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第一部 幼年期

第十三話 ベロチューはママの味

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 息子を守る!ーそんな決意の元歩き始めたミフィーの歩みは意外に早く止まっていた。
 それも仕方がない。
 怪我が原因の虚血はまだ解消されてなかったし、食べ物もなく歩き続けることには、やはり無理があったのだろう。

 今、ミフィーは手頃な木に寄りかかり、しばし休憩中だ。
 目を閉じ、かすかな寝息をたてている。
 シュリは、再びレーダーを起動して、周囲の情報を探っていた。
 現在、近くに黄色い点は見られない。
 だが、緑の点もすぐにいけるような場所には無かった。
 一番近い緑まででも、結構な距離を移動しなければならないだろう。
 それには、ミフィーの体力を回復しないとどうにもならない。

 シュリはうーん、と考え込む。


 (母親とのディープキスはどうかと思うけど、ミフィーの体力を回復させるには体液をもう少し飲ませた方がいいのかな?)


 そんな事を、真剣に悩んでみる。
 まあ、昨夜さんざん口移しで色々飲ませたのだから、今更何をといった感はあるのだが。
 出来れば食べ物を食べさせてあげたいと思うが、その食べ物を入手する手段が無い。

 なんかちょうど良いスキルが手に入らないかな~、と思いはするものの、そう簡単なものでも無いようだ。
 いっこうにいつものヤツはやってこない。
 仕方がないので、レーダーを閉じて、ハイハイでミフィーの側に戻った。

 だが、木に寄りかかって寝ているミフィーの顔が遠い。
 一生懸命ミフィーの身体をよじ登り、ふぬーっと唇を近づけようとしても、無理なものな無理なのだ。
 仕方なく、彼女を起こすことにした。
 下に降り、まずは太股の辺りをパフパフと叩いて彼女を呼ぶ。


 「みー、みー!!(ミフィー、ミフィー!!)」

 「ん……んぅ、あえ?わたし、寝ちゃってた??」


 ミフィーが寝ぼけ眼ながらも起きたことを確認し、今度は地面の自分の横をペンペンと叩いて、一緒に寝ようと誘いをかける。
 ミフィーは寝ぼけたままその様子をみて、へらっと笑った。
 少しアホっぽくて可愛いなと思う。母親だけど、可愛いものは可愛いのだ。だけど、ちょっとドキッとしたのは秘密だ。


 「んふ~、シュリも一緒に寝たいの?仕方ないなぁ~」


 言いながら、ミフィーはシュリの横にコテンと横になると、再び寝息を立て始める。


 (よし、うまくいった!)


 内心にやりと笑い、ミフィーの顔の側へ移動する。
 昨日と違って、明るいから何だか照れくさかったが、思い切って唇を押し当てた。
 柔らかな唇を割って、舌を差し入れてはみたものの、なんといってもまだ1歳児の持ち物だ。長さも大きさも圧倒的に足りない。
 だが、何とか自分の舌でミフィーの唇に隙間をあけ、ぴとっとくっつけた唇から唾液を送り込む。
 こくんこくんとミフィーの喉が動き、きちんと飲んだのを確認して、そろそろ終わりにしようかな~と思った時、ぱちっとミフィーの目が開いた。


 「あふぇ?ひゅり?」


 キスをしたまま、ミフィーがもごもごと言葉を発する。トロンとした目が、更にトロンと細められ、


 「きひゅがひたひの?もう、おましぇしゃんにゃんだかりゃ~」


 シュリの舌をくわえ込んだまま、にまーっとミフィーが淫らに笑った。
 寝ぼけてるんだろうけど、なんかやばいーそう感じて離れようとしたときには遅かった。
 ぐいっと更に唇をしっかりと密着させられて、ミフィーの舌が別の生き物の様に動き出す。
 縮こまったシュリの舌を見つけだしてからめ取り、シュリの小さな口の中を器用に蹂躙していく。


 「んちゅっ、ちゅぅぅっ、ちゅぷぅっ……はえ?なんかすごぉく甘い……んふ、もっとちょーらい。んんぅ、ちゅ、ちゅ、ちゅぅぅっ」

 「んー!!」


 舌を絡められ、強烈に吸引され、口の中にあった唾液を絞りとられる。
 あまりの吸引のすごさに、何か色々吸い取られそうで危険だったが、搾り取るだけ搾り取った後は素直に唇が離れてくれたので助かった。
 内蔵が吸い取られなくて良かったと、素直に思いながら、涙目で見ると、ミフィーは再び気持ちよさそうに眠っていた。
 ほっぺたの血色が良くなっているから、それなりに体力も回復したことだろう。

 良かったけど、色々危険だった。
 ベロチューは本当に最後の手段にしないといけないかもと、さっきよりも真剣にそう考えるシュリなのだった。

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