416 / 1,038
卒業後
414.5 星暦554年 赤の月 18日 次の旅立ち?(6)
しおりを挟む
番号を間違えていた為、スキップしていた話がありました。
----------------------------------------------------------------------------------
「船かぁ・・・。自分の位置と『座礁した』とか『病人発生』とか『海賊に襲われた』とでも言うような簡単な決まった意味を伝えるコードだけで良いから船から陸や軍船へ伝えられる簡易通信機みたいのがあったら便利じゃ無いかな?」
固定式通信機は座標が固定していなければならないので船では使えない。
俺達の作った移動式通信機では、有効範囲が狭すぎる。
あれだって王都から近隣の街までなら届くのだが、航海している時の距離はスケールが違う。
今の通信機の方法では魔石の使用量が多すぎて話にならないだろう。
何らかの形で、通信の様式を変えて短い情報だけを伝える代わりに伝える距離を長くしたら良いのではないだろうか?
「なるほど。決まった短いコードだけを伝える形にすることで、有効範囲を広げるのか」
アレクが頷いた。
「位置情報は東の大陸の領事館と、それこそあの2つの補給島に標準点でも作っておいてそこからの距離と方向を位置追跡装置を使って割り出せばそれなりに分かるかも知れないけど・・・ちょっと魔石の消費が激しくなるんじゃ無いかなぁ?
どちらにせよ、その情報から場所を割り出す作業は誰かがしないと駄目な訳だし。
位置情報は自分で星と太陽を使って今までどおり計測してもらって、単にそれを簡単に短く伝えるコードを考えれば良いんじゃない?」
シャルロの言葉に俺達は位置情報の効率的な伝え方について話し合ったが、どの形が一番効率的になるかは不明だった。
「ダルム商会に、何か良い位置情報の伝え方があるか、聞いてみよう。
駄目だったら軍に聞いてみても良いし。
こっちの開発はちょっと情報の簡易化を先に考えてからにしよう」
アレクの提案に疲れ果てた俺達はこのアイディアはちょっと棚上げすることで合意した。
まあ、通信機の様式を変えることだって上手く出来るかどうかは不明だが。
気分転換にお茶を淹れ、パディル夫人の作ったケーキを切り分けながらまた何が便利かに話が戻った。
「まず思いつくのは、水だな」
アレクがケーキを受け取りながらコメントした。
「確かにねぇ。
あのちょっと塩抜きが足りない料理だって、水を節約しすぎてるからだろうし」
シャルロがお茶を注ぎながら頷く。
ははは。
良家のお坊ちゃまらしく、あの時は何も文句を言わなかったがシャルロもあの料理には辟易としていたんだな。
「飲めるレベルで無くても、塩抜きが出来れば体を洗うのももっと気軽に出来るしな」
島で湖を見つけたら凄い勢いで飛び込んでいたのだ。船員達だって自分達の臭い状態が嫌だったのだろう。
「補給島でだって、泥や塩混じりの井戸水やため池の水を飲料用に漉せたらありがたいだろうしな。
考えようによっては、王国でだって天候や場所によっては水を綺麗にする魔道具は役に立つぜ」
王都でも、下町の井戸は嵐の後とかは水が濁っていて飲めた物じゃあ無かった。
そういう時はもう少し良い地域まで足を伸ばさないと、下手をしたら飲料店の料理すら泥(か考えたくない異物)混じりな味がしたもんだ。
「じゃあ、ちょっと明日にでも何か役に立つ魔術回路がないか、魔術院で探してみようか?
通信機の方だって、考えてみたら通信の方式を変えるんだからそういう魔術回路が今まで開発されたか調べた方が良いし」
ケーキを食べ終わったシャルロがクッキーに手を伸ばしながら話を締めた。
・・・まだ食べるんだ?
何でこれだけ甘い物が好きで太らないのか、本当に不思議だぜ。
----------------------------------------------------------------------------------
「船かぁ・・・。自分の位置と『座礁した』とか『病人発生』とか『海賊に襲われた』とでも言うような簡単な決まった意味を伝えるコードだけで良いから船から陸や軍船へ伝えられる簡易通信機みたいのがあったら便利じゃ無いかな?」
固定式通信機は座標が固定していなければならないので船では使えない。
俺達の作った移動式通信機では、有効範囲が狭すぎる。
あれだって王都から近隣の街までなら届くのだが、航海している時の距離はスケールが違う。
今の通信機の方法では魔石の使用量が多すぎて話にならないだろう。
何らかの形で、通信の様式を変えて短い情報だけを伝える代わりに伝える距離を長くしたら良いのではないだろうか?
「なるほど。決まった短いコードだけを伝える形にすることで、有効範囲を広げるのか」
アレクが頷いた。
「位置情報は東の大陸の領事館と、それこそあの2つの補給島に標準点でも作っておいてそこからの距離と方向を位置追跡装置を使って割り出せばそれなりに分かるかも知れないけど・・・ちょっと魔石の消費が激しくなるんじゃ無いかなぁ?
どちらにせよ、その情報から場所を割り出す作業は誰かがしないと駄目な訳だし。
位置情報は自分で星と太陽を使って今までどおり計測してもらって、単にそれを簡単に短く伝えるコードを考えれば良いんじゃない?」
シャルロの言葉に俺達は位置情報の効率的な伝え方について話し合ったが、どの形が一番効率的になるかは不明だった。
「ダルム商会に、何か良い位置情報の伝え方があるか、聞いてみよう。
駄目だったら軍に聞いてみても良いし。
こっちの開発はちょっと情報の簡易化を先に考えてからにしよう」
アレクの提案に疲れ果てた俺達はこのアイディアはちょっと棚上げすることで合意した。
まあ、通信機の様式を変えることだって上手く出来るかどうかは不明だが。
気分転換にお茶を淹れ、パディル夫人の作ったケーキを切り分けながらまた何が便利かに話が戻った。
「まず思いつくのは、水だな」
アレクがケーキを受け取りながらコメントした。
「確かにねぇ。
あのちょっと塩抜きが足りない料理だって、水を節約しすぎてるからだろうし」
シャルロがお茶を注ぎながら頷く。
ははは。
良家のお坊ちゃまらしく、あの時は何も文句を言わなかったがシャルロもあの料理には辟易としていたんだな。
「飲めるレベルで無くても、塩抜きが出来れば体を洗うのももっと気軽に出来るしな」
島で湖を見つけたら凄い勢いで飛び込んでいたのだ。船員達だって自分達の臭い状態が嫌だったのだろう。
「補給島でだって、泥や塩混じりの井戸水やため池の水を飲料用に漉せたらありがたいだろうしな。
考えようによっては、王国でだって天候や場所によっては水を綺麗にする魔道具は役に立つぜ」
王都でも、下町の井戸は嵐の後とかは水が濁っていて飲めた物じゃあ無かった。
そういう時はもう少し良い地域まで足を伸ばさないと、下手をしたら飲料店の料理すら泥(か考えたくない異物)混じりな味がしたもんだ。
「じゃあ、ちょっと明日にでも何か役に立つ魔術回路がないか、魔術院で探してみようか?
通信機の方だって、考えてみたら通信の方式を変えるんだからそういう魔術回路が今まで開発されたか調べた方が良いし」
ケーキを食べ終わったシャルロがクッキーに手を伸ばしながら話を締めた。
・・・まだ食べるんだ?
何でこれだけ甘い物が好きで太らないのか、本当に不思議だぜ。
0
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる