龍は暁に啼く

高嶺 蒼

文字の大きさ
上 下
196 / 248
第二部 旅のはじまり~小さな娼婦編~

小さな娼婦編 第五十三話

しおりを挟む
 「雷砂に惚れてる。雷砂の迷惑になるような事はしないし、無理強いをするつもりもない。だから、雷砂のそばに居させてくれねぇか?」

 「いいわよ?」

 「だよなぁ。ダメに決まって……って、いいのかよ!?」


 目を剥いた長身のワイルド系美女を前に、セイラは苦笑する。


 「いいも悪いも、本来それを決めるのって私じゃないと思うんだけど」

 「でも、雷砂の恋人だろ?」

 「うん。まあ、そこを譲るつもりはないんだけど、ね。でも、独り占め出来るとも思ってはいないのよ」


 そう答えて、少しだけ切なそうに微笑む。
 そんな彼女の表情を見て、ミカは神妙な顔をした。


 「そうだなぁ……あいつは無自覚にモテるからなぁ。あんたも、苦労すんなぁ」


 しみじみと漏れる、そんな言葉。


 「そうなのよ。嫉妬するのも疲れちゃうくらい。でもやっぱり焼き餅は焼くんだけど、ね。こればっかりは、仕方ないわね。あの子が、どうしようもなく好きだから」


 小さな吐息を漏らし、それから少し上にあるミカの顔を見上げる。


 「あなたも、そうでしょ?」


 そんな問いかけと共に。
 その言葉を受けたミカの頬が赤く染まる。
 彼女は、好きな相手の恋人を目の前に、少しバツが悪そうに目を伏せ、それから意を決したように再び彼女の目を真っ直ぐに見つめた。


 「ああ。好きなんだ。どうしようもないくらい。こんな気持ちを、あいつの恋人であるアンタに告白すんのもどうかとは思うんだが、こそこそしたくねぇし、雷砂を困らせるのも嫌だったんだ。アンタには、不快な思いをさせてるかもしれねぇが」

 「セイラ、よ」

 「んあ?」

 「アンタじゃなくて、どうせならセイラって呼んで?えっと……」

 「ああ、まだ名乗っても居なかったな。ミカだ。兄貴と一緒にくんで冒険者をやってる。ランクはB。雷砂とは3年前にある依頼がきっかけで知り合ったんだ」

 「ミカ、ね。ミカって呼んでも?」

 「ああ。オレも、セイラって呼ばせてもらう」

 「冒険者でしかもBランク。私は冒険者家業について良くは知らないけど、Bランクって結構強いのよね?」

 「ああ。まあ、普通よりはちょっとばかしな。でも、まぁ、上には上がいるし、まだまだだ。今は雷砂のランクの方が高ぇし。ま、すぐに追いついて見せるけど」


 拳を握ってふんすと鼻息を吹き出すミカを見上げて、セイラは首を傾げつつ彼女の言葉を反芻した。
 なんだか聞き捨てならない発言を聞いたような気がするのは気のせいだろうか。


 「えっと、雷砂の方がランクが上って……確か雷砂ってこの街に来てから冒険者になったのよね?」

 「おう、ほんの少し前だな!」

 「ミカが冒険者になったのは……?」

 「んーっと、かれこれ7~8年になるかもなぁ」

 「なのに雷砂の方がランクが上って、一体何をしたのよ、あの子は」

 「あー、オレも詳しくはしらねぇんだけどよ?まあ、聞いた話によれば、冒険者になって一日でランクを1つ上げて、翌日には更に上のBランクに迫る勢いでポイントを稼いだ挙げ句、緊急の依頼の高報酬が必要だって理由でAランクにして貰えねぇかってごり押しした挙げ句に、なんでかそんな無茶が通ってAランクUPの試験と称してSランク冒険者と戦って善戦。で、無事にAランクになったその足で緊急依頼にチャレンジして、鉱山に巣くったどでけぇ魔物を退治した上に、捕らわれてた冒険者二人も無事に救出してきたって所かな」

