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卒業後
897 星暦557年 萌葱の月 16日 久しぶりに遠出(18)
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「なんでここに保管するかねぇ・・・」
ちゃちゃっとクルベルト商会の敷地を調べ、裏帳簿関連以外は見つからなかったので手先っぽい女性とマキウスを警備兵に拘束させた後、俺たちはマキウスの自宅の方へ行った。
そして書斎には当然のごとく隠し金庫。
その中にはどうやら支払いの際に使った小切手の記録やもしもの時用の金貨や宝石の他に、王都の住宅の賃貸契約が入っていた。
隠し家の賃貸契約を、普段住んでいる家に置いていたら意味ないだろうが。
隠し金庫ってそんなに安全だと信じているんかね??
隠し家の方にヤバい物は全部隠しておけよ。その為の隠し家だろうが。
マキウスの家にはそれなりに良い家具が揃えられ、服も成金寄りとは言え一流の物が多くあった。
考えてみたら、レディ・トレンティスが身に覚えのない出費が増えたのはここ1年程度だって言っていたな。
1年でここまで家具や服を揃えられるのか?
レディ・トレンティスを標的にする前に他の高齢者も食い物にしてきたのかも知れないな。
この付近でレディ・トレンティス以外の老貴族がいるのか?
まあ、そこら辺は税務官の爺さんや・・・ウォレン爺あたりがしっかり調べてくれるだろう。
「ふむ。
レディ・トレンティスの孫たちはもうそろそろ王都に帰ると聞いたが・・・お主はいつ帰る予定なんだ?」
マキウスの隠し家らしき住居の賃貸契約を渡したら、税務官の爺さんが顎を撫でながら聞いてきた。
「本当だったら今日帰る予定だったんだが・・・何か他にも調べる必要があったらもう数日残っても構わないぜ」
家令補佐とメイドの部屋も調べないとだしな。
もう1日はこっちかな?
「王都側の捜査をあちらの審議官に連絡して手配してもらうが、その際に協力をお願いできるかね?」
爺さんが言ってきた。
「おう、それは勿論。元々そのつもりだったし。
ちなみにマキウスが黒だったから、協力者だったっぽい家令補佐の部屋もこれから調べるが・・・どこまでが税務官の管轄なんだ?」
本来だったら警備兵が事件を調べて代官や領主が捜査の指示を出した上で裁判って流れだと思うが・・・実質被害者(まだ被害は然程受けてないけど)が領主だからなぁ。
考えてみたら、スラフォード伯爵だって領主が被害者だったけど、あれは代官が横領していたって感じだから雇い主として裁くって感じだったんじゃないだろうか?
今回も雇い主ではあるけど、横領や詐欺っていうよりも悪質な薬まで使っている下手したら実質殺人になりかねない犯罪だからなぁ。
ここ等辺の地域にも審議官っているんだろうか?
「裏帳簿が見つかったことはレディ・トレンティスの方にも伝えてあるから、今頃この地方の審議官を呼び出しているんじゃないか?
今晩か明日ぐらいには来ると思うが」
お。
審議官がいるんだ。
シャルロあたりが空滑機《グライダー》改で迎えに行けば今晩中に着くだろう。
「じゃあ、審議官の立会いの下に家令補佐の部屋とメイドの部屋を家探しして、王都の方も一緒に調べることになるかな?
今日・明日にこっちの方で更に調べる連中がいたら言ってくれ」
税務官の爺さんにそう言ってレディ・トレンティスの館の方へ戻った。
「裏帳簿が見つかったんだって~?
寡婦支援組織の方はアレクが帳簿を調べたら怪しいお金の流れが普通に帳簿に記載されていたんだって。
どうもあっちは最終収支が例年と変わらなければ、誰もしっかり調べないってことで会計担当の人を買収したらお金を横流しやり放題だったみたい」
アレクが帳簿を見ながら何やら書き出しているのを横で見ていたシャルロが教えてくれた。
まあ、領主が資金を出している寡婦支援組織なんて、税金も払わないだろうし元々収支はぎりぎりな筈だから、それを細かく調べる必要なんて誰も感じなかったんだろうなぁ。
そう考えると、そういう寡婦支援組織とか孤児院って寄付という形を使った貴族とかからの金の横領には向いているんだな。
俺がそんなことを知ったところで大して役には立たないが。
「この地方の審議官に連絡が言ったって話だが、迎えにいかないのか?」
レディ・トレンティスの権限が及ばない第三者がいる状況で家令補佐とかの部屋の捜査もした方が良いと思うんだが。
「通信機で連絡したら、ちょうど出張で王都の方に出ているんだって。
だから明日の朝あっちからウォレン叔父さんと一緒に来るって~」
シャルロが教えてくれた。
おお~。
ウォレン爺に既に話がいってるのか。
名目上引退した暇なジジイだけあって、対応が早いな。
「ちなみに商会の方の人間は王都に隠し家を持っていたみたいだが、そっちの捜査はどうする?」
あんまり王都とこことを何度も行き来するのは面倒だが、もうこっちを引き上げても良いのかね?
「あ、そっちはウォレン叔父さんが知り合いの捜査官の尻を叩いて今晩中に調べさせるって」
へぇぇ。
どうやらウォレン爺はレディ・トレンティスと親しいみたいだな。
一応どちらもシャルロの親戚なんだから血はどこかで繋がっているんだろうが。
なんか随分と頑張っているようだが・・・どういう関係なんだろう?
