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卒業後
788 星暦557年 赤の月 21日 一斉調査(5)
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「軍の人間を2人とヴェルナスを連れて一緒にどこまでこの地下通路が行くか確認するのに協力してくれないか?
人が通路に居るならば捕獲、無人だったら繋がった先を確認して貰ったら後は軍の方でそちらを見張る」
地下通路を見つけた後、怖い顔をしたヴェルナスが連れてきたベテランっぽい士官に頼まれた。
「今日だけで済むなら吝かじゃあないぞ。
ちなみに地下通路発見とその確認作業の協力に関する追加報酬については誰と交渉すれば良いんだ?」
誰かいるならさっさと捕まえれば良いし、いないなら繋がった先を見張ればどういう人間が利用しているのか分かり、ついでに色々と捕まえられるかもだ。
その面倒な見張り作業を此方に押し付けないなら、ちょっとの残業なら全然許容範囲内だ。
とは言え、通路を見つけたら色々と余分な仕事が増えるんだからその分の報酬は欲しい。
ウォレン爺とこの仕事の報酬は交渉したんだが、最終的な報酬の支払い手は税務局なのか、それとも軍部なのか、どっちなんだ?
「・・・隠し通路は税関と言うよりは国防だから、軍の方で払おう。
取り敢えず最低でも1日分の日給を出すことは約束するが、上と相談して更に増やすかもしれないという事で良いだろうか?」
士官のおっさんが言った。
「ああ、ウチの方もちょっと同僚と相談したいから、しっかり話し合うのは後日にしよう」
取り敢えずただ働きでなければ良い。
という事で下に降りる。
マジか~。
俺たちが開発した浮遊型台車が梯子のすぐそばに置いてある。
やっぱこういう密輸用の地下通路では便利に悪用されるよなぁ・・・。
まあそれ以外の場所で普通に活用されていると思って、悪用されている場面のことは考えないでおこう。
そのまま足を進めると、ちょっと広い目の部屋っぽい場所に出た。
幾つか木箱が積んである。
「これも密輸入品の発見だよな?」
ヴェルナスに確認する。
「勿論だが・・・何が入っていそうだ?」
「魔具と呪具だな」
地下通路なんぞあるのに密輸入をしない訳が無いと思ったら、こっちに高額品は既に動かしてあったんだな。
一斉捜査を始めたら木箱の持ち出しや船への積み戻しは禁止されるが、倉庫の中の整理は許容されているので、捜査が始まったという知らせを聞いて直ぐに慌てて取り敢えずこっちに移したのかな?
まあ、倉庫だと一般の従業員による盗難もあるから魔具や呪具だったら船から降ろした直後にこちらまで動かしている可能性も高いが。
地下通路を知っている従業員はちゃちな盗みをしないぐらいに報酬を与えているか裏切らない様にしっかり弱みを握っているかだろうから、人目が無くてもこちらの方が盗難される危険は低い筈だ。
「・・・通関担当の魔術師までこっちに連れ込んだら気付かれるかも知れないから、取り敢えずここに残しておこう」
士官のおっさんが言った。
「・・・帰る際に入り口付近にあった浮遊型の台車をそれとなく壊しておくか?
そうすればこれを持ち出すのに手間取る筈」
確かに色々と一気に捕まえたい気持ちは分かるが、呪具は下手に街に持ち込まれるとこっちに後からとばっちりが来るかも知れないからなぁ。
出来るだけ簡単に持ち出せない様にしておきたい。
「頼む」
短く士官のおっさんが応じた。
という事で更に進む。
魔力を込めて心眼《サイト》で上を随時確認していたら、やがて港の区域から出たのが分かった。
通関前の港の区域は他の王都区域から分けるために侵入禁止の結界があるので、それを超えると王都に入ったのが分かる。
あの結界、地下にも張り巡らすべきだったな。
とは言え、地面の下に結界を展開すると色々と調整しなければいけない点とかがあるから、難しいんだろうが・・・せめて年に一度ぐらいは結界の範囲を調べて下に通路が無い事位は確認すべきなんじゃないかね?
壁に生えている苔を見る限り、少なくともこの地下通路はそれなりに古そうだ。
まあ、厳しくそこら辺を調べて潰したら単に王都以外の場所で岸に降ろすだけだろうから、潰すのではなく監視しておいて利用者を捕まえるべきなのかもだが・・・常時見張る為の人件費もバカにならないかな?