 「……なんか、すさまじいわね。なんて濃い数日を過ごしてるのよ、あの子」

 ミカが語ってくれたこと以外にも、街に来て早々知り合った女の子の苦境を手助けしようとして、その子が何故か娼館に売り飛ばされたせいでその身請けのお金を稼ぐために冒険者になり、ミカが語ったような無双をやらかして荒稼ぎをし、現在はその女の子を身請けしに行っている。
 街にいったら二人で買い物に行くという約束を果たしてもらえず、リインが拗ねて大変な事になっているが、その時間すら作れなかったというのも納得できる、ある意味充実感満載な日々だったようだ。


 「おい、セイラ。ちょっと聞いて良いか?」

 「あ、ええ。なにかしら??」


 雷砂の過ごした日々に思いを馳せて、ぼーっとしていたセイラは、ミカの声にはっと我にかえった。
 ミカの方を見れば、彼女は何故かセイラの後ろの方を見ている。


 「なんだか、アンタによく似た色違いの女と、他にも小動物みてぇな女が二人、ドアの隙間からこっちを見てるんだけど、知り合いか??」

 「ええ!?」


 ミカの指摘に振り向けば、ドアの隙間から三つの顔がこちらをじとーっと見ていた。

 一番上に、セイラとよく似た顔を覗かせるのは双子の妹のリィン。
 ちょっぴり無表情気味に、自分も仲間にいれろと無言の圧力を加えてくる。

 その下にあるのは、狼の獣耳の少女の顔。
 雷砂の忠実な僕でもある彼女は、マスターの話なら自分も仲間に入れろと、そう言うようにセイラの顔をじっと見ていた。

 そして最後。
 一番下にいるのは、今回の騒動で雷砂が連れ帰った少女。
 白い髪に赤い瞳の少女は、雷砂が一緒でないときの感情はまだ薄く、少しぼんやりとした眼差しをセイラに向けていた。
 恐らく、上の二人に何も考えずに付いてきたに違いない。

 仕方ないわねぇと苦笑を漏らし、セイラは三人を手招く。
 許可を得た三人はぱっと顔を輝かせ、部屋になだれ込んできた。
 ロウとクゥは興味津々にミカを見上げ、リインは人見知りを絶賛発動中でセイラの後ろにちょこんと隠れる。
 ミカは、新たに現れた三人を見回して、


 「もしかして、こいつらも雷砂の女、なのか?」


 そんな質問。
 恐る恐るという風に。だが、どこか確信と諦めを含んだ声音で。


 「うーん。そうといえばそうだし、違うと言えば違うのかも。まあ、少なくともみんな雷砂が大好きなのは一緒ね。違うというにしても、まだ、と言うべきかもしれないわ」

 「まだ、ということは、いずれはって事なのか?」

 「さあ、分からないわ。そればっかりは雷砂次第としか言いようがないもの」

 「そう、だよな」


 そう呟き、ミカは一つ頷く。
 もともと一番を望んでここへやってきたわけじゃない。ただ、雷砂のそばに居たいと思ったのだ。
 三年前のように、何も行動せずに離れてしまうのは嫌だと思った。
 だから、ミカは真剣な眼差しでセイラを、そして後から乱入してきた三人を見つめた。


 「まだ雷砂からは何の返事も貰ってねぇ。だけど、雷砂を好きだって気持ちは真剣だ。今日は、その事だけ分かって貰いたくて来たんだ。出来たら、今後は雷砂にくっついて行きたいと思ってるけど、もしセイラがその事を嫌だって思うなら、そいつは諦める」

