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卒業後
825 星暦557年 紫の月 21日 肩凝り対策(16)
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「動くオモチャ?
そりゃあ、歩く子犬のぬいぐるみとかならあるよ?」
シェイラの所から戻った翌朝に、工房でお茶を飲みながら動くオモチャ魔具の様な物があるか尋ねたらシャルロはあっさり頷いた。
「こう、蜘蛛みたいにワキワキ動くのがあったらそれを短くして体に当てたらマッサージにならないか?
刺激を流すのは良いにしても、頭や首周りは下手に強い刺激を流すのって怖いだろ?
実際に誰かが死ぬかを試す訳にもいかないし」
それに、肩と違って首や頭だったらフードの形でベルトか何かで締めればそれなりに動く魔具をしっかりと体に固定して力が逃げない様に出来るだろう。
見た目は微妙になるかもだが。
「動く蜘蛛のオモチャなんて買いたがる親がいないから売り出してもいないと思うが、確かに動くオモチャ魔具の原理を使ってぐいぐいと指でマッサージするような感じを真似出来るかも知れないな」
指をワキワキと動かして自分の頭や首の周りに押し当てながらアレクが賛成した。
「そう言えば、最初はフード式で目の周りから頭や首を含めて肩まで解そうって話だったけど、最近は肩ばっかりに集中していたね。
確かに出力を上げすぎると痣が出来るような魔具を頭や首の後ろに使うのは怖いかな?」
シャルロがちょっと首を傾げながら言った。
「シェイラと話していた時に指摘されたんだが、細かくって見えにくい文様とかを見極めようと目を凝らしながら机の上とか手許に集中して作業をしたせいで肩が凝った時って、頭の後ろとか首周りとかを揉み解すと気持ちがいいらしい。
ただ、頭や首の後ろって殴られたら翌日に死んでいたりすることもある箇所だろ?
あのビリビリした刺激って強すぎると痣が出るってことは殴られるのと似たような効果が出るのかも?と思ってね」
「ああ、だから『誰かが死ぬか試せない』なんて話が出て来たんだね。
なんだって肩凝り用魔具に死ぬ話が出てくるのか、分かったよ」
シャルロが笑いながら応じた。
おっと。
シェイラとの話した時の考えをすっ飛ばして提案していたか。
「ふむ。
そうなると物理的に揉み解すタイプと刺激を流すタイプと別の魔具を作るのか?
二通りの全然違う動きをさせようと思うと完全に違う魔術回路が必要だから、一つの魔具にするのは難しいぞ」
アレクがちょっと首を傾げながら指摘した。
「別売りにして、セットなら少し割引にするとか?
肩用の刺激を流す方は頭に使わないようにって注意書きをした方がいいだろうけど」
なんと言っても誰かが死ぬかなんて事故が起きるまで本当の危険度は分からないのだ。
実際にどういう状況で使ったら死にますと注意する訳にはいかないから、使ったら危険性があるかも知れないと注意書きするしかないだろう。
・・・頭を殴るのと肩を殴るのでは全然危険度が違うというのは誰でも分かっているだろうから、肩用の魔具を頭に使うのは危険って注意書きしても問題はないよな?
肩に使うのだって長時間継続使用しすぎると痣になるんだから、ある程度の危険性があるのは明らかなんだし。
と言うか、肩に使う奴を2段階目の強度で繰り返し使わせない様にするにはどうすれば良いのか、頭が痛いな。
あれも注意書きで禁止しておいて、やって問題が起きても責任取らんぞって大きく明記しておくしかないのかな?
事務所の人間で共有することも考えているのだから、連続使用と禁じるのは不評だろうし。
自動で切れた後にもう一度同じ人間が使う程の馬鹿だったら、本人の自己責任って購入時に合意する誓約書にでも署名させるか?
「まあ、売り出し方はともかく、まずは歩く子犬をどうやって頭や首周りを揉み解すマッサージ器の形に修正するかだね。
あれの魔術回路ってシェフィート商会の工房にないの?
アレクの実家も動くオモチャ魔具を売ってるよね?」
シャルロがアレクに尋ねた。
「売っているから魔術回路もあるだろうが・・・一応他の動くオモチャ系の魔術回路も魔術院で確認しよう。
ついでに特許期限が切れたので悪くないのがあったら現行のオモチャの方の魔術回路を変える提案をしても良いし」
アレクが提案する。
オモチャ魔具なんて売っているのか、シェフィート商会。
「魔術回路を変えて特許料を節約出来たらその分こっちにも金が入るんだよな?」
一応確認の為に尋ねる。
どちらにせよ調べるが、シェフィート商会が儲かるならその分の謝礼金は欲しいぞ。
「継続的な収入っていうのは難しいかもだが、礼金っぽいのを一括で貰うのは可能だろう。
シャルロだったら甥っ子や姪っ子用に高級オモチャ魔具を進呈するのもありだと思うが」
アレクがにやりと笑いながら言った。
貴族に渡して評判になったら売り上げが増えるんだから、それを礼金代わりっていうのは無いぞ~。
【後書き】
動物実験で危険性のチェックもありかなぁと思いましたが、最終的には人間でテストしなければ確実性は無いし、小さな犬や猫やウサギをウィル達が殺すつもりで実験すると言うのも微妙だったので結局頭部への利用は全般的に禁止としました。
現実の話として、超高周波マッサージ機とかって頭に使いまくっても大丈夫なんですかね?
