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卒業後
603 星暦555年 黄の月 30日 忠誠心?(4)
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規制対象の一覧表というのは初めて見たのだが、少なくとも東大陸から提供されてきたリストはかなり・・・手抜きな印象だった。
それとも、多すぎて詳しく書いていたらきりがないという感じなのか?
術の名称と何をするかの簡単な説明が羅列されているだけなのだ。
使用時の一般的な被害の規模も、どうやって対処すれば良いのかも書かれていない。
「これってさぁ、何かヤバい物が入ってきたと思って調べても対処方法すら書いてないじゃん。
もっと詳しい資料がなきゃ困らない?」
殺人用とか毒殺用とかゆっくりと体力を落とす術とか、色々とヤバ気なものが並んでいる。
思っていた以上に東大陸って殺伐としているようだ。
まあ、アファル王国にだって禁忌とされた術にはかなり微妙な物があるが。
改めて一覧表にしたらこちらもヤバいのかな?
「規制対象の術というのは下手に何が可能かの知識が広まるとそれを再現しようとするゲスが出てくるかもしれないから、態と大雑把に書いてあるんだよ。
それにしっかりとした対処方法は流石に無料では貰えないしね。
こちらだって危険な術への対処方法には金をとる。
だからお互い、適当にリストを見て汎用性が高そうなのに関する対処方法だけ買うんだ」
アンディが苦笑しながら説明してくれた。
なるほど。
大雑把なのは態となのか。
この大雑把なリストですらアンディの机の鍵を掛けた引き出しに仕舞ってあるんだから、それなりに危険な術の情報というのは広まったらヤバいのだろう。
そう考えると、アンディもなかなか信頼されているようじゃないか。
着実に魔術院で地位を築いているんかな?
将来ちょっとした相談がある時に役に立ってくれるよう、このまま頑張って上層部へ食い込んでくれ。
それはさておき。
これじゃあ話が進展するのに時間が掛かりそうだな。
ウォレン氏の方に何か情報が来ていないか確認して、さっさと東大陸に行くのが正解か?
◆◆◆◆
「忠誠心を植え付ける魔具?」
シャルロにウォレン氏に会いたいと連絡して貰ったら、なんと翌日の朝にシャルロと一緒に現れた。
対応が早すぎるぜ、この爺さん。
シャルロの親戚なんだから、一応貴族なんだろうに。
「そう。
魔術院にあった規制対象のリストの記述だと、多分『精神的な対人優先順位に干渉する』って書いてあった魔具かな?
どうも特に理由なく無料で情報を提供したり、有利な条件で契約してやったりしたくなるみたいですね。
流石に相手の為に無料で人を殺す程ではないらしいですが」
そう考えると、暗殺《アサッシン》ギルドではなく娼婦《ハーロット》ギルドが主に狙われたのかな?
殺人にまで手を出して注意を引きたくなかったのか、それともそこまで行動規範を変えさせる強さがない干渉なのか。
暗殺《アサッシン》ギルドの人間が勝手に『仕事』をしたら、場合によっては組織の制裁で消される。
流石にやり直しの出来ない制裁を実行する前には色々調査が入るから、下手に手を出して露見するのが早まるのを避けたのかも知れない。
魔具を売り込んでいる相手が組織なのか個人なのかで理由も変わるだろうが・・・長が娼婦《ハーロット》ギルドと言わずに『あちこちのギルド』と言っていたから、情報収集的には暗殺《アサッシン》ギルドにも手を出していたのだろう。
そう考えると軍部にも手を伸ばしていそうなものだ。
大きな公の組織なだけあって、軍部の方がある意味脇が甘いからな。
「あ~、あの蒼流が触れるなって警告した骨董品の類似品?」
シャルロがクッキー缶を開けながら声を上げた。
「多分な。
あの蚤市で他に特に怪しいのは見かけなかったから、珍しいのかたまたまあの骨董品の精度が高くて危険度が高かったのか分からんが。
一応裏ギルドの上層部の注意を引く程度には効果があるみたいだぜ?」
表側で問題になっていないのは、下町から試しているのか、それとも単に表の人間の注意を引くような行動をさせていないのか。
「情報を提供したくなるのか・・・」
爺さんが低く呟きながらシャルロが差し出してきたクッキー缶に手を伸ばす。
「魔術院が受け取った規制対象リストの中ではある意味危険度が少ないんで、人を殺す系の禁忌より優先順位が下がってあちらはまだ詳細を調べてすらいないみたいですね」
調べるのにも金を出す必要があるとなると、調査対象になるか否かも微妙なところだ。
規制対象っていうのは偶にどうでもいい嫌がらせっぽいのも入ってくるので、全部馬鹿正直に調べていたらきりがないというのがアンディの話だった。
一応、この暗示なのか洗脳なのか魅了なのか知らんがの魔具は実効性があるらしいんで、放置は不味いんじゃないかとは言っておいたが。
これで魔術院がろくに調べずに俺の調査結果に金を出さないと言ってきたら・・・シェフィート商会に新たな目玉商品が出来たと考えよう。
それとも、多すぎて詳しく書いていたらきりがないという感じなのか?
