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第二部 少年期のはじまり
第八十九話 節目の誕生日に
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春。木々が芽吹き、花が咲き乱れる季節。
様々な色に彩られたルバーノ家の庭の木の上に、ひときわ目立つ銀色の輝きがきらめく。
庭木の中でも一番背の高い木のてっぺん近く。
太い枝に腰掛けて、銀色の髪に菫色の瞳の、まだ幼げな容姿の少年は、吹き抜ける風の心地よさに柔らかく目を細める。
己の住む街を一望できるその場所は、最近の彼の、一番のお気に入りの場所だった。
「シュリ~」
不意に名前を呼ばれ、少年ーシュリナスカ・ルバーノは、視線を下へと転じる。
そこに最愛の母親の姿を見つけて、彼はにっこりと微笑んだ。
「シュリ、そろそろ時間よ?早く降りていらっしゃい」
母の言葉に頷いて、
「分かったよ、母様。すぐ、降りる」
そう言うが早いか、座っていた枝からするりと尻を滑らせて、その身を宙へと踊らせた。十数メートルはある巨木から、なんの恐れも気負いもなく。
そして、数秒後には無事に地面へと着地を果たし、少年はあきれ顔の母を見上げて、もう一度、にっこり笑った。
「お待たせ、母様。じゃあ、いこうか?」
「はぁ~、いつ見ても心臓に悪いわね~。私は慣れたから良いけど、知らない人の前じゃしないようにね?私だって、最初はシュリが死んじゃうと思ってすごくびっくりしたんだから」
言いながら、シュリの実の母親、ミフィルカ・ルバーノは年の割に随分と早熟な息子の手をそっと握ると、ゆっくりとした足取りで母屋に向かって歩き出した。
「はぁい。気をつけます、母様」
ぺろりと舌を出して、おどけたように謝る息子が余りに可愛くて、ミフィーの胸がきゅうぅっと締め付けられる。
実の息子にときめく母親などどうかと思うのだが、その点に関してはもう半ば諦めていた。
なにしろ、息子が魅力的すぎるのだ。
赤ん坊の頃も、それはもうたまらないくらいに可愛かったが、最近は可愛らしさに加え、男の子らしい凛々しさや、年に見合わぬ色気のようなものも漂わせはじめてしまった。
そんなシュリに、ミフィーだけではなく、他の家族も皆、メロメロなのが現在のルバーノ家の現状なのであった。
因みに、シュリの持つユニークスキル[年上キラー]の攻略度としてはこんな感じである。
・ルバーノ家
・ミフィルカ・ルバーノ(母):100%(恋愛状態・熱愛)
・エミーユ・ルバーノ(叔母):100%(恋愛状態・熱愛)
・フィリア・ルバーノ(姉1・16歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・リュミス・ルバーノ(姉2・13歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・アリス・ルバーノ(姉3・11歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・ミリシア・ルバーノ(姉4・8歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・ハルシャ・ルバーノ(祖母):100%(盲目的な慈愛・熱愛)
・カイゼル・ルバーノ(叔父):100%(熱愛)
・バステス・ルバーノ(祖父):100%(熱愛)
・その他
・ジャンバルノ(カイゼルの部下):100%(絶対の忠誠・熱愛)
・マチルダ(乳母):100%(恋愛状態・熱愛)
・リア(マチルダの娘):圏外(年上キラーの効力外の為、表示されない模様)
といった感じで、シュリのせいでは無いのだが実に節操がない。
血の繋がりでさえも、[年上キラー]のでたらめな能力の前には無力なのである。
現に、実の母親でさえも、恋愛状態という体たらく。
まあ、恋愛状態とは言え、ナニをいたすという訳でもないのだが。
せいぜい、時折、発情した眼差しを受ける位である。
むしろ、危険なのは血の繋がりのない叔母様・エミーユの方で。
彼女のアプローチは年々激しくなってきていて、危機感を覚えるほどである。
姉とは呼んでいるものの、実際は従姉妹である四姉妹はまだ幼さが残る年齢でもあり、それほどの危険は感じない。
そろそろ、長女のフィリアが危ないかなぁと思うくらいである。
とはいえ、フィリアは真面目な性格でおっとりしているので、まだ数年は持ちこたえられそうな気はするが。
祖母であるハルシャは、さすがの自制心と言ったところか、身内の女性陣の中で唯一恋愛状態になるのを免れている。
とはいえ、盲目的な慈愛という言葉にも現れているように、シュリに関してはとにかく甘々なおばあ様ではあるが。
家族以外の近しい相手といえば乳母のマチルダだが、彼女は早々にシュリの魅力の前に陥落していた。
ただし、彼女自身、シュリへの想いは母性本能の延長として据えているらしく、一線を越えるような事態にはまだなっていない。
これからも、シュリの側が気をつけさえすれば、正しい乳母と主の関係を貫ける……はずだ。
そして、乳母の娘のリアだが、彼女はどうにも読めない。
一応同い年とはいえ、生まれたのは彼女の方が少し遅いため、年下という分類になっているようだ。
その為、特に攻略度の表示は出てこないのだが、彼女が妙にシュリに構いたがる普段の様子から、ちょっと危ないと危機感は感じている。
出来ることならば、リアとは清く正しい幼なじみの関係を貫きたいところだが、これから先、どうなることか。
[年上キラー]スキルを別にしても、シュリほど美しい少年はそういない。
そんなシュリの傍らで育ち、あえて他の男性を選ぶ確率は非常に低い様な気がするのだった。
最後に、残った男性陣に関して言えば。
一応、同性ということもあり、恋愛状態になるのは避けられてはいる。
避けられてはいるのだが、時々彼らのシュリを見る目が妖しいと思うのはシュリの気のせいだけでは無いはずだ。
特にカイゼル。
彼がどうしてもシュリと風呂に入りたいと言うので、男同士一緒に入ったことが何度かあるが、その時の余りの鼻息の荒さに危機感を覚え、最近は丁重にお断りするようにしている。
前世では、BLという分野に興味がないわけでも無かったが、リアルに自分が関わってくるとなると、出来ればご遠慮したいと思うのである。
これからも、色々な男性陣との関わりも出てくるかもしれないが、断固として、自分のお尻の純情だけは守りたいと思うシュリなのであった。
恋愛状態にある相手は、まあ、そんな感じなのだが、シュリには他に[愛の奴隷]と呼べる存在が三人いる。
最初は[年上キラー]のスキルレベルが低く、攻略度が100%になると否応無く[愛の奴隷]になってしまう状態だった。
そんなこんなで、なし崩しだったり必要にかられて三人の[愛の奴隷]を得たわけだが、三人目の[愛の奴隷]が出来た時点でめでたくスキルレベルが上がり、[愛の奴隷]とするかしないか選択できる様になったのである。
といっても、一度愛の奴隷となった者を解除出来るような仕様ではなく、最初の三人は生涯シュリと苦楽を共にする事となったのだが、当人達はそれに関する不満もなく、幸せそうにしているから、まあいいかと思ってる。
現段階で、愛の奴隷は5人まで増やすことは出来るのだが、シュリは当面増やすつもりは無かった。
愛の奴隷というのも、己に忠実な配下が出来て良いことずくめの様にも思えるのだが、結構色々と面倒なのである。
定期的に構ってあげないと状態異常を起こすし、その状態異常はきちんと解消してあげないと命に関わる、らしい。
そんなわけで、色々とまだ幼いシュリには、まだたくさんの愛の奴隷を抱えるには少々甲斐性が足りないと、そう言う事なのだ。
今のシュリには、ジュディスとシャイナとカレン、三人の愛の奴隷だけで手一杯なのである。
因みに、ジュディスはカイゼルの秘書をしており知性に長け、シャイナはルバーノ家のメイドでありつつ隠密の側面も隠し持っており、情報収集能力や機動力に長けている。
そしてカレンは、アズベルグの警備隊の兵士でもあり、元々の職種に加え、本人のたゆまぬ努力と元々の才能もあり、シュリの守護者とも言うべき戦闘力を有していた。
