905 / 1,038
卒業後
904 星暦557年 萌葱の月 20日 久しぶりに遠出(25)
しおりを挟む
取り敢えずレディ・トレンティスの屋敷の方でやるべき作業で俺たちが手伝えることは大体終わったので、昨日王都に帰り、今日はシェイラの所に遊びに来た。
で、あちらで起きたことを話していたのだが・・・。
「え、シャルロったら親しい人全員に毒を盛られない様に水精霊を付けてるの??」
やっぱ驚くよな??
確かに今回は水精霊の助けが無かったら俺たちが遊びに行って異常に気付く前にレディ・トレンティスが薬のせいでボケていたり、意識が朦朧としている時に転んで寝たきりになっていたりとかしたかもしれないけど・・・精霊の加護(に近いこと)を手配できるなんて知られたら、ますますシャルロの利用価値が上がっちまいそう。
とは言え、あいつは高位貴族の子息だし、なんと言っても蒼流は過保護だからシャルロを利用しようと近づく人間をガンガン排除するだろうから大丈夫だろうとは思うけど。
「なんでも子供の頃に親しかった従姉妹が嫌がらせに毒をお茶会で盛られたとかで、シャルロが凄いショックを受けたのを見て蒼流が勝手にやっていたらしい。
今回の事でそれが明らかになったけど、シャルロ的には蒼流の負担にならないならこのままよろしくって言っていた。
ちなみに、シェイラもそんなお守り精霊がいた方が良さげか?」
流石に親しい友人や親族全般の多人数の保護している蒼流程の事は無理だが、シェイラぐらいだったら清早が知り合いの精霊に頼んでくれるとは言っているのだが。
「え~?
別に弱い毒程度だったら毒探知の魔具のネックレスをしているし、本気で殺す気だったら毒が駄目だったらあっさりすれ違う際にナイフでグサッと行くとか、寝ている所を放火されたりとかってなるだろうから、私は良いわ」
首にしていたネックレスを見せてくれながらシェイラが言った。
そう言えば、地味だけど魔具っぽいネックレスをしていると思ったら、毒探知用なんだ?
「やっぱ家族でもそう言うのってあるんだ?」
アレクの所みたいに既に誰が跡継ぎになるか決まっていて、当事者たちが納得しているなら多分大丈夫だろうけど、シェイラの実家みたいに未だに揉めている上に当事者の何人かが馬鹿だったら危険な可能性はありそうだよなぁ。
「視界にいないと記憶から薄れるのか、王都を離れてからは殆ど無いけど以前はちょくちょくあったわね~。
まあ、実際に殺す用の毒って言うよりも、下剤とか気分を高揚させて判断を誤らせる薬とかが多かったけど」
肩を竦めながらシェイラが教えてくれた。
うへぇぇ。
家族同士で下剤やヤバい興奮剤を盛るなんて、なんとも嫌だな。
まあ、ガチで殺し合いをするよりはマシだが。
「王都にいる時は、防寒兼防御用結界の魔具を身に着けた方が良いんじゃないか?
魔石の充填が足りてなかったら予備の魔石を含めていつでも貸すから、絶対に毎回家を出る前に身に付けてるのを確認してくれよ」
ちょっと気になったので念を押しておく。
俺的には防寒を主たる目的として渡したんだが、魔石がフルだったら通りすがりのナイフの一撃も1回だったら防げるだろう。
流石に王都で長剣を振りまわして本格的に何度も攻撃しようとしたら警備兵に捕まるだろうから、最初の通りすがりの暗殺っぽい一撃さえ防げれば大丈夫な筈。
・・・盗賊《シーフ》ギルドの長経由で暗殺《アサッシン》ギルドに依頼拒否の金を払っておこうかなぁ。
もっと金を積まれたら依頼拒否用に金を払っていても仕事を請けられてしまうが、少なくとも前もって依頼拒否解除を通告してくれるから用心は出来るんだよな。
「だけど、そんなボケを誘発するような薬が田舎町の小悪党でもあっさり手に入れられるなんて心配ねぇ。
あれって毒扱いじゃないから毒探知の魔具に引っかからないかも知れないし」
シェイラが顔をしかめながら言った。
流石に働いている人間が急にボケたら周囲が怪しむんじゃないか?
「シェイラがボケたら俺が直ぐに確認して、必要があったら清早に全ての薬を体から抜いてもらうから安心して良いよ。
知り合いは・・・心配だったら定期的に通信機で連絡を取って会話して確認するとか?」
「そうねぇ。
まあ、ちゃんとした理由がないとついつい疎遠になるから、定期的に連絡を取る理由があるのは良い事かも知れないわね」
「まあ、ウォレン爺とかがめっちゃやる気になって違法薬の販売網を壊滅させるって言っているから、それなりに流通量は減るとは思うけどな」
とは言え、船を実際に持っている商会の人間だったら自分で他国に行って買ってくることも可能だからなぁ。
シェイラの親父さんも、さっさと商会をどうするか決めないと・・・それこそ変な薬を盛られても知らんぞ?