 「私が嫌なら諦めるって、なんで?」

 「アンタが嫌がることをすれば、きっと雷砂が悲しむからな。オレは雷砂の辛そうな顔なんか見たくねぇし」

 「でも、そうしたらどうするの?私が嫌だって言ったら、雷砂を諦めるってこと?」

 「雷砂は諦めねぇ。どうあっても、雷砂を好きだって気持ちは変えようがねぇからな。でも、一緒について行くのは諦める」

 「それでどうするの?離れるのは辛いでしょう?」

 「こっそりついて行って、バレねぇように遠くからこっそり見守る!!」


 キッパリ断言したミカの言葉に、セイラが思わず吹き出した。


 「ん?なんか変だったか?」


 まじめに首を傾げる様子に、セイラは笑みを深める。


 「いいえ、違うわ。ただ、可愛いなぁと思って」


 素直な気持ちのままに、そう言いながら。
 あまり言われ慣れていない言葉を投げかけられて、ミカは思わず顔を赤くする。
 そして、困ったようにセイラを見た。


 「可愛いって……オレには似合わねぇよ、そんな言葉」

 「ううん。ちゃんと似合ってるわよ。あなたは可愛いわ、ミカ。ね、私と友達になってくれない?」

 「友達?」

 「どうしようもなく雷砂に恋している者同士、きっと仲良く出来るわ。私、あなたのこと、結構好きよ。あなたはどう?私とは、友達になれそうもない?」


 問われて、ミカは改めてセイラを見た。
 雷砂の恋人というフィルターを外して、セイラという一人の人間を。

 性格は、正直好ましいと思う。
 見た目は極上なのに、妙な気取りがなくつき合いやすい。気さくで話しやすく、気配りも上手そうだ。
 友人として考えるのであれば、十二分に合格基準を満たしている。

 彼女をまじまじと見つめ、そして思った
 恋敵と友達になっちゃいけない道理などない、と。
 そして気付く。いつの間にか彼女と友人としてつき合いたいと感じている自分に。
 気が付けば、ミカの口元には笑みが刻まれていた。見ればセイラも笑っている。


 「アンタと友達か。悪くねぇかもな」

 「でしょう?じゃあ、今日から友達ね?」

 「おう。よろしく頼むわ」

 「早速なんだけど、今度私に戦い方とか教えてくれない?」

 「いいけど、なんでだ?」

 「ずっと雷砂におんぶに抱っこじゃ嫌なのよ。少しは自分でも頑張りたいの」

 「なるほどな。良い心意気だ。オレは結構スパルタだぜ?」

 「望むところよ。代わりに、美容に関してのアドバイスは任せてちょうだい」

 「う、おお。そう言うのは確かに得意じゃないな。じゃあ、その、頼む」

 「はい。任されました。今度、雷砂との馴れ初め聞かせてね?」

 「良いけど、そっちのも教えてくれよな?」


 そんな風に。
 友人になると決まった瞬間に、怒濤の如く詰まった二人の距離に、取り残された三人が唖然とする。
 鳩が豆鉄砲をくらったような顔をする三人の顔を見て、セイラとミカは互いの顔を見合わせ声を合わせて笑った。
 まるで長年の親友であるかのように、息ぴったりに。

 これから先、雷砂の女になれるかどうかは分からない。
 だが、少なくともしばらくの間は雷砂と共に行動する事が出来そうだし、それを除いてもセイラという友人が一人出来た事は素直に嬉しかった。

 他にも雷砂の女候補はいるようだが、その三人とも追々良好な関係を作っていければいいとは思う。
 セイラの言を借りれば、ここにいるのは同じ人間に心底惚れ込んでいる者同士。
 きっと上手くやっていけるはずだと、なんの根拠もなくそう考え、ミカは妙に晴れやかな気持ちで笑った。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。 右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。 青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。 そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。 青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。 三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。 【登場人物紹介】 マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。 ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。 クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。 ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。 デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。 ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。 ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。 【お知らせ】 ◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。 ◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。 ◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。 ◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。 ◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。 ◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。 ◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。 ※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

処理中です...