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卒業後
515 星暦555年 藤の月 30日 汚染(3)
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『ほいほ~い!
なに?』
ご機嫌に姿を現した清早が、周りを見回して顔をしかめた。
『なにこれ。
暫く来ない間に、臭くなったね』
「臭いのか?
俺的には空気が暗く濁って視えるんだが」
つうか、精霊に嗅覚があったのか。
まあ、適当に清早的に俺の感覚に近い言葉を使っているだけなんだろうけど。
『暗黒界と接触した時の空気みたいな臭いだね~。
間に幻想界が在るから暗黒界と現実界が繋がることは無いと思ったんだけど、どうしたの?』
清早が肩を竦めながら答えた。
おいおい。
他の界と接触しているのか??
確かに考えてみたら、妖精の森で暗黒界に触れた時も空気が暗くなっていたかも。
あの時は上からもっと凄い勢いで濃厚な黒い液体っぽい塊が零れてきて魔獣に変化したから、あまり空気の様子にまで注意が回らなかったが。
あんな風に空から黒い塊と魔獣の化け物みたいのが現れるって話をこちらで聞いたことが無いと思ったら、間に幻想界が在るから界が接触しないで済んでるのかぁ。
「何が原因でこの空気の濁りが起きているか、分かる?
あまり体によさそうではないから除去したいんだが、原因が分からないことにはどうしたら良いのか見当も付かなくって」
妖精の森で暗黒界と繋がった時ってどうなったんだろう?
何か戦っていたら勝手に接触面が閉じた気がするが、あれって妖精達が何か対処したからそうなったのか、それとも自然に時間経過と共に閉るものなのか?
『ちょっと風のを呼んでみるね~』
清早が肩を竦めて何やら手を振ったら、突風が吹いて風の精霊が姿を現した。
『なぁにぃ、水の?
こんな臭いところに呼ばないで欲しいんだけど』
お。
ちゃんと俺にも声が聞こえた。
それなりに位の高い精霊っぽいのかも?
『俺の契約者の家の傍で何か暗黒界っぽい空気が流れてるんだけど、何が原因でこうなったのか分かる~?』
相手の苦情を気にもした様子を見せず、清早が質問を投げかけた。
・・・精霊というのは、挨拶とかお礼とかっていう感じの社交儀礼って無いんだろうか?
『汚染された燃料を燃やしているから、灰にそれが混じって空気に発散されてるみたいね~。
あまりやってるとそのうち魔獣が自然発生しちゃうから危険なのに、バカよね~』
クスクスと笑いながら風の精霊が答えた。
マジか。
あの妖精の森で見たような魔獣がこちらでも発生するのか???
今までだって、召喚術で悪魔や魔獣を喚ぶ魔術師が時折制御に失敗してそれを放ってしまうこともあったが、魔獣の自然発生なんて聞いたことが無いぞ。
召喚された魔獣は繁殖せずに死ぬと教わったが、魔獣が自然発生するような環境だったら下手したら繁殖したりするんじゃないのか???
「その汚染された燃料ってどこで燃やされているのか教えて貰えないか?」
風の精霊に声を掛ける。
『あら~貴方ったら私のことが視えてるのね~。
珍しい。
教えるも何も、燃やしているのはそこら辺一帯よ?
まあ、冬が終われば収まるんじゃ無い?』
いやいやいや。
春になるまで待って、魔獣が自然発生するような環境に王都がなってしまったら困る。
そこら辺一帯と言うことは、何処かの商会が汚染された木炭か薪を大量に売ったと言うことか?
「分かった、ありがとう。
燃料の配給源を探して対処するよ。
ちなみに、魔獣が自然発生するまでにどの位猶予がありそうなんだろうか?」
『虫やネズミみたいな小動物の魔獣化だったらもう起きてるんじゃない?
ちょっと通常のより凶暴性が高いだけで大して違いが無いから人間は気が付いてないだろうけど』
清早が答えてくれた。
マジかよ。
既に魔獣化しているのか??
『この臭いを消してくれるんだったら嬉しいから、頑張ってね~』
ひらひらと手を振りながら風の精霊が姿を消した。
うう~む。
どうするかな。
適当に街を歩き回って汚染が酷い地域で燃料の購入に関して何か変わったことが無いか、聞いて回るか。
「おいおい、もう魔獣化が起きてるって不味くないか???」
アンディが慌てたように清早の肩を掴もうとして、スカッと手が素通りした。
魔獣化って何が起きるのかは知らんが、あまり人間にとって有り難い変化では無いんだろうなぁ。
だが、ある意味この汚染された空気の弊害がはっきり分かる形で現れているなら、それはそれで良いのかも?
「清早。
魔獣化しちゃったネズミと、普通のネズミを2匹ずつ連れてきてくれないかな?」
弊害の証拠が在れば、魔術院もこの空気汚染の原因が確定出来たら素早く動いてくれるかもしれない。
駄目だったら学院長にでも泣き付くか。
『了解~。』
ひょいっと清早が腕を動かしたら、下水道に清早の力が伸びるのが視える。
「アンディ。
捕まえたのを入れる籠か箱でも急いで持ってこい。
お前の上司に見せるために必要だろ?」
「うわぁ、ちょっと待っててくれ!」
慌ててアンディが魔術院に戻っていった。
・・・考えてみたら、魔術院にネズミを入れておくような籠があるんかね?