そういう、能力的な意味でも三人で各方面を広くカバーしており、現段階で慌てて愛の奴隷を増やす必要性も感じていない、シュリなのであった。
母に手を引かれて、半ば自動的に歩きながらそんな事をつらつらと考えていたシュリは、もう二人ほど、恋愛状態にある相手を思い出していた。
その二人とは人間ではなく、女神様。
シュリがこの世界に生まれ変わった瞬間から目を付けていたという運命の女神様と、とある事件がきっかけで加護を受けることになった愛と美の女神様の事である。
攻略度はとっくに100%になり、なんとかシュリと事を為そうと競い合う女神様達であるが、シュリがそれに応えるような事態にはまだなっていない。
女神様達に欲望をぶつけるなど恐れ多いという立て前と、そんな関係になっちゃったらなんだか面倒臭いことになりそう……という本音から、固持し続けているシュリだった。
まあ、そんなこんなで、色々と大変な事や面倒な事もありつつも、大過なく日々を過ごし、シュリも今日で5歳の誕生日を迎える。
5歳は節目の年と言うことで、今日は内輪のみではあるが、盛大な誕生日会が企画されているのだ。
ミフィーは、誕生日会の準備が整ったとシュリを迎えに来て、二人揃ってその会場へ向かうところであった。
こちらの世界では、毎年誕生日を祝うという習慣はなく、祝い事は5歳、10歳、15歳といった節目の年に行われる事が多い。
15歳になると一人前と認められ、貴族で言えば社交界へのデビューするのもこの年頃であり、早ければ15歳で結婚と言うこともあり得る。
ルバーノ家の長女のフィリアは昨年無事、社交界デビューを果たしており、その優しげな美貌はかなりの噂を呼んだという。
結婚の申し込みもすでにかなりの数舞い込んで来ているようだ。
それなりに評判のいい貴公子や身分の高い貴族からの申し込みも多々あるようだが、フィリアの眼中には無いようで。その全てをサクッとお断りし続けているらしい。
ご苦労な話である。
まあ、いずれ、シュリにもそう言う時期が訪れるのだが、それはまだ先の話。今はとにかく目の前の祝い事だ。
誕生日会の会場に着き、ミフィーに扉を開けるように促される。
シュリはわくわくしながら、力一杯……ではなく、十二分に手加減をして、目の前の扉を押し開けるのだった。
様々な色に彩られたルバーノ家の庭の木の上に、ひときわ目立つ銀色の輝きがきらめく。
庭木の中でも一番背の高い木のてっぺん近く。
太い枝に腰掛けて、銀色の髪に菫色の瞳の、まだ幼げな容姿の少年は、吹き抜ける風の心地よさに柔らかく目を細める。
己の住む街を一望できるその場所は、最近の彼の、一番のお気に入りの場所だった。
「シュリ~」
不意に名前を呼ばれ、少年ーシュリナスカ・ルバーノは、視線を下へと転じる。
そこに最愛の母親の姿を見つけて、彼はにっこりと微笑んだ。
「シュリ、そろそろ時間よ?早く降りていらっしゃい」
母の言葉に頷いて、
「分かったよ、母様。すぐ、降りる」
そう言うが早いか、座っていた枝からするりと尻を滑らせて、その身を宙へと踊らせた。十数メートルはある巨木から、なんの恐れも気負いもなく。
そして、数秒後には無事に地面へと着地を果たし、少年はあきれ顔の母を見上げて、もう一度、にっこり笑った。
「お待たせ、母様。じゃあ、いこうか?」
「はぁ~、いつ見ても心臓に悪いわね~。私は慣れたから良いけど、知らない人の前じゃしないようにね?私だって、最初はシュリが死んじゃうと思ってすごくびっくりしたんだから」
言いながら、シュリの実の母親、ミフィルカ・ルバーノは年の割に随分と早熟な息子の手をそっと握ると、ゆっくりとした足取りで母屋に向かって歩き出した。
「はぁい。気をつけます、母様」
ぺろりと舌を出して、おどけたように謝る息子が余りに可愛くて、ミフィーの胸がきゅうぅっと締め付けられる。
実の息子にときめく母親などどうかと思うのだが、その点に関してはもう半ば諦めていた。
なにしろ、息子が魅力的すぎるのだ。
赤ん坊の頃も、それはもうたまらないくらいに可愛かったが、最近は可愛らしさに加え、男の子らしい凛々しさや、年に見合わぬ色気のようなものも漂わせはじめてしまった。