【後書き】
後継者指名前に父親がボケたら泥沼な事態になりそう・・・
で、あちらで起きたことを話していたのだが・・・。
「え、シャルロったら親しい人全員に毒を盛られない様に水精霊を付けてるの??」
やっぱ驚くよな??
確かに今回は水精霊の助けが無かったら俺たちが遊びに行って異常に気付く前にレディ・トレンティスが薬のせいでボケていたり、意識が朦朧としている時に転んで寝たきりになっていたりとかしたかもしれないけど・・・精霊の加護(に近いこと)を手配できるなんて知られたら、ますますシャルロの利用価値が上がっちまいそう。
とは言え、あいつは高位貴族の子息だし、なんと言っても蒼流は過保護だからシャルロを利用しようと近づく人間をガンガン排除するだろうから大丈夫だろうとは思うけど。
「なんでも子供の頃に親しかった従姉妹が嫌がらせに毒をお茶会で盛られたとかで、シャルロが凄いショックを受けたのを見て蒼流が勝手にやっていたらしい。
今回の事でそれが明らかになったけど、シャルロ的には蒼流の負担にならないならこのままよろしくって言っていた。
ちなみに、シェイラもそんなお守り精霊がいた方が良さげか?」
流石に親しい友人や親族全般の多人数の保護している蒼流程の事は無理だが、シェイラぐらいだったら清早が知り合いの精霊に頼んでくれるとは言っているのだが。
「え~?
別に弱い毒程度だったら毒探知の魔具のネックレスをしているし、本気で殺す気だったら毒が駄目だったらあっさりすれ違う際にナイフでグサッと行くとか、寝ている所を放火されたりとかってなるだろうから、私は良いわ」
首にしていたネックレスを見せてくれながらシェイラが言った。
そう言えば、地味だけど魔具っぽいネックレスをしていると思ったら、毒探知用なんだ?
「やっぱ家族でもそう言うのってあるんだ?」
アレクの所みたいに既に誰が跡継ぎになるか決まっていて、当事者たちが納得しているなら多分大丈夫だろうけど、シェイラの実家みたいに未だに揉めている上に当事者の何人かが馬鹿だったら危険な可能性はありそうだよなぁ。
「視界にいないと記憶から薄れるのか、王都を離れてからは殆ど無いけど以前はちょくちょくあったわね~。
まあ、実際に殺す用の毒って言うよりも、下剤とか気分を高揚させて判断を誤らせる薬とかが多かったけど」
肩を竦めながらシェイラが教えてくれた。
うへぇぇ。
家族同士で下剤やヤバい興奮剤を盛るなんて、なんとも嫌だな。
まあ、ガチで殺し合いをするよりはマシだが。
「王都にいる時は、防寒兼防御用結界の魔具を身に着けた方が良いんじゃないか?
魔石の充填が足りてなかったら予備の魔石を含めていつでも貸すから、絶対に毎回家を出る前に身に付けてるのを確認してくれよ」
ちょっと気になったので念を押しておく。
俺的には防寒を主たる目的として渡したんだが、魔石がフルだったら通りすがりのナイフの一撃も1回だったら防げるだろう。
流石に王都で長剣を振りまわして本格的に何度も攻撃しようとしたら警備兵に捕まるだろうから、最初の通りすがりの暗殺っぽい一撃さえ防げれば大丈夫な筈。
・・・盗賊《シーフ》ギルドの長経由で暗殺《アサッシン》ギルドに依頼拒否の金を払っておこうかなぁ。
もっと金を積まれたら依頼拒否用に金を払っていても仕事を請けられてしまうが、少なくとも前もって依頼拒否解除を通告してくれるから用心は出来るんだよな。
「だけど、そんなボケを誘発するような薬が田舎町の小悪党でもあっさり手に入れられるなんて心配ねぇ。
あれって毒扱いじゃないから毒探知の魔具に引っかからないかも知れないし」
シェイラが顔をしかめながら言った。
流石に働いている人間が急にボケたら周囲が怪しむんじゃないか?
「シェイラがボケたら俺が直ぐに確認して、必要があったら清早に全ての薬を体から抜いてもらうから安心して良いよ。
知り合いは・・・心配だったら定期的に通信機で連絡を取って会話して確認するとか?」
「そうねぇ。
まあ、ちゃんとした理由がないとついつい疎遠になるから、定期的に連絡を取る理由があるのは良い事かも知れないわね」
「まあ、ウォレン爺とかがめっちゃやる気になって違法薬の販売網を壊滅させるって言っているから、それなりに流通量は減るとは思うけどな」
とは言え、船を実際に持っている商会の人間だったら自分で他国に行って買ってくることも可能だからなぁ。
シェイラの親父さんも、さっさと商会をどうするか決めないと・・・それこそ変な薬を盛られても知らんぞ?
【後書き】
後継者指名前に父親がボケたら泥沼な事態になりそう・・・
0
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる