上 下
68 / 545
第一部 幼年期

第六十八話 顔合わせ

しおりを挟む
※2017/11/1 内容を一部変更しました。


 

 「初めまして。いずれシュリ様の専属秘書になる予定のジュディスよ」

 「こちらこそ、初めまして。近いうちにシュリ様の専属メイドになる予定のシャイナです」


 二人の間に、静かな火花が散っていた。どっちも笑顔だが、目が笑ってなくて何とも怖い。
 シュリは二人の顔を交互に見上げながら思う。
 どうしてこうなった?と。

 念話で話している内は、二人ともそれなりに和やかに話していた様に思う。
 で、なんとかお互いの予定をすり合わせ、ジュディスが手を回してシャイナがシュリを散歩に連れ出す算段を整え、カイゼルの職場見学という大義名分の元、ジュディスがいる領主館で落ち合った。
 因みに、大義名分として利用された当のカイゼルは、ジュディスに仕事を押しつけられて領地の巡察に出ている。
 ジュディスはあらかじめ打ち合わせをしておいた通りに、見学にきたシュリが疲れた様子を見せたと言い張り、準備しておいた客室へシュリとシャイナを連れ込んだのだった。

 そこでジュディスが用意してくれていた飲み物を飲んで一息。
 さて、お互い自己紹介しようかと言うことになり、今の状況に至る。

 シュリはきゅううっと首を傾げる。
 ほんとに、なんでこんな事になってんだろう、と。

 二人が争うような理由なんてあっただろうか。
 まあ、シャイナの素性はジュディスからしたら面白く無いものかもしれないが、そこの所は実はまだはっきりとは話していない。

 ジュディスにはこう告げたのだ。
 ジュディスと同じ様な立場の人がもう一人出来たから紹介したい、と。
 後、どうやら自分と敵対する相手が居るようなので、その件についても3人で相談しよう、と、まあ、そんな風に。


 (なにがいけなかったんだろうな~)


 シュリは困り顔で二人を見る。


 「で?シュリ様からは、私と同じ様な立場の人物と紹介があったけど、それってどんな立場なのかしら?まさか、もう、シュリ様のお情けを頂いたの?」


 そんな高圧的なジュディスの言葉を受けて、シャイナが負けじと胸を張る。


 (……うん。おっぱいはややジュディスが優位かな)


 ついつい目に入った二人のおっぱいを目の前にそんな感想を胸の内に思い浮かべる。
 まあ、どちらも生で見たことがある身としては、二人とも甲乙つけがたい良いおっぱいだと言わざるを得ないが。


 「もちろんです。シュリ様は大変優しく奪って下さいました」


 そう答えて、シャイナはぽっと頬を赤らめて、何とも色っぽい流し目でシュリをちらりと見つめた。
 その時の事を思い出したのか、ちょっと太股をもじもじさせながら。
 そんなシャイナの言葉にジュディスが食いついた。


 「奪う?それってもしかして、入れていただいたってこと、なのかしら」


 目をつり上げ、シャイナに詰め寄りながらシュリをチラチラと盗み見る。
 シュリを、と言うより、お洋服に包まれたままのシュリの可愛らしい[ぷち・まぐなむ]を、だ。
 そんなジュディスを見つめながら、シャイナは勝ち誇ったように鼻をふくらませた。そして答える。


 「当然です!ばっちり入れていただきました!!」


 その言葉に衝撃を受けた様に、ジュディスの体が床に崩れ落ちた。


 「そ、そんな。私だってまだ入れていただいてないのに……」


 どよーんと、そんな効果音が聞こえてきそうな程に落ち込んだ様子のジュディスに、シュリがなんとか慰めようと近づいていくと、不意に、


 ・ジュディスの悲しみが基準値を上回り、状態異常を引き起こしました。


 そんなアナウンス。
 うそぉ、まじで!?と慌ててステータス画面を開けば、


 ・愛の奴隷[ジュディス(100%)(充足度:15%)(状態異常:悲しみ)]


 となっていた。
 因みにシャイナの方は、


 ・愛の奴隷[シャイナ(100%)(充足度:45%)(状態異常:なし)]


 と特に問題はなさそうだ。
 とにかく今はジュディスをなんとかせねばと、近づき顔を見上げる。彼女は割とガチで泣いていた。


 「じゅでぃ?」


 手を伸ばし、彼女のほっぺたを撫でれば、ジュディスは涙も鼻水もダダ漏れ状態のまま、


 「しゅ、しゅりさまぁ。なんで私には入れてくれないんですかぁ??私の方が先なのに、ひっ、ひどいじゃ、ないっ、ですかぁ」


 ひぐひぐと泣きながらそんな主張をしてくる。
 そう言われてみれば、彼女には確かに、その、入れてない。
 だが、言わせて貰うなら、シャイナとした時のあの状況は偶然の産物だったのだ。
 あえてシャイナを選んで入れた訳ではなく、どちらかと言えば入れざるを得ない状況だった。

 だが、そんなことをジュディスが知るはずもなく、彼女は自分の方が先にシュリと出会ったのに、後から出てきた女に先を越されたとひどく悲しんでいた。

 しかし、ここに少々食い違いがある。

 ジュディスは当然、シュリがシャイナにぶち込んだのはどうにかしてビッグになったシュリの[ぷち・まぐなむ]の事だと思っていた。
 だが、事実は違う。
 シュリがシャイナにインサートしたのは、あくまでしっぽであってアレではない。
 だが、シャイナがナニを入れていただいたのかはっきり明言しなかったため、不幸な誤解が生まれた。
 シュリは何とかジュディスを宥めようと、念話で話しかける。


 (あ、あのね、ジュディス。入れたって言っても、アレはたまたまと言うか、偶然の産物というか)

 (たまたま……)

 (そう、たまたま!たまたまなんだよ。ね、シャイナ)

 (まあ、そうですね。シュリ様があの状態の時に、私がご一緒出来たのは確かに偶然ですし、たまたま、といえば、たまたま、でしょうか)


 必死に同意を求めるシュリに、シャイナはしぶしぶながらもそれを認めた。
 しかし、ジュディスの誤解はまるで解けていなかった。むしろ状況は更に悪くなったと言ってもいいだろう。


 (……なるほど。理解しました)

 (えっと、分かってくれた?)

