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第三→四部 旅路、そして新たな生活
第294話 お風呂場の攻防戦④
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「じゃあ、シュリ様。そろそろお背中をお流ししますね!」
そんな言葉と共に、なにもかも丸出しでルビスが勢いよく立ち上がる。
そして、ぎょっとした顔で見上げてくるアビスの方を見ると、
「じゃあ、先に洗い場の準備をしておくから、アビスはシュリ様をお連れしてね!」
そう言い置くと、立ち上がった勢いのまま湯船から飛び出して行った。
アビスはそんな姉の後ろ姿をぽかんと見送り、
「え? は、はあ……えっと、私はシュリ様をお連れし、て。って、ええっ!?」
思考が追いつかないまま姉の命令に従って、のろのろとシュリの方へと顔を向けた瞬間、ぴしりと固まった。
お湯に隠れてはいるものの、紛れもなく生まれたままな姿のシュリを見つめ、それから普段は執事服にきっちり隠している己の裸体を見下ろす。
(シュ、シュリ様を連れて行くって、えぇと、手をつないで先導すれば? そっ、それとも抱っこ、して?)
手をつないでいくのはまだいい。
片手があれば隠したいところを隠す事だって出来る。
どっちを隠すかは、ある意味究極の判断だが。
しかし、抱っこはいけない。
普段の格好の時でさえ抱っこなどしたことがないというのに、初めての抱っこが素肌同士の触れ合いというのはどうなんだろう。
擦れてはいけない部分が擦れて、うっかり変な声がでちゃったらどうしたらいいのだろうか。
そんなの、恥ずかしさで死ねる予感しかしない。
そんなことを悶々と悩んでいたら、
「アビス? 大丈夫だよ。僕、ちゃんと歩いていけるから抱っこはいらないよ? ほら、行こう」
いつの間にか傍らにシュリが来ていて、アビスの内心を見透かしたような発言と共にその手を取った。
可愛くも凛々しく微笑み、アビスの手を引いてシュリは歩き出す。
ほんの一瞬その笑顔に見惚れ、手を引かれるままに歩き出したアビスはちょっぴり悩んだ結果、残った片手で胸を隠すことにしたのだった。
◆◇◆
アビスの手を引いて、ルビスの元へと向かう。
そして、湯気の向こうに全身を泡だらけにしたルビスを見たシュリは何とも言えない表情を浮かべた。
姉よりもそういう方面の知識に疎いらしいアビスは、そんな姉の姿を見て、なにをする気だろうというように、不思議そうな顔で首を傾げている。
シュリは、そんなアビスを微笑ましそうに見上げ、それから覚悟を決めたようにルビスの方へと足を踏み出した。
これからアビスのしようとしていることは薄々分かっている。
シュリが年の通りの純情な男の子なら、なにも分からずきょとんとする場面だが、正直この手の洗礼なら片方の手では足りないくらいに受けてきた。
特に三人の愛の奴隷からは入浴の度に日常的に受けているサービスだったりする。
その部分だけ抜き取ってしまえば、シュリは世の男子が血の涙を流してうらやむゲス野郎のように思えるかもしれない。
しかし、シュリは一度としてそのサービスを強要したことはない、と言うことだけは分かって欲しいところだ。
本音を言っていいのなら、シュリはいつだって思っている。
出来ることなら、普通に布とかスポンジで洗ってほしい、と。
ただそれを言うと、三人がとってもがっかりした顔をすると分かっているから言い出せないだけで。
泡だらけの女体を目にしても、そういった意味で歴戦の猛者であるシュリの心に動揺を生むことは難しい。
でも。
『大事な部分はご自身の手で洗うようにして下さい』
ジュディスに与えられたそんなミッションを思いだしつつ、シュリは己の股間に目を落とす。
泡だらけの体に絡みつかれた状態で、どこまでココを守り通せるだろうか、と。
正直、ミッション大失敗の未来しか見えず、シュリはコメカミに冷たい汗を浮かべた。
(ま、まあ、なんとかなる、よね?)
別に触られたところでどうにかなる訳でもないし。
そう言う点はまだ子供で助かったと思いつつ、シュリはとうとうルビスの腕に捕まった。
泡だらけの大きな果実が二つ、背中でむにょりと形を変え、
(う~ん、やっぱり大きいなぁ。タマのと、どっちが大きいだろう?)
