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卒業後
505 星暦555年 藤の月 10日 俺はオマケです。(4)
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ウィルの視点に戻りました
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「散歩に行きましょ!」
仕事では無いとは言え、一応ボランティアで手伝いをしているし、なんと言ってもシェイラと一緒に出勤(?)しているので平日はそこそこ朝早く起こされていたので休息日の今日はがっつり寝坊しようと思っていたら、シェイラに起こされた。
「え~?
まだ朝じゃん・・・」
昔のような極端な夜型人間では無くなったが、それでも朝に弱いことに変わりは無い。
特に夜更かししていた訳では無いし、疲れが溜まっていた訳でもないのだが・・・『寝坊』とか『二度寝』というのは肉体的な疲れとは別世界の快楽なのだ。
「何を言っているの、折角の休息日なのよ!
寝坊なんかしたら1日が無駄になっちゃうじゃない。
今日は良い天気だから、遺跡の周りを散歩しましょう!」
朝型人間なシェイラは休息日になると更に早起きしたくなるらしい。
・・・付き合う相手を間違えたかなぁ?
◆◆◆◆
「で?
何だって遺跡の周りを歩くんだ?
運動不足で気分転換に体を動かしたいなら、街の中なり街の周りを散歩すればそれで良いんじゃないか?」
朝食を食べながらシェイラに尋ねる。
買い物に付き合うというのもあまり有り難くない時間の過ごし方だが、何も無い遺跡周辺を歩き回るよりはまだマシだろう。
「あの遺跡は籠城中の要塞都市という訳では無いのだから、周りにも都市の人々の生活に関係する施設とかがあったはずだと思うの。
今は何も残っていないにしても、その頃何らかの形で使ったであろう小川とか道があるかも知れないでしょ?
洞窟みたいな都市の中だけで無く、周りを見てみたいと思わない??」
シェイラのワクワク感が凄い。
・・・シェイラって実は屋外派なのか?
王都生まれの王都育ちだから、なんとはなしに室内派だと思っていた。
「あぁ~・・・まぁなぁ。
シェイラって、もしかして洞窟の中にあるオーバスタ神殿の遺跡ってあまり好きじゃないの?」
シェイラが肩を竦めた。
「フォラスタ文明は私の好みにこれ以上無いぐらい一致しているの。
ヴァルージャの遺跡があの時期に見つかったのは本当に良かったわ~」
確かにね。
新しい遺跡なんてそうしょっちゅう見つかるものではないだろう。
発掘チームの人間の入れ替えはそれなりにあるだろうが、スポンサーにコネが無いと発掘チームに潜り込むのが難しいって話だからなぁ。
「見つからなかったらどうするつもりだったんだ?」
それこそ、見つからなかったらゼルガの代わりにガルバの後釜になっていたのかね?
・・・だとしても、ここにボランティアで来た際に俺達は出会えただろうけど。
「他のフォラスタ文明の遺跡の発掘隊に何とかして潜り込むか、どうしても無理そうだったら他の遺跡の発掘隊に入っていたわね。
流石に何十年も費やすことかもしれない発掘隊だから、このオーバスタ神殿だけは選択肢として無かったけど」
お茶を注ぎながらシェイラが答えた。
既に俺を起こしに来る前に朝食は食べ終わっていたようだが、俺を待つ間にお茶を飲むことにしたらしい。
「え、何十年も同じ遺跡で働くの???」
マジ?
ちょっとそれって飽きないか??
「何を言っているの。
小さな屋敷とか村が残っていたというだけならまだしも、『遺跡』と認識されるようなのは小さくてもそれなりの村サイズぐらいはあるのよ?
そこの情報を発掘して、分析して、理論を構築してそれが発掘して見つかった情報と一致するかを検証するのには一生どころか何世代もかかったとしても不思議では無いぐらいよ。
だからこそ、オーバスタ神殿みたいに穴蔵の中に1日中潜り込んでいなければならない遺跡はちょっと私には辛すぎるのよねぇ~」
カップに息を吹きかけてお茶を冷ましながらシェイラが答えた。
何世代も???!!!
ほぇぇぇぇ。
考古学者って気が長すぎる!!
しっかし・・・そうかぁ。
つまり、シェイラはずっとヴァルージャに居ると言うことになりそうだな。
・・・そのうち王都の歴史学会で働く気ってないのかなぁ?