そんなシュリに、ミフィーだけではなく、他の家族も皆、メロメロなのが現在のルバーノ家の現状なのであった。
因みに、シュリの持つユニークスキル[年上キラー]の攻略度としてはこんな感じである。
・ルバーノ家
・ミフィルカ・ルバーノ(母):100%(恋愛状態・熱愛)
・エミーユ・ルバーノ(叔母):100%(恋愛状態・熱愛)
・フィリア・ルバーノ(姉1・16歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・リュミス・ルバーノ(姉2・13歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・アリス・ルバーノ(姉3・11歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・ミリシア・ルバーノ(姉4・8歳):100%(恋愛状態・熱愛)
・ハルシャ・ルバーノ(祖母):100%(盲目的な慈愛・熱愛)
・カイゼル・ルバーノ(叔父):100%(熱愛)
・バステス・ルバーノ(祖父):100%(熱愛)
・その他
・ジャンバルノ(カイゼルの部下):100%(絶対の忠誠・熱愛)
・マチルダ(乳母):100%(恋愛状態・熱愛)
・リア(マチルダの娘):圏外(年上キラーの効力外の為、表示されない模様)
といった感じで、シュリのせいでは無いのだが実に節操がない。
血の繋がりでさえも、[年上キラー]のでたらめな能力の前には無力なのである。
現に、実の母親でさえも、恋愛状態という体たらく。
まあ、恋愛状態とは言え、ナニをいたすという訳でもないのだが。
せいぜい、時折、発情した眼差しを受ける位である。
むしろ、危険なのは血の繋がりのない叔母様・エミーユの方で。
彼女のアプローチは年々激しくなってきていて、危機感を覚えるほどである。
姉とは呼んでいるものの、実際は従姉妹である四姉妹はまだ幼さが残る年齢でもあり、それほどの危険は感じない。
そろそろ、長女のフィリアが危ないかなぁと思うくらいである。
とはいえ、フィリアは真面目な性格でおっとりしているので、まだ数年は持ちこたえられそうな気はするが。
祖母であるハルシャは、さすがの自制心と言ったところか、身内の女性陣の中で唯一恋愛状態になるのを免れている。
とはいえ、盲目的な慈愛という言葉にも現れているように、シュリに関してはとにかく甘々なおばあ様ではあるが。
家族以外の近しい相手といえば乳母のマチルダだが、彼女は早々にシュリの魅力の前に陥落していた。
ただし、彼女自身、シュリへの想いは母性本能の延長として据えているらしく、一線を越えるような事態にはまだなっていない。
これからも、シュリの側が気をつけさえすれば、正しい乳母と主の関係を貫ける……はずだ。
そして、乳母の娘のリアだが、彼女はどうにも読めない。
一応同い年とはいえ、生まれたのは彼女の方が少し遅いため、年下という分類になっているようだ。
その為、特に攻略度の表示は出てこないのだが、彼女が妙にシュリに構いたがる普段の様子から、ちょっと危ないと危機感は感じている。
出来ることならば、リアとは清く正しい幼なじみの関係を貫きたいところだが、これから先、どうなることか。
[年上キラー]スキルを別にしても、シュリほど美しい少年はそういない。
そんなシュリの傍らで育ち、あえて他の男性を選ぶ確率は非常に低い様な気がするのだった。
最後に、残った男性陣に関して言えば。
一応、同性ということもあり、恋愛状態になるのは避けられてはいる。
避けられてはいるのだが、時々彼らのシュリを見る目が妖しいと思うのはシュリの気のせいだけでは無いはずだ。
特にカイゼル。
彼がどうしてもシュリと風呂に入りたいと言うので、男同士一緒に入ったことが何度かあるが、その時の余りの鼻息の荒さに危機感を覚え、最近は丁重にお断りするようにしている。
前世では、BLという分野に興味がないわけでも無かったが、リアルに自分が関わってくるとなると、出来ればご遠慮したいと思うのである。
これからも、色々な男性陣との関わりも出てくるかもしれないが、断固として、自分のお尻の純情だけは守りたいと思うシュリなのであった。
