僕のクソッタレな人生にきみを添えて

るい

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きみを添えて4日目

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 離れた距離の転移はごっそり魔力を取られ魔力欠乏に苦しむため滅多にしない。だがこの緊急事態にしないわけにもいかず、あの場から彼を抱き上げ宿の部屋に一瞬で転移した。案の定、僕は魔力がかなり減ったことで体の力が抜けそうになるも彼を抱えているのでグッと耐える。減った魔力が回復するのは遅く、当たり前に今はふらふらだけど気力で僕は彼を抱え直し「……着いたよ。ここがぼく、あ、俺の泊まってる部屋」と彼に教えた。腕の中の彼は相変わらず震えており、何も言わない。無理もないと考えるけれど僕がこのまま抱いているのも無理だと悟り部屋のベッドに彼を預ける。
 彼が片手にマント、もう片手に僕の胸元付近の服を掴み離さないことで腰を折り曲げた姿勢のまま僕はいるが魔力欠乏が辛くベッド横の床にでも座り込みたかった。

「俺はどうしたらいいかな? きみが望むように動くよ」

 本当はベッドに倒れ込みたいがより辛いと思う彼を優先するのが先だとそう問うも無言の間だ。彼にしてあげるべき正しい対応も分からず完全にお手上げになる僕はキョロキョロと所在なさげに視線を泳がす。
 そんな時、ついに彼と目が合う。漸く答えが貰えるかと僕は聞くことに集中するも……泣かれた。

「っ!? な、何かしてしまった?」

 動揺を隠せない僕に相変わらず答えを彼はくれず、静かに涙を流すだけで僕はただ見つめることしか出来ない。彼の涙が怪我で痛々しい頬を伝い濡らしていくのを見ていた僕は我にかえり、持っていたハンカチを差し出す。

「よかったらこれを使って」

 ちょうど涙が落ちる先に僕のマントがあり、だんだんと染みが広がるほど涙が落ちても彼は僕のハンカチを受け取らない。僕は本当にどうしたらいいんだと、有識者に問いただしたくなるなか、彼が僕を掴む腕を引き寄せる。
 もともとふらふらな僕は呆気ないほど簡単に体勢を崩し、彼に倒れ込む。そして彼から抱きしめられることで思考が停止した。

「……どうしたんだい?」

 ひたすらに意味がわからない僕だったがここで初めて嗚咽とうわずった声でだけれど「……ありがとう」と彼が喋った。僕は心の準備がなくて驚いたがすぐに努めて優しく「いいよ」と返し、そっと彼と同じように抱きしめ返す。
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