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卒業後
138 星暦552年 紫の月 3日 真相
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「ザカリー殿は・・・そちらの神官殿を使って悪魔を召喚してみようと戯れにお考えになっただけなんです」
悪人側の生き残りは冷や汗をダラダラ流しながら学院長と神殿長達にいい訳を始めた。
「どこかで入手した怪しげな禁書に悪魔召喚の方法が書いてありまして。
それに、徳の高い糧を差し出せば召喚者が害されることが無いとの記載があったんです。
何人か普通の経路で人を集めていたんですが、『徳が高い』と言えるような人物が中々手に入らず・・・」
「ダルスを選んだ理由は?」
光の神殿長が厳しく問い詰める。
「下町を歩いていらっしゃる神殿官はそれ程いませんから。偶々馬車で通りかかった際に見かけて・・・」
信じらんねぇ。
いくら宰相の息子だからって道を歩いている神殿官を誘拐して悪魔召喚の生贄にして許されると思ったなんて、一体親はどういう教育をしてきたんだ?!?!
「・・・宰相には子息の教育・監督の不手際に関して厳しく追及させてもらいましょうか」
闇の神殿長の静かな声が怖い。
「それで誘拐した神殿官を使って悪魔を召喚して・・・何が起きたんだ?」
学院長が話を進めるよう問いかける。
「召喚された悪魔が糧を気にいりまして・・・。このまま喰うのは勿体ない、自分なりの方法でその倫理観と魂を壊したいと。その為にはこの世界に留まる必要があるのでザカリー殿の『遊びに付き合ってやろう』と提案してきたんです」
「遊び・・・ね。
ザカリー・バアグナルは最初に悪魔を召喚して何をしようと思っていたんだ?」
学院長が追及した。
「最初は宰相様にもっと責任のある仕事を任せるよう働きかけさせようと思っていたのですが・・・。召喚された悪魔殿が自分が幾らでも下級悪魔を呼べるからそれ用の糧さえ提供すれば幾らでも好きな人数を操れると言ったもので」
野心が一気に膨張した訳だ。
宰相の息子が自分で重要な地位に近い人間を操ることを思いついたのか、この男が入れ知恵したのかは分からないが。
ま、入れ知恵だろうな。
あまり深いこと考えずに悪魔を召喚したようだから、そう言うタイプが突然何人でも人間を操れると言われたらトップから手っ取り早く行こうとするだろう。
「分かりました。ファリオ、時期・場所・人物名その他の詳細を聞きだして、調書を出しなさい」
光の神殿長が神殿兵の一人に指示してその男を連れださせた。
「で、渦中の本人はどの位知っているんじゃね?」
闇の神殿長がダルス・バリダスに尋ねる。
気付け用にか、蒸留酒を手に持ったダルス・バリダスがゆっくりと神殿長達が座っているソファの向かいの椅子に来て腰掛けた。
「あの悪魔は・・・強力です。闇の神の加護がある私でも日々一刻に魂が汚染されているような感じがしました。だが、それが珍しかったようですね。糧にされてすぐさま魂が壊死しない生贄は数千年ぶりだそうで、折角の経験を楽しみたいとこの世界に長居することを決めたようでした」
何と迷惑な。
まあ、一番迷惑なのは道を歩いていた神殿官を誘拐して禁忌の糧にしようとしたバカだろうが。
「ただ、我々にとって幸運だったのはあの悪魔は権力に興味なぞなく、ザカリーが権力を得る為に色々悪だくみするのを見て楽しんでいたようです。
ザカリーとあの補佐官が自分の賢さに自惚れているような小賢しいタイプだったのも幸いでした。
あのバカが『この国が欲しい』と単純にあの悪魔に望んでいたら、神殿長や魔術院が何かできる前に王族が皆殺しになっていたでしょうから」
副神殿長がゆっくりと蒸留酒を飲みほしている間、部屋にはかなり寒い沈黙が流れた。
「私個人に関しては、毎日問答をしながらチェスをあの悪魔相手にしていただけです。
あと、私の目の前で何日かおきにあのバカが入手してきた人を糧にして下級悪魔が呼び出され、人に憑依させていました。
第2騎士団副団長と、あと知らぬ男性2人と若い貴族の娘さんでした。残念なんがら副団長以外とは認識が無いのでどなたなのか分かりませんが。あ、昨日もう一人やっていましたね。何でも煩い蠅がいるから始末させるとかあのバカは言っていました」
凄いじゃん、長。
ちゃんと人数合ってるよ。
『煩い蠅』呼ばわりされちゃっているけど。
「この試みにザカリー・バアグナルとさっきの補佐官以外に誰が関与していたの?」
光の神殿長の質問に、副神殿長は肩をすくめて答えた。
「この部屋に入ってきたのはその2人以外は被害者だけだったんです。あの二人が全部計画したのか、他の人間の助けがあったのか、分かりません」
「そこら辺は魔術院に任せてくれ。禁呪を犯した人間には普段使えない術を使って情報を引き出すことが許されている」
学院長が口をはさんだ。
その笑い、怖いんですけど・・・。
「では、情報の収集と被害者の確保はそちらに任せます。
国王の方へやこちらから簡単に連絡を入れておきましょう。
下級悪魔を払うのには神殿の助けは要らないわよね?」
さっさと立ち上がりながら光の神殿長がにこやかに学院長に問いかける。
「アフターケアに、一応闇の神殿に行って貰いますが、とりあえずは大丈夫でしょう」
・・・おい、今こっち見ただろ??
