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卒業後
842 星暦557年 紺の月 21日 久しぶりの訪問(2)
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久しぶりに来たパストン島は港周辺だけでなく港町全体が落ち着いて完成した感じで、以前の『建設中』という空気はすっかり無くなっていた。
早いもんだね~。
街の外の畑とかももう完備出来てるのかな?
昔ラフェーンに手伝ってもらって運び込んだ家畜たちも無事に繁殖していたら、良い感じに船乗りたちに乳製品も売りつけて良そうだ。
牛乳やチーズや卵があれば色々と菓子類も出来るから、考えてみたら料理人さえ居ればここでも王都に負けぬ暮らしが出来るかも?
というか、香辛料に関しては王都よりも安く手に入るだろうから、料理に関してはもっと良いかも知れないな。
どの程度食料品を自給出来ているかで値段が大分変りそうだが。
元々船の補給場所になることを目当てに食糧生産を重視した場所だから、それなりに色々と整っていそうだが。
きょろきょろと街の様子を見回しながら役場の方へと行く。
もうそろそろ夕方だから、帰る直前に捕まえることになったらジャレットやキャリーナに悪いかな?
でもまあ、今日の夕方ぐらいに着くって話は王都を出る前に伝えてあるんだから、お土産を渡すついでにちょっと残業になっても構わないだろう。
「お待ちしてたよ!!」
俺たちが役場に辿り着いたら、一階でジャレットが待っていた。
暇なのか??
まあ、3人合わせれば俺たちは一応国の次に大きな利権所有者ではあるけど・・・何といっても国の利権が大きすぎるから、実質あまり関係ないんだけどな。
昔の仲間に会えて懐かしいってやつかね?
「お久しぶり!
すっかり開拓がひと段落ついて落ち着いた感じだね~」
シャルロがにこやかに手を振りながら挨拶を返す。
「本当に、数年前に入植を始めたばかりとは思えないような完成度ですね。
あ、こちらはキャリーナへのお土産です」
アレクが生菓子の入った箱を渡しながら付け加える。
「街の外もすっかり開拓が終わっているのか?
何か手伝えることがあったら言ってくれ」
数日居るんだからちゃちゃっと手伝えることがあるならやっても構わないし。
「気候に合った作物に変えてからは、食料に関しては自給できるようになったんだ!!
お蔭で小麦粉とかは多少輸入する必要があるが、それを補ってあまりが出るぐらいこちらの特産物が増えてね。
今は町中の皆で新たな調理方法を開発しながら販売経路を増やそうとしている所なんだ」
にっかりと笑いながらジャレットが言った。
へぇぇ。
小麦粉を輸入しても利益の方が大きいなんて、何を育て始めたんだ?
まあ、考えてみたら暖かくて日当たりも良く、水も程よくある農地だったらそれなりに農作の効率も良さそうかな?
海の傍って嵐とかで海水を被ると塩がばら撒かれて農地に被害が出るって聞いた気がするが、ここだったら蒼流がそんな嵐が起きない様にしていそうな気もするし。
・・・シャルロが死んだ後にどうなるかちょっと心配だけど。
「良かったら夕食をウチで食べていかないか?」
ジャレットが誘ってくれた。
「良いのか?」
アレクが尋ねる。
今回同行してくれたパディン夫人の知り合いの女性には、元々今晩の食事は街で食べてくるから準備しなくて良いとは言ってあるが、急に客を連れて帰ると奥さんは怒るぞ~。
「勿論さ!
キャリーナもそのつもりで準備しているんだ」
お、流石出来る男。
ちゃんと奥さんと話し合っていたんだね。
「いらっしゃ~い!!
久しぶりだね!!」
ジャレットとキャリーナの家に行ったら心なしか微妙に恰幅が更によくなったキャリーナに迎えられた。
でも顔の艶が良くなった感じがするから、健康的で幸せそうだ。
どうやら南の島での生活はキャリーナにも合っているようだ。
ある意味夫の配属競争で他の同僚に一歩先んじるために利用されたとも言えなくもない立場だけど、本人も王都を離れてこっちに来て満足しているなら良かった。
忙しい時って言うのはある意味バタバタしているから新しい環境に満足しているかとかって深く考える暇もないが、落ち着いてくると不満って意外と頭を持ち上げるって言うからなぁ。
今の時期で満足してるなら大丈夫だろう。
島の開拓が上手くいっていても、トップの責任者に離婚の危機なんて事になってたら困るからな。
まあ、キャリーナだったら物事が動き出す前にジャレットを座らせてしっかり話し合いをしただろうし。
「すっかり街の開発も落ち着いてもうずっと昔からある領地の様に見えますね」
アレクがお土産を渡しながら言う。
「色々とこっちの気候や土に合った作物も見つけ出して、その料理方法も開発されてきているから街で色々と食べ歩いておくれ!
今じゃあすっかり船乗りにも人気な場所になっているんだよ!」
にっかりと自信満々に笑いながらキャリーナが言った。
なるほど。
街の開発から関与しつつ、そういう行政に直接関係がない食事とかの試行錯誤ではキャリーナとか他の奥さん方が活躍したんだな。
ついでに目新しい焼き菓子でもあったらシェイラに買って帰ろう。
【後書き】
とうもろこしを主食に育ててますw
米も・・・と思ったけど、沼地っぽい地形は特にないので向いてなさそうだったし、ファンタジーに微妙に合わないので
早いもんだね~。
街の外の畑とかももう完備出来てるのかな?
