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卒業後
397 星暦554年 藤の月 20日 旅立ち?(38)
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「本当にこれを買うのか?」
先日バルダンに案内して貰った魔道具屋に加えて、宿屋や喫茶店で聞き取りをして勧められた魔道具屋も見て回って選んだ冷却・除湿魔道具を見ながらアレクに確認する。
結局、昨日は領事館に着いた後ナヴァールにバルダンを紹介して翌朝また俺たちの案内に来るように言っておいた後、転移門や固定式通信機の設置作業をしていたハルツァを手伝ったのだが・・・。
通信機の設置が終わった後に早速アレクが何やら実家と話し合い、更にその後船長と交渉をして貨物室を一つ借りて、冷却・除湿魔道具を使ってお茶や香辛料を色々と運んでみることになったのだ。
小さめとは言え、貨物室を一室の半分を無料で使える代わりに、残りの半分にナヴァール達が選んだ東大陸の交易品を入れて、冷却・除湿魔道具を使って運搬したらどうなるかを実験することになったらしい。
アレクの実家とダルム商会は一足先に、冷却・除湿魔道具を使った交易の効果を確認したいので、アレクに安くないこの魔道具を買えと指示したらしい。
いやぁ、あんなに大きな魔道具をぽんと買えるだけの資金を持ってきているとは、驚きだったね。
ちゃんとこちらで高く換金できる宝石を調べて持ってきているところが流石アレクという感じだ。
ちなみに、ハルツァに聞いたところでは東大陸で開発された魔術回路はアファル王国の魔術院に登録される仕組みにはなっていないので、他の魔術師が誰か登録していなければ俺たちが登録しちゃっても良いんだってさ。
ただし、東大陸にして見れば『無許可で使った』魔術回路を、こちらに持ち込んで無断使用がばれたら罰金を取られるだろうが。
まあ、転移門が開かれるのだ。
これからは魔術師同士の交流が増えるにつれて魔術回路の『無断使用』の問題も頻発する可能性が高いから、そのうち両地の魔術院が協力することで合意するだろうな。
・・・そう考えると、一応こちらの魔術院にも話をしておく方が無難か?
いや、面倒だから船に乗らずに帰る予定のハルツァに、そこら辺の話し合いもさせりゃあ良いよな。
あっちの方が魔術院の中堅職員なんだし。
除湿なんていう機能の魔道具なんて今まで見たことが無かったから、何かこれを面白いことに使えないか研究してみたいし、ちゃちゃっと魔術回路を模倣して帰りの船旅で俺たちの客室を快適に出来るか試しても良いが・・・考えてみたら湿気のせいで暑さが酷く感じると言うことが分かったのだ。
帰りの船路に関しては清早に頼んで簡易結界でも張って湿度を下げて貰えば良いだけだよな。
・・・蒼流だったらシャルロが頼まなくてもそのくらいのことをしそうな気がするし。
「ああ。
長期的に使う交易船だったら、魔術師に毎回除湿用の結界を貨物室に張らせるよりは魔道具を使った方が経済的だからね。
今後こういった魔道具を活用するにしても、一つは試用品が無いと話にもならないからどちらにせよ買う必要はあるし。
態々ダルム商会やウチがこちらに来れるようになってから買って利用法を考えるよりは、今回買って帰る方が色々と効率的だ」
アレクが頷く。
「それにこれだけの大きさの魔道具だったら、持って帰るための貨物室の料金だってタダじゃあ無いからね。
今回はナヴァール達が冷却・除湿魔道具の効果を実験してみたいからアレクが買った魔道具をあちらも利用する代わりに貨物室を無料で提供してくれるんだ。これは是非とも利用するべきだよ」
ちゃっかりアレクが確保した貨物室に自分がお土産用に買った冷却・除湿魔道具を置かせて貰うことに成功したシャルロが口を挟む。
幾らアレクの業務用魔道具に比べたら小さいとは言え、シャルロが買ったのもそれなりの大きさなので、あれを俺たちの客室に置かないで済むことになったのは有り難い。
ちなみに、シャルロの魔道具はバルダンが教えてくれた魔道具屋で買った。
アレクの業務用の魔道具は喫茶店で教えて貰った魔道具屋で買ったが。
バルダンの情報網はやはりなかなかの精度のようだ。
「ついでに、店の人に魔術回路を登録している魔術院なりの業界団体の連絡先を聞いておいたらどうだ?
ハルツァにでも、アファル王国との魔術回路の使用に関して話し合いを始めさせておく方が後々俺たちにとっても時間の節約になるかも知れないぜ?」
支払に使った宝石の換金を待っているアレクに提案する。
まあ、アレクが自分で交渉したいと言うのなら勿論俺は止めないよ?
アレクがこちらを振り返った。
「そうか。ハルツァは転移門で帰るんだから、こちらの魔術院なり何なりと交渉している暇があるな。
魔術院とは通信機で連絡を取りつつ報告するだろうから、もしもの事故が転移門の試運転で起きても情報は失われないはずだし」
いやいや、ここは転移門の事故は起こらないことを祈っておいてやろうぜ?
【後書き】
裏社会やバルダン君の上の人間とのコンタクトまでたどり着きませんでした。
次・・・かな?