マジかよ、これから4人分も悪魔払いに付いて行けって言うの??
悪人側の生き残りは冷や汗をダラダラ流しながら学院長と神殿長達にいい訳を始めた。
「どこかで入手した怪しげな禁書に悪魔召喚の方法が書いてありまして。
それに、徳の高い糧を差し出せば召喚者が害されることが無いとの記載があったんです。
何人か普通の経路で人を集めていたんですが、『徳が高い』と言えるような人物が中々手に入らず・・・」
「ダルスを選んだ理由は?」
光の神殿長が厳しく問い詰める。
「下町を歩いていらっしゃる神殿官はそれ程いませんから。偶々馬車で通りかかった際に見かけて・・・」
信じらんねぇ。
いくら宰相の息子だからって道を歩いている神殿官を誘拐して悪魔召喚の生贄にして許されると思ったなんて、一体親はどういう教育をしてきたんだ?!?!
「・・・宰相には子息の教育・監督の不手際に関して厳しく追及させてもらいましょうか」
闇の神殿長の静かな声が怖い。
「それで誘拐した神殿官を使って悪魔を召喚して・・・何が起きたんだ?」
学院長が話を進めるよう問いかける。
「召喚された悪魔が糧を気にいりまして・・・。このまま喰うのは勿体ない、自分なりの方法でその倫理観と魂を壊したいと。その為にはこの世界に留まる必要があるのでザカリー殿の『遊びに付き合ってやろう』と提案してきたんです」
「遊び・・・ね。
ザカリー・バアグナルは最初に悪魔を召喚して何をしようと思っていたんだ?」
学院長が追及した。
「最初は宰相様にもっと責任のある仕事を任せるよう働きかけさせようと思っていたのですが・・・。召喚された悪魔殿が自分が幾らでも下級悪魔を呼べるからそれ用の糧さえ提供すれば幾らでも好きな人数を操れると言ったもので」
野心が一気に膨張した訳だ。
宰相の息子が自分で重要な地位に近い人間を操ることを思いついたのか、この男が入れ知恵したのかは分からないが。
ま、入れ知恵だろうな。
あまり深いこと考えずに悪魔を召喚したようだから、そう言うタイプが突然何人でも人間を操れると言われたらトップから手っ取り早く行こうとするだろう。
「分かりました。ファリオ、時期・場所・人物名その他の詳細を聞きだして、調書を出しなさい」
光の神殿長が神殿兵の一人に指示してその男を連れださせた。
「で、渦中の本人はどの位知っているんじゃね?」
闇の神殿長がダルス・バリダスに尋ねる。
気付け用にか、蒸留酒を手に持ったダルス・バリダスがゆっくりと神殿長達が座っているソファの向かいの椅子に来て腰掛けた。
「あの悪魔は・・・強力です。闇の神の加護がある私でも日々一刻に魂が汚染されているような感じがしました。だが、それが珍しかったようですね。糧にされてすぐさま魂が壊死しない生贄は数千年ぶりだそうで、折角の経験を楽しみたいとこの世界に長居することを決めたようでした」
何と迷惑な。
まあ、一番迷惑なのは道を歩いていた神殿官を誘拐して禁忌の糧にしようとしたバカだろうが。
「ただ、我々にとって幸運だったのはあの悪魔は権力に興味なぞなく、ザカリーが権力を得る為に色々悪だくみするのを見て楽しんでいたようです。
ザカリーとあの補佐官が自分の賢さに自惚れているような小賢しいタイプだったのも幸いでした。
あのバカが『この国が欲しい』と単純にあの悪魔に望んでいたら、神殿長や魔術院が何かできる前に王族が皆殺しになっていたでしょうから」
副神殿長がゆっくりと蒸留酒を飲みほしている間、部屋にはかなり寒い沈黙が流れた。
「私個人に関しては、毎日問答をしながらチェスをあの悪魔相手にしていただけです。
あと、私の目の前で何日かおきにあのバカが入手してきた人を糧にして下級悪魔が呼び出され、人に憑依させていました。
第2騎士団副団長と、あと知らぬ男性2人と若い貴族の娘さんでした。残念なんがら副団長以外とは認識が無いのでどなたなのか分かりませんが。あ、昨日もう一人やっていましたね。何でも煩い蠅がいるから始末させるとかあのバカは言っていました」
凄いじゃん、長。
ちゃんと人数合ってるよ。
『煩い蠅』呼ばわりされちゃっているけど。
「この試みにザカリー・バアグナルとさっきの補佐官以外に誰が関与していたの?」
光の神殿長の質問に、副神殿長は肩をすくめて答えた。
「この部屋に入ってきたのはその2人以外は被害者だけだったんです。あの二人が全部計画したのか、他の人間の助けがあったのか、分かりません」
「そこら辺は魔術院に任せてくれ。禁呪を犯した人間には普段使えない術を使って情報を引き出すことが許されている」
学院長が口をはさんだ。
その笑い、怖いんですけど・・・。
「では、情報の収集と被害者の確保はそちらに任せます。
国王の方へやこちらから簡単に連絡を入れておきましょう。
下級悪魔を払うのには神殿の助けは要らないわよね?」
さっさと立ち上がりながら光の神殿長がにこやかに学院長に問いかける。
「アフターケアに、一応闇の神殿に行って貰いますが、とりあえずは大丈夫でしょう」
・・・おい、今こっち見ただろ??
マジかよ、これから4人分も悪魔払いに付いて行けって言うの??
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