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卒業後
454 星暦554年 緑の月 5日 俺達専用の屋形船(2)
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「僕たちと、パディン夫人か臨時で雇うお手伝いさん、あと客が3組ぐらい来ても大丈夫なようにと考えたら、寝室4つ、客室4つ、居間、ダイニングルーム、浴室2つにトイレ3つというところかな?
あとは台所と物置部屋と。
お客さんが多めでも落ち着いて話したりリラックス出来るように居間も2つある方が良いかもね」
指を折りながらシャルロが屋形船に必要な部屋を挙げていく。
「序でだから、小さな工房も付けたらどうだ?
本格的な開発をする事はなくても、ちょっとした魔道具の修理や手を加えたりする作業をする場所が別にあった方が便利だろう」
普通の船だったら工房なんぞ絶対に必要ないが、居間を2つにするぐらい優雅に造るんだったら工房も備え付けたって良いだろう。
「場合によっては航海士を雇わなければならないこともあるだろうし、手紙を書いたり書類を書き込む必要が生じる場合もあるだろうから、机が置ける職務室もある方が良いだろうな」
アレクが更に付け加えた。
・・・かなり贅沢な屋形船になりそうだな。
まあ、1度造れば俺かシャルロが生きている限り使えるんだから、長く使えるように思いつく限り便利にすれば良いか。
しっかし、これだけ部屋が多いとなると船を動かす船員は要らなくても、掃除をするメイドは絶対に必要になるぞ。
「寝室やリビングは1階と2階、職務室は航海士が使うかも知れないなら3階にデッキを付けて設置して、工房と台所と食堂は地下でと考えたら、大体50メタぐらいあったら何とかなるかな?
それだったら前回の船とあまり変わらないサイズに収まるよね?」
シャルロが紙にちゃちゃっと簡単に部屋の平面図を書き込みながら言った。
「まあ、現実的な家を建てる際の問題点とかをパディン夫人や家大工に聞いてみると共に、ダルム商会にでも船大工を紹介して貰って船を造る際の実用的な問題も確認してから細かい点は決めた方が良いだろうな。
折角旅行に行くのだったらパディン夫人だってもっと自由に楽しみたいかもしれないから、料理はまだしも寝室や甲板の掃除には別のメイドか船員が欲しいと言う可能性は高いし」
アレクがシャルロの書いた紙を手に取りながら呟いた。
まあ、パディン夫人だったら遠慮しちゃってそんなことを言わない可能性もあるが。
パディン夫人は来ないと考えて、普通に料理人とメイドを臨時で雇う状況を考えて助言してくれとパディン夫人に頼んだ方が遠慮の無いコメントを貰えるかも。
「ちなみに、船ってどこで造るんだ?
あと、造り終わった後もどこにしまっておくもんなんだ?
保管場所としては清早や蒼流に頼んで王都の傍の深い目の海に濡れないように結界を張って沈めておいて貰えば良いかもしれないが、家具や荷物を運び込む間は港の何処かに係留しておく必要があるよな?」
何分、船に乗ったこと自体が今回の新規航路開発が初めてだったのだ。
船の取り扱いに関する常識なんぞ、全く見当も付かない。
アレクが肩を竦めた。
「取り敢えず、ダルム商会に造船関係の専門家を紹介して貰って話を聞こう。
かなり常識から外れた船になるから、相手の言っていることの理由を随時確認して私達の屋形船に当て嵌まるのかを吟味しながら意思決定していく必要があるだろうが」
「・・・考えてみたら、これって造るのに幾らぐらい掛るかなぁ?
ケレナと暮す新しい家の準備にそれなりに掛るから、あんまり高くつくようだったらちょっと厳しいかも?」
楽しげに見取り図に手を加えていたシャルロが突然ぴょこんと頭をあげて尋ねてきた。
おいおい。
言い出しっぺが資金のことを考えてなかったのかよ。
「船を造る値段はよく分からないが・・・新しく木造の家を建てるのにこの規模だったら大体金貨500枚程度だと思う。
地代が入らないからもう少し安くなると思うが、何分今まで家大工も船大工も造ったことが無いような船になるからな。
値段に関してはそれなりに頑張って交渉していく必要があるだろうが、取り敢えず一人当たり金貨200枚と考えておけば良いのではないか?」
アレクがちょっと考えてから答えた。
金貨200枚かぁ。
それなりにこの屋形船を活用しないとかなり勿体ない出費だな。
まあ、パストン島が賑やかになってきたらそれこそ毎年その位の金額が収入として俺達のものになってもおかしくないのだ。
そこまでパストン島が成功するためには時間が掛るだろうし、俺達もパストン島の繁栄に貢献するためにあちらにちょくちょく行った方が良いだろう。
それに色々とあちこちを楽しんで回るのにも屋形船があったって良いだろうから、あまり深く考えないでおこう。
しっかし。
俺も下町の盗賊《シーフ》から出世したもんだよなぁ・・・。
【後書き】
大体家を建てるのに3000万円ぐらい?と勝手に想像して金貨500枚としています。
シャルロは祖父母から貰った資金があるし、ウィルはそれなりに軍や学院長(経由の王家w)から依頼を請けたりもしているので資金が貯まっています。
アレクは・・・まあまあ投資で稼いでいます。
魔道具開発でもそこそこ売れているので、3人とも社会人3年目にしてはかなり金持ち!