先日バルダンに案内して貰った魔道具屋に加えて、宿屋や喫茶店で聞き取りをして勧められた魔道具屋も見て回って選んだ冷却・除湿魔道具を見ながらアレクに確認する。
結局、昨日は領事館に着いた後ナヴァールにバルダンを紹介して翌朝また俺たちの案内に来るように言っておいた後、転移門や固定式通信機の設置作業をしていたハルツァを手伝ったのだが・・・。
通信機の設置が終わった後に早速アレクが何やら実家と話し合い、更にその後船長と交渉をして貨物室を一つ借りて、冷却・除湿魔道具を使ってお茶や香辛料を色々と運んでみることになったのだ。
小さめとは言え、貨物室を一室の半分を無料で使える代わりに、残りの半分にナヴァール達が選んだ東大陸の交易品を入れて、冷却・除湿魔道具を使って運搬したらどうなるかを実験することになったらしい。
アレクの実家とダルム商会は一足先に、冷却・除湿魔道具を使った交易の効果を確認したいので、アレクに安くないこの魔道具を買えと指示したらしい。
いやぁ、あんなに大きな魔道具をぽんと買えるだけの資金を持ってきているとは、驚きだったね。
ちゃんとこちらで高く換金できる宝石を調べて持ってきているところが流石アレクという感じだ。
ちなみに、ハルツァに聞いたところでは東大陸で開発された魔術回路はアファル王国の魔術院に登録される仕組みにはなっていないので、他の魔術師が誰か登録していなければ俺たちが登録しちゃっても良いんだってさ。
ただし、東大陸にして見れば『無許可で使った』魔術回路を、こちらに持ち込んで無断使用がばれたら罰金を取られるだろうが。
まあ、転移門が開かれるのだ。
これからは魔術師同士の交流が増えるにつれて魔術回路の『無断使用』の問題も頻発する可能性が高いから、そのうち両地の魔術院が協力することで合意するだろうな。
・・・そう考えると、一応こちらの魔術院にも話をしておく方が無難か?
いや、面倒だから船に乗らずに帰る予定のハルツァに、そこら辺の話し合いもさせりゃあ良いよな。
あっちの方が魔術院の中堅職員なんだし。
除湿なんていう機能の魔道具なんて今まで見たことが無かったから、何かこれを面白いことに使えないか研究してみたいし、ちゃちゃっと魔術回路を模倣して帰りの船旅で俺たちの客室を快適に出来るか試しても良いが・・・考えてみたら湿気のせいで暑さが酷く感じると言うことが分かったのだ。
帰りの船路に関しては清早に頼んで簡易結界でも張って湿度を下げて貰えば良いだけだよな。
・・・蒼流だったらシャルロが頼まなくてもそのくらいのことをしそうな気がするし。
「ああ。
長期的に使う交易船だったら、魔術師に毎回除湿用の結界を貨物室に張らせるよりは魔道具を使った方が経済的だからね。
今後こういった魔道具を活用するにしても、一つは試用品が無いと話にもならないからどちらにせよ買う必要はあるし。
態々ダルム商会やウチがこちらに来れるようになってから買って利用法を考えるよりは、今回買って帰る方が色々と効率的だ」
アレクが頷く。
「それにこれだけの大きさの魔道具だったら、持って帰るための貨物室の料金だってタダじゃあ無いからね。
今回はナヴァール達が冷却・除湿魔道具の効果を実験してみたいからアレクが買った魔道具をあちらも利用する代わりに貨物室を無料で提供してくれるんだ。これは是非とも利用するべきだよ」
ちゃっかりアレクが確保した貨物室に自分がお土産用に買った冷却・除湿魔道具を置かせて貰うことに成功したシャルロが口を挟む。
幾らアレクの業務用魔道具に比べたら小さいとは言え、シャルロが買ったのもそれなりの大きさなので、あれを俺たちの客室に置かないで済むことになったのは有り難い。
ちなみに、シャルロの魔道具はバルダンが教えてくれた魔道具屋で買った。
アレクの業務用の魔道具は喫茶店で教えて貰った魔道具屋で買ったが。
バルダンの情報網はやはりなかなかの精度のようだ。
「ついでに、店の人に魔術回路を登録している魔術院なりの業界団体の連絡先を聞いておいたらどうだ?
ハルツァにでも、アファル王国との魔術回路の使用に関して話し合いを始めさせておく方が後々俺たちにとっても時間の節約になるかも知れないぜ?」
支払に使った宝石の換金を待っているアレクに提案する。
まあ、アレクが自分で交渉したいと言うのなら勿論俺は止めないよ?
アレクがこちらを振り返った。
「そうか。ハルツァは転移門で帰るんだから、こちらの魔術院なり何なりと交渉している暇があるな。
魔術院とは通信機で連絡を取りつつ報告するだろうから、もしもの事故が転移門の試運転で起きても情報は失われないはずだし」
いやいや、ここは転移門の事故は起こらないことを祈っておいてやろうぜ?
【後書き】
裏社会やバルダン君の上の人間とのコンタクトまでたどり着きませんでした。
次・・・かな?
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