シュリはその感触を冷静に堪能しつつ、脳裏に眷属の九尾の狐・タマの無駄にたわわな獣人形態を思い浮かべた。
◆◇◆
その頃、シュリの部屋のタペストリーハウスのリビングでは……
「ZZZ……はっ! 今、シュリ様がタマを呼んだ気がする……」
ソファーで気持ちよさそうに微睡んでいたタマが無駄な第六感を働かせ、そんな言葉と共にぱっちり目を覚ました。
「シュリ様が? 何か用事でありますか??」
タマと一緒にリビングでくつろいでいた、フェンリルのポチがきょとんとした顔でタマに問う。
「よくわからない。でも、シュリ様が今、タマを……正確にはタマのおっぱいを必要としている。そんな気がする」
「えええぇぇ~……?」
タマがきりりとした表情で答え、比較的常識人なポチは非常に疑わしそうにそんなタマを見つめた。
「シュリ様がタマのおっぱいを? シュリ様の周囲には日常的におっぱいであふれているでありますよ? なのにわざわざタマのおっぱいを必要とするなんて……」
あり得ないでありますよ、とサクッと切って捨てようとしたポチの言葉を、
「ふむ。シュリがタマのおっぱいを求めている、とな。ならば願いを叶えてやらねばなるまい。なんといっても我らは奴の眷属なんじゃからのう」
三人の中で一番常識の足りない人物が遮った。
それは誰か。
炎の上位古龍・イルルヤンルージュ改めイルルである。
「しかし、シュリからおっぱいを求めてくるなど、奴のおっぱい不足は深刻なようじゃの。ここは気をきかせて、タマのだけとは言わずポチのと妾のも大盤振る舞いしてやろうではないか」
くふふ、とイルルは笑い、くつろいでいたソファーから滑り降りると、幼女なトカゲ獣人形態のまま、まっ平ら(に近い)胸を張った。
狼獣人形態のポチは、そんなイルルを困ったように眺め、
「イルル様のおっぱいはあまり大盤振る舞いに向かないと思うでありますが……」
うっかりぽろりと余計な一言をこぼし、イルルにギロリと睨まれた。
「なんじゃと?」
「なっ、なんでもないであります。で、でも、シュリ様は別におっぱいに不自由はしてないと思うでありますよ? ジュディスさんやシャイナさんやカレンさんがいるでありますし、お屋敷のメイドさんもいるであります」
「ポチはなにも分かっておらんのう。アズベルグの屋敷のおっぱいと、来たばっかりのこの屋敷のおっぱいとでは全然違うじゃろうが。シュリの心はアズベルグの慣れ親しんだおっぱいと別れて傷ついておるのじゃ。それを癒すには、新参者のおっぱいじゃダメじゃ! ダメダメじゃ!! ここはやはり、我らのおっぱいじゃなければの。きっと、ジュディスやシャイナやカレンのおっぱいだけでは足らんのじゃ。シュリがタマのおっぱいを求めているということは、そういうことなのじゃろ」
己の言葉にうむうむと頷き、むふんと得意げに小鼻を膨らませたイルルは、
「さ、ゆくぞ、お主ら! シュリは確か、風呂の時間じゃったの。ちょうど良い。我らも風呂に乱入じゃあぁ!!」
声も高らかにそう宣言したのだった。
◆◇◆
……などということが起こっているなどとは夢にも思わず、シュリはさりげなくルビスの手から股間を守りつつも、全身を泡だらけにされつつあった。
(くっ! しぶとい!!)
ルビスはシュリのガードの強固さに内心舌打ちをし、
(むぅ、しつこいなぁ)
シュリはルビスのしつこさに内心舌を巻く。
さて、今のシュリの現状を説明しよう。
ルビスは、シュリを後ろから羽交い締めにするように抱きしめて、体を洗うという名目の元、シュリの体中をまさぐってくる。
どうにか最後の砦は守っているが、非常に危険な状態である。
取り敢えず、背中にむぎゅっと押しつけられた二つの膨らみの感触だけは、大変心地いいとだけは言っておこう。
更に目の前には、姉に無理矢理泡だらけにされたアビスが正座したまま目を泳がせている。
どうにか手を伸ばしてシュリを洗う(?)姉を手伝おうと努力はしているが、恥ずかしさが勝ってシュリに触れることは叶わず、真っ赤な顔で俯いてしまう。
見た目はクールなイケメンさんなのに、そんな恥ずかしがり屋さんな部分はちょっと可愛い。
シュリはくすりと微笑み、後ろから股間に伸びてきた手をぺしりと退けた。
耳元で、ちっ、と舌打ちの音が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。
たぶん。
(でもなぁ。どうやって事態をおさめたらいいかなぁ?)