昔ラフェーンに手伝ってもらって運び込んだ家畜たちも無事に繁殖していたら、良い感じに船乗りたちに乳製品も売りつけて良そうだ。
牛乳やチーズや卵があれば色々と菓子類も出来るから、考えてみたら料理人さえ居ればここでも王都に負けぬ暮らしが出来るかも?
というか、香辛料に関しては王都よりも安く手に入るだろうから、料理に関してはもっと良いかも知れないな。
どの程度食料品を自給出来ているかで値段が大分変りそうだが。
元々船の補給場所になることを目当てに食糧生産を重視した場所だから、それなりに色々と整っていそうだが。
きょろきょろと街の様子を見回しながら役場の方へと行く。
もうそろそろ夕方だから、帰る直前に捕まえることになったらジャレットやキャリーナに悪いかな?
でもまあ、今日の夕方ぐらいに着くって話は王都を出る前に伝えてあるんだから、お土産を渡すついでにちょっと残業になっても構わないだろう。
「お待ちしてたよ!!」
俺たちが役場に辿り着いたら、一階でジャレットが待っていた。
暇なのか??
まあ、3人合わせれば俺たちは一応国の次に大きな利権所有者ではあるけど・・・何といっても国の利権が大きすぎるから、実質あまり関係ないんだけどな。
昔の仲間に会えて懐かしいってやつかね?
「お久しぶり!
すっかり開拓がひと段落ついて落ち着いた感じだね~」
シャルロがにこやかに手を振りながら挨拶を返す。
「本当に、数年前に入植を始めたばかりとは思えないような完成度ですね。
あ、こちらはキャリーナへのお土産です」
アレクが生菓子の入った箱を渡しながら付け加える。
「街の外もすっかり開拓が終わっているのか?
何か手伝えることがあったら言ってくれ」
数日居るんだからちゃちゃっと手伝えることがあるならやっても構わないし。
「気候に合った作物に変えてからは、食料に関しては自給できるようになったんだ!!
お蔭で小麦粉とかは多少輸入する必要があるが、それを補ってあまりが出るぐらいこちらの特産物が増えてね。
今は町中の皆で新たな調理方法を開発しながら販売経路を増やそうとしている所なんだ」
にっかりと笑いながらジャレットが言った。
へぇぇ。
小麦粉を輸入しても利益の方が大きいなんて、何を育て始めたんだ?
まあ、考えてみたら暖かくて日当たりも良く、水も程よくある農地だったらそれなりに農作の効率も良さそうかな?
海の傍って嵐とかで海水を被ると塩がばら撒かれて農地に被害が出るって聞いた気がするが、ここだったら蒼流がそんな嵐が起きない様にしていそうな気もするし。
・・・シャルロが死んだ後にどうなるかちょっと心配だけど。
「良かったら夕食をウチで食べていかないか?」
ジャレットが誘ってくれた。
「良いのか?」
アレクが尋ねる。
今回同行してくれたパディン夫人の知り合いの女性には、元々今晩の食事は街で食べてくるから準備しなくて良いとは言ってあるが、急に客を連れて帰ると奥さんは怒るぞ~。
「勿論さ!
キャリーナもそのつもりで準備しているんだ」
お、流石出来る男。
ちゃんと奥さんと話し合っていたんだね。
「いらっしゃ~い!!
久しぶりだね!!」
ジャレットとキャリーナの家に行ったら心なしか微妙に恰幅が更によくなったキャリーナに迎えられた。
でも顔の艶が良くなった感じがするから、健康的で幸せそうだ。
どうやら南の島での生活はキャリーナにも合っているようだ。
ある意味夫の配属競争で他の同僚に一歩先んじるために利用されたとも言えなくもない立場だけど、本人も王都を離れてこっちに来て満足しているなら良かった。
忙しい時って言うのはある意味バタバタしているから新しい環境に満足しているかとかって深く考える暇もないが、落ち着いてくると不満って意外と頭を持ち上げるって言うからなぁ。
今の時期で満足してるなら大丈夫だろう。
島の開拓が上手くいっていても、トップの責任者に離婚の危機なんて事になってたら困るからな。
まあ、キャリーナだったら物事が動き出す前にジャレットを座らせてしっかり話し合いをしただろうし。
「すっかり街の開発も落ち着いてもうずっと昔からある領地の様に見えますね」
アレクがお土産を渡しながら言う。
「色々とこっちの気候や土に合った作物も見つけ出して、その料理方法も開発されてきているから街で色々と食べ歩いておくれ!
今じゃあすっかり船乗りにも人気な場所になっているんだよ!」
にっかりと自信満々に笑いながらキャリーナが言った。
なるほど。
街の開発から関与しつつ、そういう行政に直接関係がない食事とかの試行錯誤ではキャリーナとか他の奥さん方が活躍したんだな。
ついでに目新しい焼き菓子でもあったらシェイラに買って帰ろう。
【後書き】
とうもろこしを主食に育ててますw
米も・・・と思ったけど、沼地っぽい地形は特にないので向いてなさそうだったし、ファンタジーに微妙に合わないので
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