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散歩までたどり着けませんでした・・・
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「散歩に行きましょ!」
仕事では無いとは言え、一応ボランティアで手伝いをしているし、なんと言ってもシェイラと一緒に出勤(?)しているので平日はそこそこ朝早く起こされていたので休息日の今日はがっつり寝坊しようと思っていたら、シェイラに起こされた。
「え~?
まだ朝じゃん・・・」
昔のような極端な夜型人間では無くなったが、それでも朝に弱いことに変わりは無い。
特に夜更かししていた訳では無いし、疲れが溜まっていた訳でもないのだが・・・『寝坊』とか『二度寝』というのは肉体的な疲れとは別世界の快楽なのだ。
「何を言っているの、折角の休息日なのよ!
寝坊なんかしたら1日が無駄になっちゃうじゃない。
今日は良い天気だから、遺跡の周りを散歩しましょう!」
朝型人間なシェイラは休息日になると更に早起きしたくなるらしい。
・・・付き合う相手を間違えたかなぁ?
◆◆◆◆
「で?
何だって遺跡の周りを歩くんだ?
運動不足で気分転換に体を動かしたいなら、街の中なり街の周りを散歩すればそれで良いんじゃないか?」
朝食を食べながらシェイラに尋ねる。
買い物に付き合うというのもあまり有り難くない時間の過ごし方だが、何も無い遺跡周辺を歩き回るよりはまだマシだろう。
「あの遺跡は籠城中の要塞都市という訳では無いのだから、周りにも都市の人々の生活に関係する施設とかがあったはずだと思うの。
今は何も残っていないにしても、その頃何らかの形で使ったであろう小川とか道があるかも知れないでしょ?
洞窟みたいな都市の中だけで無く、周りを見てみたいと思わない??」
シェイラのワクワク感が凄い。
・・・シェイラって実は屋外派なのか?
王都生まれの王都育ちだから、なんとはなしに室内派だと思っていた。
「あぁ~・・・まぁなぁ。
シェイラって、もしかして洞窟の中にあるオーバスタ神殿の遺跡ってあまり好きじゃないの?」
シェイラが肩を竦めた。
「フォラスタ文明は私の好みにこれ以上無いぐらい一致しているの。
ヴァルージャの遺跡があの時期に見つかったのは本当に良かったわ~」
確かにね。
新しい遺跡なんてそうしょっちゅう見つかるものではないだろう。
発掘チームの人間の入れ替えはそれなりにあるだろうが、スポンサーにコネが無いと発掘チームに潜り込むのが難しいって話だからなぁ。
「見つからなかったらどうするつもりだったんだ?」
それこそ、見つからなかったらゼルガの代わりにガルバの後釜になっていたのかね?
・・・だとしても、ここにボランティアで来た際に俺達は出会えただろうけど。
「他のフォラスタ文明の遺跡の発掘隊に何とかして潜り込むか、どうしても無理そうだったら他の遺跡の発掘隊に入っていたわね。
流石に何十年も費やすことかもしれない発掘隊だから、このオーバスタ神殿だけは選択肢として無かったけど」
お茶を注ぎながらシェイラが答えた。
既に俺を起こしに来る前に朝食は食べ終わっていたようだが、俺を待つ間にお茶を飲むことにしたらしい。
「え、何十年も同じ遺跡で働くの???」
マジ?
ちょっとそれって飽きないか??
「何を言っているの。
小さな屋敷とか村が残っていたというだけならまだしも、『遺跡』と認識されるようなのは小さくてもそれなりの村サイズぐらいはあるのよ?
そこの情報を発掘して、分析して、理論を構築してそれが発掘して見つかった情報と一致するかを検証するのには一生どころか何世代もかかったとしても不思議では無いぐらいよ。
だからこそ、オーバスタ神殿みたいに穴蔵の中に1日中潜り込んでいなければならない遺跡はちょっと私には辛すぎるのよねぇ~」
カップに息を吹きかけてお茶を冷ましながらシェイラが答えた。
何世代も???!!!
ほぇぇぇぇ。
考古学者って気が長すぎる!!
しっかし・・・そうかぁ。
つまり、シェイラはずっとヴァルージャに居ると言うことになりそうだな。
・・・そのうち王都の歴史学会で働く気ってないのかなぁ?
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散歩までたどり着けませんでした・・・
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