うーん、と唇を尖らせて考えていたら、ついうっかり、ほんの少々気を抜いてしまったようで。
後ろから伸びてきた手がぬるんと滑り込み、シュリの大切な部分をむぎゅっと掴んだ。
「ひゃうっ!?」
「やった! とうとう……」
シュリが妙な声をあげ、嬉しそうに歓声をあげたルビスは、手の中に捕まえたふにっとしたモノをこねくり回す。
その形を、しっかり確かめるように。
「ちょ、あの、ルビス? そこは、ほら、ね? あの、とってもデリケートな場所だから……ふわっ!?」
「ん~……。そんなに大きくはないけど、女の子のとはやっぱりちょっと形が違う? でも、女の子のだって個人差はあるから許容範囲内?? うん。許容範囲内よね! そうよ、これは男の子のアレじゃなくて、女の子のソレよ! そうに決まってるわ!!」
「え、じゃあ、やっぱりシュリ様は!?」
「ええ、女の子よ!!」
シュリのモノを手の中におさめたまま、ルビスはドキッパリと宣言する。
その言葉に、アビスがぱああぁっと顔を輝かせる中、
「誰が女の子だぁぁっっ!! 僕は正真正銘男の子だいっ」
シュリはルビスの腕の中からどうにか抜け出して、ぷくっとほっぺたを膨らませてそう主張した。
ぷんすか怒るシュリがあまりに可愛くて、ルビスとアビスの理性にかなりの打撃が入る。
「男……シュリ様は、絶対女の子なはず。そうじゃなきゃ、こんな感情、おかしいもの。私が男を好きになるなんてあり得ない」
「シュリ様は女の子じゃない? でも、それでもいい、かも。シュリ様が男の子でも、か、構わない、かも」
姉妹はぶつぶつ呟きながらトロンとした目でシュリを見つめる。
閉じた空間でお互い全裸という状況や、直接的な肉体の触れ合いが、二人の無意識の抵抗を一気に瓦解させてしまったらしい。
通知無し設定にしているため静かだが、後で[年上キラー]被害者リスト……じゃなくて、攻略度・恋愛状態リストをチェックすればバッチリ二人の名前が記載されている事だろう。
ぬぬぅ、とシュリは困った顔をした。
二人とは節度を保った付き合い方をしていきたかったのに、と。
だが、こうなってしまってはどうにもならない。
主従の関係性上、距離をとって効果を薄めるというわけにもいかないし、ここから先は必要以上に好感度を上げないように気をつけないと、そんなことを思いつつ、シュリはそろりと二人との距離をとった。
だが、好感度を一気に急上昇させた影響で、理性というブレーキが少々緩くなっている二人は、それを許してくれない。
シュリが後ずされば二人が距離をつめるという、地味な攻防が続き。
(そろそろいい加減、体の泡を流してもう一回湯船に浸かりたい……)
終わりの見えない戦いに少々うんざりしてシュリがそう思った瞬間、事態は劇的に動いた。
風呂の扉を勢いよく開けて飛び込んできた闖入者達によって。
そんな言葉と共に、なにもかも丸出しでルビスが勢いよく立ち上がる。
そして、ぎょっとした顔で見上げてくるアビスの方を見ると、
「じゃあ、先に洗い場の準備をしておくから、アビスはシュリ様をお連れしてね!」
そう言い置くと、立ち上がった勢いのまま湯船から飛び出して行った。
アビスはそんな姉の後ろ姿をぽかんと見送り、
「え? は、はあ……えっと、私はシュリ様をお連れし、て。って、ええっ!?」
思考が追いつかないまま姉の命令に従って、のろのろとシュリの方へと顔を向けた瞬間、ぴしりと固まった。
お湯に隠れてはいるものの、紛れもなく生まれたままな姿のシュリを見つめ、それから普段は執事服にきっちり隠している己の裸体を見下ろす。
(シュ、シュリ様を連れて行くって、えぇと、手をつないで先導すれば? そっ、それとも抱っこ、して?)
