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卒業後
766 星暦557年 藤の月 16日 ちょっと方向が違う方が良い?(7)
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「まずこれを試してみて」
いつの間にか何やら立派そうな礼服を手に持ったシャルロの義姉さんが現れて礼服を此方に差し出してきた。
「来月これを着なくちゃいけない筈なんだけど、このままだったらくしゃみだらけで大変なの~」
と言いながら横を向いて早速小さくくしゃみをしていた。
どうやら樟脳の臭いが苦手な人間が多いのか、部屋のあちこちでくしゃみの音が響く。
欠伸と同じでくしゃみも伝染するのかと思う程の威力だな。
「普段は礼服は出してから1日か2日は風通しの良い所で陰干しして臭いを取るんだけど、これでさっと臭いが消せたら緊急時に凄く助かると思うんだよね~。
ちょっとこの椅子にでも掛けて試してみよう」
シャルロが嬉しそうに礼服のジャケットを受け取って椅子の背に掛け、結界のサイズを調整して浄化用魔具を起動した。
温度調整は温《ぬる》め、精油はなし。
「義姉さん、もしかしたらちょっと縮んじゃったりしても構わないような古い礼服も無いかな?
温度を熱くしたらどうなるか確認してみたいから」
シャルロが更に義姉へお願いする。
兄貴に相談しないでどんどん礼服で実験しちゃって良いのかね?
まあ、奥さんだったらどの服が駄目になっても構わないか、分かっているか。
考えてみたら、下げ渡す用のドレスなんかは失敗して色褪せしちゃったり縮んじゃったりしても大丈夫なのだろうか?
実験用に汚れてるドレスをどこから入手するのか、ちょっと心配だぞ。
それともドレスも古着屋みたいなのもあるのかね?
黄ばみとかが取れるんだったらそう言う店に売り込むのも有りかも知れない。
まあ、黄ばみが取れなくても汚れがそれなりに取れるなら下手に手洗いするよりも無難かも知れないし時間も節約できるから、どちらにせよ売れそうか。
「ドレスの古着とかってシェフィート商会では扱ってないのか?
あるんだったらどういう使い方したら汚れが一番落ちるか、失敗も含めて色々実験できそうだが」
流石に次期侯爵夫人とかその親戚のドレスで色々と実験するのは怖すぎる。
まあ、最高品質のドレスには特殊な素材が使われていて、そう言う服が普通の古着の流通網に乗ってこないならシャルロの義姉さんの協力が必要かもしれないが・・・年に数回しか着ないで下げ渡すんだったら、いくつかは古着屋に流れないかね?
「ふむ。
確かに、温度だけでなく精油代わりに石鹸や少量の炭とか灰やその他汚れ落としによく使う素材を入れてみてどうなるか、実験してみたら面白そうだな。
ちょっと実家の方に聞いてみる」
アレクが頷きながら言った。
「ついでにいつ頃に正式に売り出せるかも聞いておいてね?
私たちは試作品で何とかなっているけど、友人たちや親戚や友人未満の知人からも色々とせっつかれて大変なのよ。
シャルロ、これを試してみて」
何やらもう一つ礼服を持ってきたシャルロの義姉さんが服を渡しながら口を挟んできた。
考えてみたら、服の清浄化用の利用よりも、肌や髪の毛をすっきり綺麗にする魔具としての売り出しの方が貴族女性には重要か。
「そうですね、服用のは色々試して使い方の提案として後から購入した方に伝える形にして、取り敢えず現時点で体を清浄化する魔具として売り出した方が良さそうですね。
母に一応試作品は渡してありますが、製造用の工房の手配等がどうなっているか、聞いておきます」
アレクが応じる。
確かに、貴族の女性用のとそれこそ執事や侍女が使う礼服やドレスの清浄化用のとを同じ魔具の製品として売り出すか否かは微妙なところだな。
日中の女主人が出歩いている時に使えば一石二鳥だとは思うが、考えてみたら侍女って貴族女性がお茶会とかに出ている時に付き添いっぽい感じで一緒に出ていることも多いし。
それとも服の手入れは侍女ではなくメイドの仕事か?
