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卒業後
1025 星暦558年 赤の月 5日 棚以外にも使えるよね?(22)(第三者視点)
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>>>サイド:キラ・シェフィート
「絹や色物は一般的な洗濯に使用する魔具で不特定多数に対処するのは無理という結論に達したので、宿屋や大手商会に売りつけて決まった人間に使わせる形にした方が良さそうなんで、そちらの方向での契約にしたいという結論になりました」
三男のアレクがホルザックに契約書を出しながら言った。
「あら。
不特定多数用じゃなければ出来るの?」
絹服の洗濯は常にそれなりにデリケートなので、貴族や大富豪用に作れるならそれはそれで売れる筈。
「・・・美顔用魔具を使えば良いんですよ。
元々、あれはそっちの狙いで造っていたのにいつの間にか美容用途に方向替えしちゃったでしょ?
現時点であれを洗濯用魔具として売り出しても転用されちゃうだけだと思うけど?」
アレクがじっとりした目でこちらを見ながら言った。
あら?
そうだったかしら?
まあ、どちらにせよ。
「そうね、あれはまだ洗濯用に使える値段で売ろうなんてしたらあっという間に買い占められちゃうから、他に方法がないなら無理ね」
「ちなみに、普通の服や作業服をもっと大量に洗えるように大型化は出来ないのか?
軍とかの兵服を洗うのに使えば初期投資は掛かるものの、それなりに費用削減になると思うが」
ホルザックが口を開いた。
「駄目よ。
軍や商船とかの大量洗濯の外注は死んだ兵や船員の遺族が生活費を稼ぐ為の大切な就職先なの。
自分が死んでも遺族を雇って賃金を払ってもらえるっていう暗黙の約束も働いている男たちの福利厚生の一部なんだから、それを魔具で代替するのは無理だわ」
社会全体に洗濯用魔具が広がり、使わない方が不思議なぐらいになれば導入するだろうが、先陣を切って洗濯用魔具を使って遺族の雇用を切るなんて言うのは軍も商船団も絶対に出来ない。
「なる程。
まあ、大型化は特にそれ程工夫が必要な訳ではないし、購入者から希望があったら造っている工房の方で適当に試行錯誤していけば良いんじゃないかな?
私たちの方はそろそろ別の何かを開発したい気分だし、こっちの契約のままで」
アレクが先日話し合っていた内容のままの普段着用の洗濯用魔具の販売権利の契約書を再度差し出した。
宿屋や商会に売りつけるのはシェフィート商会が考えて動いていけばいいという話になっていて、アレクたち3人はもう関与しない。
洗濯用魔具の貸し出し店なんてちょっと珍しい事を考えたわね~と思っていたのだが、洗濯に関する問題点を指摘したらあっさり挫折して諦めてしまったらしい。
だけど。
普通の女性が家族の服を洗うのに使うのだってそれなりに便利だと思うから、町内会とかで共同購入とかを持ち掛けても良いかも?
ちょっと他の女性従業員と相談してみましょう。
ホルザックもそれなりに堅実にしっかりしているけど・・・やはり洗濯とかは女性の方が現実的な問題点や需要が分かっているのよね。
アリサも最近は子供がそこそこ手を離れて時間が出来てきたようだから、誘ってみたら良いかも知れない。
「じゃあ、商会や宿屋などに売り出すのはホルザックの方で頑張ってね。
私はちょっと、女性陣ともう少し違う購入層を開拓できないか、工夫してみるわ。
アリサも誘ってみても、良いわね?」
契約書の詳細を確認している息子たちに声を掛ける。
「・・・まあ、アリサが興味がありそうなら」
ちょっと微妙に心配そうな顔をしたホルザックが応じた。
「無理強いなんてしないけど、そろそろ私が引退した後の考えて色々と教え込んで行っても良い頃合いでしょ?
私だって、義母《おかあさま》にアレクが聞き分けが良くなったぐらいの時期から色々と手伝いをさせて貰いながらシェフィート商会の事を学んだのだから」
「・・・なんかこう、母さんは私を乳母に任せてバリバリと結婚直後から働いていたんだろうと思っていたんだけど、違ったんだ?」
アレクが目を丸くしながら聞いてきた。
「あれ?
そう言えば、アレクが小さい頃っていつでも母さんって家に居たっけ??
そうだよね、アレクのオムツの取り換えとかを俺に教えたのって母さんだった」
ホルザックが思い出したようにポンっと手を叩きながら言う。
「・・・ちゃんとそのスキルって活かしたのか?
兄さんが義姉さんを子育てで手伝っている印象はあまりないんだが」
アレクがぼそりと呟く。
「シェフィート家の男どもは子育てに関しては役立たずなのよ。
その時が来たらアレクはもっと頑張ってみることね」
子供の頃に色々と教えても、いざ自分に子供が出来た頃には商会の仕事が忙しすぎて赤ちゃんや幼児の子育てには殆ど参加できないのがシェフィート家の男たちだ。
まあ、乳母がいるから何とかなるが・・・考えてみたら、シェフィート商会の従業員の妻たちにオムツ洗濯用に洗濯用魔具を従業員割引で安く売ると喜ばれるかも?