恋愛状態にある相手は、まあ、そんな感じなのだが、シュリには他に[愛の奴隷]と呼べる存在が三人いる。
最初は[年上キラー]のスキルレベルが低く、攻略度が100%になると否応無く[愛の奴隷]になってしまう状態だった。
そんなこんなで、なし崩しだったり必要にかられて三人の[愛の奴隷]を得たわけだが、三人目の[愛の奴隷]が出来た時点でめでたくスキルレベルが上がり、[愛の奴隷]とするかしないか選択できる様になったのである。
といっても、一度愛の奴隷となった者を解除出来るような仕様ではなく、最初の三人は生涯シュリと苦楽を共にする事となったのだが、当人達はそれに関する不満もなく、幸せそうにしているから、まあいいかと思ってる。
現段階で、愛の奴隷は5人まで増やすことは出来るのだが、シュリは当面増やすつもりは無かった。
愛の奴隷というのも、己に忠実な配下が出来て良いことずくめの様にも思えるのだが、結構色々と面倒なのである。
定期的に構ってあげないと状態異常を起こすし、その状態異常はきちんと解消してあげないと命に関わる、らしい。
そんなわけで、色々とまだ幼いシュリには、まだたくさんの愛の奴隷を抱えるには少々甲斐性が足りないと、そう言う事なのだ。
今のシュリには、ジュディスとシャイナとカレン、三人の愛の奴隷だけで手一杯なのである。
因みに、ジュディスはカイゼルの秘書をしており知性に長け、シャイナはルバーノ家のメイドでありつつ隠密の側面も隠し持っており、情報収集能力や機動力に長けている。
そしてカレンは、アズベルグの警備隊の兵士でもあり、元々の職種に加え、本人のたゆまぬ努力と元々の才能もあり、シュリの守護者とも言うべき戦闘力を有していた。
そういう、能力的な意味でも三人で各方面を広くカバーしており、現段階で慌てて愛の奴隷を増やす必要性も感じていない、シュリなのであった。
母に手を引かれて、半ば自動的に歩きながらそんな事をつらつらと考えていたシュリは、もう二人ほど、恋愛状態にある相手を思い出していた。
その二人とは人間ではなく、女神様。
シュリがこの世界に生まれ変わった瞬間から目を付けていたという運命の女神様と、とある事件がきっかけで加護を受けることになった愛と美の女神様の事である。
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女神様達に欲望をぶつけるなど恐れ多いという立て前と、そんな関係になっちゃったらなんだか面倒臭いことになりそう……という本音から、固持し続けているシュリだった。
まあ、そんなこんなで、色々と大変な事や面倒な事もありつつも、大過なく日々を過ごし、シュリも今日で5歳の誕生日を迎える。
5歳は節目の年と言うことで、今日は内輪のみではあるが、盛大な誕生日会が企画されているのだ。
ミフィーは、誕生日会の準備が整ったとシュリを迎えに来て、二人揃ってその会場へ向かうところであった。
こちらの世界では、毎年誕生日を祝うという習慣はなく、祝い事は5歳、10歳、15歳といった節目の年に行われる事が多い。
15歳になると一人前と認められ、貴族で言えば社交界へのデビューするのもこの年頃であり、早ければ15歳で結婚と言うこともあり得る。
ルバーノ家の長女のフィリアは昨年無事、社交界デビューを果たしており、その優しげな美貌はかなりの噂を呼んだという。
結婚の申し込みもすでにかなりの数舞い込んで来ているようだ。
それなりに評判のいい貴公子や身分の高い貴族からの申し込みも多々あるようだが、フィリアの眼中には無いようで。その全てをサクッとお断りし続けているらしい。
ご苦労な話である。
まあ、いずれ、シュリにもそう言う時期が訪れるのだが、それはまだ先の話。今はとにかく目の前の祝い事だ。
誕生日会の会場に着き、ミフィーに扉を開けるように促される。
シュリはわくわくしながら、力一杯……ではなく、十二分に手加減をして、目の前の扉を押し開けるのだった。
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