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擦れてはいけない部分が擦れて、うっかり変な声がでちゃったらどうしたらいいのだろうか。
そんなの、恥ずかしさで死ねる予感しかしない。
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「アビス? 大丈夫だよ。僕、ちゃんと歩いていけるから抱っこはいらないよ? ほら、行こう」
いつの間にか傍らにシュリが来ていて、アビスの内心を見透かしたような発言と共にその手を取った。
可愛くも凛々しく微笑み、アビスの手を引いてシュリは歩き出す。
ほんの一瞬その笑顔に見惚れ、手を引かれるままに歩き出したアビスはちょっぴり悩んだ結果、残った片手で胸を隠すことにしたのだった。
◆◇◆
アビスの手を引いて、ルビスの元へと向かう。
そして、湯気の向こうに全身を泡だらけにしたルビスを見たシュリは何とも言えない表情を浮かべた。
姉よりもそういう方面の知識に疎いらしいアビスは、そんな姉の姿を見て、なにをする気だろうというように、不思議そうな顔で首を傾げている。
シュリは、そんなアビスを微笑ましそうに見上げ、それから覚悟を決めたようにルビスの方へと足を踏み出した。
これからアビスのしようとしていることは薄々分かっている。
シュリが年の通りの純情な男の子なら、なにも分からずきょとんとする場面だが、正直この手の洗礼なら片方の手では足りないくらいに受けてきた。
特に三人の愛の奴隷からは入浴の度に日常的に受けているサービスだったりする。
その部分だけ抜き取ってしまえば、シュリは世の男子が血の涙を流してうらやむゲス野郎のように思えるかもしれない。
しかし、シュリは一度としてそのサービスを強要したことはない、と言うことだけは分かって欲しいところだ。
本音を言っていいのなら、シュリはいつだって思っている。
出来ることなら、普通に布とかスポンジで洗ってほしい、と。
ただそれを言うと、三人がとってもがっかりした顔をすると分かっているから言い出せないだけで。
泡だらけの女体を目にしても、そういった意味で歴戦の猛者であるシュリの心に動揺を生むことは難しい。
でも。
『大事な部分はご自身の手で洗うようにして下さい』
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泡だらけの大きな果実が二つ、背中でむにょりと形を変え、
(う~ん、やっぱり大きいなぁ。タマのと、どっちが大きいだろう?)
シュリはその感触を冷静に堪能しつつ、脳裏に眷属の九尾の狐・タマの無駄にたわわな獣人形態を思い浮かべた。
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ソファーで気持ちよさそうに微睡んでいたタマが無駄な第六感を働かせ、そんな言葉と共にぱっちり目を覚ました。
「シュリ様が? 何か用事でありますか??」
タマと一緒にリビングでくつろいでいた、フェンリルのポチがきょとんとした顔でタマに問う。
「よくわからない。でも、シュリ様が今、タマを……正確にはタマのおっぱいを必要としている。そんな気がする」
「えええぇぇ~……?」
タマがきりりとした表情で答え、比較的常識人なポチは非常に疑わしそうにそんなタマを見つめた。
「シュリ様がタマのおっぱいを? シュリ様の周囲には日常的におっぱいであふれているでありますよ? なのにわざわざタマのおっぱいを必要とするなんて……」
あり得ないでありますよ、とサクッと切って捨てようとしたポチの言葉を、
「ふむ。シュリがタマのおっぱいを求めている、とな。ならば願いを叶えてやらねばなるまい。なんといっても我らは奴の眷属なんじゃからのう」
三人の中で一番常識の足りない人物が遮った。
それは誰か。
炎の上位古龍・イルルヤンルージュ改めイルルである。
「しかし、シュリからおっぱいを求めてくるなど、奴のおっぱい不足は深刻なようじゃの。ここは気をきかせて、タマのだけとは言わずポチのと妾のも大盤振る舞いしてやろうではないか」
くふふ、とイルルは笑い、くつろいでいたソファーから滑り降りると、幼女なトカゲ獣人形態のまま、まっ平ら(に近い)胸を張った。
狼獣人形態のポチは、そんなイルルを困ったように眺め、
「イルル様のおっぱいはあまり大盤振る舞いに向かないと思うでありますが……」
うっかりぽろりと余計な一言をこぼし、イルルにギロリと睨まれた。
「なんじゃと?」
「なっ、なんでもないであります。で、でも、シュリ様は別におっぱいに不自由はしてないと思うでありますよ? ジュディスさんやシャイナさんやカレンさんがいるでありますし、お屋敷のメイドさんもいるであります」
「ポチはなにも分かっておらんのう。アズベルグの屋敷のおっぱいと、来たばっかりのこの屋敷のおっぱいとでは全然違うじゃろうが。シュリの心はアズベルグの慣れ親しんだおっぱいと別れて傷ついておるのじゃ。それを癒すには、新参者のおっぱいじゃダメじゃ! ダメダメじゃ!! ここはやはり、我らのおっぱいじゃなければの。きっと、ジュディスやシャイナやカレンのおっぱいだけでは足らんのじゃ。シュリがタマのおっぱいを求めているということは、そういうことなのじゃろ」
己の言葉にうむうむと頷き、むふんと得意げに小鼻を膨らませたイルルは、
「さ、ゆくぞ、お主ら! シュリは確か、風呂の時間じゃったの。ちょうど良い。我らも風呂に乱入じゃあぁ!!」
声も高らかにそう宣言したのだった。
◆◇◆
……などということが起こっているなどとは夢にも思わず、シュリはさりげなくルビスの手から股間を守りつつも、全身を泡だらけにされつつあった。
(くっ! しぶとい!!)
