シーフな魔術師

極楽とんぼ

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卒業後

414.5 星暦554年 赤の月 18日 次の旅立ち?(6)

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番号を間違えていた為、スキップしていた話がありました。

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「船かぁ・・・。自分の位置と『座礁した』とか『病人発生』とか『海賊に襲われた』とでも言うような簡単な決まった意味を伝えるコードだけで良いから船から陸や軍船へ伝えられる簡易通信機みたいのがあったら便利じゃ無いかな?」

固定式通信機は座標が固定していなければならないので船では使えない。
俺達の作った移動式通信機では、有効範囲が狭すぎる。

あれだって王都から近隣の街までなら届くのだが、航海している時の距離はスケールが違う。
今の通信機の方法では魔石の使用量が多すぎて話にならないだろう。
何らかの形で、通信の様式を変えて短い情報だけを伝える代わりに伝える距離を長くしたら良いのではないだろうか?

「なるほど。決まった短いコードだけを伝える形にすることで、有効範囲を広げるのか」
アレクが頷いた。

「位置情報は東の大陸の領事館と、それこそあの2つの補給島に標準点でも作っておいてそこからの距離と方向を位置追跡装置を使って割り出せばそれなりに分かるかも知れないけど・・・ちょっと魔石の消費が激しくなるんじゃ無いかなぁ?
どちらにせよ、その情報から場所を割り出す作業は誰かがしないと駄目な訳だし。
位置情報は自分で星と太陽を使って今までどおり計測してもらって、単にそれを簡単に短く伝えるコードを考えれば良いんじゃない?」

シャルロの言葉に俺達は位置情報の効率的な伝え方について話し合ったが、どの形が一番効率的になるかは不明だった。

「ダルム商会に、何か良い位置情報の伝え方があるか、聞いてみよう。
駄目だったら軍に聞いてみても良いし。
こっちの開発はちょっと情報の簡易化を先に考えてからにしよう」
アレクの提案に疲れ果てた俺達はこのアイディアはちょっと棚上げすることで合意した。

まあ、通信機の様式を変えることだって上手く出来るかどうかは不明だが。

気分転換にお茶を淹れ、パディル夫人の作ったケーキを切り分けながらまた何が便利かに話が戻った。

「まず思いつくのは、水だな」
アレクがケーキを受け取りながらコメントした。

「確かにねぇ。
あのちょっと塩抜きが足りない料理だって、水を節約しすぎてるからだろうし」
シャルロがお茶を注ぎながら頷く。

ははは。
良家のお坊ちゃまらしく、あの時は何も文句を言わなかったがシャルロもあの料理には辟易としていたんだな。

「飲めるレベルで無くても、塩抜きが出来れば体を洗うのももっと気軽に出来るしな」
島で湖を見つけたら凄い勢いで飛び込んでいたのだ。船員達だって自分達の臭い状態が嫌だったのだろう。

「補給島でだって、泥や塩混じりの井戸水やため池の水を飲料用に漉せたらありがたいだろうしな。
考えようによっては、王国でだって天候や場所によっては水を綺麗にする魔道具は役に立つぜ」
王都でも、下町の井戸は嵐の後とかは水が濁っていて飲めた物じゃあ無かった。
そういう時はもう少し良い地域まで足を伸ばさないと、下手をしたら飲料店の料理すら泥(か考えたくない異物)混じりな味がしたもんだ。

「じゃあ、ちょっと明日にでも何か役に立つ魔術回路がないか、魔術院で探してみようか?
通信機の方だって、考えてみたら通信の方式を変えるんだからそういう魔術回路が今まで開発されたか調べた方が良いし」
ケーキを食べ終わったシャルロがクッキーに手を伸ばしながら話を締めた。

・・・まだ食べるんだ?
何でこれだけ甘い物が好きで太らないのか、本当に不思議だぜ。

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