---------------------------------------------------------------------
ネズミはまだしも、魔獣化したG。
考えるだけで背中に悪寒が流れますね・・・。
なに?』
ご機嫌に姿を現した清早が、周りを見回して顔をしかめた。
『なにこれ。
暫く来ない間に、臭くなったね』
「臭いのか?
俺的には空気が暗く濁って視えるんだが」
つうか、精霊に嗅覚があったのか。
まあ、適当に清早的に俺の感覚に近い言葉を使っているだけなんだろうけど。
『暗黒界と接触した時の空気みたいな臭いだね~。
間に幻想界が在るから暗黒界と現実界が繋がることは無いと思ったんだけど、どうしたの?』
清早が肩を竦めながら答えた。
おいおい。
他の界と接触しているのか??
確かに考えてみたら、妖精の森で暗黒界に触れた時も空気が暗くなっていたかも。
あの時は上からもっと凄い勢いで濃厚な黒い液体っぽい塊が零れてきて魔獣に変化したから、あまり空気の様子にまで注意が回らなかったが。
あんな風に空から黒い塊と魔獣の化け物みたいのが現れるって話をこちらで聞いたことが無いと思ったら、間に幻想界が在るから界が接触しないで済んでるのかぁ。
「何が原因でこの空気の濁りが起きているか、分かる?
あまり体によさそうではないから除去したいんだが、原因が分からないことにはどうしたら良いのか見当も付かなくって」
妖精の森で暗黒界と繋がった時ってどうなったんだろう?
何か戦っていたら勝手に接触面が閉じた気がするが、あれって妖精達が何か対処したからそうなったのか、それとも自然に時間経過と共に閉るものなのか?
『ちょっと風のを呼んでみるね~』
清早が肩を竦めて何やら手を振ったら、突風が吹いて風の精霊が姿を現した。
『なぁにぃ、水の?
こんな臭いところに呼ばないで欲しいんだけど』
お。
ちゃんと俺にも声が聞こえた。
それなりに位の高い精霊っぽいのかも?
『俺の契約者の家の傍で何か暗黒界っぽい空気が流れてるんだけど、何が原因でこうなったのか分かる~?』
相手の苦情を気にもした様子を見せず、清早が質問を投げかけた。
・・・精霊というのは、挨拶とかお礼とかっていう感じの社交儀礼って無いんだろうか?
『汚染された燃料を燃やしているから、灰にそれが混じって空気に発散されてるみたいね~。
あまりやってるとそのうち魔獣が自然発生しちゃうから危険なのに、バカよね~』
クスクスと笑いながら風の精霊が答えた。
マジか。
あの妖精の森で見たような魔獣がこちらでも発生するのか???
今までだって、召喚術で悪魔や魔獣を喚ぶ魔術師が時折制御に失敗してそれを放ってしまうこともあったが、魔獣の自然発生なんて聞いたことが無いぞ。
召喚された魔獣は繁殖せずに死ぬと教わったが、魔獣が自然発生するような環境だったら下手したら繁殖したりするんじゃないのか???
「その汚染された燃料ってどこで燃やされているのか教えて貰えないか?」
風の精霊に声を掛ける。
『あら~貴方ったら私のことが視えてるのね~。
珍しい。
教えるも何も、燃やしているのはそこら辺一帯よ?
まあ、冬が終われば収まるんじゃ無い?』
いやいやいや。
春になるまで待って、魔獣が自然発生するような環境に王都がなってしまったら困る。
そこら辺一帯と言うことは、何処かの商会が汚染された木炭か薪を大量に売ったと言うことか?
「分かった、ありがとう。
燃料の配給源を探して対処するよ。
ちなみに、魔獣が自然発生するまでにどの位猶予がありそうなんだろうか?」
『虫やネズミみたいな小動物の魔獣化だったらもう起きてるんじゃない?
ちょっと通常のより凶暴性が高いだけで大して違いが無いから人間は気が付いてないだろうけど』
清早が答えてくれた。
マジかよ。
既に魔獣化しているのか??
『この臭いを消してくれるんだったら嬉しいから、頑張ってね~』
ひらひらと手を振りながら風の精霊が姿を消した。
うう~む。
どうするかな。
適当に街を歩き回って汚染が酷い地域で燃料の購入に関して何か変わったことが無いか、聞いて回るか。
「おいおい、もう魔獣化が起きてるって不味くないか???」
アンディが慌てたように清早の肩を掴もうとして、スカッと手が素通りした。
魔獣化って何が起きるのかは知らんが、あまり人間にとって有り難い変化では無いんだろうなぁ。
だが、ある意味この汚染された空気の弊害がはっきり分かる形で現れているなら、それはそれで良いのかも?
「清早。
魔獣化しちゃったネズミと、普通のネズミを2匹ずつ連れてきてくれないかな?」
弊害の証拠が在れば、魔術院もこの空気汚染の原因が確定出来たら素早く動いてくれるかもしれない。
駄目だったら学院長にでも泣き付くか。
『了解~。』
ひょいっと清早が腕を動かしたら、下水道に清早の力が伸びるのが視える。
「アンディ。
捕まえたのを入れる籠か箱でも急いで持ってこい。
お前の上司に見せるために必要だろ?」
「うわぁ、ちょっと待っててくれ!」
慌ててアンディが魔術院に戻っていった。
・・・考えてみたら、魔術院にネズミを入れておくような籠があるんかね?
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ネズミはまだしも、魔獣化したG。
考えるだけで背中に悪寒が流れますね・・・。
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