シーフな魔術師

極楽とんぼ

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魔術学院3年目

116 星暦551年 桃の月 11日 テスト

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「と言うことで幾つか、助けてくれるかもしれない魔具職人の名前を貰った。ただし説得するのは俺らの仕事だってさ」

スタルノの鍛冶場でしばし剣を鍛えてきてから帰ってきた俺は、シャルロとアレクに今日の首尾を報告した。

「私の方も、何箇所か郊外にある食事の美味しさに定評のある酒場や宿屋を見つけてきたぞ」
王都の中ならば食事処として食事だけを専門に提供する店もあるが、郊外になると食事処というのは夜になったら酒場になるか宿屋になるかが普通だ。

ま、俺たちにしても酒場でまったりと酒を楽しみながら美味しい食事を食べられる方がいいしね。
ちゃんとしたレストランに行きた買ったら王都まで来れば良いだけの話。
シャルロやアレクの場合は実家に寄れば良い。

「水が美味しいところもちゃんと地図で確定したよ」
シャルロが地図を取り出した。

「こことここは抜群。こっちもまあまあ。この北部の川沿いのところはまあまあなんだけど大雨が降ると川の水が水源に混入するのか味が微妙になるんだって」

シャルロが印をつけた地図をアレクが覗きこむ。
「ふむ。私が聞いてきた美味しい酒場や宿屋は・・・こことここ、こちらにその川沿いのここだな」

水が美味しければ料理もおいしくなるだろうから、美味しい水と美味しい食事の場所はそれなりに共通点があるかと思っていたのだが・・・意外とそうでもなかったらしい。
食事のおいしさと言うのは料理人の腕が一番重要なのかな?
結局水と食事で一致したのは2か所だけだった。

「俺が聞いてきた元魔具職人はこっちとこの村、そちらの川沿いとこの村の奥って話だ」

「となると、ガルバ村かノルデ村が一番俺たちにとって都合がいい村かもしれないな。」
アレクが地図を見ながらつぶやいた。

水、食事、ノウハウを持った先輩の職人。
中々得難いコンビネーションだ。

だが。
「どうやって説得するか・・・」

シャルロが手を挙げた。
「何か新しい商品を開発して、見てもらうのはどうかな?
相手は僕たちの能力を見極めてから参加か不参加かを決められるし、僕たちとしてもその相手がどのくらいのアドバイスをくれるのかが分かる」

シャルロにしては珍しく現実路線な提案じゃないか。
ふわふわボーヤのこいつがこんなこと言うなんて、余程やる気に燃えているのか?
ま、いつもテストの点はいいんだから、頭はいいんだよね。単にのんびりしすぎていて半テンポぐらいずれているってだけで。

「良いアイディアだね。・・・・で。
何を造る?」

「「「・・・」」」

「あれば便利なモノ、か」

「動かせる個人用転移門が欲しいな!」

「無理だってそんなの。長期的な目標としておこうぜ。俺としては・・・相手が魔術師じゃなくても任意の相手と話し合える長距離通話道具があったら良いと思うな」

「馬車や荷台の揺れを減らす何かがあってもいいな」

「火事を気にせずに部屋を暖める器具とか」
                                               

適当に色々案を挙げていくが・・・どれが一番、気難しいかもしれない熟練の魔具職人の興味をくすぐるかな?

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