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卒業後
553 星暦555年 青の月 5日 台所用魔道具
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「そう言えばさ、シャルロの新居って料理人を雇うんだろ?
台所用に色々魔道具を設置してみて、使い勝手を確認してもらわないか?」
王都探知網の設置やその後の様々な魔術院からの依頼をこなし終えて、もうそろそろ次の開発は何にしようかを話し合っていた朝食の場で、ふと思いついたことを提案した。
ちなみに、王太子の結婚式の日付は先月の30日に正式発表され、準備のばたばたが終わったら直接の警備からは外れられた俺たちの日常は大分落ち着いてきた。
まあ、間際に変な襲撃の情報とかが入ってきたらまた駆り出されるんだろうが。
それはさておき。
シャルロの結婚式そのものは貴族の家同士の繋がりを貴族階級に広める形式的な儀式らしいので、俺たちは出席しないし、手伝いもいらないと言われている。
シャルロ本人すらあまり関与していないらしい。
ケレナは綺麗な服を見せびらかす(?)のも重要らしいのでそれに関連して色々と忙しいらしいが、シャルロの準備はもうほとんど終わっていると言っていた。
引越しの方は王太子の結婚式を待っている間にシャルロとケレナがコツコツと準備してきたのでもういつでも引っ越せる状態らしい。
「台所用の魔道具???」
シャルロが驚いたようにこちらを見ていた。
というか、アレクも驚いているか。
「いや~考えてみたらさ、俺がそんな侯爵クラスまで偉くなるのってまず無理じゃん?
そう考えたらドリアーナに魔道具を納品できるようになったら、偶にでもあそこの賄い食にでもありつけるようになるかな?なんて思って」
まあ、魔道具なんてそうしょっちゅう新規購入するとは思えないが、台所用の魔道具で『いいモノを作る』という評判を得られたら、オーダーを受けて詳細を詰めるために店で相談するよう話を持っていき、賄い食を食べさせてもらえるんじゃないか?
そう説明したら、二人に爆笑された。
「気が長いね~。
まあ、確かにあそこのお得意様リストに入るのにかかる時間よりは短いかもだけど。
だけど、どんな魔道具を作るの?」
シャルロがくつくつと笑いながら言った。
「知らん。
だから、取り敢えずシャルロの料理人に新居の台所でやる作業を聞いて、それをやるのに便利かもしれない魔道具を片っ端から作って使い勝手を聞いて改良して行ったらどうかと思ったんだけど」
肩を竦めながら答えた。
アレクの実家の料理人でも良いんだけど、シャルロの新居の方が近いからな。
第一、侯爵家と伯爵家の息子と娘の新居なんだ。きっと雇った料理人が出す料理もドリアーナが出すような物に近いのではないだろうか?
貴族と裕福な平民の料理がどう違うのか、良く知らんが。
つうか、考えてみたら普通の貴族の料理人だったらガキの頃に良く忍び込んだパーティなどで部屋の端に置いてあったブッフェテーブルに出してあったような長時間出しておくことを想定した料理なんかも多いんだろうが、パーティをしないシャルロのところだったら食事処であるドリアーナと似たようなものになる可能性は高い様にも思えるし。
・・・それとも、ドリアーナってああいうパーティ食も依頼されたら作るのか?
まあ、そこら辺はもっと後の話だな。
まずはシャルロの料理人に二人が引っ越してきたら毎日どんな作業を料理する為にするのか聞かないと。
「ドリアーナ程の店となれば下働きをしたい人間だって山ほどいるから魔道具が必要になるかは微妙な気がするが・・・まあ、料理用の魔道具を色々開発するのは商業的な意味でも悪くはないだろう。
シャルロ、君のところの料理人はいつから働き始めるんだい?」
アレクがパンを手に取りながら尋ねた。
どうやら台所用魔道具の開発という方向性に関しては異議はないらしい。
「今でもケレナと僕の口にあっているか確認する為とか言って新居で下働きの子達をしごきながら色々と料理を作ってるよ?」
シャルロが肩を竦めながら答えた。
へぇぇ。
主人(というか女主人の方が重要なのかも)の口に合うように前もって色々と試して準備するんだ。
流石、貴族の家は違うね~。
シャルロに言わせれば、結婚したらオレファーニ侯爵家を離れるし親父さんが提案した分家の子爵家の爵位を継ぐ話は断ったからもう貴族じゃないとのことだが、やっぱ生活習慣が違うね~。
・・・つうか、シャルロは魔術院の寮で自分の身の回りのことを自分で最低限するのを学んだけど、ケレナは大丈夫なのかね?
まあ、俺達もそれなりに儲けるようになってきたし、侯爵家ともなれば3男であろうとも何らかの資産や事業を分けてそれなりの生活レベルを保てるようにするんだろうから、ケレナの身の回りをするようなメイドぐらいは雇うんだろう。
それはともかく。
まずは台所用の魔道具だ。
既に色々作業をするようになっているのだったら、引越しを待たなくても何があったら便利か聞き込みも出来るだろうし!