「絹や色物は一般的な洗濯に使用する魔具で不特定多数に対処するのは無理という結論に達したので、宿屋や大手商会に売りつけて決まった人間に使わせる形にした方が良さそうなんで、そちらの方向での契約にしたいという結論になりました」
三男のアレクがホルザックに契約書を出しながら言った。
「あら。
不特定多数用じゃなければ出来るの?」
絹服の洗濯は常にそれなりにデリケートなので、貴族や大富豪用に作れるならそれはそれで売れる筈。
「・・・美顔用魔具を使えば良いんですよ。
元々、あれはそっちの狙いで造っていたのにいつの間にか美容用途に方向替えしちゃったでしょ?
現時点であれを洗濯用魔具として売り出しても転用されちゃうだけだと思うけど?」
アレクがじっとりした目でこちらを見ながら言った。
あら?
そうだったかしら?
まあ、どちらにせよ。
「そうね、あれはまだ洗濯用に使える値段で売ろうなんてしたらあっという間に買い占められちゃうから、他に方法がないなら無理ね」
「ちなみに、普通の服や作業服をもっと大量に洗えるように大型化は出来ないのか?
軍とかの兵服を洗うのに使えば初期投資は掛かるものの、それなりに費用削減になると思うが」
ホルザックが口を開いた。
「駄目よ。
軍や商船とかの大量洗濯の外注は死んだ兵や船員の遺族が生活費を稼ぐ為の大切な就職先なの。
自分が死んでも遺族を雇って賃金を払ってもらえるっていう暗黙の約束も働いている男たちの福利厚生の一部なんだから、それを魔具で代替するのは無理だわ」
社会全体に洗濯用魔具が広がり、使わない方が不思議なぐらいになれば導入するだろうが、先陣を切って洗濯用魔具を使って遺族の雇用を切るなんて言うのは軍も商船団も絶対に出来ない。
「なる程。
まあ、大型化は特にそれ程工夫が必要な訳ではないし、購入者から希望があったら造っている工房の方で適当に試行錯誤していけば良いんじゃないかな?
私たちの方はそろそろ別の何かを開発したい気分だし、こっちの契約のままで」
アレクが先日話し合っていた内容のままの普段着用の洗濯用魔具の販売権利の契約書を再度差し出した。
宿屋や商会に売りつけるのはシェフィート商会が考えて動いていけばいいという話になっていて、アレクたち3人はもう関与しない。
洗濯用魔具の貸し出し店なんてちょっと珍しい事を考えたわね~と思っていたのだが、洗濯に関する問題点を指摘したらあっさり挫折して諦めてしまったらしい。
だけど。
普通の女性が家族の服を洗うのに使うのだってそれなりに便利だと思うから、町内会とかで共同購入とかを持ち掛けても良いかも?
ちょっと他の女性従業員と相談してみましょう。
ホルザックもそれなりに堅実にしっかりしているけど・・・やはり洗濯とかは女性の方が現実的な問題点や需要が分かっているのよね。
アリサも最近は子供がそこそこ手を離れて時間が出来てきたようだから、誘ってみたら良いかも知れない。
「じゃあ、商会や宿屋などに売り出すのはホルザックの方で頑張ってね。
私はちょっと、女性陣ともう少し違う購入層を開拓できないか、工夫してみるわ。
アリサも誘ってみても、良いわね?」
契約書の詳細を確認している息子たちに声を掛ける。
「・・・まあ、アリサが興味がありそうなら」
ちょっと微妙に心配そうな顔をしたホルザックが応じた。
「無理強いなんてしないけど、そろそろ私が引退した後の考えて色々と教え込んで行っても良い頃合いでしょ?
私だって、義母《おかあさま》にアレクが聞き分けが良くなったぐらいの時期から色々と手伝いをさせて貰いながらシェフィート商会の事を学んだのだから」
「・・・なんかこう、母さんは私を乳母に任せてバリバリと結婚直後から働いていたんだろうと思っていたんだけど、違ったんだ?」
アレクが目を丸くしながら聞いてきた。
「あれ?
そう言えば、アレクが小さい頃っていつでも母さんって家に居たっけ??
そうだよね、アレクのオムツの取り換えとかを俺に教えたのって母さんだった」
ホルザックが思い出したようにポンっと手を叩きながら言う。
「・・・ちゃんとそのスキルって活かしたのか?
兄さんが義姉さんを子育てで手伝っている印象はあまりないんだが」
アレクがぼそりと呟く。
「シェフィート家の男どもは子育てに関しては役立たずなのよ。
その時が来たらアレクはもっと頑張ってみることね」
子供の頃に色々と教えても、いざ自分に子供が出来た頃には商会の仕事が忙しすぎて赤ちゃんや幼児の子育てには殆ど参加できないのがシェフィート家の男たちだ。
まあ、乳母がいるから何とかなるが・・・考えてみたら、シェフィート商会の従業員の妻たちにオムツ洗濯用に洗濯用魔具を従業員割引で安く売ると喜ばれるかも?
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