【後書き】
リタイアしきれてない情報部の長老と田舎好きな老婦人では、親しくても会うのは難しいかなぁ・・・?
ちゃちゃっとクルベルト商会の敷地を調べ、裏帳簿関連以外は見つからなかったので手先っぽい女性とマキウスを警備兵に拘束させた後、俺たちはマキウスの自宅の方へ行った。
そして書斎には当然のごとく隠し金庫。
その中にはどうやら支払いの際に使った小切手の記録やもしもの時用の金貨や宝石の他に、王都の住宅の賃貸契約が入っていた。
隠し家の賃貸契約を、普段住んでいる家に置いていたら意味ないだろうが。
隠し金庫ってそんなに安全だと信じているんかね??
隠し家の方にヤバい物は全部隠しておけよ。その為の隠し家だろうが。
マキウスの家にはそれなりに良い家具が揃えられ、服も成金寄りとは言え一流の物が多くあった。
考えてみたら、レディ・トレンティスが身に覚えのない出費が増えたのはここ1年程度だって言っていたな。
1年でここまで家具や服を揃えられるのか?
レディ・トレンティスを標的にする前に他の高齢者も食い物にしてきたのかも知れないな。
この付近でレディ・トレンティス以外の老貴族がいるのか?
まあ、そこら辺は税務官の爺さんや・・・ウォレン爺あたりがしっかり調べてくれるだろう。
「ふむ。
レディ・トレンティスの孫たちはもうそろそろ王都に帰ると聞いたが・・・お主はいつ帰る予定なんだ?」
マキウスの隠し家らしき住居の賃貸契約を渡したら、税務官の爺さんが顎を撫でながら聞いてきた。
「本当だったら今日帰る予定だったんだが・・・何か他にも調べる必要があったらもう数日残っても構わないぜ」
家令補佐とメイドの部屋も調べないとだしな。
もう1日はこっちかな?
「王都側の捜査をあちらの審議官に連絡して手配してもらうが、その際に協力をお願いできるかね?」
爺さんが言ってきた。
「おう、それは勿論。元々そのつもりだったし。
ちなみにマキウスが黒だったから、協力者だったっぽい家令補佐の部屋もこれから調べるが・・・どこまでが税務官の管轄なんだ?」
本来だったら警備兵が事件を調べて代官や領主が捜査の指示を出した上で裁判って流れだと思うが・・・実質被害者(まだ被害は然程受けてないけど)が領主だからなぁ。
考えてみたら、スラフォード伯爵だって領主が被害者だったけど、あれは代官が横領していたって感じだから雇い主として裁くって感じだったんじゃないだろうか?
今回も雇い主ではあるけど、横領や詐欺っていうよりも悪質な薬まで使っている下手したら実質殺人になりかねない犯罪だからなぁ。
ここ等辺の地域にも審議官っているんだろうか?
「裏帳簿が見つかったことはレディ・トレンティスの方にも伝えてあるから、今頃この地方の審議官を呼び出しているんじゃないか?
今晩か明日ぐらいには来ると思うが」
お。
審議官がいるんだ。
シャルロあたりが空滑機《グライダー》改で迎えに行けば今晩中に着くだろう。
「じゃあ、審議官の立会いの下に家令補佐の部屋とメイドの部屋を家探しして、王都の方も一緒に調べることになるかな?
今日・明日にこっちの方で更に調べる連中がいたら言ってくれ」
税務官の爺さんにそう言ってレディ・トレンティスの館の方へ戻った。
「裏帳簿が見つかったんだって~?
寡婦支援組織の方はアレクが帳簿を調べたら怪しいお金の流れが普通に帳簿に記載されていたんだって。
どうもあっちは最終収支が例年と変わらなければ、誰もしっかり調べないってことで会計担当の人を買収したらお金を横流しやり放題だったみたい」
アレクが帳簿を見ながら何やら書き出しているのを横で見ていたシャルロが教えてくれた。
まあ、領主が資金を出している寡婦支援組織なんて、税金も払わないだろうし元々収支はぎりぎりな筈だから、それを細かく調べる必要なんて誰も感じなかったんだろうなぁ。
そう考えると、そういう寡婦支援組織とか孤児院って寄付という形を使った貴族とかからの金の横領には向いているんだな。
俺がそんなことを知ったところで大して役には立たないが。
「この地方の審議官に連絡が言ったって話だが、迎えにいかないのか?」
レディ・トレンティスの権限が及ばない第三者がいる状況で家令補佐とかの部屋の捜査もした方が良いと思うんだが。
「通信機で連絡したら、ちょうど出張で王都の方に出ているんだって。
だから明日の朝あっちからウォレン叔父さんと一緒に来るって~」
シャルロが教えてくれた。
おお~。
ウォレン爺に既に話がいってるのか。
名目上引退した暇なジジイだけあって、対応が早いな。
「ちなみに商会の方の人間は王都に隠し家を持っていたみたいだが、そっちの捜査はどうする?」
あんまり王都とこことを何度も行き来するのは面倒だが、もうこっちを引き上げても良いのかね?
「あ、そっちはウォレン叔父さんが知り合いの捜査官の尻を叩いて今晩中に調べさせるって」
へぇぇ。
どうやらウォレン爺はレディ・トレンティスと親しいみたいだな。
一応どちらもシャルロの親戚なんだから血はどこかで繋がっているんだろうが。
なんか随分と頑張っているようだが・・・どういう関係なんだろう?
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リタイアしきれてない情報部の長老と田舎好きな老婦人では、親しくても会うのは難しいかなぁ・・・?
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