシャの絵が欲しいな」
「そんなの、僕だって一緒ですよ。サシャの絵ならどんな手を使っても手に入れたいですね。本来なら、この画家にサシャの肖像画も頼もうと思っていたのですが……」
「あ、それいいね。この画家、腕は確かみたいだし。サシャ姉さんの肖像画、3枚頼もうよ。取り合いにならないようにさ」
「そうできれば良かったんですが、今回の依頼ですっかりあの少年の虜になってしまったようで。これから先はあの少年の絵姿だけを描いて生きていく事を決めた、とそう言ってました」
「そ、そうなのか!? うーむ。確かに見た目は可愛い、と言えるかもしれんが、うちのサシャの方がずっと可愛いと思うが。解せんな」
「うんうん。あんなちょっと可愛いだけの子供のどこがいいんだか、ほんと意味不明だよねぇ」
狭苦しい馬車の中、3人は真面目な顔で言葉を交わしあう。
その間も、馬車は順調に距離を稼ぎ。
彼らの愛しのシスターがいるアズベルグ到着まで、もう少しだった。
◆◇◆
「むっふぅ~。あったらしいシュリ君、あったらしいシュリ君」
サシャが隠れてあとをつけているなどとは夢にも思わず、校長は浮かれきった足取りでどこかへ向かっている。
しかし、新しいシュリ君、とはどういうことなのだろうか?
サシャは生真面目に身を隠しつつ首を傾げる。
(シュリ君に、新しいも古いもないと思いますが……。まあ、このまま見ていれば、そのうちに校長の言葉の真意も判明するでしょう)
一旦疑問を棚上げし、冷静に慎重に校長の後ろ姿を追う。
そのまましばらく追い続け、たどり着いた先は校舎のはずれの、古びた倉庫だった。
校長は迷い無くその倉庫の扉へと向かい、閉ざされた扉に向かって、
「シュリ君かわいい」
激しく同意ではあるがなぜここでいう必要が? とつっこみたくなる言葉をぶつける。
だが、サシャのその疑問はすぐに解けた。
なぜなら、倉庫の内側から、
「サシャの方がもっとかわいい」
精悍な男らしい声が聞こえたからだ。
聞こえてきたその声に、校長は更に言葉を返す。
「かわいいは正義」
「……うむ。入ってくれ」
校長の言葉を合図に、倉庫の扉が内側から開く。
先ほどからの校長の発言は、どうやら合い言葉だったようだ。
その一連のやりとりに、サシャはがっくり肩を落とす。
半ば予想していたが、自分をアズベルグに足止めしているのは過保護な兄弟達らしい、と察して。
校長を飲み込んだあと再び閉じた扉を半眼で見つめサシャは次の行動を開始する。
なにしろ古い倉庫なので、中の様子をのぞき見するための隙間には事欠かない。
まずはその壁の隙間から中の様子をうかがって、実際に賄賂の受け渡しが行われたら、即座に踏み込んで現場を押さえる。
これからの行動の流れを頭の中で確認しつつ、壁の隙間に顔を寄せた。
倉庫の中では、小柄な校長と、体の大きな男が3人、向かい合うようにして立っていた。
見覚えのありすぎる大男3人衆に、正直ため息しか出てこない。
(……何をやってるんですか、3人とも)
そこにいるのは、紛れもなくサシャの兄2人と弟の姿だった。
3人ともそれなりに責任ある立場の社会人で、王都での仕事も忙しいはず。
なのに、3人勢ぞろいでこんな片田舎の学校に出没したのはなぜなんだろうか。
(……国家の一大事で、校長に重要な連絡があった、とかだといいんですが)
現実逃避気味にそんな想像をするが、実のところ、彼らがここにいる理由など分かり切っていた。
彼らが不可解な行動をとる理由はいつもサシャに関わること。
今、サシャがアズベルグにいるのも、恐らく彼らが現在のサシャの雇い主である祖父に働きかけた結果なのだろう。
ということを、サシャは今はっきりと確信した。
まあ、前から若干の疑いを持ってはいたが。
(3人の攻勢のしつこさに、おじい様がうんざりして根負けした、というのが真実でしょうね)
目的は恐らく、サシャをシュリから引き離すこと。
(ばかばかしい。ちょっと離れていたくらいで、私のシュリ君への気持ちが冷めるとでも?)
恐らく、兄達や弟はそう思っているのだろう。
だが、サシャのシュリへの思いは、ちょっと離れたくらいでどうこう出来るレベルのものではないのだ。
むしろ、会えない時間が長くなるほどに、シュリに焦がれる気持ちは強くなっている気がする。
こんな状態でシュリに会ってしまったらどうなるか、自分でも心配になるほどに。
脳内でそんな推測を展開しつつ、サシャは彼らの取引の様子に目を凝らす。
彼女の視線の先では、額装された絵画のようなものが受け渡されていた。
(……金銭の代わりに高額な芸術品で、ということなんでしょうか?)
それとも兄達や弟はただ、美術品を寄贈するためだけに来ただけで、サシャに関する画策をするため、というのは誤解なのだろうか?
頭を悩ませるサシャの視界で、若者3人と老人は自分達を見ている目があることも知らず、取引を続ける。
「絵の出来はどうだ? 気に入って頂けたか?」
「それはもうっ!! この何とも言えぬ上目遣い! 最高すぎますぞい!! 4枚目のこれは今までのものより大きめで、それも素晴らしい!!」
「そ、そうか。気に入って頂けたようで何よりだ」
「画家が言うには、今回は実物大に限りなく近づけて描いた、とのことでした。その絵を飾るときはなるべく当人の顔が来るであろう高さに飾ってほしい、と」
「ふむっ! シュリ君の身長から考えると、そうですな……この辺りですかな? っ!! ふぉうっ!!」
「ど、どうなされた?」
「む、むぅ。画家の策略にまんまとはめられて、危うく心臓が喜び止まってしまうところでしたぞい。まさしく実物のシュリ君に上目遣いで見上げられている気分ですな!!」
「喜び、止まる……」
「トキメキ止まる、と言い換えても良いですぞ! とにかく、この絵はそれだけ素晴らしいということですな!!」
「……確かに良い絵だとは思いますが、そこまで、ですか」
「そこまで、ですな。あなたも想像してごらんなさい。この絵があなたの大切な人の絵だと。この額縁の中から、あなたの大切な人がいつも上目遣いに甘く見上げてくれる光景を!」
校長に促され、3人は想像する。
愛しいサシャが、額縁の中から普段は見せてくれないくらいに甘い上目遣いに見上げてくれる光景を。
それは思った以上に素晴らしいものだった。
「くっ。サシャがそんなに甘く俺を見つめてくれるとは、なんて素晴らしい。生きてるうちにこんな日が来るなんて。兄ちゃん、感動して目から汗が出てきたよ……」
「ふっ。僕の理性を試しているのですね、サシャ。大丈夫です。僕の理性はこんな事でゆらぎは……はっ。いけない。サシャの魅力に僕の鼻から真っ赤な情熱があふれ出そうです」
「昔はあんなに小さかったのに、大きくなりましたね……って? サシャ姉さんの慈しむような上目遣いの威力、すごすぎるよ。サシャ姉さん、頭を撫でて! いーこだねって、よちよちしてぇっ!!」
暴走する3人に、校長が若干ひいているのが遠目でも分かった。
壁を挟んで覗いているサシャ自身もひいているので、人のことは言えないが。
あそこにいるのは紛れもなく、己の兄達であり弟であるのだが、ちょっぴり……いやごまかすのはやめよう。
正直かなり気持ち悪い。
とはいえ、我慢して見ていた甲斐があった。
これはもう、現場を押さえたといってもいいだろう。
そろそろ踏み込んで、彼らの罪を追求する時間だ。
そう判断したサシャは、兄達と弟にどん引きしている校長に逃げられないよう、急いで倉庫の入り口へと向かった。
◆◇◆
「ぢゃ、ぢゃあ、わしはそろそろ……」
「はっ!! そ、そうですね。では引き続きサシャの引き留めをよろし……」
「そこまでです!!」
若干微妙な空気になってしまった倉庫の中に、凛とした声が響いた。
その声に、校長はぎょっとした顔をし、3兄弟は喜びに満ちあふれた表情をはじけさせる。
「さ、さしゃ先生!? なぜっ!?」
「なぜっ!? じゃありません。校長のあとをつけてきたに決まっているでしょう? こっそりと」
「わしの後をつけてきた、じゃと!? なんと!! わしの後を追わずにいられないほどサシャ先生に愛されておったとは知らんかったぞい! じゃ、じゃがわしにはシュリ君という心に決めた……」
「誰があなたに惚れてるバカ女ですか。そんな訳ないでしょう? それに私の心だって全てシュリ君のものですから、校長なんて目に入ったゴミほども眼中にありません。校長が怪しいからつけたに決まっているでしょう?」
「わしが怪しい、じゃと!? うぬぅっ!! なぜバレたぁぁ!!」
「バレバレです。バレないと思う方がおかしいレベルです。取引は全てこの目で見ました。言い逃れは出来ないと思っていただいて結構です」
「ぐ、ぐぬぅ。な、なんてことなのじゃ」
きっぱりと告げると、校長は頭を抱え込んだ。
校長はこれでいいでしょう、と兄達と弟に向き直る。
だが、思っていたより近くに彼らの顔を見つけ、サシャは思わずぎょっとして身を引いた。
「さしゃぁぁ。そんなに兄ちゃんに会いたかったのか? 兄ちゃんだってなぁ。兄ちゃんだって、サシャにものすごぉく会いたかったんだぞ? さ、兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!!」