 (ええ。つまりはこう言うことですね?生理現象でたまたま大きくしてしまったシュリ様の前に、たまたまその女がいた。そして、シュリ様はたまたま美味しく頂かれてしまった、と)

 (はい?生理現象で大きくって、流石に無理でしょ?その設定は)


 またまた冗談をとひきつった笑みを浮かべるシュリを、ジュディスが座りきった目で見つめた。


 (私も彼女も同じ様な立場の者と言うことは理解しましたし、納得もしましょう……)

 (えっと、そう言ってくれると助かる……)

 (でも、不平等はダメです!!)

 (んん??)

 (彼女に入れたのなら、私にも入れてくれなきゃダメです!!)


 だだをこねるような彼女の声が頭に響き、気がつけばシュリの体は優しく仰向けに寝転がされていた。


 「うぉ??」


 そんなシュリを、赤い顔をしたジュディスが真上から見下ろしてくる。
 シュリは不思議そうに彼女を見上げた。
 ジュディスは舌先で唇を舐め、そして、


 「大丈夫、私が大きくしてあげます。いえ、絶対に大きくしてみせます!!」


 なんと反応して良いか分からない宣言をし、あれよあれよという間にシュリを丸裸にひんむいてしまった。


 (ちょ、ジュディス!?無理だって!!おっきくなんないから!流石に、年齢的にも!!!)


 シュリが叫ぶがジュディスはそれを聞き流して顔を近付けてくる。
 シュリの股間でぷるぷる震える、小さくて可愛らしい[ぷち・まぐなむ]に。


 「大丈夫。私に任せて……」


 彼女のそんな声が聞こえた次の瞬間、シュリの股間はぬるりとした柔らかで暖かなものに押し包まれていた。


 (んぅっ!?)

 (おぉ!!)


 シュリが呻き、シャイナが鼻息も荒く身を乗り出してジュディスがシュリの分身を舐めしゃぶる様子を見つめる。
 ジュディスの業は何とも巧みであった。
 正直気持ちいい。気持ちいいのだが、シュリの年齢的におっきくもならなければ、出すことも出来ない。
 気持ちいいのに登り切ることが出来ず、はっきり言って蛇の生殺し状態だった。


 (ジュディス……んっ、無理、だよ。おっきくならないって……)

 (一度は大きくなったんですから、絶対に大きくなります!してみせますとも!!)

 (んぅ、だっ、だからぁ、それは、ご、誤解……誤解、なんだって)

 (誤解?)


 ジュディスは片時も奉仕の手を緩めることなく、念話でシュリと会話をする。
 シュリは、ジュディスにあの姿を見せることを決意した。
 恥ずかしいが、そうしなければ、どうにも収まりそうにない。


 (はぅ、んんっ……そう、誤解。い、今から、ジュディスの誤解、を、っう、とく、から。よく、見てて?)


 どうにかこうにかそう伝えて、シュリはスキルの発動を念じる。
 そのスキルはもちろん、アレ、である。

 シュリの体が淡く光り、驚いたジュディスは思わずシュリから口を離していた。
 そんな彼女の目の前で、シュリは劇的な変化を遂げていく。
 銀色の髪の合間からは猫耳が、ぷりっとしたお尻からは長くてしなやかなしっぽが。
 その姿は何とも愛らしく、そして何とも破壊的だった。


 「~~~~~~~~っっっ!!!」


 その姿を目の当たりにしたジュディスの口から、声にならない悲鳴がもれる。


 「じゅでぃ?」


 そんな彼女を見上げ、シュリがきゅっと首を傾げた。
 頬をほんのり上気させて、さっきまでジュディスの口の中にあった分身をしっぽで上手に隠すようにしながら。
 だが、呼びかけたのにジュディスからの返事がなく、不思議に思っていると、ぐらりと彼女の体が傾いだ。
 もちろんその落ちる先にはシュリの体があり、


 (やばい、つぶされる!?)


 と思った瞬間、シュリはふわりと抱き上げられていた。近くで二人の行為を鼻息荒く見守っていたシャイナの手によって。


 「しゃいな、ありあと」


 ほっとしてお礼を言うと、彼女はクールな目元を優しく細め、それから突っ伏したジュディスに視線を移した。


 「見事なまでに、気絶してますね。シュリ様のこのお姿の破壊力にあらがいきれなかったのでしょう」


 彼女はしみじみとそんな言葉をこぼし、そして再びちらりと腕の中のシュリをみて頬をほんのり赤くする。


 「ですが、まあ、不甲斐ないとは言いますまい。ある意味仕方のないことです。正直言って……」

 「??」


 そこで一度言葉を切り、彼女は慎重にシュリから目を反らした。


 「私も一度見たことがなければ、危ないところでした」


 そう言って、彼女はきっぱりとシュリの猫耳姿を危険物指定したのだった。
 その後小一時間ほど、ジュディスの意識が戻ることは無かった。
 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

成長チートと全能神

ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。 戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!! ____________________________ 質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...