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卒業後
1018 星暦558年 藤の月 18日 棚以外にも使えるよね?(15)
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「でもまあ、取り敢えずこの魔具を使ってオムツを綺麗に出来る事は確認できたね」
シャルロがニコニコしながら綺麗になったオムツを手に取って言った。
水の再利用とか各段階からの移動とか、使用する魔力の効率化など、まだまだ工夫しなければならない事は色々とあるが、パディン夫人が入手してくれた新鮮なウンチ付きのオムツはちゃんと黄ばみが消えて白く汚れが無くなり、外に干してささっと乾かしたら(実際にはお茶を飲む間だけ干して、その後は待ち切れなくて蒼流に頼んで水気を抜いてもらった)すっかり綺麗になった。
パディン夫人に見せたら『まるで新品の様に綺麗になりましたね!』と驚かれたぐらいだ。
通常、何度も使って洗っているオムツはそのうち黄ばんだ汚れが染み込んでしまい、洗ってもそれ程綺麗にならないらしい。
あまり酷いと汗が蒸れて赤ちゃんの肌がかぶれ易くなるらしいので、そのぐらいのタイミングで洗濯し終わったオムツを雑巾に転用して新しいオムツを作るとのこと。
今回借りてきてくれたオムツは転用直前ぐらいな汚れだったのだが、すっきり綺麗になったのでもう暫く使い続けられそうだとパディン夫人が言っていた。
へぇぇ。
ちょっと必要以上に綺麗にし過ぎているのか?
でもまあ、しっかり汚れが落ちる方が赤ちゃんのお尻の為に良いだろう。
「じゃあ、次は実際に魔具として一連の動きを勝手にやってくれる様にしないとだね。
まずは最初のウンチ付きオムツの乾燥とブラッシングが終わったら下の洗う槽に落とす為にガコンとローラーの部分が折れ曲がって下が開いて落ちる様にでもする?」
試作品を覗き込みながらシャルロが言った。
「でも、下をガコンと開けたら洗う槽にウンチのカケラが落ちて、洗うための水に溶けちまわないか?」
現時点ではブラッシング部分の試作品は下の洗う槽に繋がっていない。元々ローラー部分が箱の中をほぼ完全に覆っているので箱の下部には落ちない形には一応なっている。
ブラッシングしつつ汚れを吸着する魔術回路で汚れを取り除いているから箱の下にはそれ程埃(やウンチ)は溜まっていないが、実際にひっくり返して作業机の上でコンコンと叩いてみたら茶色い粉が落ちてきたのでゼロではない。
・・・この机、後で綺麗にしないとなぁ。
泥もだが、ウンチの残骸が付いたと思うと今後この机の上にクッキーとかを置きたくない気がする。
清早にきっちり洗浄して貰おう。
「ローラーがある箱の底にも汚れを吸着する魔術回路を設置して最後に下を開く前に綺麗にするとか?」
シャルロが提案する。
「そうだな。
あと、どの位この箱の中でブラッシングと汚れ落としをする様に設定する?
汚れが無くなったかどうかなんて察知する仕組みはないぞ?」
アレクが指摘した。
「おっと。
確かに目で確かめながらじゃあ手間の節約にならないよね」
シャルロが溜め息を吐いた。
「・・・濡れる度合いは色々違いがあるかもだから、水分除去の魔術回路で吸収される水が無くなったら、それから何ミルで大体綺麗になるか複数のオムツで試していって、平均値の2割増しぐらいでどうだ?」
何がなんでもこの段階で完璧に綺麗にならなくても、多少は汚れが残っていたって次の石鹸水で洗う段階で残りの汚れが落ちるだろう。
取り敢えず、ウンチが露骨に残っていなければ良いのだ。
どうしても綺麗にならなかったら洗濯をもう一度すればいいんだし。
「そうだね~。
パディン夫人にもっと沢山きちゃないオムツを入手して貰って只管試すしかないか・・・」
ちょっと微妙そうな顔をしつつシャルロが合意した。
お前がオムツ関連の魔具を作りたいと言ったんだぞ?