そりゃあ、歩く子犬のぬいぐるみとかならあるよ?」
シェイラの所から戻った翌朝に、工房でお茶を飲みながら動くオモチャ魔具の様な物があるか尋ねたらシャルロはあっさり頷いた。
「こう、蜘蛛みたいにワキワキ動くのがあったらそれを短くして体に当てたらマッサージにならないか?
刺激を流すのは良いにしても、頭や首周りは下手に強い刺激を流すのって怖いだろ?
実際に誰かが死ぬかを試す訳にもいかないし」
それに、肩と違って首や頭だったらフードの形でベルトか何かで締めればそれなりに動く魔具をしっかりと体に固定して力が逃げない様に出来るだろう。
見た目は微妙になるかもだが。
「動く蜘蛛のオモチャなんて買いたがる親がいないから売り出してもいないと思うが、確かに動くオモチャ魔具の原理を使ってぐいぐいと指でマッサージするような感じを真似出来るかも知れないな」
指をワキワキと動かして自分の頭や首の周りに押し当てながらアレクが賛成した。
「そう言えば、最初はフード式で目の周りから頭や首を含めて肩まで解そうって話だったけど、最近は肩ばっかりに集中していたね。
確かに出力を上げすぎると痣が出来るような魔具を頭や首の後ろに使うのは怖いかな?」
シャルロがちょっと首を傾げながら言った。
「シェイラと話していた時に指摘されたんだが、細かくって見えにくい文様とかを見極めようと目を凝らしながら机の上とか手許に集中して作業をしたせいで肩が凝った時って、頭の後ろとか首周りとかを揉み解すと気持ちがいいらしい。
ただ、頭や首の後ろって殴られたら翌日に死んでいたりすることもある箇所だろ?
あのビリビリした刺激って強すぎると痣が出るってことは殴られるのと似たような効果が出るのかも?と思ってね」
「ああ、だから『誰かが死ぬか試せない』なんて話が出て来たんだね。
なんだって肩凝り用魔具に死ぬ話が出てくるのか、分かったよ」
シャルロが笑いながら応じた。
おっと。
シェイラとの話した時の考えをすっ飛ばして提案していたか。
「ふむ。
そうなると物理的に揉み解すタイプと刺激を流すタイプと別の魔具を作るのか?
二通りの全然違う動きをさせようと思うと完全に違う魔術回路が必要だから、一つの魔具にするのは難しいぞ」
アレクがちょっと首を傾げながら指摘した。
「別売りにして、セットなら少し割引にするとか?
肩用の刺激を流す方は頭に使わないようにって注意書きをした方がいいだろうけど」
なんと言っても誰かが死ぬかなんて事故が起きるまで本当の危険度は分からないのだ。
実際にどういう状況で使ったら死にますと注意する訳にはいかないから、使ったら危険性があるかも知れないと注意書きするしかないだろう。
・・・頭を殴るのと肩を殴るのでは全然危険度が違うというのは誰でも分かっているだろうから、肩用の魔具を頭に使うのは危険って注意書きしても問題はないよな?
肩に使うのだって長時間継続使用しすぎると痣になるんだから、ある程度の危険性があるのは明らかなんだし。
と言うか、肩に使う奴を2段階目の強度で繰り返し使わせない様にするにはどうすれば良いのか、頭が痛いな。
あれも注意書きで禁止しておいて、やって問題が起きても責任取らんぞって大きく明記しておくしかないのかな?
事務所の人間で共有することも考えているのだから、連続使用と禁じるのは不評だろうし。
自動で切れた後にもう一度同じ人間が使う程の馬鹿だったら、本人の自己責任って購入時に合意する誓約書にでも署名させるか?
「まあ、売り出し方はともかく、まずは歩く子犬をどうやって頭や首周りを揉み解すマッサージ器の形に修正するかだね。
あれの魔術回路ってシェフィート商会の工房にないの?
アレクの実家も動くオモチャ魔具を売ってるよね?」
シャルロがアレクに尋ねた。
「売っているから魔術回路もあるだろうが・・・一応他の動くオモチャ系の魔術回路も魔術院で確認しよう。
ついでに特許期限が切れたので悪くないのがあったら現行のオモチャの方の魔術回路を変える提案をしても良いし」
アレクが提案する。
オモチャ魔具なんて売っているのか、シェフィート商会。
「魔術回路を変えて特許料を節約出来たらその分こっちにも金が入るんだよな?」
一応確認の為に尋ねる。
どちらにせよ調べるが、シェフィート商会が儲かるならその分の謝礼金は欲しいぞ。
「継続的な収入っていうのは難しいかもだが、礼金っぽいのを一括で貰うのは可能だろう。
シャルロだったら甥っ子や姪っ子用に高級オモチャ魔具を進呈するのもありだと思うが」
アレクがにやりと笑いながら言った。
貴族に渡して評判になったら売り上げが増えるんだから、それを礼金代わりっていうのは無いぞ~。
【後書き】
動物実験で危険性のチェックもありかなぁと思いましたが、最終的には人間でテストしなければ確実性は無いし、小さな犬や猫やウサギをウィル達が殺すつもりで実験すると言うのも微妙だったので結局頭部への利用は全般的に禁止としました。
現実の話として、超高周波マッサージ機とかって頭に使いまくっても大丈夫なんですかね?
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