そんなことを考えつつ更に進んだら、やっと行き止まりに着いた。
ある意味予想通り、誰も下には居なかった。
真上の部屋にも誰もいないのを確認して、そっと天井の扉を開けて上がっていく。
「ふむ。
納戸のような場所か?」
ヴェルナスが周りを見回しながら静かに呟く。
「あっち側に店があるっぽいな」
人の気配がある方向を指しながら、周りを見回す。
どこか窓でもあれば店の位置を確認できるんだが。
【後書き】
地下通路の存在を知って密入国する連中を捕まえるために泳がせるにはかなり人件費が掛かりそうだけど、どうなるんでしょうね~
人が通路に居るならば捕獲、無人だったら繋がった先を確認して貰ったら後は軍の方でそちらを見張る」
地下通路を見つけた後、怖い顔をしたヴェルナスが連れてきたベテランっぽい士官に頼まれた。
「今日だけで済むなら吝かじゃあないぞ。
ちなみに地下通路発見とその確認作業の協力に関する追加報酬については誰と交渉すれば良いんだ?」
誰かいるならさっさと捕まえれば良いし、いないなら繋がった先を見張ればどういう人間が利用しているのか分かり、ついでに色々と捕まえられるかもだ。
その面倒な見張り作業を此方に押し付けないなら、ちょっとの残業なら全然許容範囲内だ。
とは言え、通路を見つけたら色々と余分な仕事が増えるんだからその分の報酬は欲しい。
ウォレン爺とこの仕事の報酬は交渉したんだが、最終的な報酬の支払い手は税務局なのか、それとも軍部なのか、どっちなんだ?
「・・・隠し通路は税関と言うよりは国防だから、軍の方で払おう。
取り敢えず最低でも1日分の日給を出すことは約束するが、上と相談して更に増やすかもしれないという事で良いだろうか?」
士官のおっさんが言った。
「ああ、ウチの方もちょっと同僚と相談したいから、しっかり話し合うのは後日にしよう」
取り敢えずただ働きでなければ良い。
という事で下に降りる。
マジか~。
俺たちが開発した浮遊型台車が梯子のすぐそばに置いてある。
やっぱこういう密輸用の地下通路では便利に悪用されるよなぁ・・・。
まあそれ以外の場所で普通に活用されていると思って、悪用されている場面のことは考えないでおこう。
そのまま足を進めると、ちょっと広い目の部屋っぽい場所に出た。
幾つか木箱が積んである。
「これも密輸入品の発見だよな?」
ヴェルナスに確認する。
「勿論だが・・・何が入っていそうだ?」
「魔具と呪具だな」
地下通路なんぞあるのに密輸入をしない訳が無いと思ったら、こっちに高額品は既に動かしてあったんだな。
一斉捜査を始めたら木箱の持ち出しや船への積み戻しは禁止されるが、倉庫の中の整理は許容されているので、捜査が始まったという知らせを聞いて直ぐに慌てて取り敢えずこっちに移したのかな?
まあ、倉庫だと一般の従業員による盗難もあるから魔具や呪具だったら船から降ろした直後にこちらまで動かしている可能性も高いが。
地下通路を知っている従業員はちゃちな盗みをしないぐらいに報酬を与えているか裏切らない様にしっかり弱みを握っているかだろうから、人目が無くてもこちらの方が盗難される危険は低い筈だ。
「・・・通関担当の魔術師までこっちに連れ込んだら気付かれるかも知れないから、取り敢えずここに残しておこう」
士官のおっさんが言った。
「・・・帰る際に入り口付近にあった浮遊型の台車をそれとなく壊しておくか?
そうすればこれを持ち出すのに手間取る筈」
確かに色々と一気に捕まえたい気持ちは分かるが、呪具は下手に街に持ち込まれるとこっちに後からとばっちりが来るかも知れないからなぁ。
出来るだけ簡単に持ち出せない様にしておきたい。
「頼む」
短く士官のおっさんが応じた。
という事で更に進む。
魔力を込めて心眼《サイト》で上を随時確認していたら、やがて港の区域から出たのが分かった。
通関前の港の区域は他の王都区域から分けるために侵入禁止の結界があるので、それを超えると王都に入ったのが分かる。
あの結界、地下にも張り巡らすべきだったな。
とは言え、地面の下に結界を展開すると色々と調整しなければいけない点とかがあるから、難しいんだろうが・・・せめて年に一度ぐらいは結界の範囲を調べて下に通路が無い事位は確認すべきなんじゃないかね?
壁に生えている苔を見る限り、少なくともこの地下通路はそれなりに古そうだ。
まあ、厳しくそこら辺を調べて潰したら単に王都以外の場所で岸に降ろすだけだろうから、潰すのではなく監視しておいて利用者を捕まえるべきなのかもだが・・・常時見張る為の人件費もバカにならないかな?
そんなことを考えつつ更に進んだら、やっと行き止まりに着いた。
ある意味予想通り、誰も下には居なかった。
真上の部屋にも誰もいないのを確認して、そっと天井の扉を開けて上がっていく。
「ふむ。
納戸のような場所か?」
ヴェルナスが周りを見回しながら静かに呟く。
「あっち側に店があるっぽいな」
人の気配がある方向を指しながら、周りを見回す。
どこか窓でもあれば店の位置を確認できるんだが。
【後書き】
地下通路の存在を知って密入国する連中を捕まえるために泳がせるにはかなり人件費が掛かりそうだけど、どうなるんでしょうね~
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