前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい

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協力する二人

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 私の中では、順調に戻りつつあるフィーとの距離だったがなぜかある日を境にフィーに避けられている。私が何かしただろうかと振り返るが思いつくことはなく、フィーも完全に避けるのではなく一応毎日一緒にはいた。だが、避けられているのは分かったので、とりあえずフィーの言う通り動き様子を見たが私の誘いを断った後は街で女性とお茶をする事しか発見はなかった。私ではなく女性を優先するのは、とても傷ついたが前もここまでではないものの女性と遊んでいたので仕方ないと諦める。それにそう思い至ってからフィーは別に私の恋人でもないのだから何を自分は考えているのかと落ち込むのが何より辛かった。

「はあ」
「どうした、スタシア」
「別にどうもありませんよ、陛下」

 私は陛下の顔を見て自分は今、何か話があって呼ばれていた事を思い出す。

「そうか、して考えてみる気にはなったか?」
「何の話ですか」

 悪いが全く聞いていなかった私は素直に聞く。

「お前、初めから聞いていないな」
「すみません、なにしろ忙しくて」
「もういい、次はよく聞くように」
「はい」

 いったい何の話だと、いつもどうでもいい話ばかりする陛下に私は耳を傾ける。

「聖女との婚約の話、考えてみる気になったか?」

 耳を疑うとんでもないことを言う陛下に私は一瞬固まってしまうもすぐに否定を返す。

「ないです」
「スタシア、本当に生涯結婚しないつもりか?」

 面倒そうに私の顔を見る陛下に私は目線を下げる。
 もちろん私だって結婚したい。そう思った相手もいた。だが出来ず、それにもう望める希望すらなかった。だからいつもこう言って話を終わらせてきた。

「奇跡が起きない限りそうなります」

 今なら相手が再びいるが結局望みはない為、この言葉通りになる。

「それならば、聖女との婚約を前向きに考えるように。話は以上だ」

 いつもならここで折れる陛下が今日は強気できた事に私は驚く。そして私は言葉の意味を理解し、口を開こうとした時には陛下はいなかった。逃げ足があの陛下は速かった事を私は思い出し、一人怒りを抑えた。

 その後、私は落ち込んだ足取りで部屋を出るが気分を入れ替えようと近くの庭園に行く。
 私はすぐに庭園内で見つけたベンチに座ると体裁など考えず、つい声を溢す。

「聖女との婚約なんて他でしてくれ。私は結婚したくないんだ」

 自分の言葉に何か返ってくるとは思っていない私だったがその瞬間に後ろの植え込みから声がかかる。

「その話! 本当ですか!? 私もなんです」

 私は思わず振り向くも人がいるとは分からなかったことに自分はかなり気持ちが乱れていると知ると同時にこの声は聖女の声だと分かる。なぜなら植え込みの間から彼女と目があった。

「まさか聞いていましたか?」

 関係のある聖女本人にこんなことを聞かれるとはと思いながらそれとなく周りを探るが彼女以外には人がおらず、聞かれたのは彼女のみのようだ。しかしまだ続きを話す様子の彼女に私は他に聞かれても面倒なので聞かれないよう魔法を張る。

「はい! でも大丈夫です。それであの、私達婚約しそうになってる者同士ですよね?」

 仕事関係で会うことのある聖女は私の言葉に気にした様子はなく、話を進めて問うので私は頷いた。

「まあ、はい」
「組みませんか、一時隠れ蓑の相手として」
「失礼ですが聖女様も婚約したくないと?」

 彼女の言葉の含みではそう伝わるが私には重要な事なので確認する。

「そうです、他に好きな方がいます。ですがその方は私とはつりあわないと言って付き合ってくれないんです」
「それはそれは」

 彼女も私と婚約するつもりがないと知り安心したが反応に困る話もされる。その彼女の相手が誰か知らないが今の彼女につりあうのは王族関係かある程度地位のある者で、聞くところにそのあたりの地位ではない様子の彼女の相手がそう答えるのも仕方ないといえる。

「だから、聖女としての使命が終わればもう一度告白しようかと思っていたんですが陛下にああ言われてしまい断れなかったんです」

 私と違い二度も告白しようとする彼女を尊敬するが確かに使命が終われば多少はその相手も受け入れやすい地位に彼女は落ち着く予定だ。しかしその計画は陛下のせいで崩れたのだろう。

「逃げられましたか」
「はい。でも考えれば、これを断れば次から次へときますから、きっと。だから私と婚約はしませんが一時、受け入れる姿勢をとって静かに過ごしませんか?」

 彼女の提案は私にはとても魅力的なもので器用に植え込みの間から差し出す彼女の手を私は微笑んで握り返した。

「ぜひ、お願いしたい」
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