術の名称と何をするかの簡単な説明が羅列されているだけなのだ。
使用時の一般的な被害の規模も、どうやって対処すれば良いのかも書かれていない。
「これってさぁ、何かヤバい物が入ってきたと思って調べても対処方法すら書いてないじゃん。
もっと詳しい資料がなきゃ困らない?」
殺人用とか毒殺用とかゆっくりと体力を落とす術とか、色々とヤバ気なものが並んでいる。
思っていた以上に東大陸って殺伐としているようだ。
まあ、アファル王国にだって禁忌とされた術にはかなり微妙な物があるが。
改めて一覧表にしたらこちらもヤバいのかな?
「規制対象の術というのは下手に何が可能かの知識が広まるとそれを再現しようとするゲスが出てくるかもしれないから、態と大雑把に書いてあるんだよ。
それにしっかりとした対処方法は流石に無料では貰えないしね。
こちらだって危険な術への対処方法には金をとる。
だからお互い、適当にリストを見て汎用性が高そうなのに関する対処方法だけ買うんだ」
アンディが苦笑しながら説明してくれた。
なるほど。
大雑把なのは態となのか。
この大雑把なリストですらアンディの机の鍵を掛けた引き出しに仕舞ってあるんだから、それなりに危険な術の情報というのは広まったらヤバいのだろう。
そう考えると、アンディもなかなか信頼されているようじゃないか。
着実に魔術院で地位を築いているんかな?
将来ちょっとした相談がある時に役に立ってくれるよう、このまま頑張って上層部へ食い込んでくれ。
それはさておき。
これじゃあ話が進展するのに時間が掛かりそうだな。
ウォレン氏の方に何か情報が来ていないか確認して、さっさと東大陸に行くのが正解か?
◆◆◆◆
「忠誠心を植え付ける魔具?」
シャルロにウォレン氏に会いたいと連絡して貰ったら、なんと翌日の朝にシャルロと一緒に現れた。
対応が早すぎるぜ、この爺さん。
シャルロの親戚なんだから、一応貴族なんだろうに。
「そう。
魔術院にあった規制対象のリストの記述だと、多分『精神的な対人優先順位に干渉する』って書いてあった魔具かな?
どうも特に理由なく無料で情報を提供したり、有利な条件で契約してやったりしたくなるみたいですね。
流石に相手の為に無料で人を殺す程ではないらしいですが」
そう考えると、暗殺《アサッシン》ギルドではなく娼婦《ハーロット》ギルドが主に狙われたのかな?
殺人にまで手を出して注意を引きたくなかったのか、それともそこまで行動規範を変えさせる強さがない干渉なのか。
暗殺《アサッシン》ギルドの人間が勝手に『仕事』をしたら、場合によっては組織の制裁で消される。
流石にやり直しの出来ない制裁を実行する前には色々調査が入るから、下手に手を出して露見するのが早まるのを避けたのかも知れない。
魔具を売り込んでいる相手が組織なのか個人なのかで理由も変わるだろうが・・・長が娼婦《ハーロット》ギルドと言わずに『あちこちのギルド』と言っていたから、情報収集的には暗殺《アサッシン》ギルドにも手を出していたのだろう。
そう考えると軍部にも手を伸ばしていそうなものだ。
大きな公の組織なだけあって、軍部の方がある意味脇が甘いからな。
「あ~、あの蒼流が触れるなって警告した骨董品の類似品?」
シャルロがクッキー缶を開けながら声を上げた。
「多分な。
あの蚤市で他に特に怪しいのは見かけなかったから、珍しいのかたまたまあの骨董品の精度が高くて危険度が高かったのか分からんが。
一応裏ギルドの上層部の注意を引く程度には効果があるみたいだぜ?」
表側で問題になっていないのは、下町から試しているのか、それとも単に表の人間の注意を引くような行動をさせていないのか。
「情報を提供したくなるのか・・・」
爺さんが低く呟きながらシャルロが差し出してきたクッキー缶に手を伸ばす。
「魔術院が受け取った規制対象リストの中ではある意味危険度が少ないんで、人を殺す系の禁忌より優先順位が下がってあちらはまだ詳細を調べてすらいないみたいですね」
調べるのにも金を出す必要があるとなると、調査対象になるか否かも微妙なところだ。
規制対象っていうのは偶にどうでもいい嫌がらせっぽいのも入ってくるので、全部馬鹿正直に調べていたらきりがないというのがアンディの話だった。
一応、この暗示なのか洗脳なのか魅了なのか知らんがの魔具は実効性があるらしいんで、放置は不味いんじゃないかとは言っておいたが。
これで魔術院がろくに調べずに俺の調査結果に金を出さないと言ってきたら・・・シェフィート商会に新たな目玉商品が出来たと考えよう。
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