シーフな魔術師

極楽とんぼ

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卒業後

992 星暦557年 桃の月 17日 家族(?)サービス期間(16)

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「次は靴ね!」
色々と危険が一杯だった服の注文を店員の助けと共になんとかやり過ごし、ゆったりと遅めの昼食を食べ終わったところで、楽し気にシェイラが言いだした。

靴かぁ。
足元って言うのは意外と見る人にはしっかり見られているから、重要なのは分かるが・・・普段から以前買った礼服用の靴を履いちゃっている俺はともかく、シェイラはそれ程酷使していないだろうから今までので良くないか?

「靴ってそこまで極端に流行で変わらないだろ?
そっちまで買い替える必要があるのか?」
服は生地やデザインやで色々と変わっていく流行に合わせる必要があるかもだが、靴は流石に生地はそこまで良く見えないし、デザインも極端に変わっているとは思わないんだが。

まあ、俺が見ている『靴』は日常生活で街を歩く人が履いている靴なんで、パーティなんかでの常識が変わっていたら分からない。
とは言え、シェイラだってそこまでパーティなんぞ行かないだろう?
適当に誤魔化せば良いんじゃないかね?

「ちょっと今回は面白そうな生地があったから新しい色の系統を選んじゃったんで、あれに合う色の靴が必要なのよ。
大体、ウィルの靴もそろそろ新しいのを作った方が良いでしょ?」
シェイラが言った。

シャルロの婚約式用の靴は苦労して見つけただけあって、それなりに足にあったし高かったからちょくちょく履いていたのだが・・・まだそこまでボロくはなっていないぞ?

「折角高い靴を買ったから履きたい気持ちは分かるし、まだそれ程酷くはないけど、実用として礼式以外で履くんだったら定期的に新しいのを作らせないと、いざという時にシャルロの婚約式の時みたいに街中の靴屋を回る羽目になるわよ?」
シェイラが指摘してきた。

・・・確かに、あのいつ見つかるか分からずに、サイズとランクとデザインの合った靴を探して王都を果てしなく彷徨ったのは2度と繰り返したくない悪夢だった。

靴は履くとそれなりに負担が掛かるが、うっかり棚にしまい込んで放置していたらいざという時に履いた際に靴底が取れたり変なところが痛くなったりなんて事になりかねない。シャルロの時に買った靴がそれなりに履き心地も良かったこともあって、シェイラに会いに行くときとか軍部のお偉いさんとの依頼の話の時なんかに履いていたんだが・・・・。

確かに、ちょっと格好付けたい日常用としては『まだまだ全然大丈夫』でも、式典で履くと考えると『恥ずかしい状態』にいつの間にかなっているかも知れないのか。

「そうだな、いざという時に慌てて探す羽目にならない様に、今のうちに作っておくか。
シェイラの靴と同じ店で出来るよな??」
流石に女性用の靴の店と男性用の靴との店を2件回るのは嫌だぞ。

「大丈夫。
私の贔屓にしている店はどっちも扱っているから」

ご機嫌なシェイラに連れて来られた靴屋は以前探した時に一番最初に来た店だった。
ここもシェイラが資金援助しているか経営に関して入れ知恵しているんかね?

「一応式典用の服とも合わせられるような、地味だけど疲れなくて足音がしなくて滑らない靴を頼む」
店の爺さんにこちらの要望を伝える。

「・・・礼服の色は?」
ちょっと呆れたように聞かれた。

「濃い目のグレーだな」
黒って意外と状況によっては目立つし、式典の内容によっては黒色はダメな場合もあるとシェイラに言われたんだよな。

焦げ茶の方が泥汚れが目立たなくて良いと言ったんだが、焦げ茶という色そのものは良いが、礼服が泥で汚れるような状況になったら新しく仕立て直せと怒られた。

ならば、うっかり式典の後でどっかの屋根裏や秘密通路に入る羽目になったりしたら埃は意外と白っぽい事が多いからグレーの方が目立たないだろうと思ってそっちを頼んだんだが・・・靴も色の系統を合わせるなら焦げ茶の方が良かったかな?

靴が泥で汚れることはそれなりにある筈だから、茶色系統の方が汚れが目立たなそうだ。

まあ、今さら遅いけど。
靴は定期的に作って貰うことになりそうだから、グレー系統の靴がくたびれて式典とかで使えなくなる前に茶色を作って、グレーのはそのまま式典用に取っておくことにしよう。

「水漏れとかに関してはどの程度の撥水能力が欲しいの?」
シェイラが聞いてきた。

「え、そんなのに違いがあるんだ?
でもまあ、水漏れは大丈夫だから」
清早が適当に撥ねてくれるか脱水してくれるかするから、靴の水漏れで悩んだことは清早に会って以来ない。

さて。
シェイラの靴に関しては、服に合わせるんだから特に俺に意見を聞くことは無いよな??

デザインとかに関して聞かれても、俺は知らんぞ?

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