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卒業後
682 星暦556年 緑の月 5日 人(+盗品)探し(6)
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さっさと襲撃犯と暗号用魔術回路探しを終わらせたいので、小走りで王宮の中を動き回る。
時間を掛けて棟から棟へと襲撃犯を追い詰めた場合、暗号用魔術回路が見つからなくて再度探す必要が出てくる範囲が滅茶苦茶大きくなるかも知れない。
さっさと捕まえられれば、少なくとも襲撃後に通信室から捕まった場所に行く経路以外の棟は優先順位を下げて効率的に探せるだろう。
まあ、此方の希望としては暗号用魔術回路をそのまま身に着けてくれている事が理想的なんだけどね。
どちらにせよ盗聴用の通信機探しで王宮中を回らなければならないが、『絶対に見つけなければならない』物を探すのと、『見つけたら報酬あり』で気がついた物を報告するのでは精神的な負担も必要な集中度も全然違う。
王宮の中を素早く移動する俺の後をついて来る兵士たちは『何を意味もなく走り回っているんだ、こいつ??』という顔をしているが、ウォレン爺に邪魔をするなと言い聞かされているのか特に何も言わずにいる。
生きた人間はかなり心眼《サイト》に目立って視えるので、階段を登り切った後にちょっと息を整えるために立ち止まる程度の時間でそのフロアに人がいるかの確認程度なら出来る。
ちなみに、死体も死んで直ぐだったらそれなりに目立つ。
もしくは隠すために臭い消しや虫除けの魔具を使っている場合も。
先ほどの西棟の地下室にも何やら死体が隠されていた気がするのだが・・・あれについてジジイに知らせるべきなのだろうか?
隠し通路の壁に雑に埋め込まれているっぽい死体なんぞ暴いたら、なんか面倒なことに巻き込まれそうな気がして嫌なのだが。
死体を見つけた場合の面倒について考えている間に西棟の全部を見終わり、中央棟の3階まで上がってきたところで、人を察知した。
動いている!
思わずそちらへ走ろうとしたが、一瞬立ち止まって相手が動いている場所を確認する。
廊下を走って逃げているのなら良いが、隠し廊下を動き回っているのだったらそれが出る先で待つ必要がある。
建築物の内部の壁というのは防水の術も固定化の術も掛けてないことが多いので、心眼《サイト》で遠くからは見分けしにくい。
眉をひそめながら集中して人影の動きとその周辺を調べる。
細い廊下だが、あちこちの部屋に繋がっているので隠し廊下では無い様だ。
「あっちの使用人用の廊下っぽい通路に誰かがいる」
そちらに向かいながら一緒に動いている兵士に声をかける。
「あそこは・・・北棟にもつながる廊下だ。
ジェルド、北棟へ行かれないように先回りしろ」
どうやら王宮内の使用人通路まで良く分かっている兵士がつけられたらしく、俺の指さした方向を見て、すぐに逃げられない様に部下へ指示を出して走り始めた。
俺は足音を忍ばせるように走ったのだが、王宮の兵士たちはそう言う訓練はしていないのかどたどたと足音を立てて走り始め・・・それを聞いたのか人影が方向転換した。
「あれ、こっちに向かって来たぞ??」
襲撃犯じゃなくって騒ぎに気付かずに昼寝でもしていた使用人なのか??
「しまった!
そこの近くに階段がある筈だ!
シェズル、東端の階段から下へ行け!ファルグは上だ!」
更に兵士が別れて走っていく。
なるほど。
良く見たら、確かに細い階段がある。
中央棟はお偉いさんの執務室や会議室が多いせいで、使用人は基本的にメインの廊下を使わない。
当然階段もメインのを使わないから同じ場所にある訳じゃあないのだ。
兵士のリーダー役は襲撃犯(多分)がどこにいるのか分かったのか、俺を放って猛烈な勢いで走り始めた。
流石プロの戦闘職。
王宮の兵士なんてお行儀よく動き回って王宮に来る貴族を威嚇する為のお飾りかと思っていたが、日ごろの訓練もちゃんとやっているのか、中々早い。
これで置いていかれて襲撃犯を捕まえた際の成功報酬が減額されたり、襲撃犯に逃げられたりしたら困るので、此方も頑張って遅れないように走る。
「階段を上がってるぞ!」
意外だな。
こういう時って下へ逃げる方が多いと思うんだが・・・上のフロアに別の棟へ繋がる隠し廊下でもあるのか??