あとは台所と物置部屋と。
お客さんが多めでも落ち着いて話したりリラックス出来るように居間も2つある方が良いかもね」
指を折りながらシャルロが屋形船に必要な部屋を挙げていく。
「序でだから、小さな工房も付けたらどうだ?
本格的な開発をする事はなくても、ちょっとした魔道具の修理や手を加えたりする作業をする場所が別にあった方が便利だろう」
普通の船だったら工房なんぞ絶対に必要ないが、居間を2つにするぐらい優雅に造るんだったら工房も備え付けたって良いだろう。
「場合によっては航海士を雇わなければならないこともあるだろうし、手紙を書いたり書類を書き込む必要が生じる場合もあるだろうから、机が置ける職務室もある方が良いだろうな」
アレクが更に付け加えた。
・・・かなり贅沢な屋形船になりそうだな。
まあ、1度造れば俺かシャルロが生きている限り使えるんだから、長く使えるように思いつく限り便利にすれば良いか。
しっかし、これだけ部屋が多いとなると船を動かす船員は要らなくても、掃除をするメイドは絶対に必要になるぞ。
「寝室やリビングは1階と2階、職務室は航海士が使うかも知れないなら3階にデッキを付けて設置して、工房と台所と食堂は地下でと考えたら、大体50メタぐらいあったら何とかなるかな?
それだったら前回の船とあまり変わらないサイズに収まるよね?」
シャルロが紙にちゃちゃっと簡単に部屋の平面図を書き込みながら言った。
「まあ、現実的な家を建てる際の問題点とかをパディン夫人や家大工に聞いてみると共に、ダルム商会にでも船大工を紹介して貰って船を造る際の実用的な問題も確認してから細かい点は決めた方が良いだろうな。
折角旅行に行くのだったらパディン夫人だってもっと自由に楽しみたいかもしれないから、料理はまだしも寝室や甲板の掃除には別のメイドか船員が欲しいと言う可能性は高いし」
アレクがシャルロの書いた紙を手に取りながら呟いた。
まあ、パディン夫人だったら遠慮しちゃってそんなことを言わない可能性もあるが。
パディン夫人は来ないと考えて、普通に料理人とメイドを臨時で雇う状況を考えて助言してくれとパディン夫人に頼んだ方が遠慮の無いコメントを貰えるかも。
「ちなみに、船ってどこで造るんだ?
あと、造り終わった後もどこにしまっておくもんなんだ?
保管場所としては清早や蒼流に頼んで王都の傍の深い目の海に濡れないように結界を張って沈めておいて貰えば良いかもしれないが、家具や荷物を運び込む間は港の何処かに係留しておく必要があるよな?」
何分、船に乗ったこと自体が今回の新規航路開発が初めてだったのだ。
船の取り扱いに関する常識なんぞ、全く見当も付かない。
アレクが肩を竦めた。
「取り敢えず、ダルム商会に造船関係の専門家を紹介して貰って話を聞こう。
かなり常識から外れた船になるから、相手の言っていることの理由を随時確認して私達の屋形船に当て嵌まるのかを吟味しながら意思決定していく必要があるだろうが」
「・・・考えてみたら、これって造るのに幾らぐらい掛るかなぁ?
ケレナと暮す新しい家の準備にそれなりに掛るから、あんまり高くつくようだったらちょっと厳しいかも?」
楽しげに見取り図に手を加えていたシャルロが突然ぴょこんと頭をあげて尋ねてきた。
おいおい。
言い出しっぺが資金のことを考えてなかったのかよ。
「船を造る値段はよく分からないが・・・新しく木造の家を建てるのにこの規模だったら大体金貨500枚程度だと思う。
地代が入らないからもう少し安くなると思うが、何分今まで家大工も船大工も造ったことが無いような船になるからな。
値段に関してはそれなりに頑張って交渉していく必要があるだろうが、取り敢えず一人当たり金貨200枚と考えておけば良いのではないか?」
アレクがちょっと考えてから答えた。
金貨200枚かぁ。
それなりにこの屋形船を活用しないとかなり勿体ない出費だな。
まあ、パストン島が賑やかになってきたらそれこそ毎年その位の金額が収入として俺達のものになってもおかしくないのだ。
そこまでパストン島が成功するためには時間が掛るだろうし、俺達もパストン島の繁栄に貢献するためにあちらにちょくちょく行った方が良いだろう。
それに色々とあちこちを楽しんで回るのにも屋形船があったって良いだろうから、あまり深く考えないでおこう。
しっかし。
俺も下町の盗賊《シーフ》から出世したもんだよなぁ・・・。
【後書き】
大体家を建てるのに3000万円ぐらい?と勝手に想像して金貨500枚としています。
シャルロは祖父母から貰った資金があるし、ウィルはそれなりに軍や学院長(経由の王家w)から依頼を請けたりもしているので資金が貯まっています。
アレクは・・・まあまあ投資で稼いでいます。
魔道具開発でもそこそこ売れているので、3人とも社会人3年目にしてはかなり金持ち!
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