台所用に色々魔道具を設置してみて、使い勝手を確認してもらわないか?」
王都探知網の設置やその後の様々な魔術院からの依頼をこなし終えて、もうそろそろ次の開発は何にしようかを話し合っていた朝食の場で、ふと思いついたことを提案した。
ちなみに、王太子の結婚式の日付は先月の30日に正式発表され、準備のばたばたが終わったら直接の警備からは外れられた俺たちの日常は大分落ち着いてきた。
まあ、間際に変な襲撃の情報とかが入ってきたらまた駆り出されるんだろうが。
それはさておき。
シャルロの結婚式そのものは貴族の家同士の繋がりを貴族階級に広める形式的な儀式らしいので、俺たちは出席しないし、手伝いもいらないと言われている。
シャルロ本人すらあまり関与していないらしい。
ケレナは綺麗な服を見せびらかす(?)のも重要らしいのでそれに関連して色々と忙しいらしいが、シャルロの準備はもうほとんど終わっていると言っていた。
引越しの方は王太子の結婚式を待っている間にシャルロとケレナがコツコツと準備してきたのでもういつでも引っ越せる状態らしい。
「台所用の魔道具???」
シャルロが驚いたようにこちらを見ていた。
というか、アレクも驚いているか。
「いや~考えてみたらさ、俺がそんな侯爵クラスまで偉くなるのってまず無理じゃん?
そう考えたらドリアーナに魔道具を納品できるようになったら、偶にでもあそこの賄い食にでもありつけるようになるかな?なんて思って」
まあ、魔道具なんてそうしょっちゅう新規購入するとは思えないが、台所用の魔道具で『いいモノを作る』という評判を得られたら、オーダーを受けて詳細を詰めるために店で相談するよう話を持っていき、賄い食を食べさせてもらえるんじゃないか?
そう説明したら、二人に爆笑された。
「気が長いね~。
まあ、確かにあそこのお得意様リストに入るのにかかる時間よりは短いかもだけど。
だけど、どんな魔道具を作るの?」
シャルロがくつくつと笑いながら言った。
「知らん。
だから、取り敢えずシャルロの料理人に新居の台所でやる作業を聞いて、それをやるのに便利かもしれない魔道具を片っ端から作って使い勝手を聞いて改良して行ったらどうかと思ったんだけど」
肩を竦めながら答えた。
アレクの実家の料理人でも良いんだけど、シャルロの新居の方が近いからな。
第一、侯爵家と伯爵家の息子と娘の新居なんだ。きっと雇った料理人が出す料理もドリアーナが出すような物に近いのではないだろうか?
貴族と裕福な平民の料理がどう違うのか、良く知らんが。
つうか、考えてみたら普通の貴族の料理人だったらガキの頃に良く忍び込んだパーティなどで部屋の端に置いてあったブッフェテーブルに出してあったような長時間出しておくことを想定した料理なんかも多いんだろうが、パーティをしないシャルロのところだったら食事処であるドリアーナと似たようなものになる可能性は高い様にも思えるし。
・・・それとも、ドリアーナってああいうパーティ食も依頼されたら作るのか?
まあ、そこら辺はもっと後の話だな。
まずはシャルロの料理人に二人が引っ越してきたら毎日どんな作業を料理する為にするのか聞かないと。
「ドリアーナ程の店となれば下働きをしたい人間だって山ほどいるから魔道具が必要になるかは微妙な気がするが・・・まあ、料理用の魔道具を色々開発するのは商業的な意味でも悪くはないだろう。
シャルロ、君のところの料理人はいつから働き始めるんだい?」
アレクがパンを手に取りながら尋ねた。
どうやら台所用魔道具の開発という方向性に関しては異議はないらしい。
「今でもケレナと僕の口にあっているか確認する為とか言って新居で下働きの子達をしごきながら色々と料理を作ってるよ?」
シャルロが肩を竦めながら答えた。
へぇぇ。
主人(というか女主人の方が重要なのかも)の口に合うように前もって色々と試して準備するんだ。
流石、貴族の家は違うね~。
シャルロに言わせれば、結婚したらオレファーニ侯爵家を離れるし親父さんが提案した分家の子爵家の爵位を継ぐ話は断ったからもう貴族じゃないとのことだが、やっぱ生活習慣が違うね~。
・・・つうか、シャルロは魔術院の寮で自分の身の回りのことを自分で最低限するのを学んだけど、ケレナは大丈夫なのかね?
まあ、俺達もそれなりに儲けるようになってきたし、侯爵家ともなれば3男であろうとも何らかの資産や事業を分けてそれなりの生活レベルを保てるようにするんだろうから、ケレナの身の回りをするようなメイドぐらいは雇うんだろう。
それはともかく。
まずは台所用の魔道具だ。
既に色々作業をするようになっているのだったら、引越しを待たなくても何があったら便利か聞き込みも出来るだろうし!
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