まあ、そこら辺の戦略はアレクのお袋さんが一番詳しいだろう。
俺たちは適当にもうちょっと試して何か改善できるところがあるかを調べ、その間に服の清浄化とか臭い消しとか染み抜き機能に関して色々とシェフィート商会側で試してもらったらいいだろう。
どうせシャルロの親戚たちが体の清浄化利用による美肌効果に関してのコメントはがっつりくれそうだし。
【後書き】
ドレス専門のリサイクルショップはありませんが、普通の古着屋にドレスコーナーがあり、これが大きめな店はちょこちょこあり。
ウィルは女服に興味がないので古着屋に行ってもそこら辺に注意を払っていませんでした。
シェイラと付き合い始めた頃には古着屋を使わなくなっていたしw
いつの間にか何やら立派そうな礼服を手に持ったシャルロの義姉さんが現れて礼服を此方に差し出してきた。
「来月これを着なくちゃいけない筈なんだけど、このままだったらくしゃみだらけで大変なの~」
と言いながら横を向いて早速小さくくしゃみをしていた。
どうやら樟脳の臭いが苦手な人間が多いのか、部屋のあちこちでくしゃみの音が響く。
欠伸と同じでくしゃみも伝染するのかと思う程の威力だな。
「普段は礼服は出してから1日か2日は風通しの良い所で陰干しして臭いを取るんだけど、これでさっと臭いが消せたら緊急時に凄く助かると思うんだよね~。
ちょっとこの椅子にでも掛けて試してみよう」
シャルロが嬉しそうに礼服のジャケットを受け取って椅子の背に掛け、結界のサイズを調整して浄化用魔具を起動した。
温度調整は温《ぬる》め、精油はなし。
「義姉さん、もしかしたらちょっと縮んじゃったりしても構わないような古い礼服も無いかな?
温度を熱くしたらどうなるか確認してみたいから」
シャルロが更に義姉へお願いする。
兄貴に相談しないでどんどん礼服で実験しちゃって良いのかね?
まあ、奥さんだったらどの服が駄目になっても構わないか、分かっているか。
考えてみたら、下げ渡す用のドレスなんかは失敗して色褪せしちゃったり縮んじゃったりしても大丈夫なのだろうか?
実験用に汚れてるドレスをどこから入手するのか、ちょっと心配だぞ。
それともドレスも古着屋みたいなのもあるのかね?
黄ばみとかが取れるんだったらそう言う店に売り込むのも有りかも知れない。
まあ、黄ばみが取れなくても汚れがそれなりに取れるなら下手に手洗いするよりも無難かも知れないし時間も節約できるから、どちらにせよ売れそうか。
「ドレスの古着とかってシェフィート商会では扱ってないのか?
あるんだったらどういう使い方したら汚れが一番落ちるか、失敗も含めて色々実験できそうだが」
流石に次期侯爵夫人とかその親戚のドレスで色々と実験するのは怖すぎる。
まあ、最高品質のドレスには特殊な素材が使われていて、そう言う服が普通の古着の流通網に乗ってこないならシャルロの義姉さんの協力が必要かもしれないが・・・年に数回しか着ないで下げ渡すんだったら、いくつかは古着屋に流れないかね?
「ふむ。
確かに、温度だけでなく精油代わりに石鹸や少量の炭とか灰やその他汚れ落としによく使う素材を入れてみてどうなるか、実験してみたら面白そうだな。
ちょっと実家の方に聞いてみる」
アレクが頷きながら言った。
「ついでにいつ頃に正式に売り出せるかも聞いておいてね?
私たちは試作品で何とかなっているけど、友人たちや親戚や友人未満の知人からも色々とせっつかれて大変なのよ。
シャルロ、これを試してみて」
何やらもう一つ礼服を持ってきたシャルロの義姉さんが服を渡しながら口を挟んできた。
考えてみたら、服の清浄化用の利用よりも、肌や髪の毛をすっきり綺麗にする魔具としての売り出しの方が貴族女性には重要か。
「そうですね、服用のは色々試して使い方の提案として後から購入した方に伝える形にして、取り敢えず現時点で体を清浄化する魔具として売り出した方が良さそうですね。
母に一応試作品は渡してありますが、製造用の工房の手配等がどうなっているか、聞いておきます」
アレクが応じる。
確かに、貴族の女性用のとそれこそ執事や侍女が使う礼服やドレスの清浄化用のとを同じ魔具の製品として売り出すか否かは微妙なところだな。
日中の女主人が出歩いている時に使えば一石二鳥だとは思うが、考えてみたら侍女って貴族女性がお茶会とかに出ている時に付き添いっぽい感じで一緒に出ていることも多いし。
それとも服の手入れは侍女ではなくメイドの仕事か?
まあ、そこら辺の戦略はアレクのお袋さんが一番詳しいだろう。
俺たちは適当にもうちょっと試して何か改善できるところがあるかを調べ、その間に服の清浄化とか臭い消しとか染み抜き機能に関して色々とシェフィート商会側で試してもらったらいいだろう。
どうせシャルロの親戚たちが体の清浄化利用による美肌効果に関してのコメントはがっつりくれそうだし。
【後書き】
ドレス専門のリサイクルショップはありませんが、普通の古着屋にドレスコーナーがあり、これが大きめな店はちょこちょこあり。
ウィルは女服に興味がないので古着屋に行ってもそこら辺に注意を払っていませんでした。
シェイラと付き合い始めた頃には古着屋を使わなくなっていたしw
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