「僕の愛しいサシャ。そんなに僕に会いたかったのなら、一言そう言ってくれるだけで、すぐにあなたの元へ飛んでいったのに。さ、兄上の暑苦しい胸板よりも僕のスマートな胸に飛び込んでいらっしゃい。お兄ちゃんはあなただけのものですよ」
「サシャ姉さん、僕がそんなに恋しかったの? 僕はいつだってサシャ姉さんだけのものだよ。ほら、兄貴達なんか無視して僕んとこへおいで。僕に姉さんをぎゅーってさせてよ」
「寝言は寝てからお願いします。暑苦しいのでそれ以上近づかないでください」
彼らの熱いラブコールを冷たく切って捨て、
「校長、仕事は終わりましたから、本日でこちらでの勤務は終わらせていただきます。私は王都へ帰ります」
まだ頭を抱えている校長へそう宣言した。
「ぬぬっ。それは急すぎるぞい」
「もうバレているんですから、これ以上は引き留められませんよ? 全てを明るみに出されたくないのでしたら、大人しく頷いた方が賢明かと思いますが」
「うぐぅ」
「……了承いただけて幸いです。では、本日中にお借りしている教員寮の部屋も引き払いますので。何かありましたら王都まで一報をお願いします。お兄様、馬車はどこですか?」
「あ、ああ。外に停めてあるぞ」
「分かりました。では校長。お世話になりました。他の先生方にもよろしくお伝えください。それでは、失礼します」
サシャは校長に頭を下げ、
「それから、これは没収します」
校長の傍らに置いてあった絵の包みを素早く取り上げた。
「そ、そんなっ!? 横暴じゃぞ!!」
「……他の3枚を見逃してさしあげるのですから、ありがたいと思って下さい。それとも全て、取り上げましょうか? 今回の件で迷惑を被った被害者の権利として」
反射的に声をあげた校長だが、サシャ先生の鋭い返球にしゅんとなって小さくなった。
「そうですね。その判断が賢明です」
うっすらと微笑んだサシャは、校長から取り上げた絵を、大切に胸に抱きしめた。
「安心して下さい。校長の代わりに私が毎日ちゃんと愛でますから。本当なら、他の3枚も私が大切に保管したいところですが……」
「ふぉぉぉっ! それだけはぁっ」
「……私も鬼ではありません。そちらの3枚は見逃しましょう。ただし……」
「ありがとう!! 恩にきるぞ、サシャ先生ぃぃ」
「決してよからぬ目的には使わないように」
「ぎくぅっ」
「……今すぐ没収した方がいい気がしてきました」
「いやっ、待ってくれぃ! ちゃんと大事に観賞するだけにすると約束する!! じゃから、あとの3枚だけは勘弁してほいぞい!!」
土下座せんばかりの勢いで懇願され、サシャは小さくため息をつき頷いた。
「分かりました。残りの3枚は校長にお預けしておきます。ですが、万が一の時は容赦なく取り上げますから、そうならぬようにがんばって下さい。いつでも、見ていますよ。最近の王都では、すすんだ監視魔術も開発されてますからね」
サシャの言葉に校長は震え上がる。
校長は知っていた。
サシャ先生はやると言ったことは必ず実行する先生だということを。
そして、約束を破った相手に対するサシャ先生は、とにかく容赦がないということも。
そんな彼女に逆らうなど、考えるだけで恐ろしい。
「や、約束する! 絶対じゃ!!」
「そうですか?」
サシャ先生との約束を破るなどとんでもない、と力を込めて校長が答え、それを受けたサシャは若干残念そうな顔をする。
校長が曖昧な返事を返すようなら、残りの3枚も没収してしまうことも考えていたのだが、そう上手く事は運びそうに無かったから。
(でも、まあ、欲張っても仕方ありません。それに王都に戻れば本物のシュリ君に会えるんですから)
それで良しとしましょう、と己に言い聞かせ、
「わかりました。では、今度こそ、失礼します。校長も、お元気で」
シュリの絵を胸に抱き抱えたまま腰を折って深々と頭を下げ、これ以上の面倒はごめんだと言わんばかりにさっさと古びた倉庫を出ていった。
「待ってくれ、サシャ!」
「サシャ」
「サシャ姉さん」
その後ろ姿に、3兄弟も続く。
だが、サシャに続いて馬車に乗り込もうとした男兄弟3人組は、暑苦しい、と蹴り出され、
「この馬車は私と私の荷物でいっぱいですから、そちらは別の馬車を用立てて下さい」
そう言い置いたサシャに、見事なまでに置き去りにされた。
馬車を急がせ、寮の部屋に戻ったサシャは、いつでも王都に戻れるように荷造りしてあった荷物を馬車に放り込み、室内の掃除を完璧に終わらせると、さっさとアズベルグを後にしたのだった。
後に残されたのは、直前まで人が住んでいたとは思えないほど綺麗になった空き部屋。
……と。
誰もいない部屋で呆然とする、大急ぎで馬車を用立てサシャを追ってきた3兄弟の姿だった。
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