いや、最初はあやす用のオモチャだったけど。
これって出来上がったらちゃんと赤ちゃんのオムツ洗いに苦労してきたお母さん達に買ってもらえて感謝されるのかなぁ・・・。
まあ、少なくとも近所の母親達からは試作品で洗う間は喜ばれるだろうな。
ウンチ付きオムツ洗濯業者なんて居ないだろうけど、暫くオムツ洗いを独占しちゃいそうだ。
シャルロがニコニコしながら綺麗になったオムツを手に取って言った。
水の再利用とか各段階からの移動とか、使用する魔力の効率化など、まだまだ工夫しなければならない事は色々とあるが、パディン夫人が入手してくれた新鮮なウンチ付きのオムツはちゃんと黄ばみが消えて白く汚れが無くなり、外に干してささっと乾かしたら(実際にはお茶を飲む間だけ干して、その後は待ち切れなくて蒼流に頼んで水気を抜いてもらった)すっかり綺麗になった。
パディン夫人に見せたら『まるで新品の様に綺麗になりましたね!』と驚かれたぐらいだ。
通常、何度も使って洗っているオムツはそのうち黄ばんだ汚れが染み込んでしまい、洗ってもそれ程綺麗にならないらしい。
あまり酷いと汗が蒸れて赤ちゃんの肌がかぶれ易くなるらしいので、そのぐらいのタイミングで洗濯し終わったオムツを雑巾に転用して新しいオムツを作るとのこと。
今回借りてきてくれたオムツは転用直前ぐらいな汚れだったのだが、すっきり綺麗になったのでもう暫く使い続けられそうだとパディン夫人が言っていた。
へぇぇ。
ちょっと必要以上に綺麗にし過ぎているのか?
でもまあ、しっかり汚れが落ちる方が赤ちゃんのお尻の為に良いだろう。
「じゃあ、次は実際に魔具として一連の動きを勝手にやってくれる様にしないとだね。
まずは最初のウンチ付きオムツの乾燥とブラッシングが終わったら下の洗う槽に落とす為にガコンとローラーの部分が折れ曲がって下が開いて落ちる様にでもする?」
試作品を覗き込みながらシャルロが言った。
「でも、下をガコンと開けたら洗う槽にウンチのカケラが落ちて、洗うための水に溶けちまわないか?」
現時点ではブラッシング部分の試作品は下の洗う槽に繋がっていない。元々ローラー部分が箱の中をほぼ完全に覆っているので箱の下部には落ちない形には一応なっている。
ブラッシングしつつ汚れを吸着する魔術回路で汚れを取り除いているから箱の下にはそれ程埃(やウンチ)は溜まっていないが、実際にひっくり返して作業机の上でコンコンと叩いてみたら茶色い粉が落ちてきたのでゼロではない。
・・・この机、後で綺麗にしないとなぁ。
泥もだが、ウンチの残骸が付いたと思うと今後この机の上にクッキーとかを置きたくない気がする。
清早にきっちり洗浄して貰おう。
「ローラーがある箱の底にも汚れを吸着する魔術回路を設置して最後に下を開く前に綺麗にするとか?」
シャルロが提案する。
「そうだな。
あと、どの位この箱の中でブラッシングと汚れ落としをする様に設定する?
汚れが無くなったかどうかなんて察知する仕組みはないぞ?」
アレクが指摘した。
「おっと。
確かに目で確かめながらじゃあ手間の節約にならないよね」
シャルロが溜め息を吐いた。
「・・・濡れる度合いは色々違いがあるかもだから、水分除去の魔術回路で吸収される水が無くなったら、それから何ミルで大体綺麗になるか複数のオムツで試していって、平均値の2割増しぐらいでどうだ?」
何がなんでもこの段階で完璧に綺麗にならなくても、多少は汚れが残っていたって次の石鹸水で洗う段階で残りの汚れが落ちるだろう。
取り敢えず、ウンチが露骨に残っていなければ良いのだ。
どうしても綺麗にならなかったら洗濯をもう一度すればいいんだし。
「そうだね~。
パディン夫人にもっと沢山きちゃないオムツを入手して貰って只管試すしかないか・・・」
ちょっと微妙そうな顔をしつつシャルロが合意した。
お前がオムツ関連の魔具を作りたいと言ったんだぞ?
いや、最初はあやす用のオモチャだったけど。
これって出来上がったらちゃんと赤ちゃんのオムツ洗いに苦労してきたお母さん達に買ってもらえて感謝されるのかなぁ・・・。
まあ、少なくとも近所の母親達からは試作品で洗う間は喜ばれるだろうな。
ウンチ付きオムツ洗濯業者なんて居ないだろうけど、暫くオムツ洗いを独占しちゃいそうだ。
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