ルビスはシュリのガードの強固さに内心舌打ちをし、
(むぅ、しつこいなぁ)
シュリはルビスのしつこさに内心舌を巻く。
さて、今のシュリの現状を説明しよう。
ルビスは、シュリを後ろから羽交い締めにするように抱きしめて、体を洗うという名目の元、シュリの体中をまさぐってくる。
どうにか最後の砦は守っているが、非常に危険な状態である。
取り敢えず、背中にむぎゅっと押しつけられた二つの膨らみの感触だけは、大変心地いいとだけは言っておこう。
更に目の前には、姉に無理矢理泡だらけにされたアビスが正座したまま目を泳がせている。
どうにか手を伸ばしてシュリを洗う(?)姉を手伝おうと努力はしているが、恥ずかしさが勝ってシュリに触れることは叶わず、真っ赤な顔で俯いてしまう。
見た目はクールなイケメンさんなのに、そんな恥ずかしがり屋さんな部分はちょっと可愛い。
シュリはくすりと微笑み、後ろから股間に伸びてきた手をぺしりと退けた。
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たぶん。
(でもなぁ。どうやって事態をおさめたらいいかなぁ?)
うーん、と唇を尖らせて考えていたら、ついうっかり、ほんの少々気を抜いてしまったようで。
後ろから伸びてきた手がぬるんと滑り込み、シュリの大切な部分をむぎゅっと掴んだ。
「ひゃうっ!?」
「やった! とうとう……」
シュリが妙な声をあげ、嬉しそうに歓声をあげたルビスは、手の中に捕まえたふにっとしたモノをこねくり回す。
その形を、しっかり確かめるように。
「ちょ、あの、ルビス? そこは、ほら、ね? あの、とってもデリケートな場所だから……ふわっ!?」
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「え、じゃあ、やっぱりシュリ様は!?」
「ええ、女の子よ!!」
シュリのモノを手の中におさめたまま、ルビスはドキッパリと宣言する。
その言葉に、アビスがぱああぁっと顔を輝かせる中、
「誰が女の子だぁぁっっ!! 僕は正真正銘男の子だいっ」
シュリはルビスの腕の中からどうにか抜け出して、ぷくっとほっぺたを膨らませてそう主張した。
ぷんすか怒るシュリがあまりに可愛くて、ルビスとアビスの理性にかなりの打撃が入る。
「男……シュリ様は、絶対女の子なはず。そうじゃなきゃ、こんな感情、おかしいもの。私が男を好きになるなんてあり得ない」
「シュリ様は女の子じゃない? でも、それでもいい、かも。シュリ様が男の子でも、か、構わない、かも」
姉妹はぶつぶつ呟きながらトロンとした目でシュリを見つめる。
閉じた空間でお互い全裸という状況や、直接的な肉体の触れ合いが、二人の無意識の抵抗を一気に瓦解させてしまったらしい。
通知無し設定にしているため静かだが、後で[年上キラー]被害者リスト……じゃなくて、攻略度・恋愛状態リストをチェックすればバッチリ二人の名前が記載されている事だろう。
ぬぬぅ、とシュリは困った顔をした。
二人とは節度を保った付き合い方をしていきたかったのに、と。
だが、こうなってしまってはどうにもならない。
主従の関係性上、距離をとって効果を薄めるというわけにもいかないし、ここから先は必要以上に好感度を上げないように気をつけないと、そんなことを思いつつ、シュリはそろりと二人との距離をとった。
だが、好感度を一気に急上昇させた影響で、理性というブレーキが少々緩くなっている二人は、それを許してくれない。
シュリが後ずされば二人が距離をつめるという、地味な攻防が続き。
(そろそろいい加減、体の泡を流してもう一回湯船に浸かりたい……)
終わりの見えない戦いに少々うんざりしてシュリがそう思った瞬間、事態は劇的に動いた。
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