失敗したな。
最初にこの棟を探し始めた際に他の棟への隠し廊下の場所を確認しておくべきだった。
【後書き】
なんか盗聴器探しのついでに余計な物を色々と見つけそうなウィル君ですw
時間を掛けて棟から棟へと襲撃犯を追い詰めた場合、暗号用魔術回路が見つからなくて再度探す必要が出てくる範囲が滅茶苦茶大きくなるかも知れない。
さっさと捕まえられれば、少なくとも襲撃後に通信室から捕まった場所に行く経路以外の棟は優先順位を下げて効率的に探せるだろう。
まあ、此方の希望としては暗号用魔術回路をそのまま身に着けてくれている事が理想的なんだけどね。
どちらにせよ盗聴用の通信機探しで王宮中を回らなければならないが、『絶対に見つけなければならない』物を探すのと、『見つけたら報酬あり』で気がついた物を報告するのでは精神的な負担も必要な集中度も全然違う。
王宮の中を素早く移動する俺の後をついて来る兵士たちは『何を意味もなく走り回っているんだ、こいつ??』という顔をしているが、ウォレン爺に邪魔をするなと言い聞かされているのか特に何も言わずにいる。
生きた人間はかなり心眼《サイト》に目立って視えるので、階段を登り切った後にちょっと息を整えるために立ち止まる程度の時間でそのフロアに人がいるかの確認程度なら出来る。
ちなみに、死体も死んで直ぐだったらそれなりに目立つ。
もしくは隠すために臭い消しや虫除けの魔具を使っている場合も。
先ほどの西棟の地下室にも何やら死体が隠されていた気がするのだが・・・あれについてジジイに知らせるべきなのだろうか?
隠し通路の壁に雑に埋め込まれているっぽい死体なんぞ暴いたら、なんか面倒なことに巻き込まれそうな気がして嫌なのだが。
死体を見つけた場合の面倒について考えている間に西棟の全部を見終わり、中央棟の3階まで上がってきたところで、人を察知した。
動いている!
思わずそちらへ走ろうとしたが、一瞬立ち止まって相手が動いている場所を確認する。
廊下を走って逃げているのなら良いが、隠し廊下を動き回っているのだったらそれが出る先で待つ必要がある。
建築物の内部の壁というのは防水の術も固定化の術も掛けてないことが多いので、心眼《サイト》で遠くからは見分けしにくい。
眉をひそめながら集中して人影の動きとその周辺を調べる。
細い廊下だが、あちこちの部屋に繋がっているので隠し廊下では無い様だ。
「あっちの使用人用の廊下っぽい通路に誰かがいる」
そちらに向かいながら一緒に動いている兵士に声をかける。
「あそこは・・・北棟にもつながる廊下だ。
ジェルド、北棟へ行かれないように先回りしろ」
どうやら王宮内の使用人通路まで良く分かっている兵士がつけられたらしく、俺の指さした方向を見て、すぐに逃げられない様に部下へ指示を出して走り始めた。
俺は足音を忍ばせるように走ったのだが、王宮の兵士たちはそう言う訓練はしていないのかどたどたと足音を立てて走り始め・・・それを聞いたのか人影が方向転換した。
「あれ、こっちに向かって来たぞ??」
襲撃犯じゃなくって騒ぎに気付かずに昼寝でもしていた使用人なのか??
「しまった!
そこの近くに階段がある筈だ!
シェズル、東端の階段から下へ行け!ファルグは上だ!」
更に兵士が別れて走っていく。
なるほど。
良く見たら、確かに細い階段がある。
中央棟はお偉いさんの執務室や会議室が多いせいで、使用人は基本的にメインの廊下を使わない。
当然階段もメインのを使わないから同じ場所にある訳じゃあないのだ。
兵士のリーダー役は襲撃犯(多分)がどこにいるのか分かったのか、俺を放って猛烈な勢いで走り始めた。
流石プロの戦闘職。
王宮の兵士なんてお行儀よく動き回って王宮に来る貴族を威嚇する為のお飾りかと思っていたが、日ごろの訓練もちゃんとやっているのか、中々早い。
これで置いていかれて襲撃犯を捕まえた際の成功報酬が減額されたり、襲撃犯に逃げられたりしたら困るので、此方も頑張って遅れないように走る。
「階段を上がってるぞ!」
意外だな。
こういう時って下へ逃げる方が多いと思うんだが・・・上のフロアに別の棟へ繋がる隠し廊下でもあるのか??
失敗したな。
最初にこの棟を探し始めた際に他の棟への隠し廊下の場所を確認しておくべきだった。
【後書き】
なんか盗聴器探しのついでに余計な物を色々と見